化学物質過敏症だった方の取り組み | 症例と解説 | かわせカイロプラクティック

症例と解説 | かわせカイロプラクティック

症状に対する私なりの考え方や症例の解説などを書いています。

今回は、自宅の近所の土地に除草剤を撒かれてから化学物質過敏症が発症した方がすっかり良くなるまでの取り組みについてお話します。私の所に最初に来院された時の症状としては、農薬、柔軟剤、洗剤、印刷物のインクなどによって、鼻水、鼻詰まり、涙目など目や鼻の症状や、喉の焼け付くような感覚、頭の違和感がありました。

そして、2週間おきに合計25回、約1年にわたってセラピーを施した結果、最後は化学物質に対して平気になり、どうやら完治したようだという事で通院終了になりました。最後のほうの数ヶ月は症状が出ていなかったので、おそらくもうぶり返す事もないだろうと思います。

私が行っているARテスト(腕長反射テスト)で見つけたこの方の栄養療法的問題は、隠れ脱水、電解質不足、活性酸素、腸内細菌異常、細胞膜、重金属および化学物質、貧血、硫黄不耐性などがありました。

それに対して、ラクチュロース、グレープフルーツシード、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、モリブデン、マンガン、ホスファチジルコリン、NAC、鉄、銅、アセチルLカルニチンなどをアドバイスしました。こういったサプリメントの選択もすべてARテスト(腕長反射テスト)によって行っています。

サプリメントの種類は最初は多かったかもしれませんが、終了する時は、クエン酸カルシウム、銅、NACの3種類に絞りました。サプリメンを減らす事ができるようになったのは、食事が充実してきた事も関係あると思います。この方は最初は食事の量が少なかったり、ベジタリアンにやや近いような食事内容でしたから十分な栄養が取れてなかったようです。

それから、ARテスト(腕長反射テスト)によって心理療法の必要性を確かめ、身体志向の心理療法を施しました。私が行っている身体志向の心理療法とは、傾聴や、考え方や感情にアプローチするような従来の心理療法ではなく、主に身体感覚を感じてトラウマを癒やしていく方法です。

心理療法を開始して、一番最初に行ったのは、何も考えずに、ただ今の自分にどんな身体感覚があるか感じ取る事です。すると胸がモヤモヤ・ソワソワ、喉が締まる、お腹の下が上に上がってくるような感覚などがありました。それらの身体感覚を、グラウンディングなどで「今ここ」を感じながら俯瞰してゆくと、次第に落ち着いてゆきます。このようにして、トラウマ的な事を考えたりしなければしっかり落ち着いているという状態をまず確立させました。

そして、次に、今心配している事などについて考えてもらい、その時に湧き上がってくる身体感覚に気づき、それを「今ここ」を感じながら落ち着いて俯瞰してゆくというセラピーを開始しました。

例えば、「春になるとまた除草剤をまかれるんじゃないか」という不安や「実際に除草剤を撒かれた時の事」を考えたり思い出したりした時は、頭がボーっとしたり、喉がヒリヒリしたり、目がしばしばするなど、化学物質過敏症の症状が出てきました(この事はトラウマが化学物質過敏症の症状を誘発している証でもあります)。その身体感覚を「今ここ」を感じながら俯瞰してゆくと落ち着いてゆきました。その他、環境汚染やワクチンの事を考えてもしっかり落ち着く事ができるようになりました。

また、心理療法の途中でチャクラやサトルボディなどの目に見えないエネルギーフィールドの問題も出てきて、そういったセラピーも併せて行う事で解決に向かいました。

この方が、良くなっていった要因として、まず自分の身体感覚を感じ取る事が上手だったという事があります。それから、ゆっくりと少しずつしか良くならない事をしっかり理解して諦めずに2週間に1回のペースでちゃんと通って来てくださった事や、私が行っている心理療法を理解するために役立つポリヴェーガル理論の本を買って熱心に勉強されたりした事もあるでしょう。

最後に、化学物質過敏症は、ただ化学物質を避けたり栄養療法を行うだけではなかなか解決しない方が多いと思います。できれば心理療法も含めたホリスティックな視点で取り組む事を強くおすすめします。

 

 

東京都町田市

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河瀬 哲也