中山道歩き旅9日目、今日は下諏訪宿から長久保宿まで、10宿43kmの旅であった。
突然宿場の数が増えた。次から次へと宿場町にたどり着く。今日通過した1里塚の数と宿場町の数は同じではないかという程である。
なぜこんなに宿場町が増えたのか。きっと山を抜けたからだろう(とはいえまだ軽井沢の高原にはいるし、明日は碓氷峠越えが待っているが)。木曽の山中では、宿場を作れるような土地が少ないのではないか。木曽路ではどの宿場も坂道に無理やり作られている感じがあった。
また佐久平(岩村田宿〜)あたりには城趾も多かった。昔のお殿様も山中ではなく平野の小高い丘の上を選んで城を建てたのではないか。そのため城下町として栄えた宿場が多く、数が増えたのではないだろうか。農村では人が集まりづらい分、町も形成されづらいのだろう。
そして今日一番面白かったのが、山村から都会への変化である。こればかりは歩いてみないとわからないことである。
八幡宿と塩名田宿の間に千曲川が流れている。この川を越えた東側は、もう都会の空気であった。塩名田宿はまだ緩衝地帯といった感じでそれほどでもないが、岩村田宿に至るともう大都会である。高いマンションや大きなイオン、屋根付きの商店街まである。コンビニの数も劇的に増えた。そこから先は、軽井沢高原(追分宿〜軽井沢宿)に上っていく道をのぞき、どこも都会であった。
久しぶりに都会にどってきた、と思う一方で、山の中のほうが良かった、とも感じた。
まず気温。昨日までは20度台が基本だった。しかし岩村田宿以降は35度を越えてくる。そしてこの数字以上に、コンクリートの照り返しが暑い。自動車の排気ガスが暑い。
明らかに「空気」が違う。建物や町並み以上に、「空気」が都会なのだ。
山の中では太陽が照っていても、木陰に入れば涼しかった。爽やかな風が抜けて、気持ちいいと感じられた。しかし今日は日陰に入っても涼しくない。下から横から、ムワッとした蒸し暑い空気が流れ込んでくる。
軽井沢までくれば、標高も高いし緑も多い。しかしなにか違う。確かに木々は多いが、どこか作られた自然という感じがする。山の中の自然は、もっと自主的に生存し呼吸していた。だからこそ美しいし、怖くもあった。軽井沢の自然は、都会から来た人たちが美しいと感じるように、人の手で整えられている感じだ。
本物の自然に囲まれている方が、よっぽどリフレッシュできる。昨日の宿がそうだったように、自然に囲まれていればクーラーなんてなくても十分涼しいのだ。
避暑に出かけるなら、軽井沢よりも和田峠より西側の方がよい。
〜今日の記録〜