排卵障害は不妊の原因の約25%を占めると言われています。その排卵障害の最大の原因が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。生殖年齢女性の8%~13%が多嚢胞性卵巣の罹患しているほど珍しくない疾患です。そして、その多嚢胞性卵巣症候群の最大の原因となるのが、インスリン抵抗性と言って、インスリンが効きにくい体質です。多嚢胞性卵巣症候群の実に50~80%の人にインスリン抵抗性があるといわれています。インスリン抵抗性があると血糖値スパイクを引き起こすので、食後の眠気やだるさ、頭痛、イライラなどの症状が出やすくなります。
そのインスリン抵抗性を改善する代表的なサプリメントはミオイノシトールです。また、ミオイノシトールには卵子や胚の質を良くする作用もあるため、高齢出産の女性やAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査で卵巣機能が低下している女性にも使われるサプリメントです。
それから、カルシウム、マグネシウム、ビタミンDもインスリン抵抗性の改善に必要な栄養素ですので、不足している人は補う必要があるでしょう。
それから善玉菌が産生する短鎖脂肪酸がインスリン抵抗性の改善に役立ちますので、善玉菌を増やすプロバイオティクスやプレバイオティクスなどのサプリメントが必要かもしれません。
それから酸化ストレスや炎症もインスリン抵抗性を引き起こす原因なので、抗酸化作用や抗炎症作用のあるグルタチオンを増やすNACなどのサプリメントが役に立つかもしれません。
ただ、なんとなく効きそうなサプリメントをなんとなく直感で選んで飲むという事はしないでください。ちなみに、私の所ではARテストという代替療法の方法で必要なサプリメントを調べています。
それからインスリン抵抗性には体重の管理と運動がとても重要です。
従来、インスリン抵抗性の最大の原因は肥満と考えられていましたが、最近の研究では痩せている事もインスリン抵抗性の原因になる事がわかっています。日本ではBMI指数が18.5未満の医学的に痩せている女性の割合は20%で先進国の中でも最も高く、痩せている事がインスリン抵抗性の原因になっている事が多いようです。
では、なぜ太っていたり痩せているとインスリン抵抗性が起こるのでしょう?
太っている場合は、肥大化した脂肪細胞から分泌されるTNFαや遊離脂肪酸などの生理活性物質がインスリン抵抗性を引き起こします。また肥大化した脂肪細胞からはインスリン抵抗性を改善するアディポネクチンという物質が分泌されなくなる事も関係しています。ですから、脂肪を減らす事が重要なのですが、無理なダイエットによる急激な体重減少とリバウンドを繰り返すと卵巣機能を低下させます。運動を習慣化させ、栄養もちゃんととり、ゆっくりと減らし、リバウンドしないようにする事が重要です。
痩せている人の場合は、筋肉量が少なく運動もしないため、筋肉から分泌されるマイオカインというインスリンの働きを良くする生理活性物質が不足している事が関係しています。ですから、痩せた女性は運動をする事、特に筋トレをして筋肉量を増やす事がとても重要になってきます。
またインスリン抵抗性を引き起こす遊離脂肪酸が増加するのは太っている人の特徴だと考えられていましたが、最近の研究では痩せている人にも増加している事があきらかになっています。なぜ痩せている人でも遊離脂肪酸が増加するのか、その理由として、空腹の時に脂肪をエネルギーとして利用するために脂肪組織に蓄えられた中性脂肪が分解されて遊離脂肪酸となって放出されるためだと考えられています。ですからエネルギー不足にならないようちゃんと食べるという事が重要です。
東京都町田市
かわせカイロプラクティック