戦艦シュペー号の最後(1956・英) | まなぶんの戦争映画辞典

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これまでに見た戦争映画について、戦車などの軍用車輌、ヒロインの写真で紹介していきます。また、ナチス役などの個性的な俳優についても紹介します。BD、DVD、VHSで保有している全ての戦争映画を掲載するのが目標。コメントお待ちしています!

戦艦シュペー号の最後(THE BATTLE OF THE RIVER PLATE)

 

監督・脚本 マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
出演 ピーター・フィンチ、アンソニー・クエイル、ジョン・グレッグソン、イアン・ハンター、ジャック・グイリム、バーナード・リー、アンソニー・ブシェル、ピーター・イリング、マイケル・グッドリーフ、パトリック・マクニー、クリストファー・リー

ドイツ軍のポケット戦艦「アドミラル・グラーフ・シュペー号」は、ポーランド侵攻後の英仏のドイツへの宣戦布告前から南大西洋上におり、連合国側の商船を撃沈すべく待ち構えていた。1939年11月、シュペー号はポルトガル領東アフリカ沖で英貨物船アフリカ・シェル号を撃沈。ダヴ船長(バーナード・リー)を捕虜にしたが、シュペー号のラングスドルフ艦長(フィンチ)は武人として捕虜達を礼節をもって遇した。シュペー号は洋上で補給船アルトマルク号と出会った際、同艦に収容されていた捕虜を乗せ、さらに英商船を相次いで撃沈する度に捕虜の数も50名を越えた。そうした中、英国の巡洋艦隊「G部隊」を率いるハーウッド提督(クェイル)は、シュペー号を補足すべく作戦を練るのだが・・・・
冒頭、各艦を演じた船が紹介されます。最初からワクワクが止まりませんね!!
アドミラル・グラーフ・シュペーを演じたのはUSSセーラム。米海軍のデモイン級重巡洋艦の2番艦です。あんまり似てないかも。セーラムは17,000トンでシュペーが満載で16,000トンだから選ばれたのかな。
ハーウッド提督率いるイギリス海軍G部隊の3隻。先頭からエイジャックス、アキリーズ、エクセターです。
エイジャックスを演じたのはHMSシェフィールド。ビスマルク追撃戦に加わるなど、欧州戦域で活躍しました。本物のエイジャックスは第二次大戦を生き延びましたが、1949年に退役、解体されました。
アキリーズを演じたのはインド海軍のデリー。インドに供与される前はアキリーズでしたので本物です。太平洋戦域で活躍しています。
エクセターを演じたのはHMSジャマイカ。当時は大西洋海域でドイツ海軍と対峙していました。本物のエクセターは1942年3月のスラバヤ沖海戦の後、日本軍によって撃沈されています。
カンバーランドを演じたのは本物のカンバーランドです。この艦も主に太平洋海域で活躍しました。
左がG部隊司令官のハーウッド提督(クエイル)。戦争映画ではお馴染みですね。出演作は「アラビアのロレンス」「ナバロンの要塞」「クロスボー作戦」「鷲は舞い降りた」など。
こちらはエクセター艦長のベル提督(グレッグソン)。彼も戦争映画の脇役ではおなじみですね。「史上最大の作戦」の従軍牧師役が有名。他に「将軍たちの夜」のタンツ将軍の副官サンダウアー大尉役が印象的でした。

右は輸送船アフリカ・シェル号のドーヴ船長(バーナード・リー)。007シリーズの初代「M」役で有名ですね。戦争映画では「鍵」「封鎖作戦」などに出演しています。この作品でも狂言回し的な役どころはさすがです。

端役ですが、捕虜の船長役でナイジェル・ストック(中央)が出ています。「大脱走」の歌う男カヴェンディッシュ役が有名。
ブエノスアイレスの英海軍武官マッコール大尉役のマイケル・グッドリフ。イギリスの戦争映画には多数出ていますね。出演作は「633爆撃隊」「ビスマルク号を撃沈せよ」など。
モンテビデオ港のバーのオーナー役でクリストファー・リー(左)が出ています。ハマーフィルムのドラキュラ役はあまりにも有名ですね。スター・ウォーズのドゥーク伯爵役もよいです。戦争映画への出演は「ザ・パッセージ・ピレネー突破口」くらいか。
ラングスドルフ提督を演じたのはピーター・フィンチ。礼節を重んじる艦長を好演しています。彼も戦争作品ではちょくちょく見かけます。「ネットワーク」でアカデミー主演男優賞にノミネートされましたが、その直後に急性心不全で急逝。アカデミー賞演技部門で史上初の死後の受賞となりました。
また端役ですが、ドイツ海軍将校役でヴィクター・ボーモント(右端)が出ています。いかにも悪役顔で結構好きです。出演作は「荒鷲の要塞」「テレマークの要塞」など。
遠くフォークランド付近にいたカンバーランドがG部隊に合流する感動のシーン。テレビでは「虫の知らせ」ではなく「海軍魂」と訳されていました。「海軍魂」の方が名訳だと思います。
 
(寸評)
なんと言っても軍艦がカッコいいです。特撮ではこういう雰囲気は出せません。ドイツ軍を悪者として描いていないのは「眼下の敵」とかにも通じますね。海軍モノはそういうの多いかも。DVDは画質も素晴らしく未見の方は是非とも観ていただきたい作品です。
(評価)☆☆☆☆(5点満点)  *DVD
(双葉)☆☆☆★★★(4点満点) ※戦争映画も切り口の角度によって意外な面白さを発揮→戦争映画に辛口な双葉先生の高評価も納得です。