南宮大社


美濃国不破郡
岐阜県不破郡垂井町宮代峯1734-1
(P有)

■延喜式神名帳
仲山金山彦神社 名神大 の比定社

■社格等
[旧社格] 国弊大社
[現在] 別表神社
美濃国一宮

■祭神
[配祀] 彦火火出見命 見野命


「南宮山」を御神体とし、その北東麓に鎮座。金属神である金山彦命を祀る総本宮、旧国弊大社でもあり、美濃国一ノ宮でも。
◎「南宮山」は標高419mの美麗な山容、典型的な神奈備山といったところでしょうか。当社奥宮とされる椿姫宮が鎮座しています(未登拝)。南東部の「象牙山」には象鼻山古墳群があるようです。
◎創建は社伝によると、「神武天皇東征の砌、金鵄を輔けて大いに霊験を現された故を以て、当郡府中に祀らせられ、後に人皇第十代崇神天皇の御代に、美濃仲山郷の現在地に奉遷され(以下略)」としています。
やや突飛な内容が示されていますが、「金鵄」を輔けた故でなぜ当地で祀られることになるのか不可解。この「金鵄」は神武東征において紀州熊野から大和入りする際に登場するもので、当地とは無縁かと。
◎もっとも古い神階授与は貞観十五年(873年)の正二位。その後は正一位勲一等を極め、武家社会の興隆とともに崇敬は高まったようです。
◎社名「南宮」は、美濃国府に対して南にあるからとされています。その国府跡は南宮御旅神社から発見されています。つまり「南宮山」において創祀がなされ、それが国府跡(御旅所)へ遷座、国府が造営されたためか現社地へさらに遷座とみるのが妥当なところでしょうか。
◎ご祭神の金山彦命はもちろん鍛冶神。「伊吹山」「金生山」など当地一帯にかけては伊富岐神社など、無数の鍛冶金属神を祀る社が鎮座。一大鍛冶製鉄(製銅)地帯であったことが分かります。そのほとんどの社は伊福部氏が奉斎した社(詳細は → 伊富岐神社の記事にて)。
◎彦火火出見命は尾張氏の関与があったからでしょうか。尾張氏の裔が壬申の乱の際に、大海人皇子(後の天武天皇)に私邸を行宮として差し出したようです。伊福部氏の祖は尾張氏と同祖 天火明命となっていますが、おそらくは尾張氏の傘下に入り系図に組み込まれたものと思われます(詳細は → 伊富岐神社の記事にて)。
見野命は不明、「美濃」ということ、つまり地主神であったのかもしれません。
◎鍛冶神を祀る当社には、平安時代の刀工 三条宗近(参考記事 → 平安の刀工 三条小鍛冶宗近)の現存する五振りのうち一振りが所蔵されているとのこと。また備前国長船の刀工による刀剣、その他鉾なども奉納されているようです。さらに金属製品を貼り付けた「金物絵馬」も多く奉納されているとか。
◎例祭は11/8に「金山大祭」(前夜祭、神迎え神事)、9日に「鞴祭」が盛大に行われるとのこと。当社案内によれば「奉行三人が鋼を打つ、金物・刃物の鍛練式」と説明しています。

◎国の重要文化財
*拝殿・本殿・幣殿・高舞殿
*回廊内 境内社社殿(樹下神社・高山神社・隼人神社・南大神社・七王子神社)
*石鳥居(一の鳥居)・石輪橋

◎境内境外社等は別途記事を設けます。

* 境内末社 南宮稲荷神社

* 境外摂社 吉葛神社


*写真は2016年4月と2022年5月撮影のものとが混在しています。


高さ21mの大鳥居。「中山道」に面して一の鳥居(石鳥居、国の重要文化財)が設けられています(現地未確認)。


写真左手の木々は御神木である「白玉椿」。━━美濃山の 白玉椿 いつよりか 豊のあかりに 会ひはじめけむ━━といった歌も。


偶然にも「南宮山」の上に射光が…。


境内社は別途、記事を上げます。

楼門と石輪橋。いずれも国の重要文化財。

「南宮造」と称され、軒回りはすべて「刳抜蟇股」という装飾が施されたもの。


楼門内の狛犬。



高舞殿と拝殿。いずれも国の重要文化財。



黒茶色がご本殿。左殿(向かって右殿)は樹下社。ご本殿の裏に微かに赤い七王子社が見えています。


樹下社の左(向かって右)には隼人社が樹に隠れて見えています。いずれも国の重要文化財。

写真右端がご本殿、右殿(向かって左殿)が高山神社、さらに樹に隠れて南大神社。こちらも国の重要文化財。