ゴルフ直線打法 -26ページ目

パワー源の働きでスイング面を捉える

今回はスイング面の構造をスイングのパワー源の働きで捉えることを試みます。これは難しい問題です。構造の複雑な背骨の動きが関わり、いろいろ尤もらしい推測を展開する必要があるのです。そこで体感的な確認が要求されることになります。話は「核心打法」に限定します。これだけでも十分すぎる程面倒な話です。

まず、「核心打法」の背骨の動きについて、これまでの説明では、腰椎部分(腰)が左に引かれて右に回り、これに繋がる胸椎部分(胸)が右に引かれて左に回り、その上の頸椎部分(首)が左に引かれて右に回るとして来ました。腰の部分の動きは試してみればすぐ分かります。これに次いで胸の背中を右に引くと、右に向き掛かっていた胸が正面向きに引き止められます。

椅子に座って両手を体の前でグリップの形に握り合わせ、腰の回転を止めてこの背骨の動きを試すと、グリップが左回りに回りながら、始めに右に引かれ、肩の動きが加わって方向転換し、体の正面に引き戻されます。腰椎部分と胸椎部分の動きが順次現れるわけですが、この動きだけでは実用的なスイングにはなりません。

立ってアドレスの体勢で膝を固めてこの動きをすると、脚の緊張が生まれて足が地面を押し、これでグリップに上下の動きが加わり、ダウンの動きでは正面を通して左に引かれます。これで微小なスイングの動きが出来上がります。ここで地面を押す脚の動きを強めると、背骨の動きが脚に繋がって膝の動きが大きくなり、これにつれてスイングの動きも大きくなります。

こうして、スイングの主なパワー源として捉えた、背骨を右後方に押し伸ばす動きの仕組みが、背骨と脚腰の共同作業として実現することが、一応体感的に確認できます。そこで、この背骨の動きが、腕の振りとどのように繋がっているのかを、より具体的に捉えることを試みます。

背骨に繋がり腕の振りに関係する大きな筋としては、上腕前面上部を後背下部の腰の辺りに繋ぐ広背筋と、肩甲骨を後背上部に繋ぐ僧帽筋があります。広背筋は腕の上下左右の大きな動きを生み出しますが、これを引き伸ばして力を出させるには腰と肩の距離を増す必要があります。僧帽筋は肩甲骨の上げ下げや、肩の「魔法の動き」を含む回転的な動きを生みます。

この仕組みから、腰椎部分の動きが生み出す、背骨を右後方に押し伸ばす動きが広背筋の活動を引き出して腕を強く振り、胸椎部分の動きが生み出す僧帽筋の動きで、「深いトップ」への動きを含む腕の動きの方向転換を実現していると考えると、スイングの腕の動きの仕組みが納得できます。これらの見方はごく大まかなものですが、当たらずといえども遠からずと言えるでしょう。

「マジック・グリップ」でクラブを握り、肘を伸ばして肩とグリップを緩みなく繋ぐ体勢を作り、これを背骨と脚腰の共同作業で振れば「核心打法」の動きが実現します。このスイングの動きには無駄がなく構造は明確に決まります。この形の動きを外から見てスイング面のイメージで捉え、同じ動きを作ろうとしても、無数の細部の調整が必要になります。その差は明瞭です。

「スイング面」のイメージの曖昧さ

「結局犬が尻尾を振る?」(08-01-22)では、バックの終期に「深いトップ」への動きをしっかり実行すると、両腕の描く平面がバックの面からダウン方向に向けた面に切り替わり、これがホーガンの捉えたダウンスイング面への乗り換えに似ていることを指摘しました。

ホーガンのスイング面の捉え方に従えば、ダウンではバックスイング面とは異なるダウンスイング面に沿って振ることになります。この意味ではホーガンは二つのスイング面で振ることになります。ところが以前の議論に登場したジム・ハーディーは、ホーガンを一平面型に分類しているのです(「再び「スイング面」無用論」(07-06-11))。

このことから、スイングを目で見た腕の動きの意識で捉えると、解釈の曖昧さから逃れられないことが分かります。ホーガンの説明に従えば、ダウンではインサイド・アウトの動きで目標線に近づきます。このためには、ダウンへの準備で左肩を前、右肩を後ろに引く動きが必要です。この動きで左上腕の前上部と右上腕の後上部が緊張します(「反魔法型」の動き)。

ダウンではこの体勢が保たれたまま、ヘッドがボール方向に引き下ろされて行きます。結局、バックで生まれた左上腕の前上部、右上腕の後上部の緊張が、そのまま保たれてダウンに入ります。一定の両腕の体勢を保ってバックとダウンが実行されることになります。

ハーディーの言う一平面型とは、この一定の腕の体勢で振ることを指しているように見えます。これに対して二平面型は、体の右側に真っ直ぐ引き下ろしてそこから左に振るという、「核心打法」に似た動きのイメージで定義しています。この場合は、インパクトに向けての動きに入るタイミングが難しいと言うのです。

ところが、右上腕の前上部と左上腕の後上部の緊張(「魔法型」の動きが生む)を一貫して維持する「核心打法」では、インパクトへの方向転換は自動的に発生し、タイミングの難しさはないのです。ホーガン型の打法を一平面型とするならば、この「核心打法」も、一定の「魔法型」の腕の動きで振る一平面型と呼ぶべきでしょう。

ハーディーの二分類にもかかわらず、「スイング動作を構成要素で捉える」(08-01-14)で見たように、現状では四種類のスイングが使われているように見えます。これらは、バックとダウンの動きを、「魔法型」と「反魔法型」の動きの組み合わせで実現するものと考えると納得できます。もちろんこの他にも足の動きの違いが生む、無限の変種の可能性があります。

目で見る動きの解釈は先入観念に左右されます。ハーディーの多年にわたる努力にもかかわらず、スイング面の形のイメージだけでは、動きの仕組みは捉えられなかったのです。他山の石とすべきでしょう。そこで次回は、スイング面の構造を、スイングのパワー源の働きに結び付けて捉えることを試みます。

足の動きと体重移動

「核心打法」の話が続くので、今回はそれ以外の打法に関わる話を試みます。

バックで右脚に体重が掛かると、「自然に」ダウンは右脚の動きで入ります。この時右足先端部を足の縦軸回りに回す「回転」の動きに入ると、足先内側が地面を右に押す形になり、腰が左に回ります。この動きを受ける左足は、足の外側で体重を受け、縦軸回りの「回転」の動きに入ります。この動きでは左膝が外向きに引かれ背骨は左に回ります。これがダウンの体重移動の動きです。

腰を右に回す動きでバックに入ると、体重が右足外側に掛かり、左足は先内側が地面を左に押す形に縦軸回りに回り踵が浮きます。このようにバックで右足に体重が掛かった状態からでも、ダウンで右足を「螺旋」の動きに入れれば、右足内側が地面に食い込む形で右脚が強く踏ん張り、左脚も腰の回転を引き止めるように踏ん張ります。この動きでグリップが強く右脇前に引き下ろされます。

腰の左回転でダウンに入っても、左脚の踏ん張りで腰の回転を止めて腕を振ることも可能です。左の壁を目指して振るという、古い教えに対応する動きです。腰の左回転でダウンに入り、左の壁もなく一気に左に回し切る打法もあるようですが、この動きを試すと、右肩が落ちてヘッドが地面を掬う形のインパクトになることが分かります。これは芝を削り取る動きです。

「螺旋」の動きでダウンに入れば、腕の上下の急速な動きでヘッドが引き下ろされ、続く動きで直線的に左に引かれます。両脚が一体となって踏ん張り、体重移動を食い止めます。「回転」の動きで振ると、腰が回り体重移動が現れます。体重が移動している間は、腕は引かれて動くだけで、ヘッドを打球方向に加速する力を加えるのはインパクトの一瞬だけになります。

以上の話は馬鹿馬鹿しい程簡単なものですが、楽に振れるクラブを右腕で握り、これらの足の動きの形を意識的に作りながら振ってみて下さい。ごく簡単にそれぞれのスイングの特性が捉えられます。腕を主体にして振るのではなく、足の動きで腕を振ってみればよいのです。話だけでは分からなかったような、それぞれのスイングの感覚が掴める筈です。

バックとダウンで異なる型の足の動きでも、それなりに振れることも分かる筈です。これで大きく分ければスイングに四つの型が生まれます。これまでの話では、体重移動を食い止める形の足腰の踏ん張りを引き出すことを「荷重を掛ける」と表現し、体重を掛けるという表現を避けて来ました。体重を掛けるというと「体重移動」の動きを引き出す危険があるからです。

ここまで来ると、ゴルファーは様々な形で足に振り回されている気がします。結局犬が尻尾を振っているのではないか、という疑念が再び頭に浮かびます。これに対しては、腕はクラブを振り脚は地球を振っている、どちらも尻尾なのだ(!)と考えてみて下さい。納得できる気持ちになるかも知れません。

「自然な」という言葉の曖昧さ

ゴルフの動きだけでなく、体の動きに関係する話では、自然な動きあるいは自然な形などの表現がしばしば現れます。この言葉は、特別の意識がない状態で現れる動きを示す時に使われます。

ところが、ゴルフのスイングのように、もともと人工的で不自然な動きに関わる話では、先入観念による体の動きがあるのが普通です。この場合には、不適切な動きを排除するために「自然な」という言葉が使われます。権威者が自然なという時には、違った動きをしないように、この言葉に威厳を持たせて自分の主張する動きを正当化しようとしているのです。

このようなわけで、ゴルフの話で「自然な」という言葉が現れたら、十分状況を確認する必要があります。権威と無関係なこのブログの話でも、「自然な」あるいは「自然に」という表現がしばしば登場しますが、これを見た時には十分注意してその状況が納得できるかどうかを確認して下さい。

最近ゴルフのグリップの仕方の解説を見る機会がありました。そこでは、腕を下げた状態では、手の平の背中が前から見えるのが自然であるとしていました。この状態の左手でクラブを握ると、クラブが斜め右前方向を指す形になります。こうして握ったクラブのヘッドを正面に引き戻すと、リストが左回りに回って「伝統的」な左手のグリップが出来上がるというわけです。

立って両腕の力を抜いて下げ、膝を伸ばせば、確かに手の平が後ろを向き、手の平の背中が前を向きます。実際に試してみて下さい。ところが、ここで膝と腰にアドレスの構えのように角度をつけると、左右の手の平が向き合う形になります。これも試してみて下さい。この手の平の構えでクラブを握ると、今度は「マジック・グリップ」の形になります。

この場合、どちらがスイングの構えとして「自然」なのかは殆ど明瞭です。その上、実際に「マジック・グリップ」の形に手を握り合わせ、肘を伸ばしてアドレスの体勢を固めると、両脚の側面に緊張が生まれます。

これは例の腸脛靱帯の緊張で(「主なパワー源:背骨を右後方に押し伸ばす動き」(08-01-26))、これで「核心打法」の強力なバックとダウンの動きの準備が出来上がります。さりげない動きが、全体の動きの要所を固めるのです。

「伝統的」な左手のグリップでクラブを左右に振れば、ごく自然に体の正面でリスト・ターンが発生します。この動きを十分に利用するには、腰の回転で腕を振るのが「自然」です。こうして、「自然」なグリップの作り方が、腰の回転で振るスイングを正当化することになります。

もちろん、「マジック・グリップ」では左腕が伸びて固まったまま、右に引かれ左に引き戻されます。引き戻して振り抜くには脚腰の踏ん張りが必要になります。当然腰の回転は引き止められます。「自然な」という言葉には注意が必要なのです。

主なパワー源:背骨を右後方に押し伸ばす動き

これまで「核心打法」の特徴的な動きの一つとして、「上体を右に回す」動きがしばしば登場しました。この動きは、体の右脇前に両腕を伸ばしてヘッドを左に引き抜く、ダウンスイングの動きを支えるものです。実は、この「上体を右に回す」という表現は、腕の動きと上体との繋がりを見るには有効ですが、足の「螺旋」の動きに繋がるパワー源の働きを捉えるには不十分なのです。

アドレスの構えで腕を伸ばして「マジック・グリップ」を固めると、脚腰背骨に自然な緊張が生まれます。このアドレスの構えから、腕とグリップの体勢を固めたまま、バック、「深いトップ」、ダウンからインパクトと動きを作ると、ダウンの動きで「上体を右に回す」動きが現れます。

ここで足腰背骨の構えの緊張を更に高め、上体の動きでバックから方向転換の「深いトップ」への動き、これに続く体の右側への一気の引き下ろしで両腕を伸ばし切ってインパクト、という動きをしっかり実行すると、両足の脛が左回りに回る「螺旋」の動きが現れます。

このダウンの動きを支える脚腰背骨の動きに注目すると、両脚の強力な踏ん張りで「背骨を右後方に押し伸ばす」動きが現れることが分かります。右腕でインパクト圏を引き抜く動きを実行しながら左手を左脚外側に当てて観察すると、その辺りに強力な張りが感じられます。この張りを意識して両腕でダウンからインパクトの動きを実行すると、両脚が伸び切るように踏ん張ります。

この両脚の踏ん張りが、両腕の右脇前への強力な引き下ろしと、これに続く左への直線的な引きを生むわけです。左脚に手を触れてみた時に感じた緊張は、尻(臀部)回りの大きな筋を脛骨(すね)に繋ぐ、腸脛靭帯と呼ばれる部分です。階段を下りる時に注意して観察すると、これらの尻(臀部)や脛の動きが現れることが分かります。「螺旋」の動きもこれで理解できます。

この動きを体感的に確認してみて下さい。特にダウンからインパクトの左の太股外側の緊張を確保することで、左腕の動きを回る意識の混乱が完全に払拭されることが分かります。脚腰の動きでは多くの筋群が絡み合って働きますが、力の大きさから考えると脚の外側の筋群の緊張に注目するのが合理的だと思われます。

尻の大きいことが優れたプロの要件、という話の記事を見た記憶がありますが、この足腰の動きの重要性を示していたと考えられます。「上体を右に回す」という表現では、この強烈な脚の押し上げの動きを捉えるには不十分で、「背骨を右後方に押し伸ばす」という表現が適切であることが分かります。注意して見ると、これらの筋群はバックでもダウンでも働くことが分かります。

この両脚の踏ん張りの感覚を身につければ、簡単に「核心打法」の動きが実現します。スイングの動きに不明確な部分がなくなり、練習の度に動きの感覚を求めて苦労する必要はなくなります。これまで「核心打法」の動きが納得できなかった人も、このパワフルな「背骨を右後方に押し伸ばす」動きを体感して納得して下さい。

スイングのパワー源再論

遅れていたパワー源の話に戻ります。腕の動きの話を聞くとスイングの構造が分かる気がしますが、実はこれは迷路の入口です。スイングの腕の動きを、左右両腕の上端前後の緊張の組み合わせで分類すれば、「魔法型」(右前、左後)とその反対の「反魔法型」(右後、左前)に二分されます。しかし、インパクトに入る両足の動きにより、様々な変種が生まれる可能性があります。

頭を安定に保つ脚腰背骨の動きは、足の動きを通じて地球に繋がり、その反作用で様々な腕の振りが現れます。アドレスの構えで左足先の内側に体の重みを掛け、足先で地面を右に押してみると、左膝が外側に開いて腰が左に回り、これに伴う腕の動きは「反魔法型」になります。

この簡単な実験で分かるように、足の動きに癖があると、これに対応した腕の動きが現れます。腕の動きは意識だけでは決まらないのです。それでも誰もがほぼ同じようにボールを打つは、通常のグリップでは腕の動きに緩みがあり、これを各人が適当に調節しているものと思われます。これでは練習量の限られた人には安定したスイングは難しくなります。

右手で横からクラブと左親指を握り、この右手の小指を左手の人差し指で覆うように握る逆オーバーラップ型の「マジック・グリップ」でクラブを握り、両肘を伸ばして腕を固めると、両腕と肩が一体化して腕だけの動きはできなくなります。このグリップでクラブを振れば、ボールを目的方向に打つ足腰背骨の動きが一定になる筈です。

これまで、この時の両足の動きを「螺旋」の動きと説明して来ました。この言葉に慣れると、次第に「螺旋」の動きの実態を忘れます。この動きは、手と腕でコルクの栓抜きを回す時に、体の動きを地球に結び付ける両足の動きです。この動きでは脛(下腿)が踵を軸に左回りに回ります。この時、足先が地面に食い込んで動きに逆らうことで、踵が強く地球に食い込みます。

この時の脚腰の動きに伴う背骨の動きが、固まった腕を通してグリップに伝わりクラブを動かします。脛(下腿)の回転(捻り)の方向は一定方向の左回りですが、膝の位置の変化により、グリップの動きの方向が変わります。例の肩と腕の「魔法の動き」の転換点は、この膝の動きと共に現れるのです。一方の踵を浮かせて同側の腕を回すと、腕は動きの転換点なしに滑らかに回ります。

「螺旋」の動きで、地球との強い結びつきを利用して腕を振る「核心打法」のパワー源の働きが確定します。これに対して、足が縦の軸回りに回転する動きで地面を押す足の「回転」の動きでは、簡単に踵が浮き上がり、反対側の足でこれを受けることになります。その足も「回転」の動きで体重を足の外側で受ける不安定な形になります。これではスイングの動きも安定させ難くなります。

難しい動きの調整に時間をかけ続けるか、決まった動きに慣れるだけかの比較となれば、どう考えても「核心打法」が有利に見えます。腕の動きの長々しい説明から入るゴルフの「理論」は、足の存在を忘れさせ、複雑な迷路に案内するものかも知れません。注意が肝要です。ところで、スイングの真のパワー源は脚腰背骨の動きです。その内容の話は次回に回します。

グリップを左に引けば「上体が右に回る」

前に予定したスイングのパワー源の話が遅れていますが、前回(08-01-23)の話には、更にもう一つおまけがあります。これは、これまで繰り返し登場してきた「上体を右に回す」という、不可解な動きを簡単に確認する方法です。

立って左手の親指を横から右手の平で握り、両手を固めて伸ばせばグリップが締まります。ここから両腕を固めたまま左手の背中を目標方向に向けて真っ直ぐ引きます。この動きで、脚腰背骨が踏ん張り、右肩が後ろ、左肩が前に引かれる動きが現れます。これは前にも確認した動きですが、顔が僅かに右方向に引かれる、優れたゴルファーのインパクトの体勢になります。これが「上体を右に回す」動きです。

この動きは、これまで繰り返し説明して来たように、脚腰に繋がる背骨の動きが生み出すものです。背骨に繋がる肩と腕が「魔法の動き」で腕を振るのです。しかし、体の仕組みの知識からこの動きを作り出そうとすると、話は難解になります。これに対し、肩と腕の体勢を固め、グリップを左に引っ張る動きを作ろうとすれば、動きはごく自然に現れます。例の尻尾が犬を振る話の通りになります。

こうしてみると、尤もらしい動きの説明で組み立てた、ゴルフの動きの理論は危険なものであることが分かります。理論を対象の構造的な知識や目で見た結果だけに依存して組み立てるだけでは不十分で、これを使う使い方の説明が必要なのです。使ってみて期待通りの結果が得られると、はじめてその理論が納得できるものになります。このブログでの最近の話は、以前の体感的に確認された動きの記述を、より納得しやすくする試みの積み重ねです。

ゴルフの理論の場合は、理論を提唱する人の権威に押され、結果が悪くても自分の動きが悪いのだとゴルファーは考え勝ちです。動きの仕組みの話は確かなものかどうか、これと動きとの繋がりは明瞭か、実際に期待する結果を生むか、などの点について注意深く見る必要があります。

ここで一つ注意すべき点があります。ゴルフの動きの場合は、日常的ではない腕の動きが現れる可能性があります。特に新しい動きを試す時にはこれが現れます。この時不自然な動きを強く実行すると、肩や腕などを痛めます。この点に十分注意し、急激な荷重を避け、滑らかな動きで新しい動きを試す必要があります。

更に注意すべき点は、強力なパワー源を活用すれば、腕に無理な荷重を掛けなくてもしっかり振れるということです。このためには、腕を太くするエクササイズ以前に、まず脚腰の有効利用に注意すべきでしょう。そこで次回にはもう一度、パワー源の話をします。

矢張り尻尾が犬を振る!

迷うのが人の心の常と思えばゴルフの話も楽しくなります。しかしこれに付き合うのは大変です。最近のここでの話も完全な迷走ぶりを発揮しています。これからの脱却は「意図が動きを作る」という事実を確認することで可能になります。「尻尾が犬を振る」のは事実なのです。これを実験で確認して納得して貰うことにします。

アドレスの構えで右腕を前に下げ、手の平を真っ直ぐ伸ばします。この手を内側回りに回してみて下さい。手首を回し続けると、やがて手が下向き方向に回りながら左に引かれます。同じ動きを左手で実行してみます。手首を外側に回し続けると、一旦手の平が右に引かれてから、上を向くように回転して左に引かれます。

これらの動きは、腕の動きの仕組みに組み込まれ、ビルト・インされている機能が、腕を回すという意図によって駆動され生み出すものです。手を回そうと意図することで、体全体の働きがこの形の動きを生み出すわけでです。これは手という尻尾が、体という犬全体を動かしていると考えるのが自然です。逆に体を動かしてこの手の動きを作ろうとすると、これはなかなか難しいのです。体の動きの仕組みに話の重点が置かれると、話が分かり難くなるのはこのためです。

そこで、右腕を内側、左腕を外側に回す、肩と腕の「魔法の動き」を思い出して下さい。アドレスの構えで右手の平を真っ直ぐ縦に固め、この動きを大きく実行してみて下さい。これで「核心打法」の右腕の動きが現れます。次ぎに左手を真っ直ぐ縦に固め、しっかり「深いトップ」を通して体の左にまで回し切ってみて下さい。自然に体が踏ん張って手の平の背中を左に向けて引き抜きます。これがこれまで問題にして来た左腕の動きです。

これらの動きでは、腕を固めて肩に繋ぐことを忘れないで下さい。

ここで同じ左腕の構えで手の平を下向きに構え、ここから前と同じように左腕を肩の上まで引き上げ、ここから更に左に回し切って下さい。手の平が始めの下向きから、上を向くように回って左に引かれます。前の実験で、手の平の背中が左を向いて引き抜かれた場合とは異なり、腰が左に回ります。これが伝統的なグリップの形での腕の動きで、前の場合はグリップを横から握る「マジック・グリップ」での腕の動きです。

こうして、目的意識あるいは意図に応じた構えを作っておけば、あとは腕を振るだけで必要な体の動きが現れるのです。「マジック・グリップ」で腕を固めて肩に繋ぎ、これを「魔法の動き」で振れば「核心打法」の体の動きは自然に引き出されるのです。これがこの打法の特徴なのです。

他の打法との比較に力を注ぐ中に、肩と腕の「魔法の動き」という初心を忘れそうになりましたが、左腕の動きの違いは、この最初の構えの違いが生み出していたのです、

結局犬が尻尾を振る?

腕(尻尾)を振るのは体(犬)の動きで、腕が体を振るのではない、という教えがゴルフの世界にはあります。「権威者」にこのように言われると、思わず体でクラブを振り回す気になります。ところが、右腕を外側に、左腕を内側に回す「反魔法型」でバックすると、いわゆるフラットなトップに入ります。ここでは、腕という尻尾の動きが、体の動きを決めているように見えます。

結局尻尾が犬を振るのだと感じられます。しかしこれも誤解で、正しい動きの知識があれば、望ましい体の動きが引き出せるのです。スイングの動きに決定的に貢献する体の各部の動きを検討し、これらを合理的に綜合する努力が必要で、腕の動きもその一つです。

前々回(0801-20)の左右両腕の共同イメージも、「核心打法」の腕の動きの制御のために考えたものです。しかし、ここには危険が潜んでいます。三角筋の動きは本質的には腕の引き上げに関係するもので、左右両腕が平面を描くような感覚で協調して振るイメージに従うと、腰を回す動きを引き出しやすいのです。

この危険を避けるには、バックの終期で「深いトップ」への動きを確実に実行します。これで両腕の描く平面がバックの面からダウン方向に向けた面に切り替わります。ホーガンの捉えたダウンスイング面への乗り換えに似ていますが、これについては後で議論します。この面に沿って一気に振ると、ヘッドが右脇前方向に向けて引き下ろされ、最後に肘が伸びてグリップを押し下げます。

この動きの限界で「魔法の動き」の転換点が現れ、右上腕内旋、左上腕外旋の動きが、腕を左に引く広背筋の強力な動きを引き出します。実行イメージとしては、両腕を伸ばして「マジック・グリップ」を固め、アップライトにバックスイングを実行し、右脇前に向けてグリップを突き込むようにダウンするということで、「核心打法」の動きが実現します。

このように簡単な動きのイメージで「核心打法」が具体化するとなると、これまで「核心打法」の話に共感を持てなかった人も、試してみる気になるかも知れません。ところが、ここで更に問題が現れます。地球を掴む両足の動きです。左右両腕が共同して働くイメージも、特定の両足の動き(「螺旋」)がなくては実用的に働かないのです。

実は、両足の動きで様々な腕の動きが現ます。これまでに、スイングにいろいろな型があることを見てきましたが、両足の使い方の数だけスイングの型があると見ることもできます。こうなればスイングの型は無数です。矢張り犬が尻尾を振っていると見るべきかも知れません。この場合、クラブを縦に引き下ろすパワーを効果的に実現することが、「核心打法」の最大の特徴になります。

「スイング面」は考えても、自分の足の動きは考えたことのないゴルファーは多いと想います。「螺旋」の動きを含め、足の使い方の再検討が必要です。次回には、スイングのパワー源の問題ということで、以前より一段と具体的に議論することにします。

「核心打法」開眼特集

最高の開眼は何と言っても肩と腕の「魔法の動き」です。この動きの有効利用を考えることで「核心打法」に到達します。そこで今回は、この過程で経験した「開眼」のいくつかについて書きます。それぞれの特殊な動きを体感的に捉えたものです。

動きの転換点:右腕を内側に回す「魔法の動き」を実行してみると、テーク・バック、引き上げ、「深いトップ」、ダウン、インパクト、のそれぞれの動きの開始時点で、腕の内側回転の動きが現れます。これらの動きの間は体の動きで腕が振られます。左腕にも対応する動きがあり、これらの転換点の間は、固まったグリップを体の力強い動きが引きます。

「深いトップ」:バックスイングでは、クラブのフェースはボールから離れて行きます。「深いトップ」に入ると、フェースがボールを睨む体勢に入ります。この感覚が掴めると、トップに入ったら逆に引き戻すという意識が消えて、「深いトップ」からボールに向けて突っ込むという意識に変わります。

「右の壁」:「深いトップ」からのダウンでは、ヘッドが体の右側にある壁に向かって引き下ろされます。「左の壁」ではありません。背中にある荷物を右脇前に投げ出すように振る、という感覚に近いのですが、これではなく、「深いトップ」からヘッドを右脇前に押し下ろし、そこから壁に打ち込むという感じです。

インパクト圏のグリップ:左手の背中がフェースを引き、右手がソールを押してインパクト圏を振り抜きます。両手でクラブを強く握ってこの動きを体の前で作ると、丁度「マジック・グリップ」でインパクト圏を振り抜く時のグリップの動きになります。

足の動き:一貫して踵が地面を押し下げ、「深いトップ」まで足が地面を左に押し、「深いトップ」で方向転換、ダウンからインパクトに向けて地面を右に押します。コースに出かけてこの感覚で振った時に、いわゆるXシャフトと呼ばれる類の、極めて固くて重いシャフトのフェアウェイ・ウッドと、普通のドライバーの何れの打球も、高く真っ直ぐ狙い通りの弾道で飛んだのです。これは強烈な経験でした。今になって思えば、これが両足の「螺旋」の動きだったのです。

ダウンで背骨が右に回る:回転する椅子の腰掛けに立ち、グリップを固く握って右脇外側まで引き上げそこから引き下ろす。背骨を右に回す形でグリップを右脇前に引き下ろすと、左にしっかり振れる。グリップを直接左に振ろうとすると、膝が左に振れて椅子が右に回り腕に力が入らない。これで「上体を右に回す」動きを体感したのです。

オーバーハンド型の右腕の動き:「魔法の動き」で右腕を振れば、この形の動きの感覚になります。対応する左腕の動きが、体の右側で繰り抜く左腕の感覚を生みます。

一見つまらなく見えるこれらの「開眼」の累積が、「核心打法」を作り上げているわけです。