「点と線」ノスタルジック香椎!

 「松本清張の『点と線』①

 「松本清張の『点と線』 ② 夜行寝台特急『あさかぜ』」 

 「③ 香椎浜の心中事件

 「④ 列車食堂と領収証の疑問

 「⑤ 国鉄香椎駅

 「⑥ 二つの香椎駅

 「⑦ 西鉄香椎駅へ

 「⑧ 香椎浜

 「⑨ トリック崩し

 「➉ 千鳥橋に新博多駅があった」の続きです。

ブログ「松本清張の『点と線①」を書き始めたのが、今年の4月初旬でした。 コロナ禍によるステイホーム真っ只中の時期です。 歴史講座などのイベントが中止となり、街中には外出していないので、ブログの話ネタが無いのです。 西鉄香椎駅前の「清張桜(松本清張ゆかりの桜)が満開だったので、これを写真に撮って、「点と線」に関するブログを書こうと思ったのがキッカケでした。 その時点で頭に描いていた内容では、ブログシリーズでも④号ぐらいで終わる予定だったのですが・・・次第に仲間らからの評判が良くなっていくことに気を良くし、気が付くと号になっていました。 自分でも名残惜しいのですが、今回の号で終了したいと思います。

 

                 

 

松本清張著の推理小説「点と線」は、我々の年代がノスタルジアを感じて読み直している、とばかりに思っていたのですが、若い年代にも読まれているらしい。 ビートたけし主演のTVドラマの影響もあるのかもしれない。 また、現在の若者にとって、小説の物語が蒸気機関車で始まる昭和32年(1957年)とは、自分らとは関係ない遠い遠い昔のことであり、逆に違和感を感じないらしい。

 

点と線」の昭和32年と言えば、うっちゃんたち団塊世代は、8歳~10歳の小学生。 戦後の混乱の中で生まれ、もの心ついた頃が朝鮮戦争だった。 板付基地(現在の福岡空港)から飛び立つアメリカ軍の戦闘機を毎日見ていた。 小学校の給食はコッペパンとおかず一品、それに米軍支給の脱脂粉乳。 シラミの駆除のために、集団で頭にDDT(白い粉薬剤)をかけられていた。 しかし、そんな中、日本はいち早く戦後の混乱から抜け出し、経済活動を加速化させていたのです。 「点と線」はそんな時代の狭間に発表されたのでした。

 

■ 博多/東京間 列車所要時間 21時間38分

 

それでも、都市と都市を結ぶ地上交通機関は国鉄の蒸気機関車が主で、電化はこれから、と言う時代でした。 現在の利便性(運行本数)を時刻表の博多駅/香椎駅間で数えてみると、上りだけで約135本の列車が運行されています。 「点と線」の時代(昭和32年)より9年前(昭和23年)の、香椎駅発着の時刻表があります。 

                 

上りの列車が僅かに13本です。全て蒸気機関車で、9年後(点と線)に倍以上の本数になった、と仮定しましょう。 それでも、鳥飼重太郎が天神の福岡署から香椎に行くのには、国鉄博多駅からの列車本数が少なくて不便だったのだろう。 赤い文字は当時の鹿児島/東京間を走った「急行 霧島」です。 つまり、昭和23年、九州/東京間を結ぶ交通機関は「急行 霧島」はじめ数本のみでした。 8年後の昭和31年に、特急寝台夜行列車「あさかぜ」が走り始めます。  新しい時代へのスピードは速かった。

 

新潮文庫94P。 昭和32年、鳥飼重太郎が、東京に帰る警視庁の三原紀一を博多駅で送った時の会話。 博多発午後6時(18時)2分発「急行 雲仙」だった。 「東京にはいつごろ着くのですか?」 「明日の午後の3時(15時)40分です」 「ご苦労さまですね」  所要時間21時間38分。 本当にご苦労さまですね、なんだけど、これが当たり前の時代でした。 でも、警視庁の課長でも高運賃の「あさかぜ」は利用出来なかったのですね。 現在の便利な時代を考えながら、「点と線」を読むのも楽しみ方の一つで、昭和の浪漫を感じます。

 

■ JR九州列車時刻表の中に「点と線 ゆかりの列車」を見つけた!

 

点と線」に於いて、「東京駅の13番・15番ホーム」のトリックが、一番読者を楽しませてくれたが、二番目は「西鉄・国鉄 二つの香椎駅」のミステリーだろう。  

国鉄香椎駅21時24分着の列車から降りて来た男女一組。 西鉄香椎駅21時35分着の電車から降りて来た男女一組。 これらの男女は同じ一組なのか、或いは別々の二組なのか?・・・このミステリーは、香椎の住人として、楽しくて嬉しかった。 そのことで、香椎の町が「点と線」の聖地の一つになった。 西鉄香椎には、駅前に「清張桜」と呼ばれる聖地の印(浪漫)がある。 うっちゃんはJR(国鉄)香椎駅でも、一つ面白い事実(浪漫)を見つけた。

 

(新潮文庫71P) 昭和32年1月21日、犯人の安田涼子××省(東映映画では産工省)の佐山憲一の二人は、国鉄香椎駅に21時24分着の上り列車から降りて来た。 それを駅前の果物屋の主人が見ている。  さて、JR時刻表 2020年4月号の418P・・・鹿児島本線上りに荒木発19時51分の門司港行2350M列車がある。 各駅停車の普通列車で博多を出たのち、なんと小説と同じく、香椎駅に21時24分に着く。 これは、ただの偶然? それとも、JR九州の粋な計らい? うっちゃんはこの列車を、香椎浪漫的に「点と線の列車」と呼ぶようにしたい。 

 

■ 東映映画「点と線」に昭和のノスタルジアを感じる

 

当時の「点と線」映画のポスターです。 最後の場面。あ~っ、そのビールには・・・。

この映画の実際の主役は、犯人夫婦を演じた大物俳優の山形勲(安田辰郎)と高峰三枝子(安田亮子)です。 悪役であろうと何であろうと、この二人の存在感が映画全体を引き締めている。 画面の中に、当時の昭和が映されていて・・・青函連絡船C-61機関車ノスタルジック昭和です。 ポスターの中の「総天然色」の文字が懐かしい。 思春期?、日活〇マ〇映画のポスターの場合は、「」の文字が無い、ただの「天然色」だけで・・・普通は白黒なのに、盛り上がる?場面になると天然色に変わっていた。 これは、うっちゃんの昭和浪漫です。(笑)

 

■ 東映映画「点と線」に江利チエミが、ちょっとだけ出演していた。

           中洲の料理屋の女中として登場した江利チエミ

江利チエミを知っている年代も少なくなった。三人娘」って知っていますか? 山口百恵桜田淳子森昌子ではないですよ。 江利チエミ美空ひばり雪村いづみの三人が「元祖・三人娘」と呼ばれていた。 うっちゃんにとって、江利チエミと言えば映画「サザエさん」ですね。懐かしい。 あっ、忘れていた。江利チエミ高倉 さんの奥さんだった人でした。 みんな遠い昔に・・・。

 

思い出」も好きで磨いていると、ツヤが出て来て自分の宝物になってきます。 「点と線」がそうです。 鳥飼重太郎が福岡署から、香椎に何度も聞き込みに来た足取り・・・駅前の果物屋、高架前の西鉄の踏切など、懐かしい思い出は香椎の大切な宝物です。 

 

ブログ「松本清張の『点と線』 」で記した通り、清張が香椎の町なかと香椎潟の海岸を好きだったことは間違いないと思われます。

 御島崎の岩場のあった場所にボーと佇んでいると、松本清張が現れて「うっちゃん!香椎の駅はあっちだよネ?」と指を指して尋ねてくれた。 

 

大好きな香椎の町You-Tubeに編集しました。  清張が今の香椎を見ると驚くだろう。このYou-Tube「我が町 香椎」は、松本清張に捧げます。  

そんなことで、うっちゃんのブログ「松本清張の『点と線』」を終わります。 

ブログ「松本清張の『点と線』」①~⑪ 完

 

*町地図はマピオンから借用しています。

 

行ってみようと思います →: 「点と線」企画展  松本清張記念館

 

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