心房細動などでカテーテルアブレーション治療(アブレーション治療)を勧められることがあります。
カテーテルアブレーションは安全性が高い治療と言われていますが、出血・血腫、感染、心タンポナーデ(心臓周囲の血のたまり)、脳梗塞、気胸(肺がしぼむ)、食道・神経損傷(心臓食道瘻など)、薬剤アレルギー、造影剤による腎障害などのリスクがあり、まれに重篤な合併症や死亡に至る可能性もあります。確率の問題ではありません。
カテーテルアブレーションの適応を考える際には、「症状」「成功率」「リスク」そして「年齢」を考慮して、総合的に判断する必要があります。たとえば、症状が強く、まだ早期で高い成功率が見込まれ、特に合併症リスクが上がるようなこともないような若くて元気なひとは、カテーテルアブレーションを早期に行っても良いかもしれません。
治療後に心房細動が再発してしまう可能性はゼロではありません。
海外の研究結果によると、アブレーション治療1年後の心房細動再発率は、発作性心房細動の場合でおよそ40%、持続性心房細動の場合だと80%以上にもなるといわれています(薬による治療の場合、発作性心房細動でおよそ60%の方が再発し、持続性心房細動の場合だとそもそも90%の方は薬が効かないといわれています)。
よく調べて、考えから判断してください。
カテーテルアブレーション治療の合併症も多数あります。(AI回答)
血栓塞栓症
アブレーション治療を行った部分に血栓が発生したり、アブレーション治療の際に発生した気泡が血管をふさいでしまったりすることで起こります。血栓塞栓症が起こらないように血液の凝固を防ぐ薬を投与したり、気泡が発生しないように注意したりしながら、アブレーションを行います。
心タンポナーデ(心筋穿孔に伴う)
心臓の周りに血液が漏れて、心臓の動きが邪魔されてしまう症状です。アブレーション治療中のカテーテル操作の際に、心臓の筋肉や血管が傷ついてしまうと起こることがあります。
肺静脈狭窄
アブレーション治療で生じるエネルギーにより、肺静脈が狭くなってしまうことです。発生すると、呼吸困難や胸痛などの症状がでます。肺静脈狭窄を予防するために、肺静脈自体ではなく、肺静脈の入り口周囲の心房筋を線状に繋がるように広範囲にアブレーションしています。
横隔膜神経麻痺
肺静脈の近くにある横隔膜神経がアブレーション治療で発生するエネルギーで傷つき、横隔膜が一時的に動かなくなることがあります。
食道関連の障害
アブレーション治療の熱および冷却によって、心臓の裏にある食道や食道のまわりにある迷走神経を傷つけることがあります。迷走神経を傷つけると、胃の運動機能不全などを引き起こし、嘔吐や下痢といった症状がでることがあります。
食道障害を予防するために、食道の位置をCT検査や経食道エコー(超音波)検査などで事前に確認することがあります。また、鼻からカテーテルを挿入して、食道の温度を測定しながらアブレーション治療を行うことがあります。
心房ブロック
心房と心室の間にある房室結節(正しい電気信号を伝えるための部位)が傷ついてしまった場合に起こります。重度の場合は、ペースメーカを植え込むことがあります。
カテーテル挿入部から出血
出血がある場合は、圧迫して安静にするなどの対応を行います。外科的処置が必要となることはほとんどありません。
カテーテル挿入部における感染
傷口から細菌が入ってしまうことです。挿入部にてひどい痛みや熱っぽさ、或いは赤みというような症状がでることがあります。

