食事をすると血糖値が急上昇し、ピークに達すると急降下して低血糖になる事を反応性低血糖(機能性低血糖)とか血糖値スパイクと言います。反応性低血糖では食後の3~4時間後に眠気やだるさやイライラするなどの多彩な低血糖の症状が出ます。反応性低血糖はインスリンの効きが悪いために過剰なインスリンが分泌されてしまう事が原因です。ですから、インスリンの効きが良くなれば反応性低血糖は改善します。
その反応性低血糖を改善させるために多くの人が実践している事は糖質の取り方を工夫したり、副腎を活性化させるサプリメントを摂取する事ではないかと思います。しかし実際には、痩せて筋肉量が少ない人や運動不足の人はそんな事をやっても頑固に治らない事が多いようです。
では痩せて筋肉量が少ないとなぜ反応性低血糖が頑固に治らないのでしょうか?
それは、骨格筋から分泌されるマイオカインという物質にインスリンの効きを良くする働きがあり、筋肉量が少なくなるとそのマイオカインの分泌も減少するからです。ですから、痩せている人が反応性低血糖を改善させるためには、筋肉量が増加するような運動をしながらしっかり食べて筋肉で体重を増やすべきなのです。
※マイオカインとは筋肉から分泌される様々な生理活性物質の総称で1つの物質ではありません。マイオカインの中でも特にインターロイキン6にインスリンの効きを良くする働きがあります。
しかし、痩せて筋肉量が少ない人でも、本人は痩せていると思っていなかったり、逆にもう少し痩せる必要があるとさえ思っている人もいます。また筋肉が不足しているのに「痩せているけど筋肉はけっこう付いている」という間違った認識をしている人もいます。そこで痩せているかどうか、筋肉量が足りているかどうかを客観的に判断するための基準を知る必要があります。
医学的にはBMI指数が18.5以下で痩せすぎという判定になり、理想は22とされています。BMI指数は、グーグルで「BMI」と検索すると身長と体重から計算してくれるサイトがすぐ出てきますのでそちらで調べてみてください。例えば、160cmの人だと体重47kg以下くらいで痩せすぎの判定となり、56.32kgが理想の体重となります。
また、痩せていても体脂肪率が高い場合は「痩せなくちゃ!」と考える人が多いようですが、そのような場合、実際には脂肪が多いのではなく筋肉量が少ないために、相対的に体脂肪率が高くなっています。ですから、本当は痩せるのではなく筋肉量を増やす必要があるのです。BMIが22の理想の体重の時に、体脂肪率が女性ならば20~29%、できれば20~25%くらいの範囲に入っていれば理想的な筋肉量がついていると判断できます。
ただ実際には、女性の場合、BMI指数を最低でも18.5以上、できれば22になるように体重を増やしましょうと私がアドバイスしても、痩せ願望から「それじゃデブになってしまう」と受け入れらてもらえない事がよくあります。また筋トレをおすすめしても筋肉質になる事を嫌がる人もかなりいます。そうなると改善はかなり難しくなります。痩せ願望と筋肉嫌いは反応性低血糖や副腎疲労を改善するためのとても大きな障壁です。
また、反応性低血糖を改善しようとして、あれも食べちゃ駄目、これも食べちゃ駄目と制限だらけの食事にした結果、痩せて筋肉が減少してしまい逆効果になってしまう人もいます。例えば、遅延性アレルギー検査で検出された食品を全部食べないようにしたり、厳格な糖質制限やケトジェニックダイエットを実践する人達です。また、不安や恐怖から健康的な食品以外食べられなくなってしまうオルトレキシアという状態になっているために痩せてしまう人もいます。このような事は健康オタクの落とし穴ともいえるでしょう。
反応性低血糖がある人はたくさん食べると血糖値スパイクを起こして調子悪くなるので、少食を心がけている人がいます。しかし少食を続けていると「痩せ」や筋肉不足は改善しないので、いつまでたっても反応性低血糖が根本的には解決する事はありません。そのようなジレンマを解消するためには、運動を習慣化してマイオカインを分泌させながらしっかり食べるようにするとか、1回の食事量はそれほど多くなくても食事の回数を増やすなどして1日の総摂取カロリーを十分に摂取するなどの対策が必要です。
私が行っているARテストでは、反応性低血糖を調べて、それを解決するために、栄養療法が必要なのか、心理療法が必要なのか、はたまた筋トレをしてマイオカインを増やせばよいのか、という事も調べる事ができます。そして、必要に応じてサプリメントや食事のアドバイスをしたり、心理療法をしたり、運動を習慣化する事をおすすめするようにしています。ただし医学的な検査ではないのでご了承ください。
東京都町田市
かわせカイロプラクティック
河瀬 哲也