ゴルフ直線打法 -7ページ目

体重移動の構造的欠陥

「左右の脚と腕の交差連結を壊すもの」(08-12-05)では、体重移動の動きで左右の脚腰と腕の間の交差連結が壊れることを指摘しました。あらためてこの現象を生み出す基本的な仕組みを確認してみましょう。

スイングのパワーは地球を押す脚腰の動きが作り出します。地球を効果的に押すには、腰回りの大きな筋群、特に大臀筋の有効利用が必要です。このためには、腰を押し上げるようにして踏ん張ることが要求されます。

そこでダウンで先ず右脚を押し伸ばすように踏ん張り、次いで左脚を踏ん張る動きを利用して強力なインパクトを実行します。いわゆる右脚と左脚の時間差攻撃で、「核心打法」の動きはこれになります。実際に短いウエッジを振り、小さなスイングの動きで確認してみると、確りした方向性のよいチップ・ショットが簡単に実現します。

手許に1991年度のマスターズ優勝者、イアン・ウーズナムのPOWER GOLF(管野敏幸訳 日刊スポーツ社)があります。そこでは「体重移動は頭で考えるのではなく、本能的に自然に行われなければならない」としていますが、ウーズナムの実際のスイングの連続写真を見ると、左脚体重でバック、右脚左脚の順の踏ん張りでダウンという、時間差攻撃型であることが分かります。

これに対してバックで右脚に体重移動をし、ダウンで左脚に体重移動をすると、右足が浮き上がって右脚で地球を押す動きが動きが効果的に利用出来なくなります。ダウンの体重移動が、右から左への時間差攻撃による強力な地球の反作用の利用を不可能にするのです。

更に、体重移動による左脚一本での踏ん張りでは、左脚の外側への回転的な動きが始まり、結局腰の回る回転打法の動きに入ります。

「動きの説明と構造の説明の何れが有利か」(08-11-30)で、ケン・ベンチュリーが、「“左サイドを開く”ことを意識すると、ほとんどの場合、開きすぎて“旋回”してしまい、プル・フックとなるか右ヒップがボールの方に出て、カットしスライスになる」と言っていることを紹介しました。体重移動のダウンではこの難しい動きに入ってしまうわけです。

実際にチップ・ショットを打ってみても、バックで、右脚ダウンで左脚への体重移動を実行すると、目的方向への飛びの確保が大変難しいことが分かります。

このように体重移動で動きに多くの不確定要素が生まれます。これは「練習しても上達しないのは何故か?」(08-12-06)で捉えた「要らない動きを押さえてしまう」というスイング練習の成功の秘訣に反するものです。

石川プロの反省

今朝(08-12-08)の朝日新聞には、同じ3位から出発して優勝したJ.M. シンとの技術の差についての石川遼プロの言葉「風に負けない重い球とアイアンの距離感。シンさんの優勝は運ではない」との言葉が書かれています。

12アンダーで優勝したJ. M. シンのスイングは、昨日(08-12-07)のブログ「石川遼プロの技術的進歩」(08-12-08)でも触れた通り、「腕とクラブの振り抜きを優先させる」スイングになっています。

体の回転の動きで腕とクラブを振っているように見える石川プロのスイングでは、インパクト時点で腕の方向転換が発生し、これによる腕の緩み(ガタ)の発生で打球の方向性確保が難しくなる筈です。この動きではボールに余計な回転が生まれる確率が高まり、方向性の良い強い球を打つことが難しくなります。

ただしこれらの見方は、スイングの動きの基本的な構造からの推論に基づくもので、実験的な検証が必要です。気になる人は自分でボールを打って確認してみて下さい。

石川遼プロの技術的進歩

第45回ゴルフ日本シリーズJTカップの最終ラウンドを迎え、今朝(08-12-07)の8時台のテレビ番組(日本テレビ)では、活躍中の石川遼プロについて、最近のドライバー・ショットの動きの改善点の説明がありました。最近の映像を、始めてゴルフの世界に登場した頃のものと比較することで、進歩の要点を示しています。

決定的な改善は頭の動きで、インパクト地点で首が大きく左に傾く動きが消えています。これは過剰な体重移動の動きが減ったためと思われます。これに伴い体の回転的な動きも押さえられ、当初のドライバー・ショットの特徴であったフィニッシュでシャフトを両肩の上に竿竹のように担ぐ動きが弱まり、軽い斜めの動きで背中に降りているように見えます。

過剰な体重移動と体の回転という、二つの余計な動きが排除されれば、不確定要素が減ってショットの方向性の安定化が実現します。手首の余計な動きを押さえて成功した話「練習しても上達しないのは何故か?」(08-12-06)と併せて考えれば、解説者青木功プロの「優勝するのでは」という発言の示すように、今日は石川プロのスイングの改善が見られるものと期待されます。

ところが実際のテレビ番組で見ると、どうやらこの期待は外れたようです。12アンダーで優勝したJ. M. シンの、腕とクラブの振り抜きを優先させるスイングと比較すれば、8アンダーで終わった石川プロのスイングは、体の回転の動きで腕とクラブを振っているように見えます。これでは、あわやOBと思われるようなドライバー・ショットが見られたのも当然と思われます。

更に今日は得意のパットにも頭の動きが見られ、期待された出来ではありませんでした。ドライバー・イズ・ショウ、パット・イズ・マネーですから、これでは青木功プロの期待にも添えないことになります。

並外れた才能と努力の成果である石川プロについて、その現在の成績をこのように分析するのは如何にも不遜のように思われます。しかし、我々普通のゴルファーは、これを他山の石として自分のスイングの改善に役立てなくてはなりません。

いわゆるミー・ハー的にただ褒めそやすだけでは、ひいき(贔屓)の引き倒しにしかなりません。我々は石川プロの更なる前進に期待したいと思います。

体重移動の構造的欠陥

「左右の脚と腕の交差連結を壊すもの」(08-12-05)では、体重移動の動きで左右の脚腰と腕の間の交差連結が壊れることを指摘しました。あらためてこの現象を生み出す基本的な仕組みを確認してみましょう。

スイングのパワーは地球を押す脚腰の動きが作り出します。地球を効果的に押すには、腰回りの大きな筋群、特に大臀筋の有効利用が必要です。このためには、腰を押し上げるようにして踏ん張ることが要求されます。

そこでダウンで先ず右脚を押し伸ばすように踏ん張り、次いで左脚を踏ん張る動きを利用して強力なインパクトを実行します。いわゆる右脚と左脚の時間差攻撃で、「核心打法」の動きはこれになります。実際に短いウエッジを振り、小さなスイングの動きで確認してみると、確りした方向性のよいチップ・ショットが簡単に実現します。

手許に1991年度のマスターズ優勝者、イアン・ウーズナムのPOWER GOLF(管野敏幸訳 日刊スポーツ社)があります。そこでは「体重移動は頭で考えるのではなく、本能的に自然に行われなければならない」としていますが、ウーズナムの実際のスイングの連続写真を見ると、左脚体重でバック、右脚左脚の順の踏ん張りでダウンという、時間差攻撃型であることが分かります。

これに対してバックで右脚に体重移動をし、ダウンで左脚に体重移動をすると、右足が浮き上がって右脚で地球を押す動きが動きが効果的に利用出来なくなります。ダウンの体重移動が、右から左への時間差攻撃による強力な地球の反作用の利用を不可能にするのです。

更に、体重移動による左脚一本での踏ん張りでは、左脚の外側への回転的な動きが始まり、結局腰の回る回転打法の動きに入ります。

「動きの説明と構造の説明の何れが有利か」(08-11-30)で、ケン・ベンチュリーが、「“左サイドを開く”ことを意識すると、ほとんどの場合、開きすぎて“旋回”してしまい、プル・フックとなるか右ヒップがボールの方に出て、カットしスライスになる」と言っていることを紹介しました。体重移動のダウンではこの難しい動きに入ってしまうわけです。

実際にチップ・ショットを打ってみても、バックで、右脚ダウンで左脚への体重移動を実行すると、目的方向への飛びの確保が大変難しいことが分かります。

このように体重移動で動きに多くの不確定要素が生まれます。これは「練習しても上達しないのは何故か?」(08-12-06)で捉えた「要らない動きを押さえてしまう」というスイング練習の成功の秘訣に反するものです。

練習しても上達しないのは何故か?

同じゴルファーでも、何となく上手な人と、いくら練習しても上手くならない人がいます。そこで、練習しても上手くならない人は、自分には才能がないとか、運動神経がないなどと言ったり考えたりしてしまいます。

運の良い人は子供の時にゴルフを習い、それで技が身についています。言葉を操る技などは、小学校低学年程度の年齢でその言葉に慣れているかどうかで上達の程度が決まると言います。ゴルフの場合も同じようなものでしょう。

そこで、大人になってからゴルフを始める人は苦難の道を歩くことになります。これは仕方のないことです。しかし、言葉の場合は自分の知識を利用しながら上手な人の話し方を見習えば、かなり上手くなります。ただ、ゴルフの体の動きは極めて複雑で、発音の動きほど実行が簡単ではありません。結局自分の知識を利用して動きを作り出す以外に方法はないのです。

ところが、クラブを振ってボールを打つ体の動きの仕組みは極度に複雑なのです。両足で地球を押し、その反作用を利用して腕を振る体の動きを作り出し、グリップを通して腕に繋がるクラブを振るわけです。この体の動きの仕組みは余りにも複雑なので、これを実用的に動かすには、要らない動きを押さえてしまう必要があります。これが成功への秘訣です。

結局、余計な動きを押さえて目指す動きを作り出すことを練習すればよいのです。これを試行錯誤で実行し実用的な動きに固めるわけです。

さて、朝日新聞の記事(08年12月5日朝刊)には、石川遼プロが日本シリーズJTカップ初日に4番を終わって1オーバー。ショットが左右に散り、「今日で(優勝争いという意味では)大会が終わってしまう」と思えるほどスイングがバラバラ、そこで「サイドのスピンがかかるのは手先の動きが入っているから。手先を固めて思い切って振ろう」と考えて一気に快復と書かれています。

石川プロ程の恵まれた環境で育った人にも、矢張りゴルフの動きは複雑で、余計な動きを押さえて目指す動きを作り出すという意識が大切なのです。われわれ普通のゴルファーは、当然この事を意識して練習すべきです。そうすれば「ゴルフは練習しても上手くならない」などという、弱音は吐かなくなる筈です。

交差連結を壊すもの:体重移動

筋群の繋がり方から、左右の脚と腕が交差して繋がる交差連結が、強力な腕の振りを生み出すスイングの基本構造を与えることは既に議論しました(「左右の脚と腕の交差連結がスイングを作る」(08-12-04))。

ところがこの連結を壊すものがあります。それは、一般的に人気のある体重移動でクラブを振るという考え方です。

実際にバックで右脚に体重を移動させ、ダウンで体重を左脚に移動させるという気持ちでクラブを振ると、体の重心を右に左にと動かすことになり、バックで腰が右に動き、ダウンで腰が左に動くという動きが現れます。この動きでは左への動きの限界で、左脚一本で体を支える形になり、ここで左脚が外側に回り、左サイドが開く動きに入ってしまいます。

思い切り振るドライバー・ショットの場合、このような動きが出やすくなります。機会がありましたらこの辺りに注目してプロのドライバー・ショットの動きを眺めてみて下さい。

この動きが身に染みついていて、これでかなりの成功を収めている人もいますが、タイガー・ウッズのような達人にはこの動きは全く見えません。多くの成功しているプロのスイングにも、このような体重移動は見られません。我々パワー不足の普通のゴルファーの場合は、後者を見習うべきでしょう。

左右の脚と腕の交差連結がスイングを作る

腰回りの筋群がスイングのパワー源であることは確認しました(08-12-03)。しかしこれだけではスイングを作り出す腕の動きは分かりません。

ここで重要な事実は、力強く腕を振る脚と腕の動きの繋がりは左右が交差する、すなわち左脚の踏ん張りで右腕を振り右脚の踏ん張りで左腕を振ることになる、ということです。これは実際に様々な脚と腕の組み合わせで腕を振ってみれば分かりますが、腰の大きな筋(大臀筋)と腕を振る大きな筋(広背筋;腰の上から腕に繋がる)とがこれで自然に繋がるのです。

ところで、この組み合わせからダウンスイングの場面でのそれぞれの役割が明確になります。ダウンの最初の右脚の踏ん張りで振られる左腕の動きは、クラブの上下の動きを生み出します。これに対してインパクトの振り抜きの右腕は左脚の踏ん張りで振られるのです。これが自然で強力なダウンからインパクトの動きが生み出されます。

この左右が交差して繋がる仕組みを交差連結と呼ぶことにすれば、左右の脚と腕の交差連結の仕組みを意識して効果的なダウンスイングの実行法を固めることで、引き締まって無駄のないスイングの動きが出来上がることになります。

これに対して腰の回転で腕を振ろうとすると、十分な腕の引き下ろしが出来ないまま左脚で両腕を振る動きに入ってしまいます。この場合はスライスの動きにもフックの動きにもなり得ます。スライス打ちで苦労していた人に体の右で振ってしまうように勧めて成功した経験は、右脚体重の間に腕を振ることで左腕での効果的な引き下ろしが実現したと考えれば納得出来ます。

振りやすいクラブを握り、この左右の交差連結の効果を確認してみて下さい。

腰回りの筋群はスイングのパワー源

「動きを明確に捉える方法」(08-12-02)では、床に横になった状態で尻を限度一杯に持ち上げる動きを立った姿勢で実行すると、腰を限度一杯前に押し出す動きになり、これで速く歩けることることを指摘しました。この動きのパワーはどこから来るのかを考えると、腰回りの大きな筋群(特に大臀筋)の働きであることが分かります。

そこで頭を安定に保ちながらこの筋群を使って足で地面を左に押し右に押す動きを作ってみると、これでクラブを右に振り左に振る動きが出来ることが分かります。同じようにして前に押し後ろに押してみるとクラブを上げ下げする動きが出来ることが分かります。

ここまで考えた時に、以前ある雑誌に書かれていた欧州の著名なゴルフ・コーチの話を思い出しました。強いゴルファーになる要件は大きな尻であると言うのです。

こうなると、腰回りの筋群がゴルフで果たす役割の大きさが明瞭になります。

生まれつき小さな尻しか持たない自分には残念な話です。

動きを明確に捉える方法

「動きの説明と構造の説明の何れが有利か」(08-11-30)では、構造の説明の方が動き作り方を明瞭に伝えられることを指摘しました。しかし、ここには問題があります。言葉の上で説明が明瞭であっても、実際の動きが作りやすいとは限らないからです。

「奇妙な経験の持つ重大な意味」(08-11-20)には、「左脚を強力に踏ん張ると左膝は自然に外側に回ります」という説明があります。しかし、自然にという表現は動きの説明としては無意味です。実際に動きを作ってみても、それが正しい動きかどうかを確認するのは簡単ではありません。

この問題の実用的な解決には、次のような方法が考えられます。

床の上に上向きに横になり、左脚を内側に回して限度一杯に左尻を持ち上げるのです。実際にこの要領で動きを作ってみると、確かに左膝が外側に回って足が床を強く押します。ここで左膝を内側に回すと左尻が床に落ちてしまいます。面白い実験ですから、一度試してみて下さい。

この尻を限度一杯に持ち上げる動きを立った姿勢で実行すると、腰を限度一杯前に押し出す動きになります。この動きを歩行動作に利用すると、腰を一杯に前に押し出しながら前進する動きが実現します。これで驚く程速く歩くことが出来ます。これは実際の動きで確認してみる価値が十分にあります。

こうして、限度一杯の動きを作ってみるのが、動きの確定に一般的な方法であることが分かります。

マジック・グリップは自然なグリップか?

「マジック・グリップは自然なグリップ」では、セイモア・ダンが「マジック・グリップ」型の手の握りを「弱い手に最適なグリップ」と呼んでいることを紹介しました。このグリップは右手の強い握りに左手の親指を割り込ませる形で外側から握っています。

このグリップの仕方は、いわゆる逆オーバーラッピング型のグリップで、まず強い右腕の握りを固め、これを左手の握りで支える形になっています。通常のオーバーラッピング型のグリップは、逆に強い左腕の握りを固め、これに右手を添える形になっています。

生来左利きであったベン・ホーガンが、このオーバーラッピング・グリップを「ザ・グリップ」として採用したのもこれで納得できます。

結局各人の腕の使い方に適したグリップを採用すべきで、ただ漠然と握っているとスイングが難しくなる筈です。良いものは古今東西を問わず良いものと認められるものだと、機械的に考えることは危険だったのです。

実際的には、最適の両手の握り方は、両腕の動きの作り方に依存します。このためには腕の動きを明確に捉える必要があり、これはスイングの体全体の動きに依存します。結局グリップを確定するには、スイングを生み出す体の動き全体を確定する必要があります。

こうなるとスイング全体の合理的動きの構造を確定することが求められますが、その話に入る前に動きの捉え方の話が必要になります。