世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術 水野学 山口周 23279
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定番になりつつある山口周さんと、
水野学さんという方の対談。
期待以上に面白い。
山口 一つお伺いしたいのは、ターゲットを明確化すればするほど、
市場規模が小さくなるという点です。
ビジネスとしては不利になるわけで、
企業の人たちはそれを嫌がりませんか?
水野 そこが面白いんですけど、
「嵐を好きな人って何人いますか?」という話です。
山口 どういうことですか?
水野 ターゲットって必ず、いくつかの円の重なり合いなんです。
複雑化したベン図(集合関係を視覚的にわかりやすくした図のこと)というか。
たとえば「嵐を好きな人のグループ」という大きな円があって、
それに「『& Premium』を読んでいる人のグループ」という円、
さらに「スープストックをよく利用する人の円」が重なるとします。
重なった中心部分がコアターゲットですが、ターゲットは三つの円すべて、
ベン図全体を目指しています。
山口 ターゲットはエクスクルーシブじゃないっていうことですね。
水野 でも、コアターゲットはかなり雑誌で決まるんですよ。
特に女性は雑誌の数だけセグメントされているところがあります。
『JJ』を読む人は、『CanCam』を下に見ているかもしれないし、
『CanCam』を読む人は『JJ』を下に見ているかもしれない(笑)。
こういうのを読み解けば、たいていのコアターゲットはセグメントできます。
おお、女性を雑誌でセグメントする。なるほどねぇ!
グロービス経営大学院のマーケティングの
セグメンテーションの講義のところにどうにか入れたいが、
この面白さは一部の方にしか伝わりそうに無いし
混乱させてしまいそうなので止めておくか。。。
山口 自分の好き嫌いを知ることも、センスを磨くための第一歩ですね。
水野 はい。といっても、会議の場で自分の好みにだけ
固執されるのは困るんだけど(笑)。
自分はそれが好きか嫌いか。「なぜ」好きなのか。
嫌いな場合、どこが変われば好きになれるのか。
好き嫌いの理由までつきつめるくせをつけると、
感覚が磨かれていく。
僕はだいぶ業界から浮いていて(笑)、
できるだけデザインを言語化しようと努めているし、
ブラックボックスを開けていこうとしています。
でもそれって結局、マジシャンのネタばらしで、
デザインを、誰にでもできるようにしてしまうということ。
これは一方で、自分がやったマジックに対して
「つまらない」と批判できる人を世の中に増やすことでもあるんです。
これまで多くのデザイナーは、
デザインが魔術であることの恩恵を受けてきた。
「これを操れるのは才能がある自分たちだけだ」
ということにしておけば、自分たちが安泰なので。
でもこれからは、みんながセンスや美意識を
当たり前のスキルとして持たないと、やっていけないです。
ここの「デザイン」のところに「経営戦略」「マーケティング」「武道」を
入れ替えて読んでみても面白いし、
それこそ私が今していること、したいこと。
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