11月24日心斎橋「リストランテ・ピエトラサンタ」にて11人の参加で開催しました。

今回はイタリアワインのお勉強ですので、下記ワインを揃え、最後に皆さんの好みを聞いてみました。この好みはその時の直感的なものであって、別の機会には料理や雰囲気で好みが変わるものですので、単なる参考にしてください。

全部または複数のワインが好きだが、一つだけ選べと言われてやむを得ず一つを選んだと言われた方が多数いらっしゃいました。

白ワイン:
① Soave Classico 2205, Pieropan
② Greco di Tufo 2005, Feuidi di San Gregorio

赤ワイン:
③ Barbera d’Arba LaTota 2004, Marchesi Alfieri
④ Chianti Classico Brolio 2003, Barone Ricasoli
⑤ Cerasuolo di Vittoria 2003, Valle dell’Acate
⑥ Taurasi Riserva 2000, Perillo

白の好み:①9人、②2人。
赤の好み:③1人、④6人、⑤1人、⑥3人

提供ワインについては、色々な地方の特徴を出していて、できるだけ味わいにも満足できるようなものを、予算も考えながら選択しました。お陰様でどれもバランスのいい出来のものでした。欲を言えば、グラスを各種揃えて、グラスによる味わいの変化も実感してもらいたかったのですが、これは中級講座で実現することにします。

白ワインの3本目として、おまけで白ワインをブラインドで出しました。お遊びで価格を聞きましたら殆どの人が正解に近い数字を解答しました。ワインは勝沼の甲州シュル・リーでした。皆さん値段面はしっかりされていました。



【Domaine Escourrou訪問】
09:30ホテルを出発、10km北の、Cabardès-Ventenac村のワイナリーを先ず訪問しました。

オーナーのMr. Arnaud Escourrouから色々うかがいました。

1. AOC Cabardèsは1999年に認定され、赤ワインとロゼワインを産する。この土地は大西洋気候と地中海性気候を併せ持つ所で、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどのアキテーヌ地方品種と、シラー、グルナッシュなどの地中海側品種が平等に認められているフランスで唯一のAOCである。(Cabardésの直ぐ南にあるAOC Limouxの赤ワインは両者平等でない。)

{AOC規定では、下記のようになっています。
大西洋側品種;カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ・・・ブレンドで最低40%。
地中海側品種;シラー、グルナッシュ・・・ブレンドで最低40%。
大陸内品種;コット、フェル・セルヴァドゥ・・・最高20%。}

2. この地方では、西風(Cers、大西洋からの柔らかな涼しい風)と東風(Marin、地中海からの暑い風)の微妙なバランスと石灰土壌でぶどうが良く育つ。ウドンコ病は出るが、ベト病は少ない。
西風Cersの発音は、当地ではセルスと最後の[s]を発音する由。そういえば、先日、日本でフランス南西地区ワイン生産者の試飲会に行ったとき、品種Tannatタナが、南西地方ではタナトと最後の[t]を発音すると聞きました。これがオック語の発音かなと思っています。

3. この生産者は、7 haの畑で、年間40,000本、2種類のAOC Cabardésを生産しています。

(1) Domaine Escourrou(現地価格6ユーロ):トラディショナルなワイン。メルロ40%、シラー40%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%、グルナッシュ5%。

(2) La Regalona(17ユーロ):トップワインに位置づけている。カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー半々。年によりメルロやグルナッシュを混ぜる。2004年物は20ヶ月樽熟で15%アルコール、2005年物は15ヶ月樽熟で14.5%アルコールもありました。

(2)の方が、濃縮感があるが、(1)でも複雑性があってバランスが良く、両方ともフレッシュ感とリッチさが混じった味わいは、品種の故でしょうか。生産者の真面目さが感じられる調和の取れたワインでした。

小さいながらも、しっかりした栽培と醸造の考えを持っていて、協同組合のワイン造り(収穫率の多さなど)のやり方に批判的でした。日本の輸入元を探しているそうです。

写真は、南のピレネー山脈を望む台地の上にある同社の畑。後ろ側の北は、Montagne Noir黒い森に続く。(南独にもSchwarzwaldと言う黒い森がありますが、まったく景色が違いました。)



第8日目
宿泊したホテルの観光プログラムの一つに、「ワイン発見終日ツアー」というのがありました。9時から17時まで3つのAOCワイン生産者を訪問する昼食付きブライベートツアーです。英語を話し愛想の良い女性ガイドが我々2人だけを自動車で案内してくれる一寸贅沢なものでした。

初めにCabardèsカバルデスの生産者とLimouxリムーの生産者を訪問、Limouxの町で昼食後、再びCabardèsに戻って3軒目の生産者を訪ねました。
ガイドの女性は宿泊したホテルのレセプションで働いていると言っていましたが、翌日チェックアウトの時彼女がカウンターにいました。

【宿泊したHotel de la Citéについて】www.hoteldelacite.com/
オリエンタル・エクスプレス・グループのこのホテルはミシェランガイドの説明の通り、環境、応対、部屋、設備、レストラン(ミシェラン一つ星)など一流でした。15世紀が再現されたような雰囲気(といってもバスルームなどは高級モダーンな設備)でした。

この機会にカタリ派の勉強をしましたが、付近のカタリ派のPeyrepertuseペイルペルテューズのようなお城に興味をそそられます。Albiアルビ、Lurdesルールドなどの歴史のある町も面白そうだし、いつかまたこの地方を訪れる機会があればワイナリー巡りをやめても行きたいなと思ったりしますが、ワイナリー訪問割愛なんて無理でしょう。

写真は、Hotel de la Citéの正面入り口



Toulouseトゥールーズでガロンヌ川から分岐して地中海のBassin de Thauトー湖まで全長270kmの運河。17世紀に完成されたもので、世界遺産の一つです。19世紀に鉄道に取って代わられるまで大西洋側アキテーヌと地中海を結ぶ物資の大量輸送ルートでした。ワインの輸送にもかなり役立ったのでしょうか。

Carcassonneの駅の直ぐ前の運河からクルーズが出ていましたが、その日第7日目は晴れていたのに風が強く肌寒かったので残念ながらクルーズを諦め、運河の閘門(こうもん)に船が出入りするのを見物するだけにしました。船が通れるまで閘門に水を溜めたり、抜いたりするのに1時間はかかりそうです。

写真は、Carcassonne駅前のミディ運河の閘門



殆どのレストランがラングドック地方の郷土料理、Cassouletをメニューに載せていました。私も、ホテルが推薦してくれたCité内のレストランで昼食に注文しました。

メニューには、Cassoulet de Carcassonneとありました。白インゲンと鴨肉、豚のコンフィ、腸詰を煮込んだかなり重い料理でした。味は良いのですが、食べ進むうちに重くてもたれてきました。注文した赤ワインをグラス半分ほど飲んだ時点でブショネと確信し店の主人に試飲してもらったら、彼も直ぐに納得、それより上等のワインと取り替えてくれました。AOC Cabardèsカバルデスの赤でした。

ソムリエ協会の呼称資格試験にはこのCassoulet料理に地方性の上でも味わいの上でも相性の良いワインはどれかという問題が出ますね。協会の教本では、Corbières Rougeコルビエール・ルージュ、Minervois Rougeミネルヴォア・ルージュとなっています。CabardèsはMinervoisの西側に接し、Carcassonneのすぐ北側にある赤ワインとロゼワインのAOCですので、もしCabardès Rougeが選択肢にあれば○です。

写真は、Cassoulet料理です。



第6日目
10:53 Collioure駅発 普通列車(指定席も1等車も無い)にて出発
12:43 Carcassonne駅着
駅よりタクシーにてCité内ホテルへ。
Hotel de la Cité泊(3泊)

第7日目
Cité内のChâteau Comtalコンタル城を見学してから、下町に出てぶらぶら歩きで一日が過ぎました。

第2日目Lyonに着いてからこの日まで日本人にはまったく出会いませんでしたが、第7日目にして始めてCitéで日本人の団体に会いました。

【Cite内宿泊、観光】
異端宗派カタリ派の悲劇の物語のある中世城郭都市Carcassonneの城郭内をCitéといい世界遺産の一つです。駅のある下町の中心街から徒歩で15分くらいの高台にあります。

このCitéの城郭内にある数少ないホテルの一つに泊まりたくて、6ヶ月前にホテル・ド・ラ・シテを予約。2泊分の宿泊代で3泊できる割引料金で泊まりました。しかも、予約していたクラシック・デラックス・ルームからスイートルームにグレードアップしてくれて快適な優雅な滞在でした。第6日・7日目は観光、第8日目は3軒のワイナリーをガイド付きでプライべート訪問しました。

Cité内は全長約3kmの小さな区画ですが二重の城壁と52の塔があり、中世風の家並や城を鑑賞しながら城郭内を散策し、特に、城外からくる観光客が引き上げた後の静かな夜の散策は、将に中世に返った騎士の気分でした。

Carcassonneの下町から眺める城郭の勇壮な風景、特に夜のイルミネーションに照らされた城壁の写真は観光や歴史書にしばしば掲載されていますのでご覧になった方が多いと思います。城郭から下町に向かう途中にあるPont Vieuxポン・ヴューの橋の上から眺める城郭(昼間の景色と、イルミネーションに照らし出されたロマンチックな夜の景色の両方を鑑賞しました)、下を流れるAudoオード川、遠くに見えるピレネー山脈の景色などに感激し、下町の駅の近くを流れるMidiミディ運河の水門に興味を持ち、下町の青空市場も見物し、一日半が瞬く間に過ぎてしましました。

写真は、コンタル城からの景色です。



フードライナー主催の試飲会に行ってきました。Ricasoli社は1141年以来の旧家で、特にイタリア王国統一(1861年)後、首相となったベッティーノ・リカーゾリ男爵が1872年にキアンティワインの品種の配合について提唱したことで有名なので、今回32代目当主Barone Francesco Ricasoli フランチェスコ・リカーゾリ男爵に会えるが楽しみでした。

試飲は、同社のChianti Classico各種、Vinsanto、Grappaまで9種類で、特にChianti Classico類(Brolio Chianti Classico、Castello di Brolio Chianti Classico、Rocca Guicciarda Chianti Clasico Riserva
などクリアーな色が良く出ていて大変バランスが良いのが印象的でした。また、Campo Ceni Toscana IGTはコストパーフォーマンスが良いワインでした。

同氏の説明の中で参考になったものを下記します。

1. サンジョヴェーゼは気候によって成熟が変わりやすい。果皮が薄いので実が詰まっていないものを選ぶ必要がある。収獲時の降雨で実が水分で膨れやすいなど、栽培する人によって差が大きい。
Ricasoliのサンジョヴェーゼ使用のワインは、濃い色、クリーンな香り、タンニンの柔らかなデリケートな抽出で酸とバランスが取れるような近代的な醸造をしている。

2. ワイン造りの一番大事なコンセプトは、食事と一緒で真価が出るもの、飲みやすいものを目指している。

説明の後、Ricasoli氏に個人質問しました。男爵で偉い人なのに、大変気さくに流暢な英語で丁寧に解答してくれました。

1. 先ず同氏の名前の発音について:Ricasoliは、「リカゾーリ」と表記されている記述が多くあります。主催のフードライナー社では「リカーゾリ」と表記しています。そこで本人に直接発音をきいてみました。「リカーゾリ」が正しいそうです。単語のイタリア式発音では「リカゾーリ」と言っても良さそうなのにというと、知らないイタリア人は「リカゾーリ」と発音するそうです。

2. サンジョヴェーゼ・グロッソについて:色々な本の説明で、「サンジョヴェーゼ・ピッコロとサンジョヴェーゼ・グロッソがあり、グロッソは粒が大きい」とありますが、づっとこの説明を疑問に思っていたので、本当の所はどうか聞いてみました。「現在サンジョヴェーゼのクローンは数百種類もあり、接木の台木でもクローンが変わる。リカーゾリ社でも数十種類のクローンをブレンドして使用している。上記のグロッソ、ピッコロの説明は誤りである。何故グロッソの名前が付いたか不明だが粒が大きいわけではない。」と解答されました。グロッソもプルニョーロ・ジェンチーレもクローンの一種なので、数百種類のクローンがある現在、このクローンだけを取り出して話すのは現状に合わないように感じました。

3. RicasoliでOcchio di Perniceオッキオ・ディ・ペルニーチェを造っていない特別な理由があるか聞きましたが、特にない。単に生産していないだけだそうです。

製造している一連のワインは全部クラッシックな感じで、スーパータスカンのように構えたり、高値でことさら高級感をだしたりという感じが無く大変ナチュラルな味わいで、親しみを感じました。長年の伝統の故か、どっしり腰を落ち着けてワイン造りに携わっている姿勢が認められました。

写真は、気さくな感じのRicasoli男爵



Abbé Rous社が紹介してくれたレストランで昼食。海岸の中心街から車で5分くらいの海が一望できる高台にあり、裕福そうな地元客が多く当地の一流の店La Littorineです。

スペイン国境から15km、一時スペイン領でもあった関係でしょうか、料理もパエリャに非常に良く似ていて、小エビ、貝柱、黒ブータン(豚の血と脂のソーセージ)入りRisottoリゾットを注文しました。給仕する女性もスペイン風でした。

合わせたワインは、AOC Collioure blanc 2005で、Abbe RousのCornetという前日飲んだPeintresより一つ上のクラスでした。Peintresよりも複雑な香りとまるみのある味わいでした。13.5%Vol.Alc.、グルナシュ・グリ90%、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴェルマンティーノ10%。



Banyuls sur Mer駅の山側は直ぐにぶどう畑が広がっていました。人口は4500人Collioureよりも少し大きく、中心街は海岸通り付近で、綺麗な砂浜が続いています。

当日10月5日は暖かい快晴でしたが、店は殆ど閉まっていて旅行シーズンが終わった感じで、Banyulsよりは観光客がぐっと少なくなっていました。彫刻家Maillolマイヨールの生誕地で時間があれば散策したかった町です。



[3] 試飲
同社はスティルワインのAOC Collioureも造っていて試飲させてくれましたが、本稿では割愛します。

(1) AOC Banyuls:16~17% Alc.Vol.
a)樽を充満して熟成させた(酸化を抑えた)Banyuls Rimage 2003、
b)樽を回転させながら滓と触れさせたBanyuls Hélyos 2002、
  a)、b)ともグルナッシュ・ノワール100%使用。
c) グルナッシュ・ブラン70%とグルナッシュ・グリ30% をブレンドしたBanyuls Blanc 2004。

(3) AOC Banyuls Grand Cru:18% Alc.Vol.
a) 甘口のBanyuls Grand Cru, Cuvee Reynal 1995、
b) 辛口のBanyuls Grand Cru, Cuvee Nadal 1995、
いずれも厳選された畑の古樹、グルナッシュ・ノワール100%から樽で長期酸化熟成(樽上面に空間を残す)したもの。

(4) Vin de Pays de la Côte Vermeille, Matifac Rancio sec:14.5% Alc.Vol.
Banyuls Rancioの試飲を希望したら、無いといい、このワインを出してくれました。グルナッシュ80%、カリニャン20%、残糖2.50 g/lの辛口で、屋外にさらした樽で過剰酸化したものです。

AOC Banyuls、Banyuls Grand Cru には上記のように、甘口だけでなく、辛口や白もあり、それぞれ特徴を持っています。全体に上品な香りとやわらかな甘味が印象的でした。日本では、「VDNは冷やして食前酒に、常温で食後酒に合う」と理解していましたが、ここで食中酒としても合うものがあるのが新発見でした。特にBanyuls Rimage は、甘めソースの料理(酢豚などの中華料理、たれをつけた焼き鳥など)、Banyuls Grand Cru Cuvee Nadalは、ソースを付けたマリネーした肉、海老などです。現地では、料理と共にBanyulsを飲むのは普通のことだそうです。やはり甘いデザートや青かびチーズなどには抜群に合う感じです、Nadalは食後のシガーに合うと説明されました。
特に、Vin de PaysのMatifocは明らかにシェリー様のランシオの香りで、この土地の名産物塩漬けアンチョビー、貝類のマリネー、若鶏のシチューなどに合うとの説明でした。

[4] Banyulsの甘辛度
上記Nadalが辛口タイプといわれていますが、残糖は57.50 g/l。他のは、100~120 g/lでした。

[5] Rancio:
輸出ディレクターの話では、ランシオは65リットル樽で室内では4年、屋外では2年以上の酸化を行うが、室内に置いたものの方が味わいは柔らかく高級であるという。
訪問後、コリウールの町中の3軒のワイン屋でランシオを探しましたが、AOC Banyuls もAOC Banyuls Grand Cruもランシオなるものは無いと言って売っていませんでした。ランシオならVin de Paysのものならあると言って上記のVdP Matifocも瓶を見せてくれました。
その後フランス出発直前にパリで会った同社輸出ディレクターの話では、ランシオはAOCにならないで、Vin de Paysになってしまうとのこと。こんなことならVin de Paysのランシオを買っておくべきでした。
ソムリエ協会教本ではAOC BanyulsもGrand CruでもRancioがリストに載っているし、今、混乱している所です。どうも屋外で熟成させたものを特にランシオと言っているような気がしました。もっと調べます。