アンブロキソールとカルボシステインは一緒に飲んでも大丈夫? | 調剤薬局で働くママ薬剤師のお薬と子育て親育ちブログ

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昭和生まれ2児の母でもある調剤薬局勤務の薬剤師が市販薬や病院の処方薬、薬の飲み合わせなどお薬のこと、大好きなコンビニスィーツや思春期の子育てで感じることなどの日常のアレコレを書いているブログです。

こんにちは。

薬剤師の安美です。

 

現在、不足が続いている風邪薬。

 

痰の薬としてよく使われる

・ムコソルバン(アンブロキソール)

・ムコダイン(カルボシステイン)

 

その違いや一緒に飲んでも大丈夫か、

よく聞かれることがあります。

 

なので、この記事でまとめてみました!

 

 

アンブロキソールとカルボシステインの違い

 

気管支や肺から痰を出しやすくするための薬が去痰薬。

 

どちらとも、去痰薬に分類されます。

 

ただし、その効き方(作用機序)には、違いがあります。

 

 

まず、アンブロキソールは、

気道の粘膜の滑りをよくして痰を出しやすくする働きがあります。

(気道粘液潤滑薬)

 

 

詳しくいうと、

 

・肺サーファクタント(肺表面活性物質)の分泌を増やす

→→→痰と気道粘膜の粘性を低下させる

 

・線毛運動を活性化させる

→→→末梢気道から中枢気道(口側)へ痰を運ぶはたらきが高まる

気道粘膜に痰が絡みにくくする作用があります。

 

 

つまり、アンブロキソールは

(痰の性状を問わず)痰を排出しやすくする薬

 

「痰の量は多くないけれど、

のどにひっかかる感じが嫌だ」

という時に使われます。

 

 

カルボシステインは、

痰そのものを質的に変化させて外に出しやすくすることで
気道の粘膜を正常化する働きがあります。

(気道粘液修復薬)

 

あと、痰の量も抑える効果を持つとされています。

 

 

詳しくいうと、


・ムチン(痰の主成分、ドロドロ)の生成を抑えて分泌量を減らす

・痰の粘り気(シアル酸とフコースの比率を通常の状態に戻す)を減らす

→→→痰の量を抑えて、正常なサラサラの状態にする

・粘膜の炎症を抑え、気道や鼻、耳の線毛細胞を修復する

→→→痰や鼻水を出しやすくする

 

 

つまり、カルボシステインは、

痰の性質を変えて量を減らし、痰を出しやすくする薬

 

 

「痰がたくさん出てつらい」

「痰がドロドロする」

副鼻腔炎や中耳炎などを合併している時によく使われます。

 

 

 

アンブロキソールとカルボシステインは併用可能か?

 
 
 
 
アンブロキソールとカルボシステインは、
似ているけれど、違う働き(作用機序)の去痰剤です。
 
なので、併用することでメリットがあります。
 
痰の性状や量を押さえながら=主にカルボシステインの働き
痰を出しやすくする=主にアンブロキソールの働き
というわけですね。
 
なので、痰のひどく絡む時など、併用されることもあります。

 

 

市販薬にも、アンブロキソールとカルボシステインが一緒に配合されたものがあります。

 

一例が、パブロンSゴールドWです。

 

 

 

「アンブロキソールとカルボシステインで、

気道粘膜バリアをWケアするW処方」だそうです。

 

 

 

まとめると、

 

「去痰薬のムコソルバン(アンブロキソール)とムコダイン(カルボシステイン)を一緒にのんでも大丈夫ですか?」

の質問の答えは、

 

「一緒にのんで問題ありません(併用可能)。
相乗効果が期待できる組み合わせです」

 

ということになります!