今回のテーマは7.1CHサラウンドに必要なサラウンド・バックSPの調整についてです。
以前の記事
でも触れていますが、サラウンド・バックSPはフロント・ステージングへの
影響がかなり大きいです。
サラウンドSPのみの5.1CH再生では、どうしてもフロントの音が平面的になってしまい
ますが、サラウンド・バックSPをONにすると、フロント周りの空間が一気に開放され、
音が自分の目の前に迫ってくるようになります。
セリフの肉声感もアップし、5.1CH再生と比べると空間がより立体的になります。
また、センターSPの音がスクリーン下から上がってこないというような場合でも、若干
のリフトアップ効果が期待できます。
さて、設置に関してですが、高さは極力高く、天井付近へ取り付けました。
私の場合、フロントハイトSPを使用する兼ね合いもありましたし、部屋の構造上、視聴
ポイントから背壁までの距離が90cm程しか取れなかった為、SPユニットまでの距離
をある程度稼ぐ意味からも、極力、高い位置に取り付けたいという思いがありました。
SPユニットのXYZ軸位置については、床からの高さ(Z軸)で約230cm、水平方向(XY軸)
はフロントSPの内側に入るような角度としました。
サラウンド・バックSP同士で見た場合、約1.6m程の間隔(距離)になりますが、この展開
角度に決めた理由は、サラウンドSPとサラウンド・バックSPがほぼ等距離になるように
したかったからです。
サラウンド・バックSP同士はあまり離さない方が(狭い方が)良いという意見もあるよ
うですが、試聴を重ね、一番空間表現が自然に聴こえる位置という事でこの位置に決
めました。
SPの取付けはサラウンドSPと同様、ホームセンターで購入したステー(金具)を加工しま
した。
また、水平方向への振り角についてはあえて角度を付けず、壁面と平行(正面スクリー
ンと正対した状態)になるようにしています。
サラウンド・バックSPの調整に関しても仰角を追い込むべく、試行錯誤してみましたが、
結果的にサラウンド・バックSPについては”仰角は殆んどつけない方が良い”という結論
に至りました。
ここでもサラウンドSPの時と同様、聴きなれた音楽CDを使います。
サラウンド・バックSPのみでステレオ再生させた際、サラウンドSPとフロントSPの間の
天井付近に音が展開するように調整するのがポイントです。
定位は気にせず、天井に音が広がっているように鳴らす事だけを心がけます。
この状態でいつも見慣れている映画を使ってサラウンドの効果を確認してみます。
見通しのよい自然なサラウンド空間に部屋中が包み込まれているような感覚を覚えまし
たでしょうか?
「開放感がちょっと足りない」「高さが出ていない」ような場合は、更にサラウンド・バックSP
の仰角を追い込んでいきます。
尚、この時に使用するソフトは、DVDの5.1CHドルビーデジタルで録音されたモノの方が
効果は確認しやすいように感じます。
また、アンプ側の設定(デノンの場合)はマトリクスではなく、サラウンド・バックON(表示は
サラウンドEX)がよいでしょう。
この後、BDのDTS-HDmasterで録音されたソースを観てみますと、サラウンドの表現力
が相当アップしている事に気付かれるかと思います。