今日は、200Vを掘り下げていきたいと思います。
自分も初めは200Vの方が電気代が高いと思っていたので、この話を書こうと思います。
まず、現在日本は各家庭の電気メーターに3本の線が配線されていて、繋ぐ線によって100Vと200Vを両方取ることが出来ます。以下のように、200Vの家電も問題なく利用できます。
これを単相3線といい、電気メーターに赤字で単3と表記されていますよね。
昭和に建てられた住宅では単3になっておらず、未だ100Vしか使えない住宅も有ります。
メーターに3本の線が配線されているか、メーターに単2と書かれているかで判別できますね。
(これ以外には三相200Vの動力という名のスーパーや工場用の電気も有ります。更に電気代が安いですね。)
ただ日本の標準家電は100Vが基本で200Vが使える家電は一部に限られます
世界を見ると家庭用電源で100Vを使っているのは日本のみです。
(240Vの国が羨ましい)
昔は電球のフィラメントが切れにくい、感電してもまだ事故がマシなどの理由で100Vが採用されてきたようですが、今となってはデメリットしかありません。
日本でも一般の電気を200Vに統一していこうと試みが有ったようですが、日本全国の家電が使えなくなるなどの理由で昭和の時代に頓挫し、日本はそもそも50Hz/60Hz(交流発電機の回転数)という周波数すら国内で統一できていない世界で類を見ない稀な国で、電圧以前の問題も有りますね。
(韓国は110Vから220Vに国策で変更されました。羨ましい)
ちなみに高速道路に例えると、100Vが1車線。200Vが2車線のようなもので、200Vの方が短時間に大量の電気を送れます。100Vで同じ電気量を送るとすると倍の車の速度が必要で、電気の線の発熱量が倍になり、火災のリスクも上がります。
という事で、200Vは100Vより電気を押し出す力(電圧)が倍高い電気ということになります。
これだけ見ると200Vの方が電気を多く消費するように見えますが、
電力の計算式は、電力(ワット)=電圧(ボルト)×電流(アンペア)です。
たとえば、500Wの電力を得たい場合は次のようになります。
単相200V・・・200V×2.5A=500W
単相100V・・・100V×5A=500W
このように、同じ電力を得るためには単相200Vが単相100Vの1/2の電流で済みます。
エアコンで言うと、同じ電気代で設定温度に到達するまでに半分の時間で済むことになります。
(最近のスマホの高速充電器と同じ原理ですね。)
なので、同じ条件であれば、100Vも200Vも電気代は同じですが・・・
そこで、各社のエアコンを見ていきましょう。
まず、ダイキンの最新機種
まず、近年エアコンはいろんな機能が付きすぎて、本体の値段が高すぎますね。笑
全く同じ畳数で左が100V、右が200Vの機種です。
この時点で消費電力の中央値が200Vの方が低いのが分かります。
暖房で160W、冷房でも165Wの差が有ります。
消費電力量の年間の標準的な値が出ていますが、標準で4~5千円は年間変わってきますし、エアコンを良く使う人は更に変わってきます。
また、暖房では能力の差が倍ありますね。(倍早く暖まる事になります)
次にパナソニックの最新機種
これも同じ傾向ですね。
という事で、200Vの方が効率が良いので、電気の消費量が少なく、更に能力が倍高いので設定温度に早く到達することが分かります。(暖房の能力が倍ありますね。)
だいたい、各社10畳~12畳用以上の2.8kw~3.6Kwのエアコンぐらいから200Vの機種が有るので、迷ったら200Vの機種がおススメですね。
ただ、コンセントの形状変更と200Vの電圧変更工事が必要ですので、新築時のコンセント計画時に変更していただく事をお勧めします
という事で、200Vが良いという事が分かりましたが、他にニッチな領域ですが200Vで使える家電が有ります。
そうです。パソコンです!
すごく専門的な話になりますが、デスクトップパソコンの電源には、電力効率化の規格があり、以下のように定められています。
この表では110Vと230Vの比較ですが、2%ほどの違いがあることが 分かります。
チタンが最も効率化の良い電源になります。
電源の種類によっても異なりますが、だいたい2%~3%ほど効率が良くなります。
なお、これはノートパソコンでも有効で、だいたいのノートパソコンのACアダプタは全世界で使える事を前提に設計されおり、240Vまで対応しているので、200Vも問題なく利用できます。
という事は、パソコンの利用する場所には200Vの電源が有った方が良いと言う事になります。
という事で、まだ検討中の段階ですが、我が家は色々と電気を多く使う事をしており、こんな金額になりました
あと、200Vにした方が良いのは浴室暖房乾燥機ですかね
我が家は浴室暖房乾燥機を使わないので100Vにしましたが、良く使う方は200Vの方が半分の時間で衣類が乾燥できるのでお勧めですね
もちろん海外は基本200V以上なので、
200Vの電気ケトルも有り、半分の時間でお湯が沸きます。(amazonなどで普通に買えます)
コンビニの電子レンジは200vで2000w〜4000w家庭用の2倍〜4倍速いですが海外ではそれが当たり前。
日本は100Vの為、電子レンジは遅いし掃除機は吸引力低いし、、、100Vがゆえ日本の家電はなんでも速度やパワーが低く性能に直結しています。日本の家電が良いと思っているのは日本人だけみたいな所ありますよね。
しかし、200vの炊飯器出して欲しいなぁ。。。
で、話は少し変わりますが、最後にもう一つ書いておきたいことが有ります。
こういうタコ足配線
電源プラグの先の汚れ
コンセントにホコリが溜まる
これらは、トラッキング火災の要因になる事は持ちろんなのですが、
電気配線には必ず抵抗が存在します。
全ての配線の中には障害物が所々にあり、車で言うとその障害物を乗り越えて進む必要があります。その障害物を乗り越える際に発熱が発生します。
特に100Vの場合は電流が倍通るのでその分のロスや発熱も倍になるので、今回の200Vが電源効率が高いという事につながります。
例えばこちらに電源タップの抵抗値の記載があります
パナソニックのスイッチ付きタップ 型番:WHA25344WP で抵抗値 77.5mΩ
ものすごく専門的な話ですが、
配線の抵抗をR[Ω]、流す電流をI[A]、配線の障害で熱として消費される電力をP[W]とすれば、P = R×I×I [W]となります。この無駄な電力Pのことを電力損失とも呼びます。
例えば消費電力が1kW(1000W)の家電を使う時に、上記電源タップの抵抗値と、電源タップのコンセントの汚れや抵抗。電源タップに接続する家電製品のコンセントの汚れや抵抗。を合わせて約3倍程度あるとした場合、抵抗値が約240mΩになります。
240mΩは0.24Ωであるため消費電力=電源電圧×消費電流とすれば、
AC100Vだと、1000W/100V=10A流れて、電力損失は0.24×10×10=24Wになります。
AC200Vだと、1000W/200V=5A流れて、電力損失は0.24×5×5=6Wとなります。
(ただの電源タップがこれだけの電気を消費しているとはものスゴイ事ですよね。。。)
つまり電力損失は電流Iの2乗に比例するので、機器の消費電力が同じであれば、電源電圧が半分になれば4倍になり、電源電圧が2倍になれば1/4になるのです。上の例では電源電圧を200Vにすれば、100Vの場合と比較して無駄になる電力が1/4になり、18Wも得することになります。
200Vで電源タップを使うことは稀な事と、少しオーバー目には書きましたが、メーカーのカタログ値には表れない、配線の抵抗を見ても200Vがお得な事がわかります。
よって、200Vでも100Vでも特に消費電力が大きい家電の配線側の抵抗を少なくすると、障害物が減り発熱が減り、電気代に直結するという事になりますね。
しかし、スイッチ付きタップは抵抗値が高いため、節電のために導入したスイッチ付きタップが更に電気を消費しているのは皮肉な結果ですね。パナソニックの電源タップでこの損失ですので、ドンキとかに売ってそうな良くわからない中華製の電源タップなら銅線の純度も更に低いと思われるので抵抗値は更に大きいと思われます。
(ちなみに壁内のVVFケーブルの抵抗値はこの100分の1以上なので、気にする必要はないレベルです。)
今回一番言いたかったのは、200Vの機器をおススメする以外に、
電気プラグの先を掃除定期的に掃除し、抵抗を少なくしてあげる。電気代を安くする。
電源タップや分岐は極力使わず、直接コンセントに刺す。電気代を安くする。
電源タップではなく、必用な箇所にコンセントを直接引っ張っておく。(ロスが減る)電気代を安くする。
あと、よくありがちなワットチェッカーをまさかのエアコンなどの高アンペア家電に付けたり(他に測る方法は色々ありますので)電子レンジやトースター、炊飯器等のキッチン家電のコンセントの先にローリングタップなどを付けるのは年間を通じると電気代の相当なロスなので絶対に止めてくださいね!
という事で、新築時のコンセント計画がより重要となりますね