ゴルフ直線打法 -9ページ目

奇妙な経験の持つ重大な意味

「自分の動きでも分からない」(08-11-19)では、ダウンの場合右脚の大きな筋群を使って右脚を強力に内側にねじって脚を地面に固定しながら踏ん張り、対応する左脚は強力に内側にねじって脚を地面に固定しながら踏ん張る必要があり、この場合左膝は内側に引き込まれると思い込むとい間違い話を書きました。

実は左脚を強力に踏ん張ると左膝は自然に外側に回ります。左膝を内側に回す意識で左脚を踏ん張ると脚に力が入らないのです。無意識の中にこの間違った意識で歩行動作を実行していたためか、体の左側に違和感が生まれていたという話です。

これだけならば笑い話の種で終わるかも知れませんが、この脚の動きは実際のダウンスイングで重要な役割を果たします。右脚左脚の順序でこの動きが現れて踏ん張り、その時間差によって球筋が変わることになります。直線打法の要領で振ればボールは真っ直ぐ飛び、左脚が逆の動きになればスライス、左脚が強すぎればフックになります。

これに対し、グリーン右手前下の深いラフから見事にピンに寄せてバーディーを確保した石川遼プロのショット(2008太平洋マスターズ)では、両脚を地面につけて踏ん張り頑張っています。

左脚の動きを強めるとフック系の球になることで飛距離は得られるけれどもミスショットの場合の危険も増大します。このスイングの場合左腕の回転的な動きが強くなり、その結果フィニッシュではシャフトが肩と平行になる所まで振り込まれます。石川プロのドライバー・ショットは、この腕の動きが特徴的なものです。

プレーオフで片山晋呉プロに破れた今野康晴プロの場合も、シャフトが肩と水平になる形であったと思います。左脚の動きを間違えるとスライスになってシャフトが縦に回り、スクエアにボールを打つ良い動きではこれらの中間の軌道で振られることになる筈です。優勝した片山晋呉プロのスイングはこの中間の軌道で振られていたように思います。

石川プロと同点の5位タイに入った2008年マスターズの覇者Trevor Immelmanのスイングも石川プロと同じ型です。それでは優れたプレーヤーは皆このタイプのスイングになるかと言えば、同じマスターズで2位であったタイガー・ウッズやこれに次ぐ3位タイに入ったBrandt Snedekerのスイングは「核心打法」に似て遙かに体の動きが少ないものになっています。

以上の動きの話の真偽が気になる人は自分の動きで確認してみて下さい。

自分の動きでも分からない

最近奇妙な経験をしました。動きのパワー源(08-11-06)では「パワフルな実現には、ダウンの場合右脚が強力に地球を押す動きが必要です。ところが、右脚で地面を押すだけでは体が浮き上がってパワーの確保はできません。右脚の大きな筋群を使い、右脚を強力に内側にねじって脚を地面に固定しながら踏ん張る必要があります。これで右腕が強力に引き下ろされます」としています。

これに続いて、結局「右脚をねじりながら踏ん張る」のがパワーの確保の要点で、この動きを繰り返し試せば、弱って来た脚腰の動きも生き返るとも書いてあります。

それならば「左脚をねじりながら踏ん張る」動作はどうなるでしょうか。当然左脚の大きな筋群を使い、左脚を強力に内側にねじって脚を地面に固定しながら踏ん張ることになります。

実際にこの動きを実行してみたところ、意外な結果が現れたのです。左脚を内側にねじるとなれば、左膝は当然内側に引き込まれると思われます。ところがこれが間違いだったのです。実は左膝を外側に回すように左脚を踏ん張らなくては力が出ないのです。

実際に長い間この間違った意識で歩行動作を実行していました。これでは体がねじれてしまします。これまで体の左側に違和感があったのもこの所為(せい)かも知れません。

しかし「左膝を外側に回すように左脚を踏ん張る」という複雑な見方では実用的な動きはできません。ところが面白いことには、ここで「左足の踵で踏ん張る」と単純に考えるだけでしっかり左脚が踏ん張れるのです。人間の体の動きは直感では捉えきれないものがあるわけです。

呼吸は意識で変わる

これまでの呼吸の話では、何となく胸に息を吸い込む動作をイメージして来ました。ところがここに大きな問題があります。息を吸い込む胸とはどこにあるのでしょうか。

普通胸と言えば体の前にある膨らみをイメージします。そこでこのイメージで一杯息を吸い込んでみます。

次にこの胸の背中の部分をイメージし、ここに向けて息を吸い込んでみます。これで遙かに大きく息を吸い込むことが出来るのが分かります。

そこで「核心打法」の「深いトップ」の体勢を取ってみます。するとこの胸の背中に吸い込む動きが現れることが分かります。

ゴルフの動きは実に奥が深いのです。

日常の呼吸:再論

「日常の呼吸は?」(08-11-15)では、臍下丹田の緊張を利用する腹式呼吸を使い、腹(臍下丹田)を引き締めて息を吐き、腹を膨らめて息を吸うとしています。この呼吸法には大切な働きがあります。

ここで臍下丹田というのは、臍の下で骨盤の中央部の辺りの意識です。そこで、ここを引き締めると横隔膜が押し上げられて息が吐き出されます。逆にここを広げるように腹を踏ん張って広げると、今度は横隔膜が引き下げられて息を吸い込みます。これは古くから知られている呼吸法ですが、これには大きな特徴があります。

この形の呼吸をすると腹にしっかり力が入り、いわゆる腹の据わった体勢が出来上がるのです。何となく全身に力がみなぎる感じになります。こうなれば日常の動きを始め、スイングの動きを決める時にも基本的な体勢が固まりそうです。

その実用性は自分の動きで試してみて下さい。

インナーゴルフ?

嘗て「インナーテニス」というテニスの理論が提唱されたことがあります(W.T.ガルウェイ著 インナーテニス 後藤新哉訳 日刊スポーツ出版社 1978)。テニスの場合プレーヤーが失敗する時、自分自身の中で文句を言う自分(セルフ1;人間の知的、感情的部分)が何も言えない(セルフ2)を罵る(ののしる)のを止めて、セルフ2の自然な上達能力に任せようと言うものです。

ガルウェイはこの見方をゴルフの場合に応用して、「インナーゴルフ」の理論を提案しています(W.T.ガルウェイ著 インナーテニス 後藤新哉訳 日刊スポーツ出版社 1982)。これによればセルフ1は自我(感情、思考、意識部分)であり、セルフ2は筋肉、神経を含めた自分の肉体部分であり、無意識的部分と言ってもいい、と説明しています。

その上でいざプレーをする場面では、意識というメンタルな部分を捨てて、すべてをセルフ2の無意識部分に任せてしまうのがよいと言っています。これを読むと、ゴルフ仲間でしばしば言われるゴルフはメンタルなゲームであるなどという話は無意味ということになります。

しかしここで大問題があります。筋肉、神経を含めた自分の肉体部分からなるセルフ2が、果たして自然な上達能力を持つでしょうか。こう考えるとゴルフでメンタルな部分を問題にする人は、複雑な筋群を適当に制御することで始めてゴルフの技(わざ)が仕上がるという事実を理解していないことが分かります。

名手中村寅吉氏が、スイングあるいはパッティングのの際呼吸法についてまでも詳しく述べていることは既に見たとおりです。妙な精神主義はゴルフでは禁物です。あのタイガー・ウッズさえ、ハンク・ヘイニーをコーチとして技の改善に努めていることを見るべきです。

日常の呼吸は?

ゴルフの場合の呼吸は、胸で吸い込み腹の引き締めで息を吐いて打つ形になります。ところが胸で息を吸い込むと、いわゆる緊張で胸が一杯になるという状況が発生しますから、呼吸のたびにこれを繰り返したいると疲れてしまい体の力が出せなくなります。

これを避けるには、臍下丹田の緊張を利用する腹式呼吸を使います。腹(臍下丹田)を引き締めて息を吐き、腹を膨らめて息を吸います。この呼吸を使えば、両手に荷物を提げたまま早足で歩くこともできます。

つまらないような話ですが、精神の緊張で疲れることの多い人は一度効果を試して見て下さい。日頃疲れ切って動きが鈍くなっていたことに気がつくかも知れません。

パットの呼吸

中村寅吉氏はパットの呼吸法はフル・スイングの場合と同様であるとして、「かりに5メートルのパットをするなら、インパクト後、ボールが2メートルぐらいころがったところで息が抜けるといい。これをインパクト前に抜くと、カップにまで届かずショートになるね。逆に息をつめ過ぎるとオーバーする」と述べています(浜伸吾編著 ゴルフ日本のテクニック ベースボール・マガジン社 1986年 95頁)。

ところが「核心打法」の要領でパターを右手でしっかり握り、これに左手の握りを加える「マジック・グリップ」型の握り(もちろん右手と左手の間は開きますが)にすれば、パットの呼吸も胸で吸い込み腹を引き締めて打つという、フル・スイングの場合を小型化しただけのものになります。

これで驚く程安定した方向性の良い転がりが実現します。簡単ですから自分で試して見て下さい。

ゴルフでは理屈も大切

前回の「呼吸の動きも複雑」(08-11-12)を読むと、ゴルフは理屈ではない、フィーリングこそ大切だと思う人がいるかも知れません。実際に名手と呼ばれる人でこのように言う人もいるようです。ところが、我々普通のゴルファーにとっては、ゴルフはフィーリングだと言われても何の役にも立ちません。

今や伝説の名手中村寅吉氏はスイングの際の呼吸法について詳しく述べています。それによれば、バックスイングからダウンスイングにかけてはだれでも息を止めるが、それをどこで吐くかが問題であるとしています。

早過ぎても遅過ぎてもダメで、その実験的確認法としては、アドレスでタバコの煙を口に含み、スイングのどこで煙が噴き出すかを見ればよく、インパクト前に煙が出るようでは息が抜けてスライス、遅れればフックするとしています(浜伸吾編著 ゴルフ日本のテクニック ベースボール・マガジン社 1986年 94-95頁)。名手と言われる人が、細かな点に着眼しているのです。

しかしこれでも呼吸法の具体的な内容は伝わりません。前回の「呼吸の動きも複雑」(08-11-12)はこれを可能な限り詳しく追求したものです。こんな屁理屈と思った人がいるかも知れませんが、動きの理屈はこれを実験的に試して見ればその正否が納得できます。フィーリングでは解釈の仕方で動きが変わります。効果の確定には結局長い時間が掛かります。

「ゴルフでは理屈も大切」という意見にご賛成をお願いします。

呼吸の動きも複雑

「呼吸はどうなる:訂正版」(08-11-10)では、「胸を膨らめてバック、腹に力を入れて引き締めながら(息を吐き)ダウン」でよいとしています。ところが呼吸の動きに関わる筋の種類は多くその動きも複雑で、これだけでは実際の動きは実用的には固まらないのです。そこで今回はもう少し詳しい実用的な動き(のイメージ)の説明をします。

片山洋次郎氏の「整体 楽になる技術」(ちくま新書319)によれば、「胸の中央(乳首と乳首の中間点)に臍中(せいちゅう)という穴(ツボ)があり、これが免疫機能を調整する穴である」とされています(210頁)。これを文字通りの穴(アナ)と捉えると、次のような息の吸い込み動作のイメージが得られます。

まず「胸を膨らめる」動きですが、両胸を膨らめようとして息を吸い込んでも、少し吸い込めばすぐ息は止まります。ところがここで胸の真ん中に穴があると考え、この穴を通して思い切り息を吸い込むイメージで吸うと一段と深く吸い込むことができます。これは驚く程の効果があります。試してみて下さい。

こうして息を一杯に吸い込んだ所で臍の上辺りの筋を引き締めて胸の動きを止め、そこからは臍下丹田を引き締める腹の動きで息を完全に吐き切るまで腹を引き締めます。面倒な動きのようですが、試して見ればこれが極めて自然で気持ちの良い動作であることが分かります。

以上の動きを利用すれば、極めて効果的な呼吸法が実現します。論より証拠、自分で試してみて下さい。

グリップの動きは複雑

グリップ(手の握り)でクラブを掴み、緩みない腕の動きでクラブを振るには、右腕は内側、左腕を外側に回す腕の「魔法の動き」が必要になり、実際のスイングではこの腕の仕組みを脚腰背骨の動きで振ることになります。

そこで問題になるのが、この腕の動きをクラブに伝えるグリップの動きです。右腕で力一杯クラブを振り、インパクト圏を直線的に振り抜く動作を考えれば、右手の握り方は決まります。ところが左手の動きはこれだけでは決まりません。左手のグリップについては様々な形が考えられるわけです。

そこで両脚を内側に絞る動きでクラブを引き下ろし、左へ直線的に振り抜く動きを試してみると、左手はクラブの取っ手(ハンドル)を外側から左手の背中側に引く(背屈させる)形に握るしか方法がないことが分かります。この形を素手の握りで作るには、左親指をクラブの軸と考えてこれを右手の平で握ってみればよいのです。

こうして出来上がるグリップ(手の握り)が、これまでに登場してきた「マジック・グリップ」になるわけです。

体の動きと腕の動きをクラブに伝えるグリップの動きに誤解があると、思うようなスイングはできません。普段使うクラブより固いシャフトのクラブを振ってみると、低い球しか飛ばないことがあります。この場合でもグリップが正しければロフト通りの高い弾道で飛ぶようになります。折角しっかりしたクラブを買ったのに思うように球が上がらない人は、まずグリップを確認すべきです。