ゴルフ直線打法 -27ページ目

右腕と左腕が共同して働くイメージ

これまでの支配的なゴルフ「理論」では、右腕と左腕は敵対的な関係にあるものとされて来ました。これでは二本の腕を持つメリットの十分な利用は不可能です。これがスイングを難しいものにして来たことは確かです。前回(08-01-19)に検討した三角筋(肩と腕を繋ぐ大きな筋)の働きを理解すると、両腕の動きの合理的な利用方法が見えて来ます。

前回の検討結果によれば、肩と腕の「魔法の動き」で、右腕では三角筋前部、左腕では三角筋後部が腕を引き上げるように働くことが分かりました。この結果から、右腕上端前部と左腕上端後部の緊張を対応させて捉え、丁度これらが一つの平面上で働く感覚を生むように腕を振れば、両方の腕が「仲良く」共同して働くスイングのイメージが実現することが予想できます。

この両腕の共同感覚は極めて自然です。腕を伸ばして「マジック・グリップ」を固め、右腕前部と左腕後部で一つの平面を描く意識で振れば、小さな動きのチップ・ショットでは簡単確実に狙った所に真っ直ぐボールが飛びます。

この簡単なイメージで大きく素振りをしてみると、極めて気持ちよく振れることが確認できます。試してみて下さい。これで新しいスイングの世界が見えて来そうな気がします。

ところが、両腕が共同して振るスイングの動きは良いのですが、パワー確保の観点からは大きな危険が潜んでいるのです。その話は次回に。

ここまでが始めに予定した今日の話ですが、気がついてみると最近の話はどうも面白くありません。スイングの動きを確定することに集中していて、いわば無味乾燥です。研究の過程では、ある時思い掛けない発見、すなわち開眼を経験します。その瞬間に新しい視界が開け、これで一歩前進します。この楽しさの話がなくなって来ているのです。

そこで、次回にはできれば「開眼特集」ということで、現在の「核心打法」の構成要素の体感的把握の羅列、いわばワン・ポイント特集を試みたいと思います。

左上腕の動きの構造

最近の話で、「核心打法」の左腕の動きがこれまでの通念と全く異なることが明らかになりました。この動きの要点は前回(0-01-18)の次の説明に要約されています。

「対応する左腕の動きでは、アドレスの構えで左手と左腕を固めて伸ばし、固めたグリップを右肩外側方向に押し上げると、左前腕が回外しながら上がります。ここから左肩を右前に引き出してグリップを「深いトップ」に入れると、膝のピボットの動きと共に左前腕が回外して左肘が引き込まれ、左グリップが背中側に反ってダウンの方向に向きます。

更に左腕を伸ばしてグリップを右脇前に引き下ろせば、脚腰背骨が肩を右回りに回す形に踏ん張って腕が左回りに回りながら伸びてダウンが実現します。このダウンの限界で更に脚腰背骨の踏ん張りを強めると、腕が左回りに回りながら体の前を引き抜かれてインパクトが実現します。」

実際に動きを作ってみれば、確かにこのような動きでボールが打てるのは分かります。しかし何故このような動きになるのかは明瞭ではありません。これでは、従来の例と同様な勝手な左腕神話の一つと見なされる危険があります。そこで、腕の動きの仕組みから見るとこれが自然なものであることを確認したいと思います。

スポーツ医学の草分け的存在であるフランク・ジョーブ博士等による著書「ジョーブ博士のゴルフ・フィットネス」(Frank W. Jobe M.D. & Diane R. Moyes M.S., R.P.T. 大畠襄監訳 河野照茂・古賀弘之訳 ソニー企業株式会社 1990)では、上手なゴルファーは、腕の縦軸回りの回転の動きに関わる肩回旋筋腱板を主に使い、肩と腕を繋ぐ三角筋はあまり使っていないとされています。

ところが、今回の左腕の動きは、この三角筋の働きに注目するとよく理解できるのです。三角筋は腕の外側上端外側を覆う大きな筋で、前部、中部、後部の三部分で腕を肩の仕組みに繋いでいます。前部は腕を内側に回しながら引き上げ、後部は腕を外側に回しながら引き上げます。右上腕内旋、左上腕外旋の「魔法の動き」では、右腕は前部、左腕は後部が働くことになります。

この左腕の三角筋後部の働きが理解し難いために、これまでの左腕の議論の混乱が生まれたと思われるのです。もちろん、肩と腕の「魔法の動き」には肩周りや胸周りの強い筋群が複雑に絡み合って動いていますが、腕を回す肩回旋筋腱板の動きと共に上腕を回しながら引き上げる三角筋の大きな筋の働きは、上手く使えば重要な働きをするであろうことは確かです。

「魔法の動き」の腕の動きとしては、この他に右前腕の回内、左前腕の回外の動きがありますが、これらは肘から先の動きになります。そこで左腕をぶら下げて、上腕を外側に回しながら引き上げる動きを試してみて下さい。この動きと共に、左肩甲骨が右前方向に引かれ、肩を右に回す動きと共に腕が外旋して引き上げられるという複雑な動きが現れます。

この三角筋左後部と右前部の対応で、簡単な動きのイメージが生まれます。その話は次回に。

「核心打法」の腕の動きを試す

前回(08-01-17)の話で、「腕を伸ばす打ち方で決定的なのは、脚腰で肩を右回りに押し上げて腕を振ることです。肩が左に回るとシャンクします」と簡単に書かれているのは、これまで繰り返し登場してきた「上体を右に回す」という、一方向の脚腰背骨の動きです。この動きは「核心打法」では決定的な動きですから、これを体感的に確認することにします。

まず右腕一本でこの動きを体感することにします。右手と腕を固めて、右肩を後ろ上方向に引く肩の「魔法の動き」で引き上げると、腕が内側に回りながらグリップが右肩外側に引き上げられます。ここから右肩を後ろ、左肩を前に引くように上体を捻ると、右前腕が更に内側に回り、手の平が右脇前方向を向いて、ダウンの体勢に入ります。

立ってアドレスの構えでこの動きを実行すると、最後の「深いトップ」への動きで、両膝が左に引かれます。膝が動きの方向転換のピボットの働きをし、ここからグリップを右脇前に引き下ろそうとすると、脚腰の踏ん張りで右肩が後ろ方向に押される形になってグリップが引き下ろされます。こうしてバックと同じ地面を押す脚腰の動きが、グリップを引き下ろします。

バックの動きで現れる地面を強く押す脚腰の動きが、「深いトップ」への右前腕回内の動きに伴う両足の「螺旋」の動きの働きで、こんどはダウンの引き下ろしを実現するわけです。こうしてバックの肩の動きを継続する形で強力なダウンの動きが実現します。ここで肩を左向きに回す動きに入ると、腕が外側回りにまわって、グリップが右外側に投げ出されます。

対応する左腕の動きでは、アドレスの構えで左手と左腕を固めて伸ばし、固めたグリップを右肩外側方向に押し上げると、左前腕が回外しながら上がります。ここから左肩を右前に引き出してグリップを「深いトップ」に入れると、膝のピボットの動きと共に左前腕が回外して左肘が引き込まれ、左グリップが背中側に反ってダウンの方向に向きます。

更に左腕を伸ばしてグリップを右脇前に引き下ろせば、脚腰背骨が肩を右回りに回す形に踏ん張って腕が左回りに回りながら伸びてダウンが実現します。このダウンの限界で更に脚腰背骨の踏ん張りを強めると、腕が左回りに回りながら体の前を引き抜かれてインパクトが実現します。

左手にクラブを握り、ヘッドをボールの右後ろに置き、この形の腕の動きが実現するように脚腰を踏ん張って腕を振れば、小さな動きでもしっかりボールを打つことができます。もちろん右手を添えて同じように動かせば、楽に確実なチップ・ショットが実現します。

しばらく大きなスイングの動きの話に集中している中に、基本的な肩と腕の「魔法の動き」に対する注意が薄れましたが、これは危険です。「核心打法」の実現には肩と腕の「魔法の動き」は不可欠で、これまで繰り返し登場して来た「上体を右に回す」動きは、一貫して肩と腕の「魔法の動き」を実現する脚腰背骨の動きが生むのです。

特徴的な左腕の動きを固める

先入観念の影響が更に強いのが左腕の使い方です。インターネットで調べると、「真っ直ぐな左腕」(straight left arm)の議論が殆ど無限に繰り返されています。これは、左腕の使い方について、理論的にも筋が通り実用上も有効な、納得のできる説明がないことの証明です。これならば何を書いても叱られることはなさそうです。そこでまず右腕の話から入ることにします。

多くのゴルファーは、右肘を体に引きつけてインパクトに向かいます。ところが、右肘を前に押し出してもボールは打てるのです。手を握り肘を伸ばして固めた右腕には、右肘を前に押すか手前に引くかで、二つの安定な位置があることが分かります。実際の打球動作ではこの二つのポジションの何れかでボールを打ちます。

感覚的には、前者ではヘッドを押し、後者では引いて打つ感じの動きになります。これまでのゴルフの世界では、引いて打つ動きの教えがかなり支配的です。脇を締めて打つという教えがこれです。しかし多くの強打者は右肘を押し出し、腕を伸ばして打っています。

腕を伸ばす打ち方で決定的なのは、肩を右回りに回し続けて腕を振ることです。肩が左に回ると腕が脱力してシャンクします。この辺りの具体的な動きの作り方は、次回に体感的に説明します。

更に問題なのは左腕の動きです。左手の平を斜めに横切る形にクラブを持ち、左親指の根元の膨らみでクラブを押さえるように握る伝統的なグリップで、腕を軽く右に振り左に引き戻すと、手首が左回りに回り(左前腕回外)手の平が内側に巻き込まれ、左肘が外側に張り出す形になります。この左腕でクラブを左に引いてインパクトを実行します。

この左腕の動きが、直線的なインパクトを生む重要な左腕の動きとされて来たのですが、この腕の仕組みには緩みがあります。右手でこの形の左腕を軽く前後に振ってみると、ゆらゆら動きます。これではヘッドを安定に保つのは難しくなります。この現象の原因は、左手のグリップを引く動きで、腕が手前に引き込まれることにあります。

左腕を強い体勢に保つには、左肘を外側に回しながら前に押し出して腕を固める動きが必要です。左手でグリップを外側から握る「マジック・グリップ」で肘を前に押し出せば、この強い左腕の体勢が出来上がります。「深いトップ」の方向転換の動きで、左右の前腕が左回りに回り、左肘が内側に引き込まれてインパクトに向けた体勢に入り、ダウンで腕を伸ばして左に振り抜きます。

左腕は肘が内側に引かれて腕が伸び、左グリップは背中側に反るように緊張してインパクトを実行します。伝統的なグリップでの弱い左腕の体勢とは全く違います。「マジック・グリップ」でクラブを握り、両腕を強く伸ばしてヘッドをボールの右手前に置けば、インパクトに向けた両腕の体勢が出来上がり、両脚腰の踏ん張りで腕を左に引き抜けばインパクトの動きが実現します。

ここ迄、左腕は一貫して肘が左に回り、単純な直線ではありません。体感的な確認は次回に。

ボールを打つ動作についての誤解を排除する

今回は左腕の動きの再確認の話を予定していました。しかし、これに関係するインターネット上の議論を眺めたり、多くのプロの動きの写真を眺めたりしている中に、左腕の動きの話は、スイングの体の動きについての先入観があると受け入れられないとに気がつきました。そこで分かり切ったような右腕の動きの再確認から始めることにしました。

典型的な先入観念は、腰の左回転で腕を振りボールを打つというものです。ところが、右手をグリップの形に握りってトップの位置に上げ、そこから腰を左に回すと、右肩が前に引き出されてグリップは右の外側に振られます。これはグリップの打球方向への加速ではなく、逆に減速する動きです。ダウンでこの動きが現れると、これを埋め合わせる余計な動きが必用になります。

次ぎに右グリップをトップの位置に上げ、そこからグリップを素早く右脇前に引き下ろしてみます。この動きでは脚腰が固まって、腰の左への回転を止めます。更にその先まで右肘を伸ばしてグリップを押し下げると、脚腰が右肩を押し上げるように動いてグリップが強く左に引かれます。この右腕の動きは、インパクトに向けてクラブを強力に引きます。

この時の右腕の動きは、腰を左に回す時の右腕の弱い動きとは全く違います。よく見るとこの右腕の振り下ろしでは、脚は腰の左回転を引き止めるように踏ん張ります。腰が左に回っていては強くボールを打てないのです。右腕で強く打つには、ダウンの初期の腰の左への動きにブレ-キを掛けて右腕を引き下ろし左に振るのです。

体重移動を重視する人達は、このブレーキの働きを利用しているのです。右脚に体重を移動すればその限界で体の安定を保つために腰が後ろに回って腕を右から上の後ろに振ります。ここから体重を左足に移動させれば、腕はこれに引かれて下りて来ます。更に体重移動を強めれば腰が左に引かれてその限界で腰が後ろに引かれ、この動きで腕とクラブが前に振られます。

インパクトでは、目標方向に向けた腰の左回転ではなく、上体の左への前進を引き止める背骨の動きを生み出すように尻が右に押されて腕を振っています。自分が思っている腕の動きの方向とは反対方向に背骨を動かして腕を振っているのです。例の「背骨を右に回す」動きです。腰と背骨を一体化して左回りに振ると、ボールは強く打てません。

馬鹿馬鹿しい話のようですが、この辺りの問題を考える時には、言葉の使い方を慎重にする必要があります。単純な思い込みで捉えた動きの意識で振っていると、どんなに頑張ってもスイングが改善されなくなります。こんな時に上手な人のワン・ポンイントの指摘でスイングが良くなるのは、この思い込みが直るからです。

優れたプロのインパクトの写真では、必ず上体が右に傾いています。上体を打球方向と反対方向に回す動きがあることの証明です。脚腰はこの動きを生み出すように働いています。この動きを積極的に利用するのが「核心打法」です。

グリップが腕の動きを決める

スイングの効果を決めるのはインパクトの動きです。この時の腕の動きを決めるのはグリップの形です。グリップの形が変われば、クラブを動かす腕の動きが変わります。意外にも多くのゴルファーがこの決定的な事実を認識していないのです。特に様々な迷信を生み出して来ているのが左手のグリップの形です。

左手を真っ直ぐ伸ばして左脇前に下げます。ここから少し左手の平を右に回してから握り拳を固めると、左手首が左に回って通常のアドレスの腕の構えになります。この時の左手の握りが伝統的な左手のグリップになります。ここから左腕を右に軽く振ると、左前腕が内側に回ります。「反魔法型」の動きです。これを確認してみて下さい。

次ぎに、同じように左手を真っ直ぐ伸ばして左脇前に下げ、少し左手の平を左に回し、そこで握り拳を固めると、そのままの位置で左手のグリップが出来上がります。これを通常のアドレスの構えの位置まで体の前方向に引いてアドレスの体勢を作ります。この時のグリップが左手の「マジック・グリップ」です。

ここから左腕を右に軽く振ると、今度は左前腕が外側に回ります。これが腕の「魔法の動き」です。このように左グリップの形一つで、左腕を右に引く時の腕の動きに違いが生まれるのです。体の動きでクラブを振る場合には、グリップが決める腕の動きが無意識の中に現れることになります。これまでの肩と腕の「魔法の動き」の話では、この点の詳しい説明が欠けていました。

結局、一貫して肩と腕の「魔法の動き」で腕を固めて振るには、少なくとも左手のグリップは「マジック・グリップ」でなくてはならないことがこれで分かります。右手のグリップについても同じように一旦外側に手の平を回して握り拳を作り、これをクラブの位置に引けば「マジック・グリップ」になり、腕を右に引けば右前腕が内側に回る「魔法の動き」が現れます。

このようにして固まる「マジック・グリップ」では、アドレスの構えで固まる両腕でグリップが肩に繋がり、肩からグリップまでが一体化します。これに対して従来型の伝統的な左手の握りででは、左前腕の動きが排除できません。これがスイングに様々な変種を生み出しているのです。

右腕を強く使おうとするゴルファーは、自然に右手を「マジック・グリップ」型に握り右腕を伸ばして構えます。しかしこの場合でも左手が従来型のグリップのままになっている例が多く、このためインパクトの動きについていろいろな名案珍案が考え出されているのが実情です。素人ゴルファーはこれに翻弄されることになります。

この弱い左前腕の動きが、地球との関係を無視して、能率の悪い腰の回転を要求することになります。これを避けて体の右側で振り切ってしまう「核心打法」の左腕の動きを、あらためて次回に確認することにします。


スイング動作を構成要素で捉える

すべてのスイングの動きは、グリップを左右に振る腕の動きと、グリップを上下に振る動きの合成で出来上がっています。右に振るバックの動きの極限ではグリップが引き上げられます。始めに右腕でグリップを引き上げてバックの動きを作ろうとすれば、左腕が右に引かれます。どちらか一方の動きだけでボールを打っている人はいません。

ダウンの動きも同様で、左腕の左への引き戻しでダウンを実行すれば、その極限でグリップが引き上げられてフィニッシュに入ります。右腕の右脇への引き下ろしでダウンを実行すれば左腕が左に引かれてインパクトに入ります。それぞれの動きを先導する腕の働きに注目すると、左右の動きは左腕、上下の動きは右腕になることが分かります。

前回(08-01-13)の「左右と左右」「左右と上下」「上下と左右」「上下と上下」の4つのパターンは、バックとダウンを、それぞれ「左腕、左腕」「左腕、右腕」「右腕、左腕」「右腕、右腕」の組み合わせで主導することを示しています。実際のスイングは、この四つの型に分類されるわけです。

インターネット上の動画で見ると、ベン・ホーガンは「左右と左右」型、タイガー・ウッヅは「左右と上下」型に見えます。オーストラリアのゴルフ教師ゲーリー・エドウイン氏がRIGHT SIDED SWINGと呼ぶスイングは「上下と左右」型に見えます。アメリカでプレーするGavin Colesと、プロ宣言をしたばかりの石川遼君選手のスイングもこの型に見えます。

「核心打法」は「上下と上下」型で、バックもダウンも右腕主導になります。ジョン・デイリーやその他の飛ばし屋や、欧州で活躍するコーリン・モンゴメリー、等のスイングは左腕の使い方の細部を除けばこの型に見えます。

「核心打法」が一般的でないのは、この打法の動きの作り方が感覚的に理解し難いことにあると思われます。この動きの作り方については、このブログで詳しく書いて来ていますが、それでもブログを読む人には分かり難いのです。その原因は、この動きを支えるのが、複雑な動きをする背骨であることです。

ところが、この問題は簡単に処理できます。背骨が自動的に頭を安定に保つように働くことから、脚腰が安定に働くようにアドレスの構えを固めれば、腕の動きは両足の動きで決まります。「左右」の動きは、足の縦方向の軸回りに足先が左右に回転する「回転」の動き、「上下」の動きは両足の踵で地面を押す「螺旋」の動きで実現することが分かります。

これでスイングの構造の全てが簡明に捉えられたような気がしますが、スイングの細部を決めるものとして、グリップの問題が残っています。肩と腕の「魔法の動き」の完全実行で「核心打法」を実現するには、「マジック・グリップ」が必要なのです。次回にこの辺りを検討します。

スイング動作の「四区分」

インターネット上の動画で、一見全く同じように見えるスイングでも、インパクトの時点での両肩の位置を検討すると、違いが明瞭になることがあります。そこで、インパクトの肩の動きに注目してみます。

ホーガン流の「回転打法」のインパクトでは、左肩が後ろに引かれて上がり、右肩が前に引かれて下がる動きが現れ、両肩がアドレスの位置より左に移動し頭の位置が下がります。これに対して、インパクトで両脚を踏ん張る動きを加えると、右肩の位置がほぼアドレスの位置に止まります。この動きで右グリップを押し出す強い右腕の動きが利用できます。

「核心打法」ではインパクトで頭を安定に保つ背骨の動きが現れ、腰の左への動きに対して背中を右に引く「上体を右に回す」動きが左右の肩の位置をほぼアドレスの位置に止めます(「「上体を右に回す」動きを確認する」(07-12-20))。

両手を「マジック・グリップ」の形に握り合わせてアドレスの体勢を作り、額の先端を軽く柱に触れたまま「核心打法」の動きを実行してみると、頭の位置が殆ど動かないことが確認できます。このことから、「核心打法」では頭の位置を安定に止める背骨の働きが妨げられることなく、これに関係する脚腰の動きが完全に利用されていることが分かります。

インパクトの時点で頭の位置が安定に保たれ、両肩の位置もアドレスの位置に近ければ、アドレスで決めた目標との関係を意識してショットが実行できます。ショットの正確性の観点からは当然この方が有利と想像できます。不要な動きがなくなれば不確実性が減り、スイングも確実になる筈です。これが「核心打法」の特色です。

それにしても、様々な人々がそれぞれ異なった動きでボールを打つのを眺めていると、その内に「ミイラ取りがミイラになる」という具合に、自分の動きがおかしくなって来ます。これを避けるため、スイングの動きの意識に二種類あることを確認します。それは腕の左右の動きでクラブを振ろうとするか、上下の動きで振ろうとするかの二通りの意識です。

実際のスイングは、バックとダウンをこの二通りの意識の動きの組み合わせで実行します。そこで「左右と左右」「左右と上下」「上下と左右」「上下と上下」の4つのパターンのスイングが生まれます。それぞれの動きを対応する脚腰の動きが支えます。意識は「二分」されますが、バックとダウンの組み合わせで、動きは「四区分」されるのです。これで全てが簡明になります。

実際にこの意識でグリップを動かしてみてください。そこで分かることは、「上下と上下」の組み合わせで振ることの難しさです。実は、これが「核心打法」の動きです。「核心打法」の評判が良くないという友人の意見も頷けます。しかし、これらの「区分」を腕の動きで捉えると、すべてが簡明になり問題はなくなります。その話は次回に。

インパクトの左腕の動きに注目

左手を被せて握る伝統的グリップを腰の左回転で振り抜く「回転打法」では、インパクトで打球の方向を確保するために、前腕を左回りに回す動きが必要になります(「「核心打法」と「新回転打法」の違い」(08-01-06))。この動きが左前腕回外の動き、すなわち左前腕のスピネーションを要求します。この動きで左手首が内側に巻き込まれる形でクラブを左に引きます。

この左前腕回外の動きの重要性が広く知られると、これと異なる動きではインパクトでのヘッドの直線的動きは確保できないという思い込みが生まれます。ところが、この動きの必要性は、左手の平でクラブを上から押さえるように握る、伝統的支配的な左手のグリップ(インター・ロッキング・グリップを含む)の仕方に原因があるのです。

アドレスで、ホーガン流のグリップから左手首を左に回し、クラブを横から握る形に変えて「回転打法」で振り、インパクトでボールに向けてヘッドを振ると、肩と腕の「魔法の動き」が現れて左脚が踏ん張り、腰が上がります。このグリップでウェッヂを振りチップ・ショットを試すと、実に簡単に打てることが分かります。インパクトで特別の腕の動きの意識が要らないのです。

このグリップは95年の全米オープン優勝当時大活躍し、最近も復活優勝を果たしたコーリー・ペイビン(Corey Pavin)が使っています。ペイビンは腰を回して振る「回転打法」でこのグリップを使っています。ドライバーの飛距離は平均以下でも方向性が良く、パットも上手で結局良いスコアを確保しています。

「核心打法」の場合には、「マジック・グリップ」で握り腕を伸ばすダウンで右脇前にヘッドを押し下げ、そこから広背筋の動きで左に腕を引き抜きます。このダウンの動きでは、左前腕は外側に回りながら伸び、左手首も外側に回ってグリップが固まります。これは「核心打法」のダウンの動きの要点です。

「核心打法」のダウンで現れる、左上腕の外旋(外側回し)と共に現れる左前腕回外の動きと、腰の左への回転で左上腕が内側に回って(内旋して)体側に引き付けられるダウンの動きとでは、インパクト圏でのグリップの固まり方が全く異なります。

左グリップの手首を外側に回して握り、腰の回転によるダウンで振るペイビン型の打法は簡単で、しかも簡単に打球の方向性確保ができます。これを試してみると、ホーガンの「良いゴルフは良いグリップから始まる」という言葉に続くグリップの説明は、一般のゴルファーに有用なグリップの一つの型を排除する、偏った見方を示している感じがます。

腕の動きは複雑多様で話は分かり難くなります。早くすっきりした話に進みたいと思うかも知れませんが、その前にもう少しスイングの動きの多様性を外から観察したいと思います。

インパクトの腰の動きに注目

バックもダウンも腰を回してクラブを振る「回転打法」では、両足の先端が足の縦の軸回りに回る「回転」の動きが現れ、ダウンでは腰が一気に左に回ります。

この動きに腕とクラブが遅れて、両前腕が右回りに回る「反魔法」型の動きが現れます。そのままではバンカー・ショット型の動きになり、通常のショットには適さないものになります。そこでインパクトで左腰を後ろに引き込み、グリップを手前に引き出してボールを打ちます(「「核心打法」と「新回転打法」の違い」(08-01-06))。当然腰の正面が左に向きます。

このスイングの動きを外から見ると、腰の左への回転で左上腕が体に引きつけられ、脇の締まった体勢で左肩が上がります。これに対して右腕は肘が右脇に引きつけられ右肩が下がった体勢でインパクトに向かいます。インパクトの一瞬両前腕が左回りに回ってボールを打ちます。

この動作で右肘が伸び、右腕が左肩外側に向けて勢いよく振られます。しかしこの右腕の勢いのよい動きは、インパクト後の動きでボールを打つ役には立ちません。それでも外から見ると実に力強い動きのように見えます。

これに対して、インパクトで左の脚腰の縦の踏ん張りが入り腰が上がるスイングの場合には、腰の左への回転が止まり、右腕が伸びてインパクトに入ります。この右腕の使い方で、右利きの場合には、強い右腕の突きの動きでヘッドを押すインパクトが実現します。

右肩を下げて右脇に引きつけられた不自由な右腕の動きでインパクトに入るか、肩が引き上げられて右肘が伸び、強力な突きの動きでインパクトに入るかで、スイングの結果は大きく異なります。体力が不足気味のゴルファーはインパクトのこの動きを十分考慮に入れる必要があります。

よく検討してみると、インパクトの腕の動きを決めるのはインパクト時点での足の動きであることが分かります。その話に進む前に、従来から重視されて来たインパクトの左腕の働きもよく見て置く必要があります。