"Escape"...? 名簿をチェックしていると、ショッキングな文字が目に飛び込んできました。


11月7日、ストリートチルドレンを保護するMasulita Children's villageに、2回目の訪問をしてきました。(施設について、詳しくはこちら↓↓↓) 


今回は12月に開催するイベントに向けた事前視察ということで、子どもたちと関わる時間もたっぷり。前回の見学だけでは見えなかったことも、子どもたちと関わる中で見えてきました。


今回の記事では、マスリタの子どもたちから学んだことや感じたことをまとめたいと思います。


  子どもたちの印象

最初に子どもたちと関わろうとした時は、「目付きが鋭いな、心を閉ざしているな」という印象でした。


ストリートで物乞いをして生活していたことで、簡単に心を開かない方がいい、と学習してしまったのかもしれません。


でも握手をしたりしばらく一緒に遊んだりすると、みんなどんどん笑顔に。1人が心を開いてくれると、安心したのか他の子もどんどん遊びに来てくれるようになりました。


二人でやる手遊びや「高い高い」のようなジャンプ遊びをしていると、子どもたちが殺到。「自分が先だ!」と喧嘩になってしまうかな?と心配になりました。


ところが並んで待つように言うと(ジェスチャーで示すと)、みんな素直に指示に従い、列を作って順番を守ってくれる。


ちゃんと指導すれば、配属先の小学生よりもルールを守ってお互いを尊重しあって行動できるのでは…と感じました。


  言葉の問題

子どもたちの多くは学校に通っていません。だから英語が喋れません。今回は施設のスタッフの方に通訳をしてもらっってコミュニケーションを取りました。


言葉が通じなくて混乱することはあるけど、言っていることが伝われば本当に素直に聞いてくれます。僕が英語で話している間も、静かに聞いてくれていました。


こんなにしっかりしているのに、言葉の問題で試験にパスできない。だから小学校卒業の資格も得られないし、就職も難しい。これはとても大きな問題ではないでしょうか?


  Escpe

イベントに向けて担当グループの名簿をチェックしていると、”Escpe”と書かれた子がいました。この子は前日に施設から逃げ出してしまったとのこと。”Escpe”は、これで13人目だそうです。


逃げてしまうのは、前回の記事に書いたように、この施設を監獄だと思っているから。


また物乞いで稼いだお金で食べ物などを買って、親の元へ送っている子もいるそうです。確かに施設にいたら”今すぐ稼ぐ”ことはできないから、地元にいる親へ物を送ることはできませんね。


施設から逃げ出してでも、ストリートで生活して物乞いで”今すぐ”稼ぎたい。僕らが想像できる範囲を超えて、”今すぐ稼ぐ”が彼らにとって大切なことなのかもしれません


彼らの出身地カラモジャでは、飢餓が度々発生しており、生活の糧となる家畜の略奪は日常行為。しかも80%以上の人が月Sh.45000(約1500円)以下で生活をしていて、40%の人は常に食糧不足の状態にあるそうです。(wikipedia"カラモジャ地方"より)https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E5%9C%B0%E6%96%B9 



こんな過酷な環境で生きていくためには、子供を首都に送って物乞いビジネスで稼がせるしかないのかもしれません。


そうして首都に送られてきた子どもたちは、今すぐ稼いで親を助けたいと思っているのかもしれません。


将来自分で稼ぐための学習や職業訓練より、今すぐ稼いで親を助けることの方が大切。これが、彼らの価値観なのかもしれません。


物乞いは良くない、物乞いビジネスなんてありえない、という”常識”だけで善悪を決めつけてはいけない。この記事↓↓↓に書いたように、”常識”で決めつけたら”バスターコール”になってしまう。 


でもやっぱり、子どもたちには”今すぐ”じゃなく”将来”の稼ぎとか幸せを大切にしてほしい。そのために子どものうちはゆっくりしっかり勉強してほしい。こういう思いも捨てきれません。


施設で保護して将来のために勉強させるのがいいのか、彼らが今もっている価値観を大切にして物乞いビジネスやストリート生活を続けさせるほうがいいのか。みなさんはどう思いますか?


  まとめ

ストリートチルドレン」というレッテルを外してじっくり接してみると、しっかりしたいい子たち。


多分、きちんと学校に通い続けられていたら、なかなか優秀な成績を収める子たちではないかと思います。


でも、学校に通えていないから英語は喋れないし、現時点では成績を取る学力も、職業技能も持っていない。だから物乞いをするしかなくなってしまう。


彼らと接していると、教育やそれを受けられる環境がどれだけ大切かということがよくわかります。


能力は70%以上遺伝で決まるなんて言われることもあるけれど、やっぱり人は環境で変わる。教育で変わる


今回の訪問で、こう強く感じることができました。これは一教員としてとても大切な経験で、とても大きな学びでした。


反面、生まれた場所が違うだけで、こんなに大きな差が生まれてしまっていいのかと、憤りや悲しさも感じます。


この記事↓↓↓に書いたように、先進国の価値観で「豊かさ」を決めてはいけない。でも、子どもが自分の将来を犠牲にしてまで”今すぐ稼ぐ”ことを優先しないといけないというのは、いくらなんでも放置していい状況ではないとも思います。


前に書いた記事と矛盾しているような気もするし、何が正解かもわからない。正解がわかったところで、状況を改善できる程の力もない。


でもせめて目を背けずにこの子達と向き合いたい。そして帰国後、日本の子どもたちと一緒に考え続けたい。


何でストリートチルドレンを保護するのか?物乞いビジネスの何がいけないのか?「誰かを助けたい」という気持ちからやっているなら、むしと良いことなのでは?


こう聞かれたら、みなさんはどう考えますか?




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