ではサラウンドSPが広がりを増し、フロントSPに対する前後の繋がりが良くなる位置
とはどういう角度(仰角)なのでしょうか?
SP本体を壁面と平行な位置から少しずつ下げていき(仰角をつける)、自分の耳に
ユニットを向けていくと、あたかもフロントSPから音が出ている?ような錯覚を覚える
位置(仰角)があります。
但し、定位がシッカリ出てしまっているような場合、SPの位置もハッキリとわかって
しまう位置では角度が強すぎです。
空間が広がりを持ってフロントSPの周りを包み込むような感じに聴こえる位置があり
ましたら、そこがスイートスポットになりますが、角度的には相当緩い位置になるか
と思います。
自分の場合、真横からほんのちょっと下げたって程度でした。
画像は調整後のサラウンドSPの状態です。
ホームセンターで購入したステー(金具)を加工し、仰角をある程度稼いだ状態で、
下に取り付けたツマミ(取手の材料)を回す事でミリ単位の角度調整が出来るように
工夫しました。
視聴ポイントにおける床から耳までの高さは約90cm、床からサラウンドSPまでの
距離は約180㎝、視聴ポイントからサラウンドSPまでの距離も約180cmです。
画像の通り、仰角はかなり緩く、SPユニットは耳を狙うどころか対面するサラウンド
SPを狙っているような角度です。
ちょっと意外に思われるかもしれませんが、ここからちょっとでもSPを下げる(耳を
狙う)とサラウンド空間は一気に閉塞方向に向かいます。
調整に関しては正直、かなりシビアですので、1日かけるような感じに気長に行って
下さい。
システムの性能が良いほど、1~2mm動かすだけで空間表現は激変します。
仰角を変えながら視聴を繰り返しているうちに段々とわかってきたのですが、なぜ
サラウンドSPの調整に音楽ソースを鳴らすのか?
これは音の定位を含め、2本のスピーカーによってどういう風に空間表現を行うかと
いうところではないかと思いました。
つまり、サラウンドSPで再生した音が仮に自分の目の前でステージが展開されてい
るとすれば、映画におけるサラウンドの効果音も同様に”そこに”ステージが展開さ
れてしまう事になります。
逆に、定位がちょっと曖昧だけど、自分の前方に広がりをもった感じで音楽ソースが
聴こえていれば、サラウンドの空間も広がりをもって展開されるようになる訳です。
この位置で5.1CHを再生するとCDの音楽ソース(PLⅡMusicモード) も自然に聴こえ
ますし、音がリアに引っ張られる感じが全くありません。
音場はフロントSPを中心に自然に広がっている感じで、映画のサラウンド空間(スケ
ール感)も格段に向上しているかと思います。
これにサラウンドバックが追加され7.1CHが構築されれば、殆んどの場合、フロント
ハイトSPは不要になると思います。
とりあえず5.1CHの環境だけでもSPのセッティングだけで激変しますから、フロント
SPとサラウンドSPの繋がりにご不満な方、是非一度試されてはいかがでしょうか。
【追記】
その後、スピーカーの振角(XY座標で前後方向に)を多少弄ってみたところ、かなり
ステージングが変化する事がわかりました。
私の部屋ではリスニングポイントに対し、サラウンドSPは耳のほぼ真横に設置して
いますが、前後に5mm振っただけでも音楽CD(サラウンドSPのみのステレオ再生)
の聴こえ方、ステージングがガラッと変わりました。
どうやらSP前後の振角も仰角と合わせて追い込む必要があるようです。