御霊神社 本宮


大和国宇智郡
奈良県五條市霊安寺町2206
(P有)

■旧社格
県社

■祭神
[本殿] 井上内親王(イガミナイシンノウ)
[南脇社殿] 他戸親王(オサベシンノウ)
[北脇社殿] 早良親王(サハラシンノウ)


大和国宇智郡に数多く鎮座する御霊神社の「本宮」。現在確認されている郡内22社(本来は23社、うち1社は不明)は、すべて当社から勧請されています。
◎ご祭神は井上内親王、第49代光仁天皇の后。その光仁天皇を呪詛したとして廃后、また難波内親王(光仁天皇の同母姉)も呪詛し殺害したとして、大和国宇智郡に配流幽閉されました。そのまま2年後に亡くなりますが、これについては暗殺説も。死後は皇后に復位されて当社にて鎮魂されています。
◎南脇社殿の他戸親王は井上内親王の第二皇子。母の廃后の2ヶ月後に皇太子を廃されます。そして母とともに配流幽閉、母と同日に亡くなります。同日というのが暗殺説の理由の一つ。
井上内親王は強烈な祟り神となり、都を震え上がらせます。おそらく呪詛などというのは藤原百川の陰謀であろうと考えられています。ところが謎であるのは他戸親王。配流される理由も無ければ、復位など何ら手立ても無し。正史からは判然としません。
◎北脇社殿に祀られる早良親王はこの親子とはまた異なる祟り神。藤原種継暗殺事件に関与したとして、淡路国にこちらも配流幽閉。親王は無実を訴えて絶食、餓死したと伝えられる強烈な祟り神。死後には即位していないにも関わらず崇道天皇の称号が授けられ、祟りを鎮魂されています。
第49代光仁天皇の皇太夫人 高野新笠との間に生まれ、兄は第50代桓武天皇。光仁天皇つながり、祟り神つながりで奉斎されたといったところでしょうか。
◎社殿配置(視認できない)は以下の通り。
*中央 … 井上内親王を祀る主殿
*右殿(向かって左殿) … 春日神社
*左殿(向かって右殿) … 八幡神社
*主殿の前 … 祝詞殿
*主殿の右脇(向かって左脇) … 他戸神社
*主殿の左脇(向かって右脇) … 早良神社
◎なお井上内親王は配流当時、身籠っていたとされ、火雷神が出生しています。成人したときに母兄の処遇を知り憤怒、火雷神として祟り神となりました。当社別宮として火雷神社に祀られています。
また「霊安寺町御霊大名神略縁起」という書には、火雷神の「産屋ガ峯」としている地に宮前霹靂神社が鎮座します。

◎分祀については「御霊宮本紀」という古書に、「吉原与牧野争論分譲請于十所矣」とあり、まず10村に分祀、次いで12村へ分祀。当社を含めて計23社があったとのこと。内訳は以下の通り。
【最初の10社】
*佐名伝(吉野郡大淀町)
山田 

*近内
【後の12社】
南阿田(現在の行政区画は「滝町」)
湯谷市塚(現在の行政区画は「阪合部新田町」)

*畑田(八坂神社に合祀か)

井上内親王 宇智墓 


*写真は過去数年に渡る参拝時のものが混在しています。



提灯は秋の例祭前の参拝だったため。





ご本殿は閉ざされており見えません。

向かって左の2棟は祓戸社。



御井神を祀る境内社。



*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。