ゴルフ直線打法 -32ページ目

スイングの体の動き二大分類

前々回(07-11-29)にはインパクトの動きの特徴に注目してスイング動作の分類を試みました(「ゴルフの科学?:インパクト動作の分類」(07-11-29))。そこで今回は更に大きな体全体の動きで分類してみます。

見落とし勝ちにですが、スイングの体の動きは地球との関係が基本です。これに注目すると体の動きが、上下の動きを主体とするものと、左右の動きを主体とするものの二つに大きく分類できます。「核心打法」は上下の動きが主なパワー源です。体の捻れにより回転的な動きが生まれますが、これは体の右側での腕の動きで使い切られ、インパクトの動きは直線的になります。

腰の左右の動きは最小限に止められ、動きのエネルギーの無駄な消費が避けられます。これに対して「反魔法」型の腕の動きでバックするスイングでは、バックで右、ダウンで左への腰の動きが主なパワー源になります。この場合ダウンでクラブを体の動きに追い付かせるために腰や腹の動きで上体を左に回します。

ただしこの場合のインパクトでは、「ゴルフの科学?:インパクト動作の分類」(07-11-29)で見たように様々な動きがあり、腕の動きの形に適した体の動きを選ぶようになります。これにはクラブの握り方(グリップ)が大きく関わりますが、その話は後に回します。

地球の上でクラブを振っていることを考えると、地球に対する動きとしては上下の動きが最も脚腰の出す力を有効に利用できることは明らかです。この動きをインパクトで効果的にクラブの横の動きに変換する肩と腕の動きがあれば、脚腰の動きと肩と腕の動きの組み合わせで最良のスイングの動きになるものと期待できます。

これまで議論して来た「核心打法」は、インパクト時点で、広背筋による腕の直線的な左への引きの効果的な動きを確保します。このため最強のスイングの動きになることが期待できます。一見馴染めない動きでも、効率の良さを考えるとこの打法を身につけるのが有利なことが分かります。

更に問題なのは打球の方向性の確保です。インパクト時点で体の回転的な動きがあると、腰の回転、肩の回転、腕の回転、リストの回転など、様々な回転の成分が現れ、それぞれの成分によるスイング面(クラブの描く面)が合成され、最終的なクラブの動きの制御は難しくなります。練習場で眺めても各人が固有のスイングでクラブを振っているのはこのためと考えられます。

この点から見ても、脚腰の動きで上体を引き止めて腕とクラブを振る、「核心打法」の優位性が認められます。しかし「核心打法」のダウンの肩と腕の動きが難しい場合には、暫く簡単な「単純直線打法」(07-11-19)で直線的にクラブを引っ張るインパクトの腕の動きに慣れるのが良いと思われます。

タメの話の続き

タメの話(07-11-25)を書いた後で、海外でのタメの見方はどうかを調べてみました。これは打つ動作を遅らせる動きということで、遅らされたヒット(ディレイド・ヒットあるいはディレイド・リリース)と呼ばれています。インターネットで見ると、現在でもこのディレイド・ヒットを重視する話が見られます。
例えば:
http://www.sportsnetwork.com/default.asp?c=sportsnetwork&page=golf-m/misc/hammer/index.htm

一方タメの動きについての批判的な見方もあり、これについての記事もあります。
http://www.pga.com/improve/features/mentalgame/improve_bondaruk030706.cfm

面白いことに、この記事では例の515ヤードを飛ばしたマイク・オースチン(「飛ばすスイングの動き」(07-10-23))の話が出て来ます。またタイガー・ウッヅの話もあり、タメなしで一気に振り切るダウンの動きが強力なスイングを生むということになっています。スイングの動きを観察し、その特徴を捉えて解説しています。

ウッヅの「クラブ・ヘッドを可能な限り速やかに体からできるだけ遠ざける」という言葉も紹介されています。この動きの実現には、腕の一方向の回転の動きでスイングを実現する肩と腕の「魔法の動き」と、適切なグリップと、「上体を右に回す」動きが必要なのです。

これらの動きを実現する具体的な方法は、「腕を伸ばして振る:鍵は「マジック・グリップ」」(07-11-28)に提案してあります。

こうしてみると、スイングが腕の左右と上下の動きで生まれるという「革命的イメージ」と(「完全交叉直線打法」!(06-06-01):2003年春にベッドに縛り付けられながら思い付いた)、その具体化としての肩と腕の「魔法の動き」などが最先端のスイングの動きに導いたことが分かります。その過程では、伝統的なグリップとの闘いもありました。

極めて原理的な動きからスイングの動き全体を引き出すために、同じような動きの検討を繰り返しながらの前進となったわけです。その結果は、誰にも試すことのできる形に纏まりました。これは実際のスイングを回るあれこれの見方や考え方の検討を進める上での一つの拠り所になると思います。

ゴルフの科学?:インパクト動作の分類

混沌として何が何やら分からない現象に規則性を見出すのが科学的な見方です。ゴルフの動きは各人各様で、どれが本当に良い動きなのか見分けるのは難しいことです。その結果、ゴルファーは自分で様々な動きを試し、その中から良い動きを身につけるという大変な苦労をしているわけです。これはゴルファーなら誰でも経験することです。

ところが、インパクトの動きに注目すると、ゴルフの動きが大きく二つに分類されることが分かります。ボールを打つ時に、グリップを体に引きつける動きで打つか、体から遠ざける動きで打つかの二種類です。自分がどちらの動きでボールを打っているかを確認してみて下さい。非常に多くの人がグリップを体に引きつける動きで打っている筈です。

グリップを体から遠ざける動きでボールが打てるとは信じられないかも知れません。そこで、ハンマー投げの動きを考えてみて下さい。重い鉄球を遠くまで投げる動きでは、腕を前に放り出すようにして投げます。これが重い鉄球を加速するのに有効な方法だからです。これを見ると、重いクラブを放り投げて加速するのが有利であることが分かります。

問題は投げ出されたクラブのヘッドを、ボールに向けて直線的に走らせる方法です。これは簡単で、投げ出すと同時に「上体を右に回す」動きで肩を打球方向と反対の方向に引けばよいのです。グリップを前に突き出して上体を右に回せば、グリップが強く左へ引かれるのが分かります。

この動きが体の前にあるグリップを直接左に引く動きよりは強い動きであることは、実際にクラブを握ってヘッドを机の脚などに当てて左に引いてみれば分かります。グリップを前に突き出して置いて左に引く方がシャフトの撓みが大きくなります。

腕を伸ばす動きでクラブを強く引くには、グリップを横から鷲掴みして固めるのが有利です。ゴルフの書物にある、両手でクラブを上から握る伝統的グリップでは、ヘッドを強く押そうとするとグリップが左回りに回りながら肘が引き込まれ、鷲掴みに比べて押しの動きが弱くなります。

グリップを引き込む動きでインサイド・アウトにボールを打つ時には、この伝統的なグリップを左に回す動きに入ります。ここでグリップを右回りに回すとフェースが上を向いて外に飛び出します。スクエア・トゥー・スクエアに打つ場合には、体の前でグリップを右回りに回します。

体を右に回す動きでインパクトに入ると、グリップは前に引き出されて左に引かれます。この動きの場合は、グリップの形によってインパクトの強さが変わります。

体の左右の動きが加わっても、これらの腕の動きはインパクト時の体の回転方向で決まります。

これが、これまでのブログの話から明らかになった、インパクトの「科学的」な見方です。

腕を伸ばして振る:鍵は「マジック・グリップ」

アドレスで両腕の肘を伸ばした構えを採用した結果、それまでダウンで体が左に回っていた仲間の動きから、左に回る動きが一気に消えて強いショットが飛び出しました(「画竜点睛:足の「螺旋」でグリップを引く」(07-11-27)」。これはクラブを両手で横から握り、肘を伸ばしてグリップを固める「マジック・グリップ」の効果です。

体を安定に保って動きを作る背骨の働きの仕組みから、腕の動きと脚の動きには一定の対応関係があります。足の「螺旋」の動きでは、両方の脛(すね)が左回りに回りながら地球を押します。この動きには両腕の左回りの動き(「魔法の動き」)が対応します。逆に、立って腕を左回りに回すと脛に左回りの動きが現れます。これを試してみて下さい。

ここで、手を固く握ってこの腕の動きをすると、足が地球を掴む形に動くことも分かります。これが両足の「螺旋」の動きの原型です。ここで左手の親指を右手の平で握り、両手をグリップの形に握り合わせ、肘を伸ばして「マジック・グリップ」の形に固めます。この動きで両膝が固まりながら両脚が緊張して強く地球を押す体勢が出来上がります。

これが肘を伸ばしてグリップを固める「マジック・グリップ」の生み出す効果です。「マジック・グリップ」を固める腕の動きでこの脚の体勢が出来上がった所で、脛を左に回す両足の「螺旋」の動きを実行すると、「上体を右に回す」脚腰背骨の動きが現れます。これを確認してみて下さい。これで固まった両腕がバックスイングの動きに入ります。すべてが上手く行きそうです。

しかしこのまま「上体を右に回す」動きを継続すると、ダウンの方向に腕を振ることができません。ところが、この上体の動きを止めるように膝を固めると、腰が右に回って両膝が左向きに引かれます。これを確認してみて下さい。一旦この方向転換の動きが入ると、両足の「螺旋」の動きで「上体を右に回す」動きを強めると、ヘッドが前に引き出されてインパクトに入ります。

こうして「上体を右に回す」動きを継続しながらダウンスイングの動きが実現します。強力に地球を押す動きを実行しながら、「上体を右に回す」動きを一貫して継続する足腰背骨の動きで、バックとダウンの動きが連続的に実現するわけです。この一貫した動きを体感的に確認してみて下さい。

実に無駄のない動きで、一貫してグリップを体から遠ざける方向に動き、グリップを右脇前に伸ばす形の動きでダウンに入ります。これで腕を伸ばし続けてクラブを振る「核心打法」の動きが確保されるわけです。アドレスで両肘を伸ばして腕を固めた体勢の「マジック・グリップ」を、両足の「螺旋」の動きで振りながら確認してみて下さい。

両手でクラブを横から握り、両肘を伸ばして腕を固める「マジック・グリップ」が、この動きの要(かなめ)です。右肘に撓みを生む伝統的なグリップでは、この強力な動きは実現できません。

画竜点睛:足の「螺旋」でグリップを引く

グリップの動きを脚腰背骨の動きで引き出すという前回の話には、注意すべき点があります。「マジック・グリップ」では両手でクラブを横から握り、肘を伸ばしてグリップを固めます。この固まった両腕とグリップを一体化して体の動きでクラブを振る時には、肘を曲げる意識はありません。これができれば腕が引き出され続ける形でクラブが振れるようになります。

問題はこの腕とグリップの仕組みでクラブを振る方法です。普通のゴルファーは体でクラブを引っ張ってボールを打つ意識が強いのですが、地球との関係で見るとゴルファーは地球を押す足の動きをクラブの動きに変換するシステムになります。体で直接腕を振っているのではないのです。

このシステムは、背骨の働きで頭を安定に保ちながら、入力を出力に変換します。それではこの入力はどうして作るのか。この問題を解決するのが足の「螺旋」です。足の「螺旋」の動きは、体の動きを地球に強く結びつける動きです(「螺旋(スクリュー)の動きで地球を掴む」(07-05-21))。この足の「螺旋」の動きでクラブを振ればよいのです。

そこで、頭を安定に保ちながら足の「螺旋」の動きでグリップを動かすことを試します。椅子に浅く腰を掛けて両手を「マジック・グリップ」の形に固め、肘を伸ばして肩とグリップを繋ぐ両腕を固め、ここから床を押す両足の「螺旋」の動きでグリップの動きを作ってみます。腰掛けているために小さな動きになりますが、確かにグリップが何かに引かれるように動きます。

これが確認できたらクラブを持ち、肘を伸ばしてグリップを固め、これを両足の「螺旋」の動きで限度一杯に大きく振る動きを作ります。これで一貫してグリップが体から遠くに振られるように体が動きます。この場合体の動きは一切忘れ、両足の「螺旋」の動きで大きくクラブを振ります。これでバックからインパクトの振り抜きまでクラブに腕が引かれる形で振れます。

後は練習で実際にボールを打って動きの感覚を確認し、両足の「螺旋」の動きを固めるだけです。

久しぶりに仲間と一緒に練習場に出かけ、この要領で振ってみました。仲間の動きを見ると、バックで右肘をたたみ込んで振っています。ダウンも体が左に回っています。そこで両肘を伸ばしてアドレスの構えを作り、足の「螺旋」の踏ん張りで打つことを勧めてみました。

これで体が左に回るダウンの動きが消え、上体が右に残って腕が振り抜かれるようになりました。腕とグリップの動きから不要な動きを排除することで、大きなスイングの動きが現れたのです。

これまでにこのブログでは「画竜点睛」が二度登場しています(「「背骨の正面」を固定するダウン」(07-05-17)、「スイング実行イメージ:完成版?」(07-05-19))。これらは体の正面を固定してインパクトを振り抜く動きの話でした。今回は三度目の「画竜点睛」で、スイングの動き全体がグリップの大きな動きで実現するようになったわけです。

「マジック・グリップ」でスイングの動きを作る

これまでのゴルフのレッスン書では、まずグリップの握り方を説明し、それからスイング中のクラブの動きを教えるのが普通です。典型的な例は、基礎になる体と腕の構えを説明し、そこからの動きを「スイング面」のイメージに従って作る、ベン・ホーガンの「モダン・ゴルフ」です。

この場合には体と腕の複雑な動きのすべてを詳しく追求する必要があります。ゴルファーが無限に練習を繰り返すのもこの複雑さが原因です。その出発点はグリップ(手の握り)です。そこで「モダン・ゴルフ」は、「良いゴルフは良いグリップで始まる」という言葉で始まっています。

ここで最大の問題は、良いグリップとは何かです。「モダン・ゴルフ」ではその根拠は示されていません。そこで実際にホーガンの示すように左手の平を斜めに横切るようにクラブを握ると、手の平がクラブの上から押さえる形になります。これに右手を横から添えると伝統的なグリップになります。

このグリップでクラブを握り、クラブを右に振り左に振ると、フェースがバックで開きフォーワードで閉じる形に前腕が動きます。これから分かるように、このグリップでは体の動きと無関係なグリップの動きが現れるのです。このため、体の動きの他に腕の動きも調節しなくては、クラブが思うように振れないことになります。

これがスイングの動きに無限の可能性を生み、良いスイングの動きを固めることが非常に難しくなります。これに対し、左手でクラブを横から握り、拳でヘッドを地面に押しつけるような形に腕を伸ばして左グリップを固めると、固まった腕でグリップと肩が繋がります。これに右手を軽く添えて動きを助ければ、体の動きでグリップが決まった動きをすることが分かります。

右手もクラブを横から握る形にして拳で地面を押すように伸ばせば、両手の「マジック・グリップ」が固まります。ここから体の動きでグリップの動きが引き出します。グリップを横から上に引き上げ、「深いトップ」を通して方向転換し、頭を左に回すことなく安定に保ったまま体の右前に引き下ろして左に引く動きを作ってみて下さい。これはクラブを持たなくても実験できます。

一貫して頭を安定に保ったまま動きを実行すると、スイングの体の動きがほぼ完全に分かり、「核心打法」の脚腰背骨の踏ん張りが理解できます。

クラブを持たずにこの動きを実行すると、体全体の自然な動きを引き出す体操になります。「核心打法」体操というわけで、これで家の中でもフル・スイングの動きの練習ができます。あれこれの「スイング面」を考える苦労はなくなります。

実際のスイングでは、更にクラブの動きに腕が引かれる感覚になるように動きを完成する必要があります。これには足の「螺旋」の働きを使います。その話は次回に。

タメは駄目!

少し前まではタメという言葉はゴルフの話にさかんに登場しました。今でもタメを作る意識でダウンに入ると言う人がいるかも知れません。これは、腰を左に回す動きでダウンする時、ダウンと同時に腕が振られてしまうのを引き止める、「上体を右に回す」形の動が生む動作です。

嘗て、悪い打法を打ち破ることを目指して登場した、ジョー・ダンテとレン・エリオットの著書「マジック・ゴルフ」(水谷準訳 ベースボール・マガジン社 1967年)には、彼らの提唱する「4つのマジック・ムーブ」の効果を示す写真として、インパクト直前にクラブを水平の位置に保つ姿が示されています。これがゴルファーの追い求める正しい打撃姿勢であるというのです。

この動きで体の回転のエネルギーが蓄えられ、それがインパクトの腕の振りで解放されるというのが例のリリースの動きの説明です。これは如何にも合理的で、このためにクラブが水平の位置に来るまで引き下ろし、そこからインパクトに向けて、前腕を左に回してクラブを振ります。ホーガンのスイングもこの形になっています。

しかし、これは左手の平を下に向けてクラブを押さえる伝統的なグリップが生み出す迷信です。左手の平で横からクラブを握り、腕を伸ばして締める「マジック・グリップ」では、この動きはできません。この迷信が、一貫して腕を伸ばすように振るという「核心打法」の動きを受け入れ難くしています。実は、タメを作るという動きが非合理的であることは簡単に説明できます。

ダウンで腕とクラブの動きを引き止めるのは、打球に向けての腕とクラブの動きにこれと反対方向の動きを加えることになります。これでは折角体が打球に向けて生み出すエネルギーを無駄に消費することになります。最終の打球動作の準備のための反動動作と捉える見方もあるかも知れませんが、実際にはこれは無駄な動きなのです。

これまでのこのブログの議論から、「核心打法」の体の動きは一貫して同じ方向に腕とクラブを加速し続けていることが明らかです。体の大きな筋群が生み出す力をすべて腕とクラブの加速に使っているわけですから、無駄なエネルギーの消費はないのです。「上体を右に回す」動きが、バックはもちろん、ダウンの加速にも使われているのです。

何がこのような迷信を生み出しているのか。これに注意して観察すると、脚腰背骨の動きの使い方の違いに原因があることが分かります。タメが必要になるのは、インパクトを腰の左への回転の動きで振る場合です。「核心打法」のダウンでは、尻を右方向に引き戻す動きで、背骨を右上方向に向けて引くように脚腰が踏ん張る、「上体を右に回す」動きで腕を振ります。

この場合の「上体を右に回す」動きでは、広背筋が引き伸ばされて腕が強力に振られると同時に、一瞬腰の回転が止まってインパクトの腕とクラブの直線的な動きの方向性が確保されます。すべてが合理的に実現するのです。次回は「核心打法」実現の最終的な鍵となった「マジック・グリップ」から、スイング全体の動きを引き出す話をします。

カウンターバランスの動き:実用化の完成

今回は下半身をカウンターウエイトとして利用する打法でボールを打つ時の動きの感覚と要領について書きます。これまで一貫して脚腰背骨の動きでクラブを振ることを追求して来ましたが、ここに来て一つ問題が発生していました。「マジック・グリップ」の導入です。下半身をカウンターウエイトとして腕とクラブを振る動作には、グリップの動きが決定的に関係します。

特に動きが捉え難い左腕の動きに関わる左手のグリップが問題です。大きな動きでクラブを振るには、グリップを含めた左腕の動きが重要になります。左の腕とグリップの感覚が明瞭でないと、打球の方向性が確保できないのです。

このためには、左の腕とグリップをしっかり固め、一貫してこの腕とグリップの仕組みを振る必要があります。左手の平の先端部分と指でグリップを握り、ヘッドを地面に押しつけるようにしてグリップを固めます。これでグリップと腕が一体化します。この時左手の背中が背側に反る背屈の動きが現れます。

スイング中にこのグリップの形を崩さないようにすると、グリップの背中がヘッドのフェースと一体化して、ボールを目指す形でインパクトに向けて左腕を振ることができます。これで打球の方向性が確保できます。

右手も同じような形で握りグリップを固めます。この時左手の親指をシャフトの上に置き、これを右手で握ります。左手の人差し指は右手の小指に軽く掛けます。これでグリップを押し出すようにして両腕を固めると、クラブが体に結びついて振られる体勢が出来上がります。

腰椎を左に引く動きでバックをスタートします。この動きは腰を左後ろ方向に引く意識で実行できます。右脚に荷重が掛かる所で右尻を左後ろ方向に引くように右脚を踏ん張ると「深いトップ」に入ります。この体勢にしっかり入れると、次ぎはダウンの動きです。

ここで腕を振る意識は捨てて、左グリップの背中がボールを目指す形に動くように尻を右に引き戻します。これでヘッドが先行する形にクラブが振られてボールを打ち抜きます。左グリップの背中に目がある感覚で、尻の引き戻しで振り抜けばよいのです。

腕に力を入れてクラブを振り、神頼みのヘッドの動きでボールを打つのではなく、尻の引き戻しで振る動きを左腕の動きで監視する感じになります。これで安定性を確保した動きが可能になります。

とにかく、始めの腕とグリップの構えがしっかり固まれば、あとは体の動きでクラブが振られ、その動きを監視するだけでスイングが安定に実行できます。バックをしっかり入れてダウンの体勢を確保し、尻の引き戻しでボールを狙えばよいのです。「核心打法」の完全実用化です。これから更にこの動きに慣れるための話を続けます。

「核心打法」に魂を入れる脚腰背骨の動き

「マジック・グリップ」の採用で体や腕の不要な動きが排除され、スイングの仕組みを、足の「螺旋」の動きを入力クラブの動きを出力とするシステム、と捉えることができるようになりました。問題はこのシステムを駆動する体の動きの作り方です。

「核心打法」のバックスイングは腰椎を左に引く背骨の動きが生むと捉えて来ました。この動きでは腰の背中が左後ろ方向に引かれます。これで下半身の目方が左後ろ方向に移ることになり、これとバランスするように上体が腕とクラブを右上後ろ方向に引きます。これと共に右尻が後ろ左方向に引かれて右脚が踏ん張り、腕とクラブが「深いトップ」に入ります。

こうして左後ろ方向に引かれた下半身を、尻を右にに引き戻すことで簡単にクラブが振れます。これらの動きでは下半身の動きで腕とクラブの動きが引き出され、腕がクラブに引かれる感じにクラブが走ります。

この動きのイメージは投石機(回転軸をで支えられた棹(さお)の先端に石をぶら下げ、反対側の先端に載せた重しを落下させることで大石を遠くに投げた古代の武器)の動きのイメージを、横回転も可能な軸受けに拡げたものになります。この場合の重し、いわゆるカウンターウエイトの動きを腰の動きが実現するわけです。

「マジック・グリップ」を固めてクラブを握り、この形の動きでクラブを振ると、重いクラブでも楽々と振ることができます。クラブと下半身が引っ張り合う形になり、「クラブに腕が引かれる」感覚になります。ワイヤーの先に付いた砲丸を振り回して投げるハンマー投げの動きに似た動きになり、腰の打球方向への動きで直接クラブを引っ張る動作はありません。

このスイングの動きは、体とクラブの作るシステムのバランス保持の作用を利用するもので、この動きを支える背骨の動きはバックの場合だけではなく、ダウンでも「上体を右に回す」形になります。腕は一貫してクラブに引かれる形になり、自分の動きでクラブを引っ張る場合に比べて伸びるために、自分の動きでグリップを引っ張る場合とは違った腕の動きになります。

このスイングの動きでは、動きの方向転換は膝のピボット(回旋軸)の動きで実現します。したがって、スイングの動きは膝の動きに注目することで調節できます。

気分の良い動きですから、とにかく試してみて下さい。これで完成版「核心打法」に魂が入ります。実際にボールを打った時の動きの感覚や要点については、あらためて次回に書きます。

“叩く”vs肩と腕の「魔法の動き」で押し切る

ベンチュリーの“叩く”という表現は、「ヘッドを振り下ろす」という意識の動きを意味しているように見えます。この意識で動きを作ると、腕が伸びてグリップがアンコック(小指側に引く)の動きになります。ただし、この場合の腕を伸ばす動きは、腕の裏側の筋群が緊張して縮みグリップを手前に引く動きに拮抗して現れる動きです。

これは刀で斬りつけながら手前に引く形の動きで、最終的には腕が固まって縮み、グリップを引く動きが現れます。インパクトで勢いを付けてこの動きを実行すると、腕が縮んでヘッドがボールに届かなくなります。これがベンチュリーの話の発端です。これを避けるために腕を脱力して伸ばすと、リストがアンコックしてヘッドを引き込み、その求心力でヘッドが走ります。

これがベンチュリーの言う、両手とクラブヘッドのリリースです。これで目出度し目出度しのように思われますが、両手がアンコックしたリストは自由に左右に回ります。腕の脱力で力が加えられなくなる上に、これでフェースのコントロールも難しくなります。このように見ると、リリースという動きには良いところはないように見えます。

リリースも“叩く”も、その問題の原因は、腕を主体とする動きの意識にあります。ゴルフのクラブの動きは、クラブの動きを地球に結びつけて振る体の動きが生み出すものです。オーケストラの指揮者が指揮台から飛び上がって指揮棒を振っても、微細で優雅な手先の動きは出せません。地球に繋がる動きが必要です。

「核心打法」では、グリップを体に繋ぐ肩と腕の「魔法の動き」が、クラブと地球の繋がりを生みます。肩と腕の「魔法の動き」が腕を伸ばし、この動きが背中の広背筋を引き、これが更に腕を伸ばして肩と腕の「魔法の動き」を強めます。この動きでグリップがコックと背屈を強めて固まり、インパクトではこの固まったグリップが左へ引かれます。

この説明ではまだ腕の動きでスイングを作り出しているように見えます。これでは完成版「核心打法」(07-11-18)の「クラブに腕が引かれる」感覚の動きにはなりません。これを具体化するには、この腕の動きを生みような体の動きを作る必要があります。これには地球の上でバランスをとりながら体を動かす仕組みを利用します。これでクラブが楽に振れるようになります。

詳しい話は次回に回します。