http://katsunuma-winery.com

クラス会に久しぶりに出席のため東京に行きましたので、翌日山梨経由で帰ることにして、勝沼醸造を訪問してから甲府で開催された山梨県産ワイン試飲商談会を覗きました。

08:30新宿発特急あずさで10:00塩山着 駅からタクシー10分で勝沼醸造着
有賀弘和常務から、午前中一杯色々な話を伺いました。

同社は、甲州種のワイン造りでは、量的・質的にトップクラスの評価を得ていますが、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロの自社畑を案内されて、これらの品種でも収量制限などぶどう糖度を上げるなどの耐えざる努力をされているのを感じました。

甲州種ワインでは、先ずは良いぶどう仕入れのために契約栽培者との関係強化に大変気を使われているのを感じました。驚いたのは、契約栽培者の地区別や農家別のキュヴェごとにワインを仕込んで非売品ですがラベルも作って瓶詰めしていました。8種類を試飲させてもらいましたがそれぞれ微妙に味わいが違っていました。テロワールの考えが持ち込まれています。これらを契約栽培者の人達と一緒に飲み比べることによって各栽培者の意識向上や競争意欲も期待しているようです。

この考えから単一畑ワインとして、契約栽培者の一人の伊勢原にある畑(深い砂利土壌)から「アルガブランカ・イセハラ」という甲州種ワインが造られています。試飲しますと、やや辛口になりますが香りが華やか、酸味が柔らかで、かつ凝縮感もありブラインドでしたらシャルドネかと思わせるフィネスを感じました。

途中出席された雄二社長の話から、国産ぶどう100%で価格的に輸入ワイン、輸入ぶどう使用国産ワインなどと対抗できるワイン造りの難しさを認識しました。このような状況下でも国産ぶどう100%のワイン造りに注力されている情熱に感銘を受けました。

写真は、勝沼醸造本社の裏手にある番匠田自家畑、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの垣根式畑、遠景は南アルプス



http://www.smith-haut-lafitte.com/indexUS.html (綺麗な写真が豊富です)

オーナー夫人から案内を命じられたPascal Barbier氏は大変親切にワイナリーを案内してくれました。

畑:72ha中55ha。41haが黒ぶどう、11haが白ぶどう。

土壌:砂利が多いため、根が深く入り土中のミネラル分を充分に吸収することと、石が熱を反射してぶどうを良く熟させる。

ぶどう品種:赤ワイン;カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロ35%、カベルネ・フラン10%
      白ワイン;90%ソーヴィニヨン・ブラン、5%セミヨン、5%ソーヴィニヨン・グリ
      割合は年によって変わる。

平均樹齢:30年
100%手摘み。

醗酵:白ワイン;ステンレスタンク
   赤ワイン:木桶

熟成:白ワイン;50%新樽、12ヶ月
   赤ワイン:80%新樽、18~20ヶ月
        地下の熟成室の片隅にプラスティックカーテンに仕切られて20℃に保たれたマロラクティック醗酵を行わせる部屋がありました。

清澄剤及びフィルター不使用

樽を自社製作:厳選され、2年半乾燥された材木を使用し、一人の職人が1日2~3樽、1年400樽を製作。

畑、醸造所とも大変良く管理・整頓されていて、このような所で素晴らしいワインが製造されるのだと思いました。

1990年Cathiard夫妻がこのシャトーを買い取って以来、確実に設備と作業基準の改善を続けているので、将来ともワインの質の向上が大いに期待できます。

写真は、まさにGraves地区の名前にふさわしい砂利土壌



ホテルで一休みした後、17:30に招待してくれているオーナー夫人Mrs. Florence Cathiardとのテイスティングのために自宅を訪問しました。ホテルから迎えの車で、ワイナリーを通り過ぎ100mくらいの所にある大きな鉄門の入り口をくぐり邸宅に着きました。邸宅というよりお城みたいな感じでした。

夫人は大変気さくな人で、居間に案内されてひとしきり挨拶の後、白と赤のどちらのワインを飲みたいか聞かれ、白をあまり飲んだことが無いので白を所望し、庭でSmith Haut Lafitteの大変良いできといわれる2004年物をテイスティングというよりお話しながら飲みました。オーナーのDanielも後から加わり歓談しましたが、その間、ロシアから重要な客が来ていて夕食を一緒にするらしく頻繁に夫人に督促の携帯電話がかかってきていました。ロシアの客人を待たせてお相手してくれていて感激でした。

1時間後、夫人は夕食パーティ用に着替えて、私たちをワイナリーまで送ってくれて、案内人に引き継ぎ別れました。

オーナー夫妻とは日本でそれぞれ一度会っていますが、その前に私がある会社に居た時のスキー関連設備技術提携先の社長がオーナーと従兄弟同士の関係で、彼から紹介され知り合いになっていたものです。Daniel Cathiardは、1960年代ジャン-クロード・キリーと共にオリンピック出場のスキー選手でした。夫人もスキー選手でした。訪ねると約束してから5年ぶりにやっと実現できました。

写真は、オーナー夫人 自宅の居間にて、普段着なのを気にされていました



第9日目
10:26 Carcassonne駅 Corailにて出発
13:50 Bordeaux Saint Jean駅着
駅でレンタカーを借り出しCh. Smith Haut LafitteのあるBordeaux-Martillacへ
Les Sources de Caudalie (上記シャトー経営のホテル) 2泊

【車窓より】
やっと3日振りの移動です。CorailはTGVほどではないけれど、1等車もあるし座席指定もでき、座席はTGV並みに立派。しかし今まで乗ったどの電車も窓の外側を掃除した形跡がなく汚い。写真を撮る時に問題です。

ミディ運河に続くガロンヌ運河がしばしば線路に平行して左側に流れているのを見て、やはりCarcassonneで寒くても運河クルーズしておけば良かったと後悔しました。

ボルドー駅舎は、昔の栄華を偲ばせる豪華な造りでした。

レンタカーで駅からトゥールーズ方面の高速道路A62に乗り、直ぐ出口1番で出て田舎道を5分ほど走ってぶどう畑の中のホテルに着きました。駅出発からゆっくり走って約30分で到着です。ホテルから一面のぶどう畑越しにCh. Smith Haut Lafitteのワイナリーの印象的な建物が見えました。

ボルドーの駅でレンタカーを借りる手続きに時間がかかりました。応対者が一人しか居ない上に、借りる人も後ろで待っている人をまったく気に掛けず話しているので、一人済ますのに10~20分とかかります。借りるのに時間の余裕が必要です。

高速道路は最高制限速度130km/hですが、殆どの車は100km/h位で走っていました。車線幅が広いのでスピード感はありませんでした。

昔の話で恐縮ですが、1960年頃のドイツのアウトバーンは速度無制限でしたので、1500ccのタウヌスで150km/h、ベンツ2200cc(ベンツ乗用車は当時3000ccが最大で、2200ccが2番目に大きい車でした。)で180km/hでアクセルを一杯に踏み込んだまま数時間連続運転していたのを思い出しました。若かったです。当時のカブトムシと言われたフォルクスワーゲン(1200cc空冷エンジン)でも、数時間110km/hで走ってもびくともしませんでした。日本の自動車が欧州向け輸出を狙ってアウトバーンで試運転をしてエンジンが焼きつくトラブル続きだった時代です。

写真は、車窓からガロンヌ運河



少し古い話で恐縮ですが、11月12日付け雑記「フランス旅行(4)Banyuls、La Cave l’Abbé Rous訪問」の[試飲]の中で、「樽を回転させながら滓と触れさせたBanyuls Hélyos」と書きました。
「樽を回転させて滓と触れさせる」とは一種のBatonageバトナージュのことですが、OXO(オクソ)システムというのをワイナリーで見たのでご紹介します。ボルドーで開発されたとのことです。
写真で分かると思いますが、積み上げた樽の一つ一つが手で軽く廻せるように、各樽の下にローラの付いた鉄枠が置かれていました。樽の栓をあけて滓をかき回すより簡単ですと言われました。
11月1日付け「講師の雑記、ラングドック・ルーシオンワイン」で、AOC Languedocが近々できると書きましたが、このたびランス食品振興会SOPEXAのニュース速報によると、11月10日の全国委員会により、ラングドックのAOCに関し以下の2点が認められたとのことです。

1. AOC Coteaux du Languedocコトー・デュ・ラングドックがAOC Languedocラングドックへ。
AOC Languedocは、現在のAOC Coteaux du Languedocの規定をベースとして、ラングドック・ルーシヨン地方全体に拡大され、この地方の大規模な地域名アペラシオンとなります。

2. AOC Malepèreマルペール。
ラングドック地方のAOVDQS Côtes de la Malepèreコート・ド・ラ・マルーペールがAOCへ昇格したものです。カルカッソンヌの南西側、Cabardès(北)とLimoux(南)に挟まれた地域、Audeオード県の36コミューンで、大西洋と地中海の両方の影響を受ける地域。赤とロゼで、赤ワイン用にはメルロ、カベルネ・フラン、コット。ロゼ用には、カベルネ・フラン、サンソー、グルナッシュ。

カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーが何故入っていないのかが私の疑問です。



昼食後、Limouxを北上して、Cabardès地区でも一番北側のAragonにある3軒目のワイナリーを訪問しました。

【Domaine de Cabrol】
標高300m の所にある120haの広い土地に20haの畑。収穫中でした。
シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュを栽培していました。畑は、写真のとおり、大きな石がごろごろしていて、Châteauneuf de Papeの畑を思い出しました。重いのに石を拾って帰りました。

試飲ワインは、
1. Vent d’Ouest 2000;カベルネ・ソーヴィニヨン60%、グルナッシュ20%、シラー20%、10ユーロ

2. Vent d’Est 2003;シラー60%、グルナッシュ20%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、13ユーロ

3. La Dérive 2001;カベルネ・ソーヴィニヨン55%、シラー35%、カベルネ・フラン10%、18ユーロ

すべてのワインに共通する、良く言えば、力強い濃厚な(13.5%Alc)ワインといえますが、私には、粗い味わいで、あまり洗練されていない地元で飲まれるようなワインでした。更に瓶熟させれば良くなるのかも知れませんが。

1軒目のワイナリー訪問の章で書きましたが、この地方が西風、東風に特徴があるので、ワインの名前もそのように付けられていたのが印象的でした。

ラングドック・ルーシオンと言えば暑い所という印象ですが、上等のぶどうは、標高の高い所に植えられているということが良く理解できました。



3軒目のワイナリー訪問の前にLimouxの町で昼食をしました。

店の名前はRestaurant l'Eglantineという普通の地元の食堂ですが、主人のMr. Alain Cavaillèsが同じ名前のワイナリーも持っていてBlanquettes de Limouxブランケット・ド・リムー、Crémant de Limouxクレマン・ド・リムー、Vins de Pays d'Ocを造っています。

2軒目に訪問したワイナリーのオーナーの紹介で訪れた店です。そのせいでしょうか。ガイドと一緒に3人でテーブルに座ったとたん、Blanquettes de Limouxのボトル1本をサービスしてくれました。

Carcassonneのホテルでアペリティフとして飲んだCrémant de Limouxの少し硬い、良く言えば洗練された味わい(ChardonnayとChenin主体)に比べて、Blanquettes de Limouxの方(Mauzac主体)は、柔らかな穏やかな口当たりで、ここの地元の感じと素朴な料理にぴったり合って、より親しみが持てました。Limouxの地元ではCrémantとBlanquettesのどちらを多く飲むのか聞いてみましたら、当然のようにBlanquettesの方だという答えでした。

食事が終わったあと、Blanquette Méthod Ancestraleブランケット・メトド・アンセストラルのことを主人に聞きましたら、瓶を見せてくれて一杯飲ませてくれました。半甘口、弱い泡、アルコール7%でサイダーのような味わいでした。

Limouxの4つのAOCの生産量:
AOC Blanquette de Limoux 50,000 hl
AOC Crémant de Limoux 30,000 hl
AOC Blanquette Méthode Ancestrale 4,000 hl
AOC Limoux 白5,000 hl、 赤 2,800 hl
ということは、やはりBlanquette de Limouxが主流なのですね。

<Limouxの4つのAOCについては、ソムリエ協会の教本2006年度版165頁を参照してください。>

写真は、Blanquette Méthod Ancestraleのラベル



(10月1日から16日までフランスで10軒のワイナリーを訪問してきました。差し当たり簡単な訪問記を連載します。いずれ纏めたものを別途掲載する予定です。)

第1日目
16:40 Paris Charles de Gaul空港着。Gare de Lyon駅隣のNovotel Paris Gare de Lyonに宿泊
第2日目
10:00 Paris Gare de Lyon駅TGVにて出発。
11:55 Lyon Part Dieu駅到着
駅レンタカーを借り出し, 北に向かい、高速A6を使い約1時間でFleurieのHotel des Grands Vinsに到着。チェックイン後、ワイン博物館訪問。

【ワイン博物館】
Fleurie村から車で5分のRomaneche-Thorins駅のすぐ近くにあります。
見物場所は3つの場所に分かれます。

(1) Le Hameau en Beaujolais ボージョレの村 (駅の真前)ー右上の写真は入り口ー

(2) Le Jardin ボージョレの庭 (駅から車で1分、駅から30分ごとに遊園地にあるような小さなトレーンが往復しています)

(3) La Gare ラ・ガール (駅の隣)

(1)は、ワインの古代エジプトから現代まで歴史に関する展示、ぶどう栽培からワイン醸造までの展示、小シアターなどがありかなり充実しています。真面目に見ていくと2時間以上かかりそうです。展示模型でボージョレの村々の位置関係がよく理解できました。最後にワインのテイスティング・ホールでGeorges Duboeufのワインの無料試飲と、その隣のエノチカでGeorges Duboeufのワインやワイングッズ、お土産が買えます。

(2)は、Georges Duboeufジョルジュ・デュブッフのワイン醸造センターで、見学コースに沿って醸造室を見学できます。見学途中、クリュー・ボージョレの村々を360度展望できるテラスからの景色が素晴らしいものでした。南のボージョレAOCが平坦な畑であるのに対して、クリュ・ボージョレ地区に入ると丘が連なり景色が変わってきます。丘の村があるところに点々と見える教会の屋根が印象的でした。時間があれば広大な庭を散策できます。

(3)は、古い駅舎を展示場にしたもので、ワインとは関係なく、鉄道博物館のようなものでした。
ワイン愛好家は、特に鉄道マニアでなければ(1)と(2)だけを見て楽しめます。入場料は16ユーロでした。

更に詳細はhttp://www.hameauduvin.com をご覧下さい。

LyonからRomaneche-Thorinまで電車で日帰り(片道1時間以内)ができますので、Lyonで一日時間があるワイン愛好家はボージョレの景色鑑賞かたがた訪ねてみる価値はあると思います。列車本数が少ないことと、ボージョレ方面発着駅がLyon Part Dieu駅、Lyon Perrache駅、Lyon Vaise駅の三つあることに注意してください。




Cabardèsから南下し、Carcassonneを右に見て通り越してから25kmで、Limouxリムーに入り2軒目のワイナリー訪問です。

【Château Rives-Blanques訪問】 http://www.rives-blanques.com/index.htm

オーナーのJan & Caryl Panman夫妻が暖かく迎えてくれ、早速試飲し、その後畑を見に連れて行ってくれました。

1. 3年前にAOC Limouxに赤ワインも認められたが、このシャトーでは白ワインのみ造り続けている。
シャトーの名前Rives-Blamquesとは、ピレネー山脈の一つの山の名前。

2. AOC Limouxの規定で、白ワインは、樽醗酵と樽熟成が義務付けられているフランスで唯一のAOCである。

3. 22haの畑は、350mの標高の台地上にあり、この高さと、粘土と砂に氷河時代にピレネーから運ばれた丸い石が混ざった土壌、太平洋側と地中海側の合わさった気候がシャルドネ、モーザック、シュナン・ブランの良い特徴を作りだしている。フランスで一番早い時期に減農薬農産物の認証を取った。

4. 6年前に生産を開始し、アイルランド、英国、オランダ、ベルギーに輸出している。オーナーはオランダ系、夫人はアイルランド系のようでご夫妻とも英語がとても堪能でした。

5. 試飲したワイン

(1) Cuvée Occitania:モーザック種100%で造っているフランスで唯一のワイン。Occitanとは昔のラングドックの言葉;オック語という意味で、ラベルに”Nostra terra mentis pas”(我々の土地はウソをつかない)と書かれていて、生産者の哲学を述べています。

(2) Dédicace Chenin Blanc: AOCでシュナン・ブランだけを使った南フランスで唯一のワイン。

(3) Cuvèe de l’Odesse: シャルドネ100%

(4) Blanquette de Limoux: モーザック90%、シャルドネ+シュナン・ブラン10%。18ヶ月熟成。
  この土地の他の所でも聞かされましたが、「ドン・ペリニヨンより150年も前の1531年に造られたと記録のある世界最初のスパークリングワイン」と謳っています。

この生産者は白ワイン生産だけに固執していて、ぶどう品種の違いで微妙に味わいが変わり、すべて洗練されたエレガントなものでした。どれが一番好きかと言われ迷いましたが、モーザック種の独特な酸味と土地の味を感じてCuvée Occitaniaを挙げました。どれも和食に抵抗無く合わせられます。

写真は、高度350mの畑の標高が分かる景色。遠景はピレネー山脈。