中山道歩き旅7日目、今日は木曽福島宿から本山宿(と洗馬宿の間にある民宿)まで、6宿39kmの旅であった。

何故か足が軽い。今までの疲れや痛みが溜まっているはずなのに、今日は足をついても痛みが走らない。だからびっこを引くように歩かなくていい。そうなるとバランスよく歩けるから疲れない。

なぜ突然足が軽くなったのかはわからない。限界を超えて痛みを感じなくなったのかもしれないし、宿のお風呂(檜風呂であった)が気持ちよくて長湯してしまったからかもしれない。はたまた、昨日買ったエアーサロンパスの効果かもしれない。とにかく足が軽い。

そんな足だからスピードも上がる。今日は難所も見どころも控えた日。早足で進んだ。

最初の見どころは福島宿と福島の関所。福島宿は昔の町並みを保存していて、よい雰囲気であった。朝通過したので昼間の賑はわからないが、お店なども多いように見えた。


福島の関は資料館も兼ねているようだ。じっくり見たいところではあるが、開館時間まで待つことはできない。江戸の昔は明け六つの時間になるまで開門せず、門が相手もこの関所を通過するために厳しい取り調べがあったようだ。今で言う入国管理や検問である。

次は中山道中間地点である。ついに半分まで来た。見どころが在るわけではない。普通の人なら素通りしてしまうような小さな石碑がおいてあるだけだが、中山道全行程を歩いている私にとっては喜びもひとしおである。この旅も、ついに折り返し地点まで来たのだ。

藪原宿では、この旅のバイブルとして使っている道中所『ちゃんと歩ける中山道』の西編が終わり、東編に入った。これも個人的に、”半分終わった”という感慨を抱かせる事件であった。



そして今日一番の難所が鳥居峠である。車道と歩行者用の道に別れていて、車道を通ればそれほどの難所ではなかったのかもしれない。しかし私が選んだのは歩行者用の道。江戸時代を実感するための旅なのだから当然である。が、選んだのは完全な山道。かなりの急勾配を上って行く。山頂近くの展望台から見えた景色は、まさに絶景であった。

下りも急勾配。疲れた足ではストップが聞かず、ほとんど駆け下りるように、いや転げ落ちるようにして下った。なおこの峠、熊出没注意の看板が多いので、上ってみたい人は熊鈴を装備していくことをおすすめする。


鳥居峠を下ってすぐのところにあるのが奈良井宿である。こちらは観光名所。かなり綺麗に歴史的景観が保存されている。お土産物屋や食べ物屋も立ち並んでいるが、人が家として使っていそうな場所もある。どちらも昔ながらの作りの家を保存しているものだ。当然、人は多い。観光客で賑っており、お昼時にはどの食事処も行列であった。先を急ぎたい私は五平餅とお団子を食べた。特に五平餅は木曽路の名物である。山を上り下りしなければいけない木曽路では、必然、力の出る食べ物がよく食べられるようになったとのことだ。


この奈良井宿、観光地化と歴史的景観の保存のバランスが良いのか、とても美しい宿場に見えた。一昨日の馬籠や妻籠も綺麗だったが、馬籠は観光地化しすぎ、妻籠は歴史景観保存によりすぎて今にも崩れそうな建物もそのまま、という感じがした。奈良井はこれをどちらも大切にしている感じがして良かった。


宿につく直前には雨が降り出してしまったが、土砂降りではなかったし、雨が降ったからこそ見られた景色もあった。雨の中山道もまた一興であろう。せっかくの旅。雨にあたってしまった、ついていない、と、悪い方向に考えてしまうのはもったいない。



〜今日の記録〜