今はない西鉄線踏切を辿って!

 「松本清張の『点と線』①

 「松本清張の『点と線』 ② 夜行寝台特急『あさかぜ』」 

 「③ 香椎浜の心中事件

 「④ 列車食堂と領収証の疑問

 「⑤ 国鉄香椎駅

 「⑥ 二つの香椎駅」の続きです。

                      

             (新潮文庫)                 (東映 TOEI-VIDEO

        

国鉄香椎駅を出て真っ直ぐ歩くと、最初に「唐津街道」を横切る。 現在は信号機が設置されている。 古代から大変重要な役割を果たしてきた街道ではあるが、香椎住民はこの道路が「唐津街道」だとはあまり言わない。 江戸時代、街道宿場町は箱崎宿の次は青柳宿(古賀)となり、村民にとっては旅人や参勤交代の列が通り過ぎるだけの道だった。 旅人の為に、休憩所のような店があった、と記録には書かれている。

             江戸時代後期の香椎村  (筑前名所図会)

 

 この唐津街道四つ角から、西鉄線方向を撮った写真が以下で、「点と線」の時代から6年後の昭和38年に撮られている。   

                 

 歩道はあるが、舗装は未だ施されていない。 先の踏切を西鉄津屋崎線の電車が通過している。 西鉄香椎駅へは、踏切を渡って右折する。 この道を歩いていたのは、犯人の安田涼子××省の課長補佐佐山憲一の二人だった。

 

 同場所近くから、平成25年撮影。 西鉄線は高架となっている。

                

 同じ場所から6月6日撮影。 左側、一度更地になった後、ビルが建ち、唐津街道も道幅が倍になった。

 

 次の写真は昭和40年(1965年)、西鉄線踏切上から国鉄香椎駅方向を撮っている。 国鉄香椎駅 唐津街道の辺り。 西鉄踏切。 遮断機の竿が見える。 当時の香椎商店街が、左側に見える。 また、この頃までに、舗装工事が施されたことが分かる。 (福岡市総合図書館資料)

                  

 上の写真を踏切手前の地上で撮ると・・・時は昭和44年(1969年)だが、このような風景になる。 左側の香椎商店街も確認できる。

 

 東映映画の中で、西鉄踏切を渡り西鉄香椎駅に向かう福岡署の鳥飼重太郎と警視庁の三原紀一の二人。

          

 踏切の幅が狭く感じるが、雰囲気はそっくり。 西鉄は単線なので、線路は一つだが、映画では三線路ある。 それと西鉄商店街に似た建物も見える。・・・ロケ場所は何処だろう?   ここが何処なのかは、西鉄香椎駅に着いてから報告します。

 

現在、線路は高架になっており、踏切の面影は一寸も残っていない。 高架手前の商店街ビルを右折して(写真では左方向)西鉄香椎駅に向かう。

 平成13年(2001年)、西鉄線の高架工事が始まる前の踏切付近の写真です。 奥に停車中の西鉄電車が見える。 電車の左側が駅舎だ。 香椎の住民にとって、肉眼では二度と見ることの出来ない、思い出深い光景です。

                

 その踏切を渡り終えて、西鉄香椎駅に向かう二人の刑事。(東映映画)

 駅舎はかなり手前になるけど、雰囲気はそっくり。 停車中の電車のカラーも西鉄に似ている。 鉄道ファンだったら、何処の鉄道会社かは分かるのでしょうね。

 

二人の刑事は西鉄香椎駅に着いた。

 コンクリート造りで駅舎の造り・形は違うけど、屋根の行き先看板には・・・津屋崎・西鉄新宮・和白・名島・競輪場前(一番右)・・・これは、もう本物だ。

 

踏切から駅まで・・・西鉄香椎駅近辺の雰囲気に似たこの場所は何処?  ここは、 東京都の西武鉄道新宿線東伏見駅です。 停車中の西武鉄道311型(らしい?)は、西鉄そっくり。

                

 現在の東伏見駅南口で、西鉄香椎駅として撮影された同じ場所になるが、面影はない。 写真の右側が新宿方面で、少し先に踏切がある。 東伏見は早稲田大学東伏見キャンパスがある町として有名です。

 

 現在の西鉄香椎駅舎東口側に九州産業大学芸術学部の学生が描いた「点と線」の大きな絵(の場所)が掛けられている。 印が本ブログで登場した駅前通りにあった割烹料理「よし本」です。

     「点と線」時代の西鉄香椎駅の壁掛け絵 九州産業大学芸術学部)

 当時の西鉄香椎駅と一緒に描かれている桜の木が、現在の駅西口の広場に移植された「清張ゆかりの桜」。 我々香椎の住民は「清張桜」と呼んでいるが・・・。

              現在の西鉄香椎駅前西口

清張桜」は、印の旧駅前から現在の場所へ、平成20年(2008年)1月21日に移植された。 移植したこの日は香椎浜で毒殺されたお時の命日なのです。 この辺りのことについては、「西鉄香椎駅『点と線』の清張桜(第1回桜まつり) ←クリック」に詳しく報告しています。

国鉄香椎駅を降りた安田涼子佐山憲一の二人は、歩いて西鉄香椎駅前を通り過ぎて、海岸の方へ向かった。 数分後に到着した西鉄電車から、安田辰郎お時が降りて来て、同じ道を歩いて行った。 このことを、警視庁の三原紀一福岡署の鳥飼重太郎も、この時点ではまだ知らない。 ただ、二組の男女が通るのを黙って見つめていたのは、駅前に立っていた桜の木(清張桜)だけだった。

 

松本清張の『点と線』⑧」に続く。

 昭和の香椎町の画像は「香椎タウンストーリー(管理人:柳瀬英昭 氏)」からお借りしました。 

* 町地図はマピオンを借用しています。

 

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