15人。これは今年度、配属先の小学5年生でっ留年が決定した生徒の数です。3年生は102名だったので、約15%の留年率。

そんなにたくさん…と思いましたが、他の学年ではもっとたくさんの生徒が留年していました。

今回の記事では、ウガンダの留年事情についてまとめてみたいと思います。

  ウガンダ留年事情

ウガンダでは、小学校、いや幼稚園から留年があります。

ルール上は最終学年時の卒業試験に合格できなければ卒業資格が得られない、ということのようですが、多くの(多分すべての)学校で、学年末テストの結果を使って留年or進級の決定を下しています。

僕の配属先には幼稚園も併設されていますが、幼稚園生も学校と同じようなペーパーテスト(教科ごとではない簡単なもの)を受け、その結果をもとに進級判定にかけられていました。

  職員会議で…

進級判定は、年度最後の職員会議で行なわれました。これは、子どもたちに成績(テスト結果)を返却する前日です。
成績表をまとめるのは、渡す当日…

留年がかかった会議。さぞピリピリしているのだろうと思いきや…

なんと先生方、会議中にテスト結果をまとめています。僕の配属先にはパソコンがないので合計点や順位を出すのが大変なのはわかります。

でも、生徒の次の一年を決めてしまう会議でこれはどうなの…と思ってしまいました。

また何より驚いたのは、留年or進級の基準が決まっていないこと。

「基準には少し足りないけど、頑張っているから進級させてあげようか」とか、その逆とかの話し合いならわかります。

でもこの会議で、何点以下を留年にするかと話し合っているのです。しかもどうやら留年の人数を気にして決めているようで、基準点が学年によって違います。

30人は多すぎるからもっと基準を下げようとか、7人じゃ少なすぎるからもう少し上げようとか、そういう話し合いをしていました。

また聞いていると、同じ学年で何度も留年している生徒もいるようでした。

  留年の功罪

上記の決め方は問題があると思います。事前に「何点以上」とか「平均点の何割以上」とか、基準を決めて示しておくべきだと思います(そう提案しました)。
提案した掲示物

また最後のテスト一発勝負ではなく、1年間のテストの平均などを使うほうがいいのではないかとも思います。(ウガンダのテストは単元ごとではなく、それまでに習っているはずの全範囲から出題されます。)

ただ、留年制度自体は必ずしも悪いものではないような気もします。その学年の学習内容がほとんど身についていない状態で次の学年に進んでも、わからないことが増えていくだけではないでしょうか。

今回、5年生の留年基準は4教科合計120点以下、つまり平均30点以下です。7割以上わかっていない状態で無理に進級させるより、もう一年同じ学年で勉強して、わかるようになってから進級したほうが、最終的にきちんとした学力が身につくような気がします。

もちろん、負の強化(留年したくないという気持ち)によるモチベーションアップの効果も絶大でしょう。

反面、留年したという事実が心の傷や自己否定感(どうせ自分なんて…)に繋がってしまうのではないかという心配もあります。

留年があるのが当たり前のウガンダですら、結果を受け取る前の生徒たちはかなり緊張した様子でしたし、結果を聞いて泣いている子もいました。そして留年となってしまった子を笑っている子もいました。

たかがテストの結果が”カースト”の形成に繋がってしまっているうように感じました。日本だったら、いじめや不登校にも繋がってしまうのではないでしょうか。

また、ウガンダではお金の問題もあります。留年すれば、1年分余計に学費を払わなければいけなくなります。学費が払えないから授業を受けられない、テストを受けられないという子も、この1年間で何人も見てきました。

そんな中で留年になってしまったら「これ以上学費を払えない/払っても意味がない。だからもう学校には行かせない。」という判断をしてしまう家庭も出てくるのではないでしょうか。

加えて言葉の壁もあります。ウガンダの公用語は英語で、試験も英語で行われます。ですが彼らの母語はそれぞれの民族語です。

英語がわからないだけで、実は算数の才能がある、という子もいるかもしれません。そういった子もテストでは点数が取れないから留年。これはせっかくの才能を潰してしまっていることにならないでしょうか。

だとしたら、その子にとってだけでなく、国にとっても損ではないでしょうか。

  まとめ

個人の判断が最大限尊重される。積極的に留年を選ぶ、ということが当たり前の権利として受け入れられている。

そういう社会なら留年制度は有効だと思います。できることならそういう社会であってほしいし、そういう社会を作っていきたい。

でも、日本もウガンダも現状そうはなっていない。この現状の中で、しかも小学校のうちから留年させるのは有効なのでしょうか。

留年制度を残すことで、「個人の判断が最大限尊重される」社会に近づけられるということなのでしょうか。

もし日本で留年制度を導入するという話があがったとしたらどうでしょう。賛成ですか、反対ですか?

みなさんはどう考えますか?


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