危険なバリウム検査(胃部エックス線検査)はなぜ続けられている? | 森の里草

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バリウム検査は危ないという記事は多数のSNSで出ています。

 

私のブログでも「バリウム検査(胃部エックス線検査)は無意味?」という記事もあります。

 

 

バリウム検査を受ける人は前夜から絶食して、胃を空っぽにした状態にする。そして造影剤の硫酸バリウム溶液と一緒に、発泡剤を飲む。胃を風船のように膨らませるためだ。可変式の検査台に乗ると、アトラクションのように、前後左右、様々な角度に傾けられる。これにより、バリウムを胃の内壁にくまなく行き渡らせる。

そして、放射線技師が、胃を様々な角度からX線で撮影していく。すると、バリウムによって胃のシルエット(陰影)が、浮かび上がる。その画像は白黒の影絵のようだ。

後日、このX線画像を医師らが、「読影」して、がんを見つける。ただし影絵なので、小さな病変は判別が難しい。この点が、バリウム検査の隠れたリスクのひとつです。要はがんの見落としが多いということです。

 

次に、バリウムが気管に入ってしまう「バリウム誤嚥(ごえん)」で、毎年1000件前後が発生しているそうです。誤嚥によって肺の中にバリウムが入り込んでしまうもので、呼吸困難や感染性肺炎、アナフィラキシーショックなどが起きる。しかも除去することは難しい。肺の中でバリウムが固まって、長期間滞留するケースもあります。

 

大腸などにバリウムが滞留してしまうと、腸閉塞や、穿孔(せんこう)(穴が開くこと)を起こす場合もあります。大腸に穿孔が起きると、便で腹部が汚染されて腹膜炎や敗血症を起こし、死亡することもあります。(バリウム製剤による腸閉塞や穿孔は、決して少なくない。PMDAに年間で75例が報告されたこともある(2014年度)。その記録や論文などを確認すると、バリウム検査の翌日に緊急手術を行ったケースが大半を占めていた。)

 

チェコ・リポートで肺ガン検診はエックス線被曝等で1.36倍も肺ガン死しています。ところが、胃ガン検診ではさらに「肺ガンの6~300倍」もエックス線を浴びせられる。まず、バリウム検査は四方からエックス線を連続撮影する。それだけで被曝は肺ガン検診の6倍以上、人間ドッグや病院でのテレビ・モニター検査では被曝は胸部レントゲン撮影の100~300倍にはねあがるそうです。がんを健診しているのか、がん細胞を造り出しているのか、分かりませんね。

 

このようなリスクがあるのに、なぜ続けられているのでしょうか? 

『胃がん検診に投入される税金は、全国で年間600億円とも言われ、「利権」となっている。人々の命よりも業界の事情や役人の天下りを優先して、バリウム検査が今も脈々と続いているのである。』

だそうです。

国内最大の検診グループである日本対がん協会の年次報告書によると、2021年度に自治体などの依頼で実施した集団胃がん検診は約170万人、そのうちバリウム検査は約163万人で圧倒的に多いとのこと。

同グループでは、バリウムX線の撮影装置を積んだ高額な検診車を保有し、放射線技師などの専門スタッフを多数抱えている。さらに各検診団体は、莫大ながん検診の費用を支出する各県の幹部職員の天下り先となっているとのことです。

 

国の指針では、50歳以上は年に一度の胃バリウム検査が推奨されています。

ただし、胃がん検診の頻度や検査法(胃バリウム検査か内視鏡検査)の選択については胃がんリスクに応じて医師と相談して決めるとよいことになっていますので、リスクも合わせて考えていただきたいです。