11月24日、ウガンダの小学校で3学期が終了しました。
当初、政府からの発表では12月9日までとなっていましたが、エボラウィルスの流行を受けて、短縮して終了となりました。
9月5日から始まった約3ヶ月間の3学期。そしてこれで、1年間のすべての授業が終了。
日本で3年間持った子たちの卒業式を終えたときのような、やりきった感を覚えました。
今回の記事では、3学期、そしてこの1年間を振り返ってみたいと思います。
できたこと
とにかく1年間、無事に終了!
始まる前は「日本の中学校の社会科教員なのに、ウガンダの小学校で算数を、しかも英語で教えるなんてできるのか…」と不安に思っていました。
始まってみると時間管理や体罰などの文化の違いにも苦しめられました。
でも徐々に英語での授業にも、文化の違いにも慣れ、特に3学期は余裕をもって毎回の授業に臨めるようになりました。
学年末テストでも5年生の算数の結果が一番よく、最後の職員会議で校長先生から「太田先生のおかげ。今まで見たボランティアとは違って、本物の先生だ」と言っていただくこともできました。
不安を抱えながらのスタートでしたが、なんとか無事に1年を終えられ、配属先の力にもなれたかな、とホッとしています。
計算テストの結果向上
1年間継続して、毎週行ってきた計算テスト。その結果をまとめたグラフがこちら↓↓↓(テストの内容は、1桁の数の四則計算各20問。足し算引き算は3分で、掛け算割り算は8分で実施。)
ご覧の通り、1年間で相当な成長を見せてくれました。
タイムや得点を毎回記録させていたので、生徒たちも自分の成長を実感できたみたいでした。
最後の方は、計算テストの日(毎週金曜日に実施)を楽しみにしてくれており、毎回授業後に結果の伸びを自慢しに来てくれる子もいるほどでした。
かけ算マスター
2学期から始めたかけ算マスター。(詳しくはこちら。)
これが計算テストの結果向上に大きく寄与してくれました。多くの生徒が頑張ってテストを受けてくれて、最終的に102名中23名の生徒がMasterおよびDoctor(さらに難しいバージョン)に合格してくれました。
休み時間にテストをしていたのも良かったのか、他の先生方の間でも評判の活動となり、1〜3年生の授業にも取り入れてもらうことができました。
1年生の頃から繰り返していれば、4,5年生になる頃にはしっかり頭に定着しているはず。数年後の算数の結果が楽しみです。
カンニングの激減!
計算テストなどを通して自信をつけたからなのか、カンニングや黒板を移すだけの生徒が激減。
自分たちでも「Cheating is bad! (カンニングは良くない!)」とか「Answer first! (先に答えよう!)」と言い合ってくれるようになりました。
2学期に叱りすぎてしまった反省を活かし、ちゃんとできている子や注意してくれた子を褒めるようにしたのが良かったのかもしれません。
叱る指導より褒める指導の方が有効。これはウガンダでも同じのようです。
教員研修の実施
自分の授業だけで終わらせず、やっていることを現地の先生たちに伝えたい。技術を伝えることで、ウガンダ学校教育の持続可能な発展に寄与したい。
今学期はこれを実現することができました。1,2学期の授業で信頼を得ることができたのか、今学期はAssistant Director Of Study(教務主任補佐)にも任命してもらい、3回の教員研修を実施しました。
授業時間中の実施となってしまいましたが、それぞれ10名程度の先生が参加してくれて、好評をいただくことができました。
内容は、第1回が授業研究の方法とルーブリック。ルーブリックを作って、お互いに授業評価をしてみようという内容です。実際に僕の授業を評価してもらいました。
第2回はかけ算マスターの理論と方法について。動機づけの視点からやる気を引き出す方法について話した後、かけ算マスターの使い方を伝えました。
第3回はラーニングピラミッドと授業スタンダードについて。授業スタンダード(このプレート)を配り、活動時間の長い授業を組み立てることが生徒の学力アップに繋がるという話をしました。
それぞれの話がどれほど先生方の中に残っているかはわかりませんが、かけ算マスターや授業スタンダードを授業で使ってくれている先生は確実に増えました。僕が帰国した後にも、これらが残っていくといいなと思います。
小さなハートプロジェクト完了!
長いことかかってしまった小さなハートプロジェクトの図書館建設が、ようやく完了しました。(詳しくはこちら↓↓↓)
図書館の完成に合わせて、日本から寄付していただいた本や文房具も寄付。子どもたちはもちろん、先生方や地域の方にも、大変喜んでもらうことができました。
ご協力いただいた日本の皆様、本当にありがとうございました!
また完成後も週に1回程度プロジェクトサイトに足を運び、子どもたちに本の読み聞かせをしたり、先生方と図書館の使い方について話し合ったりしています。
できなかったこと
留年の多さ…
算数の授業だけではどうしようもない問題ではありますが、授業を担当していた5年生から、15人の留年が出てしまいました。
小学校で留年が15人も出るなんて…と驚きましたが、他の学年ではもっとたくさんいました。留年の問題については、また別の記事に詳しくまとめたいと思います。
引きこもり…
配属先と家が近い分、授業以外の時間を家で過ごすことが多くなってしまいました。
家で仕事をするのは気楽でいいのですが、せっかくウガンダにいるのにこれでは意味がないかな…と思うことも。もっと積極的に子どもたちや先生方と関わるべきだったかな、と反省しています。
また小さなハートプロジェクト以外で学校外に出ることもほとんどどありませんでした。地域を散歩してみたり、知り合いに連絡して会ってみたり、やろうと思えばもっと広い世界を知ることができるはず。
これは日本でも苦手分野で、職場と自宅以外知らないということになりがちなので、なるべく外に出るように心がけたいなと思います。
できるかな…
これからの予定
次に学校が始まるのは、来年の2月。それまで学校はホリデーです。この感学校での活動はできないので、次のことをやりたいと思っています。
ボランティアイベントへの参加
他のボランティアが主催するイベントに積極的に参加したいと思っています。
今までにも関わらせてもらったアタリやマスリタのイベント、そして北部の難民居住区でもイベントが企画されているという話も聞きました。(今まで参加したイベントはこちら↓↓↓)
色々な場所で、少しずつでも力になれればと思います。また色々な場所を見て、日本に伝えられるものも増やしていきたいです。
Divine Junior Academyへのさらなる支援
小さなハートプロジェクトで建設した図書館。建設は終わったものの、現在外壁はコンクリートがむき出しの状態で、あまりきれいではない…
なのでこの壁をきれいに塗って、子どもたちとともに壁画を描くプロジェクトをやりたいなと思っています。
見た目がきれいになれば、活用への意欲も湧くし、自分が書いた絵があれば、大切に使おうという気持ちも湧くでしょう。
1人ではできないので、教育分科会のメンバーなどを誘って、沢山の人に関わってもらえたらと思っています。
加えて、ウガンダ日本人会に絵本などの寄付を呼びかけて、蔵書のさらなる充実も目指していく予定です。
旅行
1年以上ウガンダで生活しているものの、知っているのはンデジェ(配属地)とカンパラ(首都)だけ。
もっと色々な場所を見て回りたい!ということで、この2ヶ月はガンガン旅行を入れていこうと思っています。
ウガンダ国内の観光地はもちろん、同期の活動を知るために任地を巡る旅もしたいです。
ンデジェからカンパラまでの歩き旅もしたいけど、さすがに危険すぎるかな…
また任国外旅行も計画中。せっかく認められている制度だし、緑色のパスポート(公用旅券)で旅行できる機会なんて多分この先ないでしょう。海外から海外への旅行というのも面白そう。
ということで、UAEを1週間ほど回ってきたいと思います。本当はケニアやマダガスカルに行きたかったけど、任国外旅行はJICAから許可されている国にしか行けないので、泣く泣く諦めました…
帰国後に向けて
帰国後に日本で行う社会の授業をより良いものにしていくため、授業準備も進めていきたいと思います。
日本の学校ではICT化が進んでいるはず。また今まで以上にアクティブ・ラーニングも盛んになっている(と信じたい)。
これに対応できるような授業スタイルや教材を、時間のある今のうちに準備しておきたいなと思っています。
また現在の配属先で、僕の帰国後も継続的に計算力向上の取組を行ってもらえるよう、教材を挟んだファイルも作りたいと思っています。
配属先の小学校にはパソコンが1台もありません。そのためデータを残しても誰も使えません。
印刷した紙を入れたファイルなら、それをコピーして使うことができるので、活用してもらえるのではないかと思っています。
まとめ
自分の頭を整理するために色々書き出してみましたが、長いと思っていたホリデーにやることがたくさん…
残り少なくなってきた活動期間。少しでもこの国に貢献して、少しでも日本に伝えられるものを増やして、帰国を迎えたいと思います。