その1.画一的、管理主義的教育の弊害(後編)

 

導入:欧米と日本との間に横たわる高等教育の在り方の決定的な違い

【成田悠輔のガチ友人】ハーバード式!世界で戦うための教育法【下北沢駅前で小

   田急と寮運営】 ReHacQ−リハック【公式】  2023/11/06  39:39

【成田悠輔のガチ親友】ハーバードと東大!違いとは?【けんすう衝撃】

   ReHacQリハック【公式】 2023/11/13  39:20

 日本の高等教育の最大の問題点は「リベラルアート」の果たす機能の重要性を軽く見る一方でひたすら同質的集団内,専門的学問の枠内にとどまり続けることで画一的、管理主義的教育を温存させてきた点に求められるだろう。小林氏の指摘する通り、国籍や年齢、専門などを超えた多様な出会いを保証する寮生活の重要性を見直すことは今後、日本の大学に一層求められてくるのかもしれない。

 ハーバード大学が一人の大学生に年間でつぎ込む経費は4500万円ほど、経費面で日本のトップ東京大学ですらせいぜい800万円程度に過ぎないという小林氏の指摘にも驚かされる。早稲田、慶応にいたっては何と200~300万円程度に過ぎないらしく、アメリカの有名大学には遠く及ばない現状があるらしい。こんなお寒い状況で日本の大学がアメリカを上回るような教育の成果、研究の成果を上げることなぞ、まったく不可能なのは当然。

 これまでも日本の教育関連予算は削られる一方であり、日本の学校教育の危機もまた今後、深まる一方となるのは不可避である。したがって今や高卒段階で学力にそれなりの自信がある生徒ならば日本の大学ではなく、積極的に海外留学を目指すべき時代なのだ。年収1500万円以下のご家庭出身ならばハーバード大学等では学費無料で受け入れてくれるそうなので経済的心配は日本よりも不要である。

文科省の博士増加対策には安易に賛同できない理由

   塾講師チャンネル 2024/07/17  13:11

   この問題でも文科省の官僚のあからさまな劣化が推察できるだろう。学校現場の実情を調べる事すらサボり続ける文科省官僚たちの机上の空論に近い一方的で無謀な指図にひたすら振り回される教師たちの無念さ、悲惨さが伝わってくる動画である。

「全て他人のせい」日本人に主体性が育たない背景とは?レジェンド校長“工藤勇

 一”が指摘する「教育の大問題」【成田修造/宮村優子/平川理恵/西村祐二】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/18  14:39

「みんな仲良くなんてできない」先生主体のいじめ対応が子ども自身の解決能力を

 奪う。当事者の生徒達が自ら考え、いじめを解決に導く方法とは?【工藤勇一/平川

 理恵/西村祐二/成田修造/宮村優子】

 NewsPicks /ニューズピックス  2024/05/25  14:31

 

参考資料

日本の教科書検定制度(文科省のホームページより)

1)教科書検定の意義

 我が国では、学校教育法により、小・中・高等学校等の教科書について教科書検定制度が採用されています。教科書の検定とは、民間で著作・編集された図書について、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査し、これに合格したものを教科書として使用することを認めることです。

 教科書に対する国の関与の在り方は、国によって様々ですが(表2参照)、教科書検定制度は、教科書の著作・編集を民間に委ねることにより、著作者の創意工夫に期待するとともに、検定を行うことにより、適切な教科書を確保することをねらいとして設けられているものです。

2)教科書検定の必要性

 小・中・高等学校等の学校教育においては、国民の教育を受ける権利を実質的に保障するため、全国的な教育水準の維持向上、教育の機会均等の保障、適正な教育内容の維持、教育の中立性の確保などが要請されています。文部科学省においては、このような要請にこたえるため、小・中・高等学校等の教育課程の基準として学習指導要領を定めるとともに、教科の主たる教材として重要な役割を果たしている教科書について検定を実施しています(付表2参照)。

 

   本当に日本の教科書検定制度はこのままで良いのか、きちんと問い直すべきではないのか?特に義務教育でもない高校での教科書検定制度は不要なのではあるまいか?

 

・学校における柔道・剣道の復活

「戦後の武道教育についての研究―学校における武道の取り扱いに着目して―

久保 優樹,武井 幸二,岸本 卓也 2017」によると以下のように整理できる。

・敗戦後ただちにGHQの指令により軍事教練や武道が禁止

・昭和25年(1950)、柔道が学校教育に復活 ←サンフランシスコ講和条約

・昭和27年(1952)、剣道が「しない競技」という名称で復活 ←「剣」はダメ

・昭和33年(1958)、中学校学習指導要領の改訂により柔道や剣道は「格技」

   とされ、男子のみが各学年一種目を行うこととされた。「道徳の時間」が設けられ

   たことで格技は徳育をも担う種目として従来よりも重視されるように。

・昭和44年(1969)、中学校学習指導要領の改訂で格技の授業時数が倍増。ただの

   体力作りに止まらず、公正な態度、規則遵守の精神、責任感などを育成する種目と

   して一層重視されていく。

・平成元年(1989)、中学校学習指導要領の改訂で「格技」から「武道」に改称

   れ、戦前からの呼称としての武道が復活「伝統的な行動の仕方に留意する」と定

   められ、礼法の徹底が図られた。もはや単なるスポーツという位置付けから昇格

・平成10年(1998)、中学校学習指導要領の改訂で「我が国固有の文化として伝統

   的な行動の仕方が重視される運動」や「武道に対する伝統的な考え方を理解し、そ

   れに基づく行動の仕方を身に付けることが大切である」 というようなことが示され

   た。

・平成20年(2008)、中学校学習指導要領の改訂で武道がついに必修化され、伝統

   文化の尊重、愛国心や道徳心の涵養が武道を通じて図られた。

         →教育基本法の改正(2006)

 

 以上、柔道・剣道の復活の歩みを概観してみた時、何を感じるだろう。もちろん、カッパは柔道や剣道の精神を頭から否定するつもりはない。「礼に始まり、礼に終わる」礼儀正しさ、特定の型を反復して身につける練習方法…それらは長い伝統から培われた、一定の根拠を有する大切な日本の文化でもある。ただ、その文化を学校という公教育の場で有無を言わせず強制的に学ばせることの是非は厳しく問い返さなければなるまい。

 確かに武道において「型」は重要な概念であり、決して軽視すべきものではない。しかし学校教育全体にまで型の精神を安易な形で敷衍し、一般化することは許されまい。武道の復活を通じて変に型にはまった、柔軟性に欠けるものの考え方が戦後の学校教育に浸透したとすれば事は重大である。実際、いまだに形式ばった、軍隊式の卒業式や入学式が多くの学校ではびこっていないだろうか。そこではかなりの確率で武道の顧問がこれらの式の号令をかけていないだろうか。

 こうしたことは戦前、戦中まで当然のことと考えられてきたが、戦後、人権尊重をうたう日本国憲法のもとではいかがなものだろう。「人権尊重」をうたう公教育が児童生徒の多様性、個性を踏みにじるものであってはあるまい。学校での画一的管理主義は新憲法の精神とはどうみても相性が悪い。どうやら戦前まで支配的だった日本の画一的管理主義教育は戦後、武道の復活とともに巧妙な装いをもってよみがえってしまったのではなかったか…このUターン現象をリードしてきたのは一体、誰だったのか(「昭和の妖怪」岸信介らに違いあるまいが)、どんな政治的思惑がそこに働いたのか、疑念は尽きない。

 すなわち教師ならば誰でも日本の戦後教育の歩みを大学時代にしっかりと振り返る必要があったのだが、一体、どれだけの教師がこのことについて今も真剣に考えているのか…大学における教師養成教育の貧弱な実態と教師の置かれた厳しい職場の実態を考えると実に心もとない。人権教育に関心の低い現在の日本の教師のあり方には歴史的にも大きな問題が潜んでいるのだ。

   なお、武道の禁止から復活への過程は武道を描いた漫画や時代劇の禁止から復活への過程とはほぼ平行して実現しているので、カッパの調べた範囲でそちらの動向も簡略ではあるが以下に示しておく。もちろん公職追放の解除や戦犯の社会復帰、戦争物の漫画やドラマの復活、軍隊の復活もまた武道の復活と軌を一にしている。総じて「戦前への回帰」とも捉えられるこれらの動きをもたらした最大のきっかけは朝鮮戦争時におけるアメリカの対日政策の転換と考えられる。

 

・時代劇の復活と終焉

 敗戦後、いわゆる「チャンバラ禁止令」がGHQから出され、映画などでの剣戟のシーンや仇討ちシーン(アメリカへの復讐心を煽るおそれ)は御法度に。

1951年頃から時代劇の復興が見られるように ←サンフランシスコ講和条約

 ※姿三四郎の映画化、テレビドラマ化が続々と行われ、テレビアニメも登場。漫画

  の世界でも武道を描いた作品が登場し、1952年から1954年にかけて柔道漫画

  『イガグリくん』(福井英一)が『冒険王』で連載された。この作品は講談や時

  代劇などで描かれてきた伝統的な日本人的心情に則ったもので、柔道だけでなく

  異種格闘技戦の要素も含んだ作風は熱血スポーツ漫画のルーツとも呼ばれ、後の

  作品群に大きな影響を与えることになったという。

1960年代半ば以降、時代劇の映画上映は減少する一方でテレビ放映が急増

 ※「柔道一直線」(TBS:1967~71)ブーム、スポ根ものドラマの一つ。

  「おれは男だ」(日テレ:1971~72)ブーム ⇒森田健作、青春ものスターへ

   以上は学校における柔道、剣道の復活と歩調をあわせてブラウン管に登場。当

   時の児童、青少年に与えた影響は小さくないだろう。

1990年代、いわゆるトレンディドラマの流行によって時代劇衰退へ

 

 このテーマは近年、NHKの朝ドラ「カムカム エヴリバディ」で時代劇好きの主

人公(川栄李奈主演)が登場した事で多少はタイムリーなテーマとなっている。

 ここでは時代劇復活の是非を巡って授業で討論させたい。すなわち手段や理由は何であれ、「人殺し」シーンに拍手喝采を送るドラマの是非について、西部劇や戦争物映画の歩みについても併せて討論すべきだろう。

参考動画

【禁断のテレビ史①】日本を支配した電通とテレビ局!命がけの超授業【オリラジ

 アカデミー】中田敦彦のYouTube大学  2022/11/19 57:30

【禁断のテレビ史②】業界騒然の神回!失われた30年の真相【オリラジアカデミ

 ー】 藤森慎吾のYouTubeチャンネル 2022/11/19 56:51

 戦後日本のメディア史を分かりやすく整理して、面白く語ってみせる中田氏の授業力には参考となる点も多い。2本でかなり長尺の動画だが、途中まったく飽きさせることなく、興味津々の展開が続くオススメの番組。ただしテレビ番組の内容における洗脳的側面には一切、触れていない。あくまで映画やテレビが大衆娯楽の主役を降りていき、ネットが台頭してきた過程を中心に解説したメディア興亡史の授業である点には留意すべき。オリンピックでの電通問題に関しては大いに参考となる内容。

 

・スポ根ものブームと運動部

 一般的に「スポ根」の発祥となった作品や元祖と呼ばれる作品は『週刊少年マガジン』で1965年から1971年にかけて連載された『巨人の星』(原作:梶原一騎、作画:川崎のぼる)。スポ根とは、1960年代から1970年代の日本の高度経済成長期に一般大衆の人気を獲得したジャンルであり、メキシコ五輪が開催された1968年前後に人気のピークを迎えたと言われる。

 日本国内のスポーツ競技の集団主義や精神主義といった事情とスポ根を結びつける指摘があり、スポ根作品がそうした価値観を美化して描いた影響により学生スポーツにおいて過度の練習や体罰を後押しする結果となったという見方が生まれた。例えば1960年代から1970年代当時、部活動などの現場ではウサギ跳びやアヒル歩きのような半月板や膝関節に負担が掛かるばかりで実質的な効果の少ない運動法が全国的に推奨されていたが、これらは運動生理学を知らない指導者達が漫画やドラマの影響を受けて部員に対して課したものだとする指摘がある。

 スポ根ブームの渦中には学校の部活動において練習中の事故や、退部を申し出た生徒が部員から暴行を受けるなどの事件が多発したらしい。組織内の上下関係を背景とした指導や、ひたすら鍛錬を積み、勝利のみを追求する価値観は第二次世界大戦後の民主化の流れの中でも温存され、とりわけスポ根作品が支持を得た1960年から1970年代当時の日本のスポーツ界では体罰も辞さない厳しい指導が常態化していたと思われる。

 1980年代以降、科学的な分析に基づく効率的なトレーニング方法の導入によりスポーツ界の内情もかなり変化してきたようだが、一部の学校現場では相変わらず「しごき」の強要といった古典的な指導法が残されているようだ。

 

・甲子園大会は必要なのか?

参考動画

【野球離れ】甲子園は高校生にとってベストなのか?20年で部員半減の厳しさも?

 スポーツ業界における野球の役割|《アベマで放送中》2022/05/14 12:43

[FACES いじめをこえて 30min.] いじめ、貧困生活を乗り越えた青年が始めた命

 がけの「勉強」| NHK  2023/02/08 7:49

 何のための野球部だったのか、一生付き合える仲間を作るはずの部活動が地獄となってしまうメカニズムを探りたい。彼に対して学校がどれほど無力だったのか、学校の何が問題なのか、なぜ、それほどまでの貧困が放置されてしまったのか、問うべき課題は多い。

【成田悠輔で社長退任!】320億円の会社辞めたカリスマ起業家【真の幸せは?】 

 日経テレ東大学  2022/06/28 47:14

 高野連を新聞の販売促進団体と見なす考えが新鮮。長老を頂点とする中央集権的組織がはびこる日本の問題点は日本のスポーツの在り方を見直すとよく分かると言う。莫大な赤字に終わった東京オリンピックと黒字となったロサンゼルスオリンピックとの違いから日本社会が抱える反民主主義的、非合理的体質が浮かび上がってくるらしい。日本社会を最適化するには「何が幸せなのか」を足下から真剣に問い直す必要があるという指摘に頷かされる。

【勝利至上主義】歪んだ思想を植え付ける?勝ち負けより大切な学びも?全国大会

 は必要なのか 2022/05/21 ABEMA 【公式】 16:04

 スポーツや運動部、学校体育、運動会のあり方全体が問われている。この世界にはびこる勝負至上主義、根性主義、体罰体質、集団主義、同調圧力、管理主義、イジメ…その温床としての、これまでの日本におけるスポーツの負のあり方には反省が必要。ひろゆきの「甲子園大会は不要」という提案は議論のテーマとしてかなり刺激的ではあるが、問題提起としては非常に面白い。

【日本】我々にかけられている深刻な呪いについてお話しします【山田玲司/切り抜

 き】 2022/07/09  10:42

 勝利至上主義の弊害がいかに大きいか・・・山田氏の指摘と実践は興味深い。自分にかけられている「呪い」とは何だろう、そこから目覚めるにはどうしたら良いのだろう・・・声優や漫画家などに憧れを持つ高校生は多い。十分、刺激的な内容であり、討論の材料になるだろう。

【改革】部活動民間委託・水泳自由参加…”学校の当たり前”を廃止の名物校長と考

 える学校改革「トップダウンじゃないことが一番大事」

 2022/09/01 ABEMAニュース【公式】 18:52

 ※参考記事

  休日の部活、地域移行しても教員が指導? 先行実施で浮かんだ課題

   朝日新聞社 2022.12.11

    大体予想通りの状況となっている。予算をケチるあまり、きちんとした受け皿を用意せずにた

   だ地域移行を叫んでも無理なのは当たり前であった。地方によっては教員以外の指導者や施設を

   確保すること自体が極めて難しい事も予想できていたはずである。指導者の養成や資格、施設の

   確保など、それなりの予算を必要とする措置についてきちんとした論議が尽くされていないま

   ま、「やってます」感を演出するためにきれい事の掛け声だけが先行し、徒に現場の混乱を招い

   てしまっている。政府、特に文科省の責任は極めて重いだろう。

    とは言え条件が全て揃うのを待っていられるほど悠長な状況でもあるまい。教員の負担軽減が

   主な狙いであるならば、取りあえずクラス担任や主任クラスの運動部顧問としての休日における

   指導は認めない、といった何らかの歯止めとなる原則を予め設けておかなければならなかったは

   ずである。でなければ折角の取り組みが人員や施設の不足を理由になし崩し的に後退してしま

   い、「元の木阿弥」にならないとも限るまい。いずれにせよ、官僚や政治家達がいかに学校現場

   を知らないか、知ろうともしていないのかがよく分かる調査結果である。

参考記事

甲子園で長髪旋風! 非丸刈りチームの決勝進出が確定 「高校生らしくない」に著名

 人が反論「時代は常に変化」 ENCOUNT によるストーリー 2023.8.19

 この話題から入ると高野連や運動部の抱えてきた問題点を浮き彫りにしやすいだろ

う。まずは高校野球での「丸刈り」に対して賛否を問い、それぞれの理由を挙げさ

せてみたい。

なぜ朝日新聞社は私の原稿をボツにしたのか…「夏の甲子園」との異常な癒着ぶりは

 ジャーナリズム失格である プレジデントオンライン

 玉木 正之 によるストーリー 2023.5.25

 日本のマスコミが抱える闇は日本の学校教育が抱える闇と通底するものがあることに気づきたい。ABEMAの動画視聴と併せ、討論の資料としてぜひ配布したい。

球児よりヤバいのは審判・チアガール・吹奏楽・観客…夏の甲子園でバタバタ倒れ「熱

 中症死」が出る日 プレジデントオンライン 酒井 政人  2023.8.8

【甲子園】6回に土浦日大、上田西の両チームの選手が動けなくなりベンチに運ば

 れる 今大会から暑熱対策を実施 報知新聞社 によるストーリー 2023.8.6

もう夏の甲子園はやめませんか?高校野球を巡る諸問題はやめれば解決する

 Bpress 関 瑶子 によるストーリー 2023.8.5

 児童、生徒の野球離れに危機感を持つ野球関係者は多い。大リーグでの大谷翔平選

手の活躍はあるものの、ひと頃に比べれば日本の野球への関心は確かに低下しつつあるだろう。野球部員の人数がそろわずに他校との合同チームを組むことを余儀なくされ、ついには廃部に追い込まれる、などといった残念なケースが少子化の進展も手伝って徐々に数を増しているという。

 しかし高校教育における野球の問題点はそうした野球人気の陰りとは別の観点からもこれまで数多く指摘されてきた。高校にはスポーツ指導者の団体として体育科の教師を中核とする「高体連」があるが、なぜか野球だけは別格扱いで「高野連」という野球部顧問中心の組織が高校野球を完全に仕切ってきた。そして野球部員たちにかつて丸刈りを事実上、強制してきた厳格な高野連ルールはこれまでも幾度か物議をかもしてきている。いわゆるブラック校則を側面から支えてきた高野連の体質には昔から数多くの根深い問題があったとみられるのだ。

 実は高校教師の異動に際して高野連が介入する「高野連人事」がかつて普通に見られた。もちろん「高体連人事」もあるにはあったし、スポーツ種目によってその事情は相当異なるだろうが、多くの場合、高野連ほど露骨ではなかったという個人的印象がある。皆さんの場合、いかがだろう。そこそこ有名な野球監督であるならば自ら望まない限り、野球部の存在しない女子高や定時制、通信制に異動することは私の記憶では一度も無かったと記憶している。

 他方で私生活を犠牲にして野球指導に専心する顧問の負担は極めて過酷であり、自身の家庭生活や心身の破綻を招くことも少なからず見られた。すなわちブラック校則のみならず、職場としての学校のブラック化を側面から支えてきたのも実は高野連であったといえなくもない。

 部活動過熱化の核として甲子園を頂点とする高校野球の勝利至上主義的あり方があったことは否めない。テレビ放映が地方大会レベルから行われ、高校野球の熱狂的なファンは全国に大勢ひしめいていた。根性論、鍛錬主義に基づく体罰や暴言、先輩による後輩へのしごきなどが当たり前のように繰り返されてきたのも間違いなく野球部が中心。50年以上前のテレビアニメ「巨人の星」(当時、絶大な人気を誇ったアニメだが、現在、どれほど要望があったとしてもコンプライアンス的に再放送することはできないはず)を見て育った60代の世代はとりわけ行き過ぎた熱血指導を賛美しがちであったと思われるが、いかがだろう。

※ちなみに1958年生まれのカッパはまさにスポ根ものアニメの洗礼をまともに受けた世代であり、教師

 や先輩による体罰、暴言、「しごき」などは当時、日常茶飯事の光景であった。自分自身、中学生の

 時に厳しい運動部に所属していたこともあり、体罰や暴言、しごき程度に何の違和感すら抱いていな

 かったのだ。その後、大学でカウンセリングの基礎や教育社会学を学び、頭では体罰などが良くない

 ことと思うようになれたが、いざ、自分が運動部の顧問になってしまうと、結局、時間が経つにつれ

 て鍛錬主義的発想が再び表に出てきてしまった。

  技術や知識、部員たちのチームワークよりも個々の根性を鍛えることが運動部の大切な目的である

 との信念から私がほぼ完全に解放されるのは定時制高校に転勤となり、運動部を指導しなくなってか

 らのことに過ぎない。アニメやドラマ、運動部の経験を通じて施された一種の洗脳は私の骨の髄にま

 で染み込んでいたのである。したがって運動部の指導をしていた時、厳しい練習と怒鳴り散らす叱責

 は運動部の指導に必要不可欠のものと私は固く信じて疑わなかった。一生懸命取り組むことと鍛錬主

 義的指導とは密接不可分であり、試合中でも生徒たちを怒鳴り散らすことが自分の義務であり、職務

 であるとすら考えていたわけだ。

 夏の甲子園、春の選抜はそれぞれ朝日新聞と毎日新聞が高野連と共催し、ほとんどの試合は予選の地方大会も含めてNHKによってテレビ放映されている。また予選を含めた試合での全校応援も多くの高校で見られた。まして甲子園出場ともなれば学校側は大規模な応援団を編成する必要に迫られる。当然、勝ち続ければ億単位の予算が必要となり、関係者は卒業生などに寄付を募るなど、周囲の人々に様々な労力と金銭面での大きな負担を強いてきた。甲子園大会は熱狂と美談、数々の感動的ドラマを生み出す裏側で、様々な矛盾を抱えてきたのだ。

 他のスポーツではサッカーを除くと全国大会ですら学校が組織的に応援団を送ることは稀であり、テレビ放映もかなり限定的。高体連の各専門部の資金力も多くの種目では高野連とは比較にならないほど貧弱である。様々な面でのスポーツにおける種目間格差が、特に野球と比べた際の格差の大きさが教育における公平さを欠くのでは…などとかねてから学校現場では指摘されてきていた。近年は多少の改善が見られるものの、いまだに格差解消には程遠いのが実情である。

 マスコミ各社にはぜひこうした問題にも言及していただきたい。

高校野球で「そんなの認めない」 ペッパーミルだけじゃない、審判の怒りを買っ

 た球児の行為  AERA dot. 2023.4.5

 討論のテーマとして格好の素材になるだろう。

 ※参考動画

  甲子園のペッパーミル騒動…クーニンズメンバーはこう思っている!

   qooninTV  2023/03/20 10:41

   パフォーマンスなどに対する高野連の指導についてどう思うか、けっこう意見は分かれるだろ

   う。グラブの色などの規定も含めてスポーツと学校教育との関係性について考えてみたい。夏と

   春の甲子園自体の存在意義を含めて考見直すべきポイントは多いだろう。特に近年における野球

   人気の凋落ぶりの背景には何があるのか、これを機に探ってみても良いかもしれない。

【書評】『“歪んだ法”に壊される日本』組織を支配する「空気」の存在を浮かび上

 がらせる NEWSポストセブン によるストーリー 2023.5.14

 一見、このテーマとは無関係に思える記事であるが、日本的組織を支配する保守的空気を醸成するのにこれまで大きく加担してきたのが、上下関係やメンツを偏重する日本の伝統的な学校文化、とりわけ旧来の部活動における集団主義、年功序列型の組織風土ではなかったか…なぜ、「チームの輪を乱すな」と言わんばかりに周囲への忖度を一方的に迫るような、硬直した息苦しい組織風土が日本社会に蔓延してしまったのか、ぜひ推理させたい。

53日間で休み1日だけ中学教諭の「過労死」 訴え認め約8300万円の支払い命

 じる 遺族の思いは 日テレNEWS によるストーリー 2023.7.6

 ふと気づくとそういえば一か月間、一日も休んでいなかった…若いころは疲れ気味の自分自身に対する思いやりなど持てず、有給休暇を一年間で一度もとっていないことを武勇伝であるかのように自慢する傾向が自分にもあったことは否めない。文化祭の準備でさえ午前様になることは珍しくなかった時代があったのだ。

 こうした先輩教師たちの武勇伝は美談化されることでおそらく後輩たちを相当追い詰めていただろう。無謀なまでの精神主義的根性論を柱とする心性は子供時代、「スポ根アニメ」の洗礼を浴び続けて育った、今や60代となっている元教師に多く見られたように思う。私などは間接的にではあるが、こうした過労死事件に心ならずも加担してしまった一員として深く反省しなければなるまい。

「日本一」を決める大会が多すぎる…生徒も先生も疲弊させる「ブラック部活」が一向

 に減らない根本原因 プレジデントオンライン

 中澤 篤史 によるストーリー 2023.4.16

 全国大会を行う競技数と開催頻度の増加が学校での部活動の過熱、勝利至上主義、体罰や管理主義をもたらし、一斉講義形式を柱とする授業のマンネリ化をも全国隅々まで蔓延させてきた一因であったのは事実だろう。

熱中症で帰宅中の女子中学生が死亡「なんでこんな暑さで部活やらせる?」高校野

 球にも「中止」の意見が SmartFLASH によるストーリー 2023.7.31

 直近では体育の授業で熱中症の警報が出ているのにリレーをさせて大勢の生徒たちの救急搬送を引き起こしたりする日本なのでこうしたことは十分予想できた事態であったはず。しかしこれは今や過失傷害致死事件なのだ、というコンプライアンス的認識がそろそろ学校側には必要な時代であろう。たとえ学校体育の世界であっても我慢と鍛錬という根性論、精神論で突き進んでいける時代ではない。

制裁も覚悟した…部活顧問の「強制はおかしい」職員会議で声を上げた教員

 2022.6/6(月) 9:54配信 西日本新聞

 この問題、教師にとっては極めて重大な問題である。カッパが指導してきた部活の種類は通算で6種類に及び、そのうち4種類の部活がメインの顧問であった。体育教師ならばともかく、社会科教師である私がズブの素人であるにもかかわらず、なぜ、複数のスポーツを専門的に指導できなければならないのか、まったく納得がいかなかった。いずれも私生活を犠牲にする休日返上の指導である。

 部活動人事は勤務先の学校生活全体を左右しかねないほどに重大な影響力があるため、ケースによっては教師間、生徒間ともに不公平感と不満を生みだしかねない。実際、未経験の種目を指導することになった部員から毎回、冷ややかな眼差しで見られる辛さは並大抵のものではなかった。部員の親から「なぜ素人のお前が顧問をやってるんだ」としつこくクレームの電話がかかってきたが、未知の種目を指導できないのは私の責任ではない。責任を負うべきは私の希望を無視して人事を決めた管理職の方だろう。

中1自死 関連指摘の教諭を懲戒免職に

 朝日新聞社 2022.12.3

 これも酷いケース。教育委員会や校長の責任は重い。2020年、市教委は40件もの体罰等の不適切な指導を認めておきながら2022年まで当該教諭を教壇に立たせてきた。2019年に被害生徒の一人が中学入学後に自殺しているにも関わらず、3年以上も放置してきたのだから当該教諭を懲戒免職にするだけでは済むまい。当時の校長や教育長への厳しい処罰も行うべきであろう。

なぜ部活動の暴力はなくならないのか? 背景に指導者個人の資質と過度な勝利至上

 主義 2022/08/01 07:00 AERAdot. 

 ※AERA 2022年8月1日号より抜粋

部活の体罰、なぜ絶えない? 専門家「悩ましいのは指導者の評価が競技成績という

 事実」 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2022/11/05 18:04

 学校教育をもっとオープンにすべきなのは当然であるが、牢固な隠蔽体質を持つ学校が多い中で掛け声だけではオープンにはなるまい。ではどうすべきなのか、生徒にも問いたい。おそらく本質的な問題は部活動にのみ限定されず、伝統的な日本社会の体質、学校教育の深層領域にも潜んでいるのではあるまいか。

国が進める「部活動改革」を専門家は危惧 生徒にも影響「学校から活気なくなる」  Full-Count  2022/10/18

 部活ではなく学校の授業にこそ活気を取り戻すべきではないか。

学校単位の部活どころか高校そのものがなくなる? 先が見えない日本の少子化問題

 を考える Sportiva 鈴木雅光 2022.12.26

 

荻窪小クギ問題「事故直後に校庭を使うなんて理解できない」…負傷児童の保護者

 が本紙取材に明かした経緯 東京新聞 2023.5.24

 運動会などの際、グランドに釘を打つことはどこでも普通に見られよう。当然、釘は後片付けの際に撤去されてきたはず。ところが杉並区の小中学校全体で4263本ものクギがグランドから発見されたという。事故のあった荻窪小だけで500本以上も見つかったというから驚きだ。つまり杉並区ではグランドの釘は基本的に後片付けの対象とされていなかったということらしい。グランド内に釘などの危険物が(ほとんどは土中ではあろうが)数多く埋まっていても、それが危険だとの認識は教職員間に共有されていなかったと推察できる。しかも運動会が行われるたびに杉並区では新品の釘を用意していた可能性もある。

 であるとするならば金額的には少額であっても明らかにムダな出費であろう。おそらくこれだけの非常識なことを平然と見逃し続け、誰もが気づくはずの無責任で杜撰な行為を10年以上も繰り返すことのできた荻窪小や杉並区の学校教育風土には教育委員会を含めて相当大きな問題が潜んでいると思われる。徹底的に追求すべきはその点なのではあるまいか。

校庭のくぎ問題、続々見つかる 江東、北、江戸川区の小中学校、幼稚園などから

 計1236本 東京ニュース 江東区 2023年6月1日

 何と校庭への釘放置問題は杉並区にとどまらず、北区、江東区、江戸川区でも広範に確認されたという。私としてはビックリ仰天の出来事なのだが、おそらく他の区でも、いや全国の学校でもこれは少なからず露見してしまうようなありふれた事象なのであろう。だとすればこの問題は日本の教師たちが普遍的に抱える、子供たちに対する人権感覚の低さが学校風土全体にはびこっていることを示しているのかもしれない。でなければ20年近くもの間、クギは放置されてこなかったはずである。

 確かに高校の校庭でも小さからぬ数の石が埋もれていたことは幾度か体験している。部活動で生徒たちが転倒やスライディングなどした際に危険なので見つけ次第掘り起こして校庭の端に捨てていたが、この場合は誰かが故意に石を埋めていたわけではあるまい。精々、事務長か誰かがグランドの土を入れ替える際に費用を節約するため、砂礫の混じる安い土を業者から購入してしまったのが最大の原因なのだろう。釘を故意に放置していた東京都の案件と比べればそれほどの「悪意」は覚えない。むしろただでさえ少ない学校の予算の中での、苦しいやり繰りから生じてしまった、ある程度はやむを得ない出来事だったとさえ思われる。

 それにしても校庭の釘問題、なかなか奥は深そうだ。二言目には子供たちの健康と安全を口にしながら、性懲りもなく体育祭や運動会での事故、熱中症の集団発生を繰り返してしまう日本の学校教育の持つ人権意識の低さは本来、最優先されるべき子供たちの安全への配慮に綻びをうみ、肝心な場面での気の緩みを招く。積年、校庭に放置された釘の数々はそうした教師たちの心理を雄弁に物語っているに違いない。

小学校の校庭の“くぎ”で児童が大けが 校庭の大量のくぎはなぜ見逃されていた?

 【news23】 TBS NEWS DIG_Microsoft の意見 2023.6.2

 「校庭のくぎはなぜ見逃されていたのか?」

校庭を金属探知機で調べたら…クギ以外も続々 鉄筋、空き缶、蛇口も

 朝日新聞社 によるストーリー 2023.6.9

 校庭の土に対する学校側の関心は伝統的に低かったようで、グランドにはあまり金をかけない傾向が個人的には感じられた。高校時代にグランドの土には破傷風菌がいる可能性があるので注意してほしいと体育教師から言われた記憶がある。本来なら学校側がグランドの殺菌に取り組むべきなのだろうが、日本では基本的にすべて自己責任。ケガをしたり、ケガが化膿してしまっても、これまではもっぱら生徒側の不注意が原因であり、傷の治療や消毒をきちんとしなかった生徒、および保護者の責任とされていたのではあるまいか。しかも多くの学校ではかなり安い土をグランドに投入しており、石以外にも様々な危険物が土に混じっているのが普通だといってよい。教育予算の少なさと学校の安全軽視の伝統がこうした事件を生み出す背景にはある。

【独自】 立川市 小中学校の校庭でくぎ4012本

 TOKYO MX+ によるストーリー 2023.6.19

小学校校庭の大量くぎ問題 実効性ある安全点検は「学校任せ」でよいのか

 東京新聞 2023.6.19

 案の定、校庭の釘放置は都内各所で確認されている。都や区の教育委員会の指導がこれまでどうだったのかが、厳しく問われよう。小学校では近年、相次いで英語や情報といった新しい授業が導入され、教師はその対応に追われている。確かに多くの教師たちには時間的、体力的余裕がない。しかし本来、児童生徒の安全確保ほど教師が優先すべき作業・点検項目はないはず。教師のゆとりが無いからといってこれを業者任せにする発想はどう考えても芳しくないだろう。むしろ教師たちが校庭の安全点検をきっちりと行えるだけの時間的、体力的ゆとりを確保していくことこそが最も優先される課題と思うが、いかがか。

 安全性の確保・点検は校庭だけではなく、当然、各種教室や階段、駐車場、体育館、遊具、U字溝のフタなど、学校の隅々まで実施できなければなるまい。児童生徒と日常的に向き合っている教師でなければ、目が行き届くことの難しい箇所だって少なくない。様々な施設・用具があり、死角の多い学校空間である。ごく短時間しか学校に来られない業者が児童生徒の予想しがたい動きをも想定した点検ができるのか、疑わしくはないだろうか。たとえ予算がついて特定の業者に任せられたとしても、本当に実効性のある安全確保など外部の業者には極めて難しいと思うが、いかがか。

 もちろん、児童生徒の健康や安全確保を最優先する心構え自体が従来の日本の学校には圧倒的に欠けていた側面があることも否めないだろう。深刻な組体操の事故が相次いでいても決して止めようとしない学校はいまだに少なくない。また暑い日であるにも拘わらず敢えて運動会や長距離走を強行したり、蒸し暑い体育館で長時間にわたり全校集会、学年集会を強行して大勢の児童生徒を体調不良に陥れることを繰り返す学校も少なくない。今や傷害罪に問われるかもしれないような、我慢大会と化した学校行事の数々…そうした戦前からの集団主義的、鍛錬主義的な教育の在り方は時間をかけて徹底的に見直すべきであろう。そしてそのためにこそ、教師たちには児童生徒の健康と安全を確保する地道な点検作業だけはむしろ万難を排してでもすべからく、怠りなくやり続けていくべきである…今後、様々な学校事故を少しでも着実に減らしていくにはそれしかあるまい…と思うのだが、いかがだろう。

 実は学校でのケガ、体調不良の発生を安易に児童生徒の自己責任・自己管理能力の欠如と決めつけるような、学校事故・事件の当事者意識に欠ける教師は現在も決して少なくない…というのが私の正直な実感である。

 

・東京オリンピックとは何だったのか?

【恐怖】洗脳教育を受けた韓国人が韓国を嫌いになったワケ

 2021/08/07 コリプロ「ファンカイと韓国語」 14:18

 オリンピックの隠れた目的が見えてくるのでは?

【東京五輪の闇】日本経済衰退の戦犯「利権ビジネス」とは?【ドーム元社長・安

 田秀一】日経テレ東大学  2022/12/08 38:07

小泉演説 2021年7月 都内某所 (松下アキラ)

 イヌとネコ  2023/01/18 6:11

 東京オリンピックの問題の導入として利用価値が高い動画。かなり笑える。

汚職日本代表の活躍を見逃すな!

 ワラしがみ  2022/09/23 7:55

 東京オリンピックの問題点が分かりやすく面白く解説されている。

【なぜ儲からない】スポーツビジネスの転換が必要?【東京オリンピック汚職】日

 経テレ東大学  2022/12/13 37:42

【五輪汚職安倍政治と検察①】東京五輪でなぜ汚職が相次いで起きてしまったの 

 か?政権と検察の関係にも迫る!

 2022/09/24 中田敦彦のYouTube大学 -37:46

【五輪汚職安倍政治と検察②】戦後最長の安倍政権vs検察人事への介入

 2022/09/25 中田敦彦のYouTube大学 - 28:19

【五輪汚職】の授業を終えて中田が感じた事は?

 2022/09/26 中田敦彦のトーク - NAKATA ATSUHIKO TALKS 22:24

 中田氏が危険を冒してまで真情を吐露するに至った理由について討論させたい。これまでアマチュアスポーツ界における利害を超えた平和の祭典と美化されてきたオリンピックであるが、1984年のロサンゼルスオリンピック以来、プロスポーツ選手の参加が許され、運営上の巨額な経費を賄う上で企業の関与が一気に拡大していった。

 今回、東京オリンピックに絡む贈収賄が疑われている事件は巨額の資金が投じられるオリンピックに目を付けた企業と政治家との汚い関係が背後に潜んでいるようだ。コロナ禍のもと、開催に反対の動きが見られる中でオリンピックを強行した政権の隠れた意図が見え隠れしていよう。さらに安倍元首相殺害事件が加わり、オリンピック開催と統一教会の改名に深く関わってきたかつての安倍政権が目指した政治の実相が暴かれつつある。にもかかわらず、現岸田政権のもとで安倍氏の「国葬儀」が強行された。なぜ安倍政権が2016年から検察人事に強引な介入を繰り返したのか、その理由が疑われるだろう。

 2020年に安倍政権が検察人事介入に失敗した事が安倍氏の体調不良を理由とした退陣に繋がるとすれば安倍氏がこれまで行ってきた「忖度」政治の危うさがいかなるものかも深く考えていくべきである。2030年の札幌冬季オリンピック実現に向けて既に動き始めた現在、森友事件、桜を見る会の疑惑などとともに東京オリンピックに関わる贈収賄事件への徹底的な解明が待たれる。

 政治やスポーツの世界にはびこる年功序列の権威主義的体質はどうやら人脈を利用した汚職事件と親和性が高いように思われる。そうした中で事件に関与したと疑われている元首相で文教族出身の森喜朗元オリンピック組織委員長の功績を称えて森氏の銅像を建てようとの動きがスポーツ界に見られるとのこと。これまたどう見ても疑問だらけの動きだろう。疑惑の渦中にある安倍、森二人の元首相をこのタイミングで臆面も無く顕彰しようとする政治家達の動きに日本のスポーツ界が関与するとすれば高体連や高野連はどう対応するのか…公教育における政治上、宗教上の中立性が改めて問われるに違いない。

 統一教会についてはぜひとも「◎【YouTubeとの向き合い方】旧統一教会の授業をするまでの葛藤と覚悟 2022/09/01 中田敦彦のトーク 39:29」を参照していただきたい。中田氏が真剣に自己肯定感を高める上で何を失い、何を得てきたか、深く考えさせられる内容。民主主義の孕んでいる危険性が見えてきて社会科学習の究極的目標の一つが中田氏の発言に潜んでいるようだ。

 ※森元首相による女性差別的発言の件は§4「差別問題」で触れます。

 

・不登校とイジメの背景

参考動画

【坂井風太】「生存者バイアス問題」と若手の不本意離職を防ぐにはReHacQ

   ハック【公式】  2024/01/17  52:35

 組織マネージメントの専門的見地を学校組織に当てはめると、学校での不祥事、隠ぺい事件の背景にどのような組織文化があるのか、探っていく必要があるだろう。坂井氏の指摘には非常に有意義なポイントが数多く含まれているようだ。特に「生存者バイアス」は極めて重要な観点で、このバイアスこそ学校をダメにしている大きなポイントではないだろうか。バイアスを自覚し、さらに新人教師の教師としての自己効力感を高めるマインドセットをどう創り出すのかを探ることは大学での教員養成教育においても必要不可欠なはず。

今世紀に反抗期は無い

 宮台真司の部屋 2022/11/04 8:16

 醜悪な現代社会において「キョロメ、ヒラメ」であることがいかに危険なのか、確かに留意すべきだろう。「承認虫」と呼ばれるようなクズにだけはなりたくない、と思うならば大人社会とは安易な妥協をせずに自らの価値観の軸をずらさない努力が必要となる…思春期における反抗期を無くしてしまった現代においては、むしろ大人になってからの反抗期を永続させるような覚悟が不可欠なのかもしれない。刺激的で考えさせられる内容。やや難易度が高いが、是非、生徒達の意見を募りたい。

【不登校】全ての親御さんへ【山田玲司/切り抜き】

 山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説【山田玲司 切り抜き】

  2023/02/07  16:28

【教育】不登校ははっきり言って○常ですよ…。学校嫌いとその親に知っておいて

 ほしい現実【山田玲司/切り抜き】

 2022/08/18  11:36

日本で自○が異常なほど多い理由…【山田玲司/切り抜き】

 2022/06/04  8:21

 山田氏は今の学校がどんなにダメなのか、かなり過激にこきおろしているが、このような視点を学校教師が多少とでも理解できているのかは疑問。とはいえ、意識、無意識のうちにイジメを放置し、隠蔽してしまう学校の無様な現状の背景に何があるのかを見ていく必要もあるだろう。

歴史的偉人が現代人を論破するアニメ【第34弾】「なぜいじめが起きるのか教えて

 やるよ カール・ポパー」ピヨピーヨ速報 2021/12/26 4:02

小学校担任50代男教諭「スルーしよう」児童に相次ぎいじめ行為滋賀・野洲市教

 委が謝罪|TBS NEWS DIG  2022/09/30 5:10

 いじめの扇動を指導方法の一つとする教師が出てくる背景に、イジメられる側の責任を強く問う考えが多くの教師に共有されている可能性は指摘できよう。大抵、イジメる側がクラスの生徒では多数派であるため、担任には生徒の多数派にすり寄ることでクラス経営を楽にしようとするインセンティブがどうしても働きがち。

 かなり昔に有名になった担任による「葬式ごっこ」事件(東京都中野富士見中学いじめ自殺事件:1986年)以降もこうした事件はほとんどが表面化しないまま一定程度、各地で続発していたのではあるまいか。

【成田悠輔】評価と仕事と学校教育|好き勝手なことをやる意志|他人の評価、分

 類、肩書きに捉われない生き方|無感覚観

 日本経営合理化協会  2022/08/20  8:23

 不登校経験者の学校論。他人の評価ばかりを気にせず、自分のやりたいことを優先すべき…強力な同調圧力のもと、イジメを恐れて周りの空気を読み続けるうちに自分を見失いがちになる、息苦しい現在の学校社会から自立していくにはどのような心構えが必要なのか、考えてみたい。これは児童生徒だけの問題ではなく、教師の学校におけるあり方の問題でもある。

【成田悠輔】学校、会社の強制してくる価値観から逃げ出す能力を作るために社会

   性をどう削ぎ落としていくかが教育の重要な約割。成田悠輔の子育て論

 【成田悠輔/切り抜き】 ゆうすけの部屋   2022/04/03  4:51

   社会性が無いことでむしろ学校が押し付けてくる価値観から守られる自分らしさ、自分なりの価値観があることが示唆されている。成田氏らしい個性が光る言説。

【ネタバレ注意】“かがみの孤城"に隠された謎!【本の紹介・レビュー】

 文学YouTuberベル  2018/05/05  10:25

 不登校問題を考える上で最良の入り口の一つが近年、アニメ化された「かがみの孤城」だろう。同調することばかりを強いて多様性を尊重できない日本の学校文化に潜む排他性がスクールカーストと陰湿なイジメを生み出す集団心理の土壌となっていると思える。作家の辻村氏が描く作品の多くはそうした社会の中で個性的な自分という存在を持て余しながらも、不器用に生きている人たちをどのように支えていくのか、その方途を指し示しているようである。

学校を休むことの重大さが日本とアメリカで違いすぎる!日本 VS アメリカ

 #Shorts 2021/05/28 Kevin's English Room / 掛山ケビ志郎 0:40

 こういう、ちょっとした身近な話題から日本の学校社会の異様さを浮かび上がらせる工夫は大切だろう。

参考記事

給食に生徒が「ふりかけ持参」で賛否 「弁当と給食は別物」猛反発した市議が語っ

 た問題の本質 AERA dot. 米倉昭仁 の意見 2024.3.17

 賛否相半ばする議題としてぜひ授業で取り上げたい記事。ふりかけ持参に反対するのはいかにも全体主義的な傾向をにじませる共産党議員。激怒するところなぞはまるっきり中国や北朝鮮の反応に近く、そのことにむしろ恐怖を感じてしまうのだが、いかがだろう。

 大の大人がなぜ、こんなことで激論を交わさなくてはならないのか、個人的にはまったく理解できない。件の市議、全国隅々まで画一的に統制することを美徳とするような気味の悪い全体主義を平等の理想とすっかり取り違えているのではあるまいか。

 「弁当と給食は別物」と決めつける思想には個性や多様性、自由を危険視するファシズムの臭いが強烈に漂う。児童生徒個々人が必要としている栄養バランスは間違いなく、多様性に満ちているだろう。どんなに栄養バランスを考慮したメニューであっても、全員一律のメニューである限り、栄養面で全ての要求を一人一人適性に満たすことなど不可能に決まっている。児童生徒からすれば昨日の夕飯や今朝の朝食メニューと給食のメニューとが折悪しく重なってしまうことだって十分ありうる事態だ。

 そんなに栄養のバランスをとりたいのなら給食担当者は手分けして各御家庭の食卓に突入し、一日三食、一年365日すべてのメニュー指導を厳格に実施するほかあるまい。硬直し切った薄気味悪さを発散する共産党市議に猛反発したくなるのはおそらく私だけではないだろう。

元気な小学生が中学生になると面白みのない生徒になる…「みんなも我慢している

 んだから我慢しろ」無能教師がはびこる日本の同調圧力教育

 集英社オンライン 2023.08.07

なぜ多くの日本人は昔から、同調圧力が「好き」なのか…自由を「わがまま」や

 「自分勝手」ととらえ、厳しい校則で圧をかける教師もいる

 集英社オンライン 2023.8.8

「不登校の原因はいじめ=0.2%」という文科省と学校を信用できないワケ

 JBpress 石井 志昂,湯浅 大輝 によるストーリー 2023.8.18

 これほど違和感の強い調査結果を一体、誰が信用できるだろう。どれだけ文科省や教育委員会、学校が世間からズレてしまっているのかを雄弁に物語るデータ。

「いじめ」が生まれる「深刻な構造」の正体…多くの人が意外と知らない「学校」

 とはなにか 現代ビジネス 内藤 朝雄 の意見 2023.5.25

日本の学校の「深すぎる闇」…私たちが「理不尽なこと」を受け入れてしまう「根

 本原因」の正体 現代ビジネス 内藤 朝雄 の意見 2023.5.26

 極論も含まれているが、刺激的な分、訴求力はあるだろう。日本の学校ははたして子供たちが成長していく上で本当にふさわしい条件を備えているのか、冷静に問い直してみる必要はあるに違いない。子供たちにとって本質的に害悪となる側面も学校教育にあるはず。少なくとも「学校という場では教育という素晴らしい営みが行われている」という幻想、思い込みだけは捨てておかなければなるまい。ならば日本の学校のどういう点が良くないのか、討論させる上で一つのたたき台にはなるだろう。

公立小が98%の日本で「オルタナティブスクール」が増える本当の価値「モンテッソ

 ーリやシュタイナー」日本でも脚光 東洋経済オンライン 2022/11/01

 日本の場合、98%以上の子ども達が公立の小学校に通うという異常な選択肢の狭さに、国民意識を植え付けるための洗脳装置としての学校という国家戦略が明治以降も変わること無く続いてきたという近代日本の普遍的な流れが示されているようである。学校の在り方にも今後、更なる多様性が切実に必要とされているのではあるまいか。ただし、本来はどの学校においても尊重されるべき多様性を圧殺してきた日本社会のあり方そのものへの反省がまずは求められよう。

「日本人には自由な精神が足りていない」安藤忠雄が世界とわたりあって知った"本当

 に大切なもの" プレジデントオンライン 高橋 克明 2022.12.5

 大学に行かなかった安藤氏が世界的に活躍する建築家にまで登り詰めた背景に何があったのか、刺激に富む内容。国家の行く末と青年達の進路を重ね合わせて考える上で格好の素材となるだろう。

多数派の考え方を変えるために少数派の人たちができることとは?【社会心理学】

  ラブすぽ の意見 2023.6.22

 少数派の意見が多数派に影響を与えられるようになる条件として、少数派の意見が一貫している(多数派に阿らない)、他の論点では多数派の意見を持っている(ただの天邪鬼ではない)、多数派が現状に満足できず、改革を求めている、などがあるという。集団の同調圧力に屈せず、イジメと戦う、あるいは学校社会を変えていこうとする少数派には大いに参考となる知見だろう。

 

参考文献

○「学校ってなんだ!~日本の教育はなぜ息苦しいのか~」

 工藤勇一・鴻上尚史 講談社現代新書 2021

 

 ※イジメなどをめぐる学校側の隠蔽体質については後に配信する予定です。

 

54.疫病への恐れと祠

 

 

江戸時代の石祠に祀られている神々一覧(祠数の多い順)

道祖神

25

大六天※2

1

子安大明神

21

馬頭観音

1

稲荷大明神

17

鈴木大明神(詳細不明)

1

疱瘡神(痘瘡神)

12

羽黒大権現

1

天神(天満宮)

11

御嶽神

1

仙元大菩薩(浅間宮)

9

清正公大神祇※3

1

金毘羅大権現

8

地神※4

1

牛頭天王

8

姥祖神(詳細不明)

1

山神(大山祇神社)

7

姫大神(詳細不明)

1

大杉大明神

6

白山神社

1

庚申

5

十二所権現※5

1

妙正大明神

4

高良・武内大明神

1

水神宮

4

大宮大権現※6

1

天照大神

4

白鳥大明神※7

1

石尊大権現(雨降神社)

3

天王神社※8

1

山王大権現

3

大日天子※9

1

神明神社

3

日之宮(詳細不明)

1

弁財天

3

月読之命

1

八幡

2

月天子※10

1

淡嶋大明神※1

2

三夜講(二十三夜と同じ)

1

二十三夜

2

榛名山満行宮※11

1

麻疹神

2

大天狗・小天狗※12

各1

※1:和歌山市の神社で婦人病に霊験ありとされる。人形供養や針供養でも有名。

※2:面足(おもだる)神社と同じ。

※3:加藤清正を神格化。妙正大明神と同じく日蓮宗系で特にライ病やコレラに霊験。

※4:国つ神、地祇のこと。またはその土地の神のこと。

※5:熊野権現と同じ。

※6:山王大権現と同じ。

※7:白鳥大明神は宮城県刈田嶺神社のことで、同社は式内社であり、名神大社とされ

 た。日本武尊を主祭神とし、791年、坂上田村麻呂が祀ったことに始まると言う。

※8:午頭天王を祀る八坂神社、祇園社、八雲神社、津嶋神社と同じ。

※9:日天子はバラモン教の神で太陽を神格化したもの。観音菩薩の変化身とも。

※10:月天子はバラモン教の神で月を神格化したもの。勢至菩薩の変化身とも。

※11:現在は榛名神社(群馬県高崎市)。

※12:ともに相模大山雨降神社に祀られている。富士塚にはこれらの祠以外に石尊大  

 権現、仙元大菩薩(浅間宮)などの祠が祀られている場合がある。

 

 石祠は比較的安価で手軽に祀れるため、個人的に購入して屋敷神とすることもできた。そのため、石祠に祀られる神仏の数は現世利益的な性質の強い、民衆の願いを素直に反映したものと捉えることができよう。すなわち上の表における太字の神に注目してみると、当時の人々がいかに疫病を恐れ、疫病神の侵入を恐れていたのかは明確に読み取れるのだ。

 

 江戸時代後半、交通網の整備と商工業の発達は人々の移動を活発にしたが、他方で疫病の伝播の範囲を広げ、そのスピードを速めてしまったとも考えられる。そこで市内北部を中心に、特に疱瘡(痘瘡)神碑・祠の設置場所と年代を整理し、天然痘流行の様子を少しでも把握できればと思った。

 なお下表中の「妙正大明神」は日蓮宗の寺院周辺(下総、上総、相模、伊豆、駿河)に見られるもので基本的には「疱瘡神」と同じと考えられるため表に加えておいた。「石のカルテ」(川村純一 崙書房 1993)によると船橋、八千代、市川などに多く見られ、計51基確認されている。そのうち最古のものは冨里の駒形神社にある宝暦元年(1751)のものという。同書では市原市内のものを2基確認しているが、カッパは4基確認しており、まだまだ総数は増えていくと考えられる。「続房総の石仏百選」(2010)では県内60基余りとされている。また各地の石祠は市川市妙正寺から勧請されたと考えられている。

 大都市江戸では人々が密集して生活していた事もあってたびたび疫病の流行を見ている。江戸で流行した天然痘が市原にもたらされる主な経路としては五大力船などの海上輸送路を通じてのルート及び房州往還を軸とする脇街道を通じての陸上経路との二つが考えられよう。とくに陸上のルートを念頭に置けば船橋、千葉での疱瘡神祠の状況も参考になると思い、現在分かる限りのデータを挙げてみた。

 結果的には伝播のルートと疱瘡神祠の設置年代との対応関係にこれといった傾向は見られなかった。そもそも疱瘡神祠の設置されるタイミングと疱瘡の流行する時期とは必ずしもドンピシャリと一致するわけでもないだろうから、この結果はやむをえまい。

 参考までに代表的な祠の写真を挙げてみた。いまだに注連縄を張って丁寧に祀られている箇所もある。もちろん天然痘は日本ではもはや根絶された疫病であり、今更、疱瘡の退散を願って祀られているわけではあるまい。おそらく昔、疱瘡で命を奪われた子どもたちの霊を慰めるために今も祀り続けている…という事だと思われる。

 

     表1 市内における疱瘡神関係の碑・祠一覧

 

年代

地区と神社名

神号

1

1771

菊間八幡

疱瘡神祠

2

1772

川在大宮神社

疱瘡神祠

3

1775

番場山王権現

妙正大明神祠

4

1783

権現堂八坂神社

疱瘡神祠

5

1788

古市場天神社

妙正大明神祠

6

1791

廿五里宇佐八幡

疱瘡神祠

7

1799

草刈大宮神社

痘瘡神祠

8

1809

山田橋稲荷神社

疱瘡神祠

9

1813

神崎稲荷神社

妙正大明神祠

10

1817※

青柳若宮八幡

疱瘡神祠:子供中

11

同上

大作神社

宝祖神祠

12

1829

糸久諏訪神社

疱瘡神祠

13

1830

久々津諏訪神社

妙正大明神祠

14

1831

栢橋御霊神社

疱瘡神祠

15

1834?

武士神社奥宮

妙正明神?

16

1835

平田大宮神社

疱瘡神祠

17

1838

西野熊野神社

痘瘡神祠

18

1843

小折大宮神社

疱瘡神祠

19

同上

柳原大鷲神社

疱瘡神祠

20

1857

今津朝山鷲神社

疱瘡神祠

21

1864

村上諏訪神社

疱瘡神祠

22

1865

海士有木日枝神社

疱瘡神祠

23

1871

宮原大国主神社

疫神璽祠

24

1887

米原山神社

痘瘡神社碑

25

1890

海保路傍

疱瘡神社碑

26

1902

引田蓮蔵院裏墓地

痘瘡神碑

27

1914

今富八幡神社

疱瘡神社祠

28

1928

土宇玉前神社

疱瘡神社祠

29

1938

西広前廣神社

疱瘡神碑

※同年(1817)、不入斗小鷹神社に疱瘡神社が創建されている。また疱瘡神祠や痘瘡

 神祠はこの他にも年代不明のものが能満府中日枝神社、八幡観音町稲荷神社にそれ

 ぞれある。

 

       表2.千葉市内の主な疱瘡神の祠一覧

年代

地区

神社名

1756

北生実

生実神社

1783

赤井

稲荷神社

有吉

泉蔵寺

1786

貝塚

大六天神社

矢作

春日大明神

1793

下田

白旗神社

1805

坂月

坂月神社

1806

大森

神明社

1809

村田

神明社

1812

中田

大六天神社

 〃

都町

諏訪神社

1816

加曽利

貴船神社

1828

更科

稲荷大六天神社

1840

大井戸

大宮大権現

1848

谷当

栗嶽神社

1852

大金沢

六通神社

※「新編 千葉の歴史夜話」畑中雅子 国書刊行会 2011より

         

         表3.船橋市の主な疱瘡碑

年代

地区

寺社名

1795

薬円台1丁目

神明神社

1829

夏見2丁目

日枝神社(妙正大明神)

1844

西船6丁目

宝成寺

1858

西船7丁目

妙見神社

1864

飯山満3丁目

王子神社

 ※「船橋の歴史散歩」宮原武夫編 崙書房 2011より

  なお習志野鷺沼では1825年12月に疱瘡が流行し、47人死亡。1835年と1836

  年、1838年から1839年にかけて流行。1849年にも大流行。

 

 以上の資料から疱瘡は江戸時代後半に入ると江戸湾沿岸の船橋、千葉、市原では余り間を置くことなく流行し、多くの人々を悩ませていた疫病だったことが伺える。特に乳幼児にとっては命にかかわる恐ろしい病であったことが石祠の多さにも反映していよう。

 「稿本五井町歴史年表」(1963)によると1837年、1843年、1857年に市原郡内で疱瘡が流行しているが、実際、市内でも1843年と1857年の疱瘡神祠が残されている。また1837年の翌年ではあるがやはり祠が存在している。特に1857年は北五井で疱瘡が猛威をふるったようで今津朝山鷲神社にこの年の祠が存在している。

 明治になっても天然痘は猛威をふるっていた。関所などによる交通の制限が明治になって廃止された事で天然痘が一気に各地へ拡大する現象が見られるようになったようだ。明治時代には三回の流行が確認されている。1885年から87年にかけての流行では死者3万余、1892~94年には2万4千余、1896~97年には1万6千余の死者を出している。大正年間にも1919年に死者938人を出したが、やがて種痘の普及によって死者が年間千人を超えることは大正以降、まったく見られなくなった。

※18世紀末にジェンナーが開発した種痘法の普及によって次第に天然痘は「死の病」

 ではなくなっていった。1796年にジェンナーが始めた種痘はやがて日本にも導入さ

 れ、1849年に佐倉藩が実施している。

 

 1958年、WHOは天然痘の根絶をスローガンに掲げてその撲滅に力を入れ、1980年、天然痘の撲滅成功を宣言した。以後、患者は確認されていないが北朝鮮などが生物兵器として使用する可能性もあるため、現在もアメリカは種痘用として菌を冷凍保存し続けているという。

 

 稀ではあるが市内には麻疹神祠も存在する。特に1862年(文久2年)は島崎藤村の「夜明け前」にも記述があるように全国的に麻疹が流行し、多くの死者を出しているが、同年、建てられた「麻疹神」祠が今津朝山鷲神社と中八幡にある。

 「江戸の流行り病」(鈴木則子 歴史文化ライブラリー342吉川弘文館 2012)によると文久2年(1862)の夏、麻疹の大流行で江戸の町は銭湯や吉原などからも人気が消えたという。「はしか絵」と呼ばれた錦絵を通じて罹患しないための禁忌が広がり、入浴、月代、房事、音曲、酒、魚、野菜、蕎麦などがしばらく避けられたそうである。江戸時代には10数年から20数年の間隔で子ども中心に麻疹が流行した。かつて「疱瘡は見目定め、麻疹は命定め」という諺があった。

 麻疹は一般的には疱瘡よりも軽い病気であったが、治療法が限られ、治療を誤ると命に関わる…ということであろう。ともかく文久2年の時には麻疹の為に江戸だけで1万4千を超える死者が出たという。

 麻疹ウィルスの感染力はインフルエンザの10倍ほどもある強さで10~12日間の潜伏期間があるため、感染は爆発的に拡大する。免疫力が下がり、他の感染症(肺炎、腸炎、脳炎など)にかかると重症化しやすい。最近でも2000年に大阪で流行した時は合併症の発生率が30%を超え、入院率も40%ほどになった。世界では毎年2000万人が発症し、20万人近くが死亡している。WHOにとって麻疹の撲滅は未だに大きな課題の一つである。しかしヨーロッパなどは既に麻疹ウィルスの排除に成功しており、日本は先進国の中では麻疹後進国とされている。そこで2008年以降、10代で2回のワクチン接種を受けるように督励しているが、撲滅にはまだ時間がかかりそうだという。

 コレラや赤痢などを含め、種々の疫病退散を願うために祀られた祠は疱瘡神祠、妙正大明神祠、麻疹神祠、牛頭天王祠以外にも、通称「アンバ様」として知られる茨城の大杉大明神の祠がある。利根川筋に多いが市内でもカッパが確認している限りでは薮八幡神社に宝暦7年(1757)、川岸富貴稲荷神社に寛政2年(1790)、山田橋稲荷神社に寛政6年(1794)、今津朝山鷲神社に安政3年(1856)、村上白幡神社と松崎春日神社に年代不明の祠がある。

 

 

 

 

 

その2.学校教育と貧困問題(後編

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・コロナ感染から見える沖縄の問題

 2022年1月10日段階で沖縄のコロナ感染率(全人口に占める感染者の割合)は約4%であり、これは全世界の感染率とほぼ等しい。しかし日本全体では約1.4%に過ぎず、日本国内における沖縄の感染率の突出した高さが確認できる。沖縄の感染率の高さの背景にウィルスを持ち込み、感染拡大を招いてきた米軍基地の存在がまず挙げられよう。また2回以上のワクチン接種率が日本全体では78.9%に対して沖縄は63.8%と、全国最下位。特に若者の接種率が低いという。また統計では確認できないが、沖縄の観光ユーチューバーの配信する動画を見る限り、沖縄の若者のマスク着用率が低いことはほぼ確実に推察できる。

 どうやらコロナ禍によって沖縄の基地問題、および若者の問題が一層浮彫りにされてきているようだ。

Q.「なぜ、毎年、沖縄の成人式は荒れるのか?」

 若者の車離れによりかつての集団的暴走行為は鳴りを潜めているが、鉄道網が不備な沖縄は今も車社会であり、若者による暴走行為は多少残存。かつては全国的に見られた式の光景だが、次第に福岡や沖縄など特定地域の名物となりつつある。  

 A.大人社会への最後の抵抗? 目立ちたがり?

Q.「若者をめぐる環境として沖縄全体に共通する問題点とは何だと思う?」

 A.少年犯罪が多い、暴走族が多い、高校生の中退率高い・・・おそらく多くの地域では「荒れた成人式」が少なくなっていく傾向あり。

 ただし沖縄県警の少年事犯発生率データによると実際には粗暴化の傾向無し。

 2019年度の沖縄県警の統計資料によると大方の予想に反してここ数年で少年の不良行為や犯罪行為は激減。しかも不良行為としては飲酒、喫煙が際立って多く、享楽的な傾向が見られるものの、粗暴な傾向はほとんど目立たない。意外にも暴走行為や深夜徘徊は全国平均と大差ない。ただし少年の不良行為等が激減している反面、不登校が激増している点は注目される。

Q.「粗暴化の傾向が見られないのになぜ沖縄の新成人はヤンキーの格好をするの

 か?」

Q.「沖縄での不登校激増の背景に一体なにが有るのか?」

 もしかすると沖縄全体の就職問題、貧困問題、それに学校教育の問題が背景にあるかも・・・

沖縄ヤンキーあるある #short 2021/05/08 沖縄訛りの喜屋武さん 56

コレが沖縄県民だ!Part2 2021/10/05 沖縄訛りの喜屋武さん2:29

【ネタバレあり】『THE FIRST SLAM DUNK』が面白すぎる!これまで観てきた

 沖縄関連映画でNo. 1の理由を語ります!【2 沖縄映画レビュー】

 阿波根あずさの沖縄観光チャンネル 2023/02/27  15:11

 沖縄の人がひそかに内面に抱えてきた様々な劣等感や行動面での気おくれに対するウチナーンチュならではの鋭い考察が非常に興味深い。沖縄に対するヤマト側からの陽気でノンビリとしたウチナーへのありきたりなイメージもある種の偏見に過ぎない事に気づかされる。

【スラムダンク】なぜ宮城が選ばれたのか?【山田玲司/切り抜き】

 山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説 2023/04/06  14:34

 アニメ・漫画の分析を通じて戦後日本の社会史、サブカルチャー史を語らせれば山田氏の右に出るものはいない、と唸らせる内容。阿波根氏の動画と併せて視聴すると「THE FIRST SLAM DUNK」への理解がより深まるだろう。

【幸福度】"年収ビリ"沖縄が1位若新雄純「競争をあえて大事にしていない」お金

 =幸せじゃない?持続的な幸せとは 2022/08/04 ABEMAニュース【公式】

 12:09

 年収が47都道県中最低であっても主観的な幸福度はトップが意味する事とは何だろう?

 

参考記事

週7日バイト漬け困窮の高校生が「疲れたと言わない」理由 沖縄県調査

 から 2020年6月9日 12:35 琉球新報DIGITAL

進学の夢、なぜ壁だらけ…「望みは大学無償化」 支援塾に通う高校生

 2020年5月31日 08:50 琉球新報DIGITAL

平均給与が貧困ライン以下…なぜ?どうしたらいい? 「沖縄SDGsプロジェク

 ト」会議 2021年11月6日 05:50 琉球新報DIGITAL

非行少年の背景に貧困と空腹…元警官らが動いた 子どもはタコライスなど軽食無料

 の仕掛け、沖縄で161店舗に拡大 沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.5.2

 

・沖縄の学校教育問題

資料:沖縄、全国学力テスト「最下位脱出」の光と影 躍進を支えた県の元教育長「序列

 づけやめて」 東洋経済オンライン Frontline Press 2020/06/24 13:20

 この記事によると沖縄では全国学力テストの結果が何と2007年度以降6年連続で小学校、中学校共に全国最下位であったという。ところが教育長の交代を境に小学校での成績は向上し、ついに2019年度には全国6位まで急上昇したらしい。改革を推進した当時の教育長諸見里氏は学校訪問を徹底し、現場のリーダーである校長にデータを示しながら各学校の弱点、授業方法といった細かい点に至るまで直接改善を促していったという。こうした努力はたちまち結実し、翌年には小学校で全国24位に躍進。やがて他県から視察が相次ぐまで浮上は続いていったという。

 しかし全国学力テストに特化した取り組みには慎重な見方を示す研究者もいた。琉球大教育学部の村上呂里教授(教育学)は「さまざまな困難の真っただ中に置かれた子どもの存在に心身を傾け、総合的な発達を支える中で『学び』や『学力』を捉えることが何より大切ではないでしょうか。点数も1つの指標にはなるけれど、総合的な教育実践力の養成を見失ってはいけないと思います。文部科学省は学力テストの目的として『全国的に子どもたちの学力状況を把握する』を掲げていますが、そのためだけなら、テストも現行の『毎年、悉皆』でなくて、『数年に1回、抽出』で済むはずです。毎年、悉皆でやるから各都道府県や学校は自分たちの正答率が何位だったかを意識し、順位向上に追いやられてしまうんです」と指摘している。

 実は沖縄の中学校の成績は未だに最下位であるらしい。沖縄の子供達の相対的貧困率は全国の倍近くあり、全国で最も高い数値となっている。小学校での不登校の急増(全国ワーストレベル)中学校での成績低迷の背景には小学校でのテスト得点の向上策では解決できない、極めて深刻な貧困問題があるのは間違いない。

 成人式での光景にもきっと沖縄の社会問題が影を落としているのだろう。

沖縄県教育庁の資料より

 低学力問題に加えて沖縄県内には大学が少ない点と日本の私大の学費の高さが沖縄の高校生の大学進学を阻む大きな要因となっている。東京の私大に進学すると学費、生活費込みで年間200万円は優に超えてしまう。沖縄県民の半数近くが年収200万円を割り込む沖縄の現実は過酷である。

 さてやや古い統計であるが、沖縄の子供、若者を巡る負のデータをここで整理してみよう。

・小中学校:給食費未納率1位、不登校トップクラス

・高校:中退率トップクラス、不登校トップクラス

・大学進学率最低(約40%で全国平均の55%を大きく下回っている)

・高卒者早期離職率1位(若者に限らないが非正規雇用率も1位)

・新規高卒者無業者率(2018)13.9%で全国一位(全国平均5.1%)

・新規大卒者無業者率(2018)16.3%で全国一位(全国平均6.7%)

・高卒者(男)初任給(2019)147.1万円で最下位(全国平均168.9万円)

 ※高卒者(女)も142.9万円で最下位

・大卒者初任給(2019)男女とも最下位:男は174.7万円(全国202.8万円)

 ※東京の高卒女子の初任給180.2万円にも及ばず

 ⇒大学進学率最低

・十代の出産率、結婚率1位(若者に限らないが離婚率も1位)

・子供の相対的貧困率1位

 沖縄の産業は観光業と小売業・飲食業に偏っている。しかもそれらの業界は一般的な傾向として長時間、低賃金の「ブラック」職場が多いと言われている。特に飲食業やホテル・旅館業界は労働条件が厳しく、早期離職率が高い。沖縄の高卒者の早期離職率が高い原因はこうした産業構造の偏りにも大きな原因があるだろう。

 次に沖縄の子供達の貧困に関するデータを見てみよう。

 

 沖縄の子供達の相対的貧困率は全国平均の約2.2倍にもなるにも関わらず、生活保護率は全国3位である。これは生活保護を必要とする母子家庭などがかなりの割合で生活保護を受給できていない事を意味していよう。非正規雇用が4割を超え、その多くはシングルマザーである。男女の賃金格差が露骨な日本においても沖縄の過酷さは際立っている。

中村先生に聞いてみた!沖縄の子どもたちのキャリア選択観とは?

 2021/11/17 Ryukyufrogs 10:20

「子どもの貧困世帯」前回より悪化 沖縄県が調査結果を発表

 2022/05/31 【琉球放送】RBC NEWS 1:05

参考記事

 教職員の休職割合が全国最悪の沖縄 働き方改革なるか… 県が新体制

 沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.4.12 

 

②沖縄の貧困問題

高齢者の「年金ゼロ」率、全国の2倍 復帰52年の沖縄、実態調査へ

   朝日新聞社 によるストーリー  2024.5.15

県の高校生・保護者 困窮世帯 約6ポイント増の26.3%(沖縄テレビ)2023/6/9

 OTV沖縄テレビ  2023/06/12 6:39

50歳復帰っ子が見つめる沖縄 子どもの貧困・人手不足・基地問題 本土復帰

 50年後の現実 「沖縄が良くなれば全国が良くなる」

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2022/07/06 6:39

「学びたい…好きな道に進みたい…」貧困の中にいる子どもたち 教育支援の現場

 とは 【琉球放送】RBC NEWS  2022/06/02 5:46

コロナ禍の生活困窮世帯に食糧支援(沖縄テレビ)2021/07/15 

 OYV 2021/07/23 ・・・5分なので視聴させやすい

【ウチナー】「沖縄の人は無意識に現状維持を選んでいる」貧困の背景になんくる

 ないさ?画一的な見解ばかり?本土復帰50年で考える沖縄の今|#アベプラ《アベ

 マで放送中》 2022/02/03 ABEMA  15:26

2020年上半期No.1のオススメ本!『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』

 【#18 琉球・沖縄本レビュー】2020/07/22 阿波根あずさの沖縄観光チャンネ

 ル 7:23

2018.11.25 樋口耕太郎 2020/12/30 Kotaro Higuchi 24:47

ヤングケアラーの実情と支援の在り方(沖縄テレビ)2022/2/24

 2022/02/26 OTV沖縄テレビ

RBC NEWS「つなごう沖縄 シングルマザーの就業支援へ連携」2021/06/17 

 【琉球放送】RBC NEWS 8:20

あっちゃんさんに聞いてみた!沖縄の貧困問題はなぜなくならない?

 2021/11/17 Ryukyufrogs 8:47

 

 沖縄社会の貧困に関するデータを整理して見てみよう。

1人当り県民所得全国で最低(2016年:約235万円⇔全国約350万円)

勤労者の18%が年収100万円未満

就労者の47%が年収200万円未満

失業率・離職率1位

非正規雇用率1位

 沖縄は高齢化率が最も低い(発問「2位はどこ?」A.東京都:社会増と自然減)し、人口減(最新のデータでは全人口約146万人)も深刻ではない(人口増加率は東京に次いで2位)。合計特殊出生率は1.82(2019)。1975年度以来連続で全国1位を維持している。つまり高齢化と過疎に直面しているわけではない。出生率が高い理由として、他の都道府県と比較して親族や地域同士とのコミュニティの結び付きが強く、相互扶助の精神(方言で「ユイマール」)が残っている。男系子孫を重んじるため、男児を産むまで出産を制限せず、結果的に多産する・・・という2つの説が挙げられている。

Q.沖縄の貧困問題の原因は何だろう?

A.産業構造の偏り(観光業・小売業・飲食業中心)・・・製造業と農業、漁業が貧弱

Q.なぜ沖縄の製造業と農業や漁業が貧弱なのだろう?

A.米軍基地問題が根底にある。

 沖縄の産品で県外や海外でも売れるものが少ない。

 観光業が必ずしも沖縄の利益に結びついていない。

 古いデータになるが、2018年における沖縄県の製造業の製造品出荷額等は前年比3.9%増の4,985.6億円。2年連続の増加。しかし2018年の出荷額は全国のわずか0.2%を占めているだけで47都道府県中のランキングは第47位。2018年において最も出荷額等が多い業種は食料品製造業の1,916億円(製造業全体の38.4%)。次いで多いのは、飲料・たばこ・飼料製造業(749.3億円・15.0%)、窯業・土石製品(琉球石灰岩を原料とするセメント等)製造業(672.4億円・13.5%)、金属製品製造業(537.8億円・10.8%)、鉄鋼業(268.8億円・5.4%)、印刷・同関連業(195.6億円、3.9%)。漁獲量は47都道府県中32位で農業産出額も32位(2018年)に過ぎない。海のない内陸県ではなく、海に囲まれた島々からなる県としては異様に漁獲量が少ない。サトウキビや紅芋、パイナップルなど著名な作物がある割に農業出荷額も少ない。また県外に移出できるものは黒糖、パイナップル、モズク、紅芋など品数が限られているし、出荷額もそう多くはない。そもそも輸送費が高くつく沖縄では生鮮食料品の自給率を高める必要がある。にも関わらず・・・米軍が平野部のかなりの領域を占拠し、多くの海岸から沖合まで占有しているため、農業用地が狭く、工場の立地も限られてしまう。しかも基地への経済依存度は10%にも満たないので「基地が沖縄を潤している」は的外れ。むしろ米軍基地による大幅な土地利用の制約が沖縄の諸産業を圧迫し、経済発展の大きな妨げとなっている。さらには日米地位協定により基地内日本人職員(9000人余り)の地位には時間外労働に関する三六協定、安全委員会、就業規則などに関する6つの労働基準法関連規定が適用されていない。これが全国最下位と言われる沖縄の劣悪な労働環境の一因にもなっているのでは?

・貧困の心理的罠:「貧すれば鈍する」「鈍すれば貧する」の悪循環

時間的非整合性の罠と心理的埋没費用の罠:生き延びるために必要な判断やお金の悩みに直面したり、何かを我慢することは、大きなストレスと疲れを感じる。それが続くと、例えば、将来の目標や健康の重要性について(いくら頭でわかっていても)現状との乖離が激しくて無理だと感じてしまうと、人は期待値を下げて手近な快楽を選んでしまう傾向がある。これを「時間的非整合性の罠」という。また、限られたお金で目の前のやりくりを続けているが故に、価値判断が目の前の金額の大小そのものに引き摺られてしまい、保険や積立、予防といった、将来のリスク回避のための少額投資の価値を(いくら頭で分かっていても)低く見積もってしまう傾向がある。これを「心理的埋没費用の罠」という。参照:「貧乏人の経済学」(著者アビジット・V・バナジ ー・エステル・デュフロ みすず書房)

 確かに沖縄の勤労者世帯(2人以上)における生命保険等の貯蓄は2019年で110万円ほどに過ぎず、全国の約300万円に遠く及ばない。年金型貯蓄も同様で沖縄は約37万円、全国は84万円となっている。

 貧困に直面している人々に道徳や道理を説いても意味は無い。まずは金銭面を中心に公的支援が必要不可欠!金銭的余裕が心理的余裕を生み出し、みずから適切な自助努力をとることを可能とする。政府が公的支援をケチリ、行政サービスをサボっておきながら、国民に対しては「自己責任」ばかりを問う。こんな無能で無責任な政府を持つ日本だからこそ、自殺がはびこるのでは?

 

 かつては日本で一番の長寿県と言われ、ストレスネスでヘルシーなイメージを持たれていた沖縄県だが、男女とも肥満度は47都道府県中、ダントツのトップ。自殺率も5位と高く、平均寿命は36位と下位に低迷している。

 過去を遡ると平均寿命に関しては沖縄県の男性は1980年、1985年は1位となっていたが、1995年の全国4位から、2000年には26位、そして2010年は30位、2015年には36位と順位の下落は止まらない。かつて全国1位を長くキープしてきた女性もまた2010年に3位、2015年には7位と下落してきている。

 沖縄県によると青年・中年男女ともに生活習慣病を原因とする死亡率が全国平均より高い点が指摘されている。厚生労働省によると、女性の順位が下がった要因として挙げられるのは、他の都道府県と比較して、脳血管疾患やがん、または自殺による死亡率の改善が目立っていないと指摘されている。沖縄県内の医療分野専門の大学教授らは、アルコールの過剰摂取と喫煙による影響、また中年者の食の欧米化による肥満やそれに伴う糖尿病患者が増加しているとのこと。寿命自体が下がったわけではないが、生活習慣自体見直すべき点は多いだろう。

参考記事

【速報】沖縄の平均寿命、順位また下がる 男性3643位、女性716位  

 厚労省調査 琉球新報DIGITAL 2022年12月23日 14:43

健診結果に異常、沖縄が全国最悪 11年連続 21年は初の70%台 労働局「由々

 しき事態」 琉球新報DIGITAL 2022年9月20日 05:15

 新規の出店が相次いでいるせいか、沖縄在住の観光youtubeの多くがここ最近はグルメ情報、食レポに偏る傾向が目立ってきた。10年以上前までは修学旅行で体験した沖縄料理に対して教師、生徒共に味に関してはイマイチという感想が多かった。しかし僅か数年で沖縄の食事情は見違えるほど急速な進化を遂げてきている。

 観光客が激増する中で飲食店同士の競争が激化したせいか、店舗の見た目も含めてリゾート地にふさわしいハイレベルの質を持つサービスが続々と登場してきているのだ。とりわけ観光地として人気のある那覇市、豊見城市、糸満市、南城市、沖縄市、金武町、うるま市、北谷町、読谷村、宜野湾市、恩納村、名護市、本部町、今帰仁村などでは洒落たカラフルな外観の喫茶店やパーラー、ドライブインなど、多彩な店が展開している。サンゴ礁の広がる海辺や見晴らしの良い丘の上に店を構え、インスタ映えするスイーツや各種肉料理を売りにする店の急増ぶりには驚かされる。さらに米軍基地の影響もあってのことだろう。ステーキやハンバーガー、焼き肉、タコス、アイスクリーム、ピザ、パンケーキ、パスタといった高カロリーの洋食を扱う店が圧倒的に多くなっている。また沖縄の大衆料理にもトンカツや唐揚げ、天ぷらなどの揚げ物や肉料理が目立つようになり、しかもその多くが基本的にデカ盛りである。その一方でビーガンの店も少しずつ出現してきてはいるが、概ね沖縄の食は、大食らいが多く、脂質と糖分、塩分の取り過ぎで糖尿病や高血圧、肥満に悩むアメリカ人の食生活へ急速に接近しつつあると言って良いだろう。加えてアメリカ同様の車社会による慢性的な運動不足・・・

 観光地化が進むと共にウチナーの健康面での心配が増えつつある点は確かに見逃せない現象である。加えて沖縄の年間の一人あたりの書籍・雑誌販売額は最下位、教育関係費割合は45位であり、前述の「貧困の心理」が急速に沖縄県民の間に浸透しているようである。一刻も早い公的支援が望まれるのではあるまいか。

子どもの割合16.5%  前年比減も沖縄県が割合で全国最高

 2022/05/05 【琉球放送】RBC NEWS 0:45

・・・とは言え、日本全体が少子高齢化への道をまっしぐらに進んでいるのに対して沖縄はまだ若い力を有している数少ない地域である。この「若さ」こそ、沖縄の誇れる資源であり、成長可能性そのものであろう。沖縄の「若さ」を今後、どのように活かしていけるか、若者の県外流出を減らし、若者の進学先、就職先をどのように拡大していくか、などが問われている。

その2.学校教育と貧困問題(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

子どもの貧困の実態「聞いたことがない」大人は約半分 5年前より大幅増加で関心

   低下を危惧 貧困家庭の約8割「高校までの教育の無償化」求める

   FNNプライムオンライン  2024.11.29

  児童生徒の貧困はステルス化しやすいという。中学校や高校では多くの学校で制服を導入しているため、パッと見た目で大人たちが貧困を実感することは難しい。逆に言えば制服や指定カバン、ランドセルなどは確かに見た目での差別、偏見を減らすことに貢献している側面がある。その一方で、周囲から貧困を見えにくくしている側面もあるに違いない。もちろん生徒自身、あらゆる手段を使って貧困状態を懸命に隠そうとしてもいる。

 中学生、高校生ともなれば必須のアイテムであるスマホを誰もが持ち歩く時代に、生徒たちと接触の多くない大人たちが、通りすがりの生徒間の経済的格差を見出すことなぞ至難の業である。そしてたとえ生徒との日常的に接触している教師であったとしても、貧困に直面する生徒を見極めることは決して容易ではない。家庭の貧困が生徒の過重アルバイトによる遅刻、早退の増加や長期欠席、不登校の形で表面化することがあったとしても、多くの教師たちは遅刻や早退が多い、あるいは長期欠席しがちな理由をついつい生徒の人間関係や性格(怠惰、反社会的、非社会的等)の問題にばかり結び付けがちなのである。

 教師たちは現在、学校での過重労働によってかつてほどには頻繁に生徒たちの家庭訪問をしなくなったのではあるまいか。そもそもが高校生ともなれば担任に家庭訪問されることだけは絶対に避けたいと思うのが普通だろう。そのことに薄々気付いている教師たちに、よほどのことが無ければ生徒の家庭訪問をしなくて済ませたい、といった心理が働く場合は決して少なくあるまい。かくして生徒の貧困はいつの間にかステルス化するのだと思うが、いかがか。

 ステルス化させないためにもこうした調査を地道に繰り返し、報道していくのがマスコミの果たすべき役割であろう。本来ならば子ども家庭庁や厚生労働省、文科省などが全国的な大規模調査を行うべきだが、おそらくそれをやる気も無ければ予算も無いに違いない。そうしたお役所、政府の無為無策が「子どもの貧困」について聞いたことすらない大人たちを大量に生産してきたのだ。

 一体、何のための子ども家庭庁設置だったのか…疑念は尽きない。

「子どもの貧困」に関する意識調査 「小中高の学校生活にかかる費用の無償化」

   を望む人が困窮世帯では約9割   TBS NEWS DIG_Microsoft  2024.11.28

   そもそもが義務教育なのに完全な無償化とは程遠い日本の現状があり、大学まで完全無償化が進んでいる北欧との格差は余りにも大きい。修学旅行に行かせることが経済的に大きな負担となっている家庭は決して少なくない。無償化ができないのならば修学旅行などを廃止しても構わないのではあるまいか。定時制高校では実際に参加できなかった生徒もいた。旅行後の気まずさがあったのか、行けなかった生徒がしばらく学校を休み続けてしまうケースもある。完全無償化するのか、旅行自体を廃止するのか、この際、はっきりさせた方が良かろう。

児相の実態「生々しく把握してほしい」 千葉県提訴の元職員、異例・2万5000字超

   の陳述書で訴え -CASTニュース 2024.11.28

   子どもや若者、女性を軽視してきた老害男性政治家たちの政策がこんな酷い状況を生み出している。事は千葉県や沖縄に限らないだろうが、老害政治のしわ寄せは社会的弱者に集中しがちであるのは確かだろう。

首位73%「大学進学率」の高い都道府県ランキング 50%未満は10県と地域格差が大

   きい 東洋経済オンライン編集部 の意見  2024.5.21

   大学進学率1位の京都府では73.0%、最下位の沖縄では46.3%で何と30%もの格差が生じている。その理由を生徒たちに考えさせたい。沖縄での貧困問題や学校教育問題を扱うなら、この記事を導入として利用できるだろう。上位11位と下位11位の表を

参考資料として示しておくと、格差発生の理由の一部は推察できるはず。

沖縄、全国学力テスト「最下位脱出」の光と影 躍進を支えた県の元教育長「序列づけや

   めて」 東洋経済オンライン Frontline Press 2020/06/24 13:20

<社説>全国学力テスト 貧困対策が欠かせない

  琉球新報社 の意見 2023.8.2

 沖縄の人の読書数が少ないことは以前から指摘されていた。家庭環境が子供の学力に与える影響は小さくない。貧困問題を解消していくことが児童・生徒の学力向上にもつながることは疑いようのない事実。

県内12歳児虫歯54% 16年連続ワースト 未処置も多く

 琉球新報DIGITAL 2023年6月4日 05:30

 「県内の12歳児虫歯有病者率は、全国平均より25.7ポイント高い54.0%で、全国ワーストとなった。2006年の調査開始以降、16年連続で全国ワーストが継続…」という驚愕の実態。なぜ沖縄の児童にこれほど虫歯が多いのか、その理由について考えさせたい。この分野の導入部として利用できるだろう。記事全体を読ませる前に上記の「」内だけ提示して考えさせたい。

 「…神下太一医師は、有病者率の高い背景にひとり親家庭やきょうだいの多い家庭を挙げる。貧困で栄養が偏る一方で「親が子の口腔環境を気に掛ける余裕がない」と指摘する。とあるが、そもそも沖縄全体に糖分の過剰摂取が指摘されている点など、他にも原因がありそうだ。

[社説]教員の精神疾患 要因分析し 対応急げ

 沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.5.26

[社説]教員の長時間労働 抜本的な是正策講じよ

 沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.5.6

教員の忙しさを解消するには? 最も多かった回答は 那覇の小中学校80校にアンケ

 ート 沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.4.10

<社説>教員不足続く 未配置ゼロ目指し改革を

 琉球新報社 の意見 2023.4.20

 教職員の病休が急増し、率では全国一位であるという深刻な状況の中で年度当初から教員数が不足していること自体、もはや異常事態であろう。

「学校を休んでも怒らないで」「親に知られたくないのでメールで話したい」沖縄

 のヤングケアラーの切実な声 沖縄タイムス+プラス 2023.4.17

参考動画

国保納付率 全国ワースト脱す 沖縄(沖縄テレビ)2023/7/5

 OTV沖縄テレビ  2023/07/05 0:59

 ワースト1位はどこになったのか、質問してみたい。

沖縄ワースト1を集めてみた!都道府県別ランキング

 おきなわmore  2022/09/28  9:37

 これもクイズ形式にして答えさせたい。10個挙げられるだろうか?

成田悠輔氏とひろゆき氏は表層だけ語っている 深みへの到達こそ必要 /ゲス

 ト・宮台真司さん(社会学者) 司会 尾形聡彦● TheNews4/4 スピンオフ

 ●Arc Times   2023/05/04 15:19

 「高齢者は集団切腹せよ」との発言を切り取られて炎上した成田氏の隠れた意図を宮台氏が社会学的立場から解説しているように受け取られる。年金の受け取りなどにおける大きな世代間格差があっても沖縄のようにユイマールの互助精神を持つ地域社会や血縁集団がある程度まで残っていればその世代間格差は社会集団の中で解消される方向に働く場合もある。しかし現在は沖縄でもそうした集団が次第に変容し、社会の分断が進んできている。注目すべき問題の本質は世代間格差だけではなく、社会集団のあり方、その変容にもあるとする宮台氏の指摘は極めて重要だろう。

沖縄の困窮世帯26.3% 低所得層に「ヤングケアラー」多い実態も (沖縄テレビ)

 2023/6/8 OTV沖縄テレビ  2023/06/08 1:24

県の高校生・保護者 困窮世帯 約6ポイント増の26.3%(沖縄テレビ)2023/6/9 

 OTV沖縄テレビ  2023/06/12 5:47

映画『遠いところ』予告編 <沖縄先行公開>

 ラビットハウス  2023/04/21 1:13

映画「遠いところ」 役を通して向き合った貧困(沖縄テレビ)2023/6/9

 OTV沖縄テレビ  2023/06/12 4:37

沖縄の少女の”リアル”描く 映画「遠いところ」公開前に高校で試写会

 【琉球放送】RBC NEWS  2023/06/06 2:50

※参考記事

 家庭内暴力、貧困の連鎖…日本の社会問題を描いた衝撃作 映画『遠いところ』本編

  映像 ORICON NEWS によるストーリー 2023.7.7

【おきなわ今昔】沖縄の高校野球が強くなるまで:5つの甲子園物語

 OKINAWA A LA CARTE  2023/04/01  5:47

沖縄の学校あるある10選を厳選!

 おきなわちゃんねる  2023/05/11  6:09

 笑いながら沖縄独特の学校あるあるを知ることが出来る。導入として利用可能。

連日1500人超感染の沖縄・・・成人式で暴走相次ぐ「もうちょっと考えて」

 2022/01/10 ANNnewsCH 3:00

ブラックういの沖縄のヤンキーあるある!! 2021/08/31 5:20

沖縄の闇…暴きます…!2020/07/28根間ういちゃんねる【おきなわ部】

 3:42

【沖縄方言講座】ブラックういによるブラック方言講座【うちなーぐち】

 2021/04/06 根間ういちゃんねる【おきなわ部】 4:19

こんな 菊灯りの夜にーOCVB 沖縄フィルムオフィス Okinawa Film

 Office 2021 20:49

 経済的に自立しようともがく沖縄の青年達が直面する問題について考えてみたい。母子家庭の多さ、高齢化が進む中での世代交代の難しさ、内地へ出稼ぎにいき、心を病んで戻ってくる者たち・・・

子どもの安心・権利を守る 「不適切保育」の背景にあるもの(沖縄テレビ)

 2023/7/5 OTV沖縄テレビ 2023/07/06 7:12

⑨学校を知らない教師?

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

同級生から暴言で不安障害、「いじめ重大事態」に該当 佐賀県対策委

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.10.10

 これだけ世間を騒がせてきた学校によるイジメ事件隠蔽などのイジメ事案に対する不適切対応が非常識にもいまだに頻発しているようだ。かねてから児童生徒たちの学ぼうとしない姿勢を批判し、学習指導を強めてきた学校側の圧倒的な学びの欠如が実に痛々しい。わざわざ県の対策委員会から指摘されない限り、まともな対応をしようともしない学校側のふてぶてしさにも呆れてしまう。

 この学校、イジメ防止対策基本法、子どもの権利条約や子ども基本法などの存在はまったく眼中に無きが如くである。教師たちの動きも呆れるほどに常識外れレベルの古色蒼然たるものを感じる。イジメられた側とイジメた側との話し合いを事前の十分な調整を抜きにして行うことの恐ろしさはとっくに昔に教育界では周知されていたはず。それがどんな重大事態を招きかねないのかは、学校関係者の誰もが知っていて当然の常識だろう。

 どうやら佐賀県では偉そうに児童生徒たちを教える前に、まずは率先垂範、教師たちが学校教育のあり方の基本をしっかりと学んでおくべきだろう。

 

なぜ日本人は「仕事のための読書」すらしないのか…「日本人は世界一学ばない怠

 け者」という誤解を解く 2023/2/17(金)  小林 祐児 プレジデントオンライン

 ここでの指摘はビジネスパーソンだけではなく、高校教師にも該当する部分が多いように思える。日本では個人的な努力によって大学や大学院で教師になるために必要と思われる学習や技術をどれほど習得したとしても、それが全くといって良いほど教員採用試験では評価されず、その後のキャリア形成にも結びつかない。そもそも、赴任先の人事にすらほとんど影響を与えていない。

 たいていの場合、次年度に担当する部活や科目は教師の専門性などはわずかしか考慮されず、学校現場の都合によって一方的に決定されているのが実情なのだ。つまりジェネラリストの養成を前提にして企業の人事が成り立ってきたように、学校でも専門性よりは服従的で使い勝手の良いジェネラリストが求められてきたと言っても過言ではない。

 他方で高校教師は教科教育の専門家としてのみならず、世間的には各種運動部、文化部の指導においても高い専門性を求められてきた。加えて近年では不登校やいじめ問題の解決、貧困問題、進学・就職指導、保護者への対応など心理カウンセラーや進路カウンセラー、ソーシャルワーカーとしての能力まで期待されてきている。

 教育行政側は人事や待遇面で教師の専門性を完全に軽視しているクセに、これだけ多種多様な専門性を残業代もつかない安月給の公務員に要求してくるのだから厚かましい限りである。しかも幸運にも幾つかの専門性を身につけられたとして、それが人事考課や次年度の人事に結びつくとは限らない。だから管理職を目指さない限りは専門性を身につけるインセンティブなど十全には働かなくなっている。

 また、たとえ教員側にやる気があったとしても、残念ながら真面目で有能な人ほど瞬く間に多種多様な仕事が集中してくるため、多くの真面目な教員は体力と気持ちが次第にすり減ってしまう。

 つまり学校に必要とされる教師ほど早めにバーンアウトしやすくなっているのだから、まさに「やってられない」・・・これが今の教師たちの本音ではないか。

 

日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?

 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 によるストーリー 2023.6.27

 世界最低の仕事満足度を記録している日本の経済界の低迷ぶりは、おそらく児童生徒に対して世界最低の授業満足度しか与えてこられなかった日本の学校教育と連動しているはず。高度成長期のモデルを性懲りもなく使いまわしている日本の企業と学校…ひたすら改革の足を引っ張るだけの「老害」政治家と企業経営陣と学校管理職。これらが三つ巴となって日本の進歩を阻害し、青少年の自尊心と幸福感の低下を招いているのではあるまいか。

教員の3割が「子どもの権利」の内容知らず、誤って理解している回答も 教員調査、

   約半数が「子どもの権利教育」せず 

   2022/07/22 東洋経済education × ICT編集部

  子どもの権利に対する教師の認知度の低さがブラック校則やイジメの隠蔽、体罰を日本の学校にはびこらせている背景にありそうだ。また画一的で管理主義的な教育行政に起因する学校社会の強い同調圧力、根強い一斉講義形式の授業の残存もまたブラック校則等を生み出す土壌となっているように思える。

   つまり教師や生徒の個性を軽視して多様性を圧殺する日本の伝統的学校体質がその根幹から見直されていかなければなるまい。そもそも教師の人権が十分な保障を受けられていない状況下で生徒の人権だけが尊重される事など期待する方もおかしい。

   日本の教師の労働者としての人権保障がこれまであまりにも不十分であり、そのことに教師自体が鈍感になってきている…そしてこの時代遅れな教師たちの労働環境が子供たちの人権保障に対する鈍感な教育風土を醸成してきたと思えるが、いかがか。

【元教師の願い】どうか学校のことで苦しまないでください

 ダイヤモンド・オンライン 親野 智可等 の意見 2024.9.1

 元教師からすれば親野智可等氏の見解には違和感しか覚えない。日本の学校教育が10年以上前から急激におかしくなってしまった…との認識ははたして正しいのだろうか。本来、学校は子どもたちを幸福にするためのもの…という彼の学校論はいかがなものか。彼の認識は客観的認識を欠く、ボンヤリとした一時的感情論に過ぎないように思うのだが、いかがだろう。

 近代的な学校の成り立ちを振り返ってみれば良い。日本の学校は子どもたちを近代的な国民国家を担う人材にふさわしい存在にするため、無理強いして通わせる洗脳機関としての性格を早くから備えていたはずである。小学校は昭和に入り、国民学校と改称されて皇国民錬成のための教育機関としてさらに先鋭化された洗脳機関となっていったではないか。

 では、日本の学校は敗戦後、本当に「子どもたちを幸福にする」教育機関に生まれ変わっていったのだろうか。いや、「平和主義」と「民主主義」の美辞麗句にシュガーコーティングされてはいるが、その実、アメリカの思惑を日本の子供たちに押し付ける側面があったことは否定できまい。また高度経済成長期には政財界の圧力を受けて学校は政治的中立性を守るという口実のもとにむしろ子どもたちからまともな政治教育の機会を奪い、政治的主権者としての成長を阻んできたのではないのか。

 さらに子どもたちの多くは学習やスポーツを通じてひたすら競争熱を煽られ、もっぱら受験戦士として不毛な暗記中心の学習を強いられていたのではなかったのか。大人となっても企業戦士として過労死まがいのブラック労働に明け暮れてしまったのではないのか。

 何よりも学校は一人一人の子どもの幸福実現よりも人材の「選別・配分・社会化」の機関として、すなわち国家の秩序維持と経済的繁栄に役立つ洗脳的機関として社会的に機能してきた側面が大きいと考えるのが筋だろう。日本国憲法と同様、教育基本法の表層的なキレイ事だけで学校教育を語れるわけがあるまい。

 今、私が日本の学校教育の根本的な改革を必要としていると考える理由は以上のような歴史的認識を土台としている。たかがここ10年ほどの間に表面化してきた学校問題だけを土台にした浅薄な理解など本質的な意味を持つわけがない。この記事が夏休み明けを前にして暗い気持ちに沈んでいる子どもたちへの励ましのメッセージだとしても、親野智可等氏の見解は余りにも的外れ。そもそも不登校の児童生徒の中にはもっと先鋭なレベルでの学校批判の思いを抱えている人も少なからずいるに違いない。

 授業では彼の見解についてどう思うか、ひとまずアンケートをとって意見や感想を募るところからスタートしてみてはいかがだろう。

その1.修学旅行と沖縄観光

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・修学旅行が抱える明暗

 

【修学旅行】思い出作り?何かを学ぶ旅?家計負担が重すぎる?多様性の時代に集

   団行動は必要か? ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/05/11  14:54

 自由を過度に制限する集団行動やテーマパークに行くことの是非は生徒たちに問いたい。今後、児童生徒の選択の幅をひろげつつ、何を学ぶための旅行なのか、厳しく問い直す必要は出てきているだろう。

【教育】コロナ禍の修学旅行の不満 ロザンの楽屋 2020/12/10 11:58

 →Q.修学旅行はなぜ行くのか?そもそも本当に行く必要はあるのだろうか?

 討論の「たたき台」に利用可能。USJやTDLに行く事は「修学」?ロザンの二人に対する反論も出てくるだろう。

参考記事

"息抜き""思い出づくり"先行で学びが置き去りに保護者と教師の負担が大きい修

   学旅行を放置していいのか

   プレジデントオンライン福嶋 尚子,栁澤 靖明 の意見 2023.10.6

思い出づくりのためだけなら、修学旅行はいらない コロナ禍で修学の意味を問い

 なおす 妹尾昌俊教育研究家、学校・行政向けアドバイザー 

 YAHOO!ニュース JAPAN 2020/10/4(日) 15:00

「教員にとっては徹夜覚悟」修学旅行の必要性で議論伯仲 ネットにさまざまな声 

 ENCOUNT の意見 2023.5.16

 短い記事で突っ込み所も多く、議論百出しそうな内容。ぜひ、討論の題材に使って

みたい。以下、カッパがまとめた内容を紹介する。

 

(1)修学旅行の歴史

 「学校ことはじめ事典」(佐藤秀夫 小学館 1987)によりますと修学旅行は明治19年(1886)に東京高等師範学校が軍隊の兵式体操を取り入れた際、行軍に学術研究の性格(生物や鉱物の標本採集、地形の学習、史跡の探訪等)を付与しようとのことから「修学旅行」の名が付けられたのが始まりだと言います。当時は鉄道網が未発達であったため、徒歩による旅行でした。明治20年(1887)に行われた東京高等師範学校の場合、8月下旬から約一ヶ月かけて全員、軍装に身を固め、長野、山梨、静岡、神奈川の山々を踏破するという行軍並みの過酷なものであったようです。これを先駆けとして1890年代、全国の師範学校に修学旅行は学校行事として定着し、1週間から2週間かけて軍装による徒歩旅行を行っていたとのこと。

 修学旅行が徒歩による行軍形式から汽車旅行に変わっていくのは明治33年(1900)以降のこと。鉄道網が整備され、1900年に学割制度が導入されたことがきっかけとなり、かなりの遠方にも短期間で旅行するパターンが定着。旅行の負担が軽減されたことによって女学校や中等学校にも修学旅行は定着し、東京や伊勢、奈良、京都を見学する現在のようなパターンが成立してきたようです。

 戦後、日本社会が落ち着きを取り戻すと修学旅行は全国に普及。1960年の学習指導要領改訂によって修学旅行が学校行事の一つに規定されたことでついに修学旅行は小中高すべての学校で取り組むべきものとなり、現在に至っております。

 なお近代日本の学校はそのモデルの多くを軍隊に求めていました。制服(詰め襟の学ランとセーラー服、制帽)やランドセルはすべて軍装に由来し、整列の仕方(前へならえ!休め!回れ右!の号令等)、教室の配置も軍隊に見習ったもの。そして修学旅行や遠足、運動会(1874年に日本海軍がイギリス海軍士官の指導の下に導入した「競闘遊戯」に始まるとされている)などの各種学校行事もまた軍隊に見習ったものであったようです。近代化推進のスローガンであった「国民皆兵」と「国民皆学」とは「富国強兵」という日本の国家的目標を実現するための、まさに車の両輪であったというわけです。

(2)欧米における学校行事と日本

 修学旅行や遠足などは日本独自の学校行事として定着したものであり、基本的に欧米では日本と同じ発想のものは見られません。たとえば入学式に関しては欧米では学校説明会とクラス発表を行うだけで保護者が参列するような式典ではありません。盛大に行われるのは高校以降の卒業式だけだと言います。

 日本の運動会や文化祭のような大規模行事も欧米にはありませんが、それぞれ季節や年中行事に沿った小さな学校独自の行事は頻繁に開かれ、その際には保護者のボランティアも募られるようです。そもそも欧米では国や地域、学校ごとに多種多様な取り組みが出来るようになっており、全国的に画一化され、規格化されている日本とは根本的に学校教育の発想が異なっていると言って良いでしょう。

 修学旅行のような行事は欧米にもあるのですが、日本とは違い、まず生徒個人の自由参加であることが大原則です。アメリカでは「スクール・トリップ」という行事が修学旅行に該当しますが、多くの場合「修学」的な性格はあまり見られず、ディズニーランドで遊ぶだけだったりすると言います。ヨーロッパでは国によって違いが大きく、イギリスではフランスやスペインへの国外旅行が目立つそうです。観光立国を謳うイタリアではほぼ毎年のように泊まりがけのバス旅行が行われていて、卒業時の修学旅行というよりも、泊まりがけの遠足に近いでしょうか。

 非常にユニークで、かつ日本にとって大いに参考となるのはフィンランドでの、とある高校での取り組み。

※詳細はhttps://educationxfinland.hatenablog.com/entry/2019/11/28参照

 娯楽に特化したようなアメリカの修学旅行はおそらく日本ではほとんど見向きもされないでしょうが、さすがに教育先進国と呼ばれるフィンランドです。アメリカと真反対の、「修学」の精神を極めた、日本人にとっても驚きの取り組みがフィンランドの高校では見られるのです。その高校では東京オリンピックを意識したのでしょうか、「Japan Project 2020」をスローガンに掲げ、足かけ2年間にわたる用意周到な準備に生徒達は着手します。結果的には2020年5月実施予定だった旅行そのものは残念ながらコロナ禍によって実現できなかったようですが、それまでの取り組みだけでも、当時主体となって動いた高校生達にはありあまるほどの貴重な体験が出来たと思われます。

 生徒達が立案した日本旅行という企画を受けて学校側は生徒をサポートすべく、まず2018年9月に早くも日本人教師を募集して日本についての事前学習、情報収集を進めました。そして2019年5月には少人数による日本への研修旅行をサポートして実現、翌年の本番に備えさせています。そして9月には何と校内に日本語コースを設けて希望の生徒達へ日本語の習得にチャレンジさせています。

 一方、生徒達は自らの手で日本での行き先やスケジュールを決定し、旅行資金確保のために手作りのデザートを昼休み、教師達に販売したり、お菓子を仕入れて販売したり、クリスマスコンサートを企画運営して売り上げを旅行資金にあてていくなどの努力を重ねます。保護者もバザーでの売り上げを資金に回し、学校は町に一人あたり3万円の奨学金を申請して生徒達に協力しました。生徒達の自主的な取り組みとそれを支える大人達の分厚い支援・・どちらも凄いとしか言い様がありません。

 仮に修学旅行を真面目に捉えて前向きに企画するならば、日本にとってフィンランドの取り組みはかなり理想型に近いように思えます。しかし日本の修学旅行は残念ながら厳しい国家の制約下に置かれている中で、娯楽と「修学」とを兼ねた欲張りな旅行を目指してきました。その結果がたとえば従来の奈良コースを外して京都は見学し、奈良の代わりに大阪ではUSJで遊ぶという中途半端で無難な妥協策に落ち着くことにつながったのではないでしょうか。

 しかも生徒の自主性は京都でのクラス別コースの選定程度しか認められていません。旅行の企画のほとんどは学校教師と旅行業者との間で決められている、大人からの一方的な「お仕着せ」旅行・・・というのが、多くの修学旅行の実態でしょう。

「お仕着せ」旅行も手伝ってか、多くの生徒達は駆け抜けるようなスピードで京都の寺社を見て回るだけ。予定よりも早くバスや旅館に戻ってしまった生徒達は暇を持て余し、アイスクリームやお菓子を口にしながら雑談に興じるか、一人ゲームに勤しむか、寝不足解消のためにうたた寝に励む・・・たとえ京都を訪れたとしても「修学」の精神はほとんど形骸化している、というのが多くの学校の現状であると思っています。どうひいき目に見てもフィンランドの高校とは大違いです。

 なお日本修学旅行協会によると1980年代までは修学旅行での飛行機の利用は原則、認められていなかったそうです。しかし1989年、修学旅行協会は各地の教育委員会に対して、事実上、飛行機利用を解禁します。これを受けて各地の学校では飛行機利用の修学旅行が徐々に増えていきました。さらに拍車をかけたのが1997年から始まる国内航空運賃の自由化で、飛行機利用でも旅費が格段に安くなり、これまで行きにくかった土地(北海道や沖縄)への修学旅行が増えていったとのことです。沖縄の場合、事前申し込みによる団体割引なら価格が3分の1になったと言われています。

 

Q.日本人や外国人は主に日本国内のどこを観光地として訪れているのだろうか? ト

 ップ5を挙げてみよう。

 ヒント:大都市及び大都市に隣接する都道府県は有利。

【観光】都道府県別「日本人観光客数」ランキングTOP47

 2022/01/16 おもしろ地理 5:28

【観光】都道府県別「外国人観光客数」ランキング【コロナ禍前】

 2022/01/16 おもしろ地理 5:31

沖縄観光の紆余曲折 復帰後50年を振り返る

 2022/05/12 【琉球放送】RBC NEWS 7:39

 復帰後の沖縄観光の歴史を概観できる。

 

 沖縄はこうした中、「唯一の地上戦」を経験していて戦跡があり、歴史教育、平和教育ができる、マリンスポーツ等の体験学習の機会も豊富である、本土ではまず見ることの出来ないサンゴ礁の海があり、亜熱帯の気候を体験できる・・・などといった理由から選ばれるようになったそうです。逆にあおりを食ったのが広島、長崎で、修学旅行客はピーク時より半減しているとのこと。

 21世紀に入る頃から、沖縄の経済を支える上でも奨励されてきたのが沖縄修学旅行だったと思われますが、ここでも相変わらず生徒の自主性はほとんど認められません。せいぜいマリンスポーツやレジャーのコースを選ぶ、見学先のガマを選ぶ程度。事前学習に力を入れている学校は少なくないのですが、これだっていつもの授業と変わらぬ「お仕着せ」「詰め込み」の画一的一斉講義形式。

 修学旅行を含む日本の学校行事で強調されるのは常に頭髪・服装面での指導や時間厳守といった集団行動の側面であり、ひたすら集団への同調を強いる性質のものです。「集団の和を乱すな」、「みんなに迷惑をかけるな」という指導が軸となるため、個性の尊重や多様性の尊重は二の次になっていると言えるでしょう。

 これでは「協調」という美名に隠れた古臭い全体主義的な指導でしかない、と言われても仕方ありません。そして強圧的で画一的な生活指導の毒素を誤魔化すために、生徒に取り入るべく「思い出作り」と称し、USJやTDLなどで一日生徒達に楽しんでいただくという小ズルイ戦略をとっているのが日本の修学旅行のあざとい一面なのだと思われます。

 修学旅行を含めた日本の学校教育の発想が多くは昔ながらの軍隊の集団主義、管理主義、画一主義の伝統に基づいている限り、大きな変化を文科省以下学校側に期待することは当分無理だと思いますが、いかがでしょう。

 

(3)沖縄に行く理由

Q.修学旅行先の都道府県ランキングトップ5を挙げよ。

1位:沖縄、2位:東京、3位:京都、4位:大阪、5位:千葉

 

 沖縄の現状から入る。それぞれ統計で示す。

1.令和2年10月2日沖縄県観光政策課:修学旅行先データ

 近年、沖縄修学旅行数はやや減少傾向にあるらしい。

Q.なぜ、沖縄が修学旅行先に選ばれてきたのだろう?

 沖縄の魅力とは?・・・亜熱帯の自然(サンゴ礁等)と独特な伝統文化

Q.他に沖縄に行く目的とは?・・・平和学習「唯一の地上戦」と基地問題

それだけ?

 他にも重要なポイントが・・・沖縄は日本の縮図である!

 ・・・では沖縄修学旅行の目的をデータで確認してみよう。

基地問題を語ると「売国奴」 やまない沖縄蔑視、広がる無知

 2022/05/11 毎日新聞 4:36

 本土の人の沖縄への無知が差別の根底にある。余りにも無知なために本土の人の多くが沖縄を差別している自覚すら持てなくなってきている。

参考記事

沖縄の本土復帰から51年 アンケートから見えた沖縄と本土の認識の違い ギャップを埋めるためには 沖縄テレビ 2023.5.17

 認識のギャップを埋めるために何をすべきか、考えたい。

 

2.日本修学旅行協会の修学旅行先データ(2018)

 平和学習でもガマの見学など、高校生が肌で感じることのできる体験が用意されている。沖縄の工芸やマリン体験など生徒参加型の内容が豊富。だから沖縄が選ばれている。

Q.でも理由はこれだけであろうか?

【インスタ調査】みんなの「沖縄旅行の思い出」エピソード集めたら最高な思い出

 ばっかりだった 2021/05/07 ミス沖縄のおきなわ観光TV 7:18

 

その1.修学旅行と沖縄観光(後編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

洗骨とユイマール

 

 ウチナーグチで歌われるBIGINの名曲「島人(しまんちゅ)ぬ宝」とは何を意味するのだろう?ヒントとして次の動画(洗骨 予告編)を視聴させてみよう。次に「洗骨」に先立つ2016年に収録された作品を視聴させたい。

【映画 予告編】 洗骨 2019/01/29 KINENOTE映画ライフログサービス  

 2:01

born,bone,墓音。ー born bone boonーwith English subtitles

 OCVB 沖縄フィルムオフィス Okinawa Film Office 20:16

 洗骨という儀式にはどんな意味が、どんな願いが込められているのだろう。沖縄の 人々の心に少し

 でも触れるためにはこの儀式を知らなければならないのかもしれない。視聴時間は少し長いが「洗骨

 は自分自身を洗うこと」というセリフの重みを是非、しっかりと受け止めてみたい。

やっぱり沖縄!お墓で楽しむシーミーとは!?【秘密のケンミンSHOW極公式|

 2019年5月30日 放送】 2023/05/07  13:38

 

 

今帰仁ベンチ 2015/12/24 今帰仁村観光協会 13:21

今帰仁村(なきじんそん)は沖縄県本島北部、美ら海水族館から車で15分程の場所にある、人口約9600名の小さな村です。日本で一番所得の低い沖縄県の中でも、さらに一番所得の低い「日本一所得の低い村」ですが、村民の「自分は幸せだと感じる」という幸福感がとても高い村なのです。

本作品「今帰仁ベンチ」は「今帰仁村大学生アンバサダー事業」の一環で、制作されたショートドラマです。沖縄今帰仁村の人々は、素朴で、温かくて、優しい。このショートドラマのテーマは、そんな今帰仁村の人々にフォーカスしています。都会で働く主人公の「ミサ」はなぜ、遠く沖縄の 今帰仁村へひとりでやって来たのだろうか?そして、ミサはこの今帰仁村で何を感じたのだろうか・・・?

このショートドラマを見たことで、今帰仁村へ行ってみたいな・・と感じていだければ幸いです。」 一般社団法人・今帰仁村観光協会より

https://www.facebook.com/nakijin.tour...

※移住を考えるほどに沖縄大好きなヤマトンチュがいる一方で沖縄から離れる若者も多い。戦前は安価

 な工場の労働力として沖縄の若者が大阪、尼崎、川崎、鶴見などに出稼ぎに出ていて、多い時には年

 間2万人もいたらしい。特に女性は紡績工場の女工として島を離れ、沖縄は「女工王国」と呼ばれて

 いたという。移民に関しては【琉球サウダーヂ】移民の追憶 第一話「移民県沖縄」~第五話「写

 真結婚」(RBCチャンネル 【琉球放送】 2021.11.09)が参考になる。

 

 沖縄の若者の島離れ、特に夫婦や家族、ニービチ=結婚、あるいは沖縄の風習という観点からオススメの動画が短編映画『ニービチの条件 Mother of the groom』(監督:岸本司 沖縄映像コンペティション 2013/06/12 25:49一般財団法人

沖縄観光コンベンションビューロー)。「洗骨」、「今帰仁ベンチ」などとともに沖縄の女性の逞しさと優しさが伝わってくる。

 蛇足になるが沖縄には「さようなら」にあたる言葉が無いという。あるとすれば「またやーさい」(女性は「またやーたい」=じゃあまたネ)。沖縄の人が概して陽気で楽観的であることは間違いないだろう。いずれにせよ、ウチナーの人情は都会の人からすれば暑苦しいほどに濃いし、人と人との間の距離感も鬱陶しいほど近い。

なお今帰仁村は「何もないが・・・」というフレーズを逆手に使って情に厚いウチナーを浮彫りにすることで観光客の目を惹こうという観光戦略をとったが、今や大人気の古宇利島や世界遺産の今帰仁城を擁する沖縄有数の観光地となっている。言うまでもないが今帰仁村に「何もない」わけではない。

【沖縄の風景】沖縄北部!沖縄時間が流れる今帰仁村の共同売店をご紹介 

 2021/05/05 ミス沖縄のおきなわ観光TV「かな散歩」 6:02

 集落が共同出資して営む、「ゆいまーる」の精神に基づいた沖縄特有の売店。特に過疎化、高齢化が進む北部では「買い物難民」問題の解消にも貢献。「ウチカビ」と呼ばれる先祖供養に用いられる冥銭(あの世で通用するお金。中国や台湾でも見られる)が売られている点に沖縄らしさが見られる。こうした地元密着の視点で散歩出来るのが「かなさんぽ」の大きな魅力。

 共同売店について詳しく知りたい方は琉球大学の学生が制作した動画「わったー共同売店 〜100年続く地域の絆2015/08/29 kyodobaiten 13:51」や【琉球サウダーヂ】共同店と集落 第1話~第5話 2021/02/18~ RBCチャンネル 【琉球放送】 各2:30が参考になる。

 なお「琉球サウダーヂ」シリーズは一話が2分30秒という短過ぎる番組構成と動画の間に沖縄トヨタ自動車のCMが入ってしまうため、授業ではまず使えない。しかし史跡と戦争、迫り来る西洋、橋巡り、伊波普猷、沖縄戦海軍の足跡、島々の神たち、移民の追憶・・・といった魅力的なテーマのシリーズがズラリと並ぶ。沖縄を多角的に知りたい教師には必見の番組。2分30秒刻みの番組を次々とつなげて視聴するのはやや苦痛だが、映像や構成は申し分の無い出来であろう。沖縄を多角的に理解したい社会科教師向けとしてはイチオシの動画。

ウェルカムんちゅになろう。/ 「いちゃりば結」

 2015/03/06 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 4:49

沖縄県・沖縄観光コンベンションビューローは沖縄を訪れる観光客の皆様をあたたかいおもてなしの心でお迎えしよう!と沖縄県民の皆様へのよびかけとして「ウェルカムんちゅになろう」をキーワードに楽曲を制作しました。

 国内外から訪れる観光客の皆様をうたでウェルカムしようと制作された楽曲『いちゃりば結』 音楽制作プロデューサーは、BEGINの比嘉栄昇氏。幼稚園から小中学校、沖縄古典音楽に携わる方々まで、多くの県民の皆様から沖縄を表す言葉やメロディーを頂き、その思いを紡いでひとつの音楽に仕上げました。

みんなでうたってウェルカムんちゅになろう。」(OCVBより)

 「いちゃりば」は「出会えば」、「結い」は「仲良しになる」の意。「結うた」とは比嘉氏の作った曲に合わせて「○○」とかけて「××」と解く・・・その心は(「しーあん はってい?」)・・・と掛詞を使って即興で皆の力により一つの唄を創り上げる、遊びの要素に満ちた共同作業のこと。一番目を比嘉氏が歌い、二番目以降を4人で歌い繋いでいる。いかにも「いちゃりばちょーでー」の沖縄らしさに満ちた曲。撮影された居酒屋(那覇市牧志の「島唄ライブ鳩間島」)には様々な出自、人種、民族、年齢層の人々が入り混じり、まさに「カチャーシー」「チャンプルー」状態の中で見事な「ユイ」、一体感を醸し出しているのが分かるだろう。以下、一番の歌詞の一部を紹介しておこう。

・・・いちゃりば結やっさ (出逢えば繋がるのですよ) しーゆい、ゆい

結うたさびら    (結うた、しましょう)    はい どうぞ

一年中 うたの島と 

回る宇宙の土星は 結      しーあん はってぃ? (その心は?)

やれほんに 大きな輪 (土星の大きな輪と「おきなわ」とを引っかけている)

はい ゆいやさっさであるはず~

 …「いちゃりば結」の世界には「一揆の時代」とも呼ばれた中世において発展した「一座共感の芸能」に近いものを感じる。つまり連歌、それも滑稽や面白味を追求した山崎宗鑑らの世界に極めて近似した試みと言えるかもしれない。

 17年連続1位…!日本一長寿の村「作業が終わったら野外でビール」長生きの秘訣

   は〝ゆいまーる〟精神   FRIDAYデジタル によるストーリー 2024.3.24 

  北中城の取り組みに平均寿命が伸び悩んでいる沖縄の健康問題改善への糸口が見えてくるだろう。

 

 ユネスコの世界無形文化遺産に指定(2010)された組踊りは玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)が清国の冊封使(さっぽうし)を迎えるに当たり、ヤマトの能や狂言、歌舞伎、中国の京劇などの要素を取り入れて創作(1719)したもので、そこにも中世由来の「一座共感」の世界が感じられる。また若者に人気のエイサーは元来、お盆の行事として生まれてきており、ヤマトグチで言うところの「盆踊り」に相当する。そして盆踊りは中世の「念仏踊り」に起源の一つが求められると言われている。

 島人(しまんちゅ)の心は戦乱の世に明け暮れた厳しい時代の中で民衆が連帯して自分たちの村を必死に守ろうとした中世における「一揆」の精神を色濃く受け継いでいるように思えるのだ。それは近世以降、一方的な薩摩藩による侵略と支配、明治以降では日本政府による差別的、植民地的支配、戦後はさらに米軍による苛烈な占領下に置かれるという過酷な歴史の連鎖がもたらしたものなのかもしれない。そうした点では有名な「コザ暴動」(1970:コザ市民による反米暴動)もある意味、現代における「土一揆」あるいは「惣百姓一揆」の再来なのかもしれない。

 沖縄における助け合いの精神は「ユイマール」と呼ばれる。「結」=絆=連帯の精神は那覇と浦添を結ぶモノレールの名前「ユイレール」の由来であり、「いちゃりば結」の掛け声「ユイ、ユイ」も、もちろん「結」に掛けている。そして宴会の締めに欠かせない「カチャーシー」という踊りは老若男女、すべてかき混ぜて一体化させてしまう沖縄の心を体現したものであろう。こうした一座連帯の芸能を通じて沖縄では現在もなお共助、共生のユイマール精神が培われ続け、たとえ深刻な貧困や基地問題を抱えていても高い水準でウチナー達の幸福感を維持してきたに違いない(都道府県別幸福度調査では沖縄が一番、幸福度が高い)。

 さて、ここで改めて比嘉氏の掛詞を振り返ってみよう。「一年中、うたの島」と掛けて「回る宇宙の土星」と解く、その心は「大きな輪・・・おきなわ」。このダジャレ自体は沖縄の大手スーパー「ユニオン」のCMでも使われていて沖縄ではすっかりお馴染みのダジャレ。従って比嘉氏が創作したダジャレではないが、このみんなが熟知しているダジャレを「一年中、唄の島」と「回る宇宙の土星」から敢えて導き出したところに「いちゃりば結」の歌詞としての意義が見出されるだろう。

 長年、苦心して作り続け、唄い続けてきた幾つもの唄で大勢の人々の心を繋ぎ、「大きな輪」=「大きな結」を作ろうとしてきたBIGINの切なる思いがふんわりとユーモアに包まれて見事に表現されている・・・ダジャレとは言えなかなかの傑作。この唄、2015年に発表されているが、もっとヒットさせたい、今後もずっと残しておきたいウチナーポップ(沖縄ポップス)の一曲であると思うがいかがだろう。

※沖縄本島中南部の方言を「ウチナーグチ」と呼び、沖縄県全体の方言を「シマクトゥバ」と呼ぶ立場

 もある。いずれにせよ学校教育によって明治以降、方言札によって一方的に標準語が強制されてきた

 結果、沖縄の若者の間で発音が怪しい人が増えてきたという。確かに時折、唄の発音にも微妙なとこ

 ろが感じられないわけでもない。

 

㉑神戸市教育委員会って何様?

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

【17年前のいじめ】元教育長が証言「都合いいように記録が書き直され、市教委

   が隠ぺい」被害児童への聞き取りが“なかった”ことに...(2022年4月27日)

   MBS NEWS 2022/04/28 10:55

「17年前の壮絶ないじめ記録」を独自入手【報道特集】

   2022/09/04 TBS NEWS DIG Powered by JNN 22:27

【独自】17年前いじめ『市教委が秘匿し続け、虚偽答弁重ねた悪質行為』第三者委

 の素案 MBS NEWS 2022/11/28 0:59

【衝撃提言】“内申点”は忖度点?──最年少市長コンビが語る教育のリアル 

    【後編】   東修平の対話チャンネル【公式】2025/05/02  28:09

    神戸市を中心に兵庫県で学校の問題が頻発してきた原因の一つが、高校入試で占める中学校での内申点の比重を兵庫の一般選抜では学力検査の5割(250点満点)としている点に求められるように感じるのだが、いかがか。

    通常、高校入試は5教科500点満点、そして内申点は各高校によって比重を多少変えている。そこそこの進学校では内申点の比重を軽くして(135点満点が多いのでは)学力テスト点の比重を重くしているし、教育困難校では逆に内申点の比重をやや重くしているだろう。とは言え、さすがに内申点の合計が250点にも達するケースはよほどの困難校を除くとあまり多くないのではあるまいか。

    ところが兵庫県では一律、内申点が250点満点らしく、平均的に見れば千葉県などと比べて極めて内申点の比重が重い。兵庫県での内申点の突出した配点の重さはおそらく県内の小中学生全体に極めて大きな弊害を及ぼすだろう。

    児童生徒たちの多くが高校進学を目指して内申点の減点を恐れ、学校への不満をため込みながらも表面的にはクラス担任の意向に沿うよう振舞おうとする…挙句にクラス担任などへあからさまな媚を売る児童生徒が出てくるとすれば、それは教育上、決して好ましい状況ではあるまい。

    また、不登校気味の児童生徒、クラス担任と反りの合わない児童生徒、学力面や部活動などでイマイチ結果が振るわない児童生徒…彼らは内申点を少ししかもらえないだろう…などと将来を悲観して一層、学校生活を楽しめなくなってしまうかもしれない。そしてこうした忖度を強いるようなストレスフルな環境下では、最悪の場合、酷いイジメが横行してしまうのかもしれない。

    骨折などの痛ましい事故が頻発し、運動会、体育祭での組体操、人間ピラミッドの危険性が繰り返しマスコミを通じて報道されていたにもかかわらず、兵庫県ではなかなかそれらを競技種目から外してこなかった。その背景にやはり内申点の問題が見え隠れしているようにも感じるが、いかがか。

    内申点で児童生徒を無力化し、教師になかなか逆らえない雰囲気を長く醸成してきた兵庫県の非民主主義的教育体質は徐々に県民の主権者意識を損なってしまったのかもしれない。それが結果的に学校側のイジメ隠蔽や教師間のイジメ事件を生み出し、さらには現今の斎藤県政の混乱と県民の分断を長引かせていることにもどこかで繋がっている…そうした可能性だって、まったく無い、とは言えまい。

 義務教育段階の学校改革を考えている二人の市長が、そろって市町村立であるにもかかわらず小中学校の教員人事は給与も含めて県が担当していることによる不便さ、制約の大きさを嘆いている点にも注目したい。高校でも市立高校を増やすことで市町村に密着した教育の実現を目指す考え方がある。まして地域密着であるべき小中学校の人事は県単位で行うべきものではあるまい。

・神戸市東須磨小学校教師イジメ事件

参考動画

ANN ニュース教師が教師をいじめるとは 2019/10/10 4:07

保護者説明会で加害教員のコメント サンテレビ 4:41 2019/10/17

【大人のいじめ】乙武洋匡「僕も経験がある。戦う気力は湧かない」本人が証拠を

 揃えるのは無理?相談先は?ひろゆきと考える職場の嫌がらせ|#アベプラ《アベ

 マで放送中》 2022/01/16 ABEMA 20:02

【激白】教員時代、陰湿なイジメを受けていました。

 2022/02/25 乙武洋匡の情熱教室 - Limitless OTO 14:13

参考記事

東須磨小の教諭いじめ事件の調査報告書に記された驚くべき“動機” 「ストレス発

 散」AERAdot. 2020/02/24 15:09 今西憲之

神戸「教師いじめ」、男性教師2人は懲戒解雇でも45歳「女帝」は停職3か月の不可

 解 デイリー新調 国内 社会 2020年3月6日掲載

教員間いじめの神戸教職員、相変わらずの隠蔽体質…児童への体罰指導を矮小化

 Business Journal 2021.08.10 05:30 文:鮎川麻里子

 

参考記事

中2いじめ自死訴訟、和解 学校対応巡り「傷つけた」加古川市が謝罪

    朝日新聞社 2025.6.25

【続報】猫の死骸4体、等間隔で道なりに並んで見つかる 神戸・北区の墓園、頭部

    付近がつぶれた状態 神戸新聞 2023/6/13 18:05

中学校正門付近に頭部ないハトの死骸 人為的に切断された可能性も

    神戸新聞NEXT 2025.6.20

    いずれも酒鬼薔薇事件を想起させる。兵庫県政の混乱と事件を連発させてきた神戸市における学校教育の諸問題がこれらの事件と無関係だとは思えないのだが…

「これで教育って…」吐き気が止まらない、親子を追い込んだ“先生の学級経営”

 ダイヤモンド・オンライン秋山謙一郎 2025.4.8

   仮にこの記事が本当だとしたら、また神戸市か…と呆れてしまうのは私だけではあるまい。さすが神戸市教育委員会、相変わらず世間の期待を裏切らず、今もってイジメ案件がお盛んなようである。特定の地方をディスっても…という批判があるようだが、これだけ兵庫県、とりわけ神戸市にイジメをめぐる学校教育の問題が噴出しているのだから、何か神戸だけのローカルな原因を探りたくなるのは人情。

 そういえば兵庫県政をめぐるパワハラ案件も、大人のイジメ案件と見ることは可能だろう。やはり、神戸市、どうにかしている…というのが率直な感想。

中学校教諭が残業時間「80時間超」で勤務表提出…管理職から「このままだと産

   業医と面談」言われ土日の出勤記録削除と訴え 学校側は指示を否定

   毎日放送 2025.4.1

   この手の「事件」は兵庫県に限らず、全国各地でもはや日常茶飯事ではないだろうか。繰り返しこのブログで指摘してきたように、文科省は現場から教育委員会経由で上げられてくる各種の調査結果を決して鵜呑みにしてはならない。信用できないのはイジメ調査や不登校調査だけに限らないのだ。この件は氷山の一角に過ぎない。

19年前のいじめ問題 当時の小学校担任を口頭厳重注意 神戸

   毎日新聞 2024.12.20

   まずはなぜこの事件が19年もの間、まともな解決に至らなかったのか、問うべきだろう。しかも隠蔽の意図は確認できなかったという。このため、神戸市教委は重い責任を負うべき関係者を文書訓戒や口頭訓戒、口頭厳重注意処分という、極めて形式的な対応で事件の幕引きを図ろうとしている。明らかに誠実さの欠片も見られない。いかに神戸市教委に深刻な問題が潜んでいるか、その根深さを改めて確認できる。

7割超、いじめ対策で「財源が課題」 全都道府県・政令市アンケ

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.13

 第三者員会設置にかかった費用にかんして神戸市が突出しているようだ。第三者員会設置を必要とするような重大事案を連発する神戸市教育界の惨状が伺えよう。

18年前のいじめで文書不開示「隠蔽との指摘仕方ない」 神戸市教委 隠蔽否定から

   一転、不適切な対応認める神戸新聞NEXT 2023.5.19

小5いじめ記録を神戸市教委が隠蔽、議会で虚偽答弁 18年経て第三者委が認定 

   産経新聞 2023.5.11

【独自】17年前いじめ『市教委が秘匿し続け、虚偽答弁重ねた悪質行為』第三者委

   の素案 MBSニュース 2022.11.28

 ついに教育長の責任まで問われることになりそうだ。旭川とほぼ同じような状況であるが、この件での第三者委員会の動きに関してはかつての旭川よりも少しは健全に見える。

いじめ被害児童の父親が神戸市教委に怒り「あってはならないことをなかったこと

 に」 MBSニュース 2022.11.28

“18年前いじめ神戸市教委の隠ぺい問題 28歳被害者「市長主導の対策要望」市長

 「市教委主導で対応」関西テレビ によるストーリー 2023.5.23

いじめ被害者の父が問い質す「隠蔽した?」「誰の指示で?」18年前のいじめ『教

 育長&当時の教頭』と面会 第三者委は「隠蔽」認定

 毎日放送 によるストーリー 2023.6.12

神戸市立小の18年前のいじめ 「不十分で不適切な行為あった」教育長ら被害男性に

 謝罪 記録不開示の「故意性」は否定

 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.6.12

 数々の不祥事と悪質な隠ぺいを繰り返してきた神戸市教育委員会には最早、自浄能力を期待できないと判断するほかあるまい。ところが市長はそれでもなお教育員会が主導すべきだという。一体、どこまでお人好しなのか、いやどこまで間抜けなのか、傍からは想像がつかない。これでは神戸市民が隣の明石市に次々と転出していく動きは加速する一方であろう(→『減る神戸・増える明石』神戸市の悩みは「お隣への人口流出」今年150万人切る見通し MBS毎日放送 2023/05/23 19:20)。

 この期に及んでも自分たちの隠蔽工作を故意とは見なさずに「世間でいうところの隠蔽」と、あたかも第三者のような突き放した言い方でシラをきる。いつまでたっても自らの罪を認めようとしない無責任で頑なな姿勢には呆れるほかない。まさに教師の風上にもおけないような人たちがこともあろうに管理職となってしまう神戸市教育委員会の腐れ切った体質には何らの希望も見いだせまい。どう転んでもこの組織に期待できるものなぞ何一つあるわけがないのに…神戸市はまだ動こうとしない。最早、絶望感だけが募ってくる。

足をかけられ転倒、高次脳機能障害に 3年前のいじめ、再調査求める 神戸の中学校

 で不登校、記憶障害も 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 -2022.11.22

 校長を第三者委員会の委員長とする、などといったまるで世間を嘲笑するかのような厚顔無恥極まる人事。これまた神戸市教育委員会である。神戸市は一体、何をしているのか、本来ならば市長の責任までが厳しく問われるだろう。

 大津市と旭川市では市長が率先して動いている。ところが大きな財源と権限を持つ政令指定都市であるはずの神戸市の動きがまったく見えてこない点に強い不信感を覚える。どうやら市政自体の機能不全を疑うほかあるまい。また連発する学校の不祥事に対する市民の動きも奇妙なほどに静か。さらに言えば兵庫県の動きも一切見えてこない。この負の連鎖は一体どこで誰が断ち切るのだろう?

 旭川と同様に県外から本当の第三者を呼ぶほかに当面の打開策は見いだせないのだろうか。最早それ程に神戸市政と神戸市教育界の病巣は深部に達しているのかもしれない。

中3自殺『いじめなどが原因』第三者委が結論 学校も『加害生徒を同じクラスに編

 成』 毎日放送 2022.12.9

 おなじみの神戸市である。一体、どれだけの事件が起これば気が済むのだろう。なぜ市民は沈黙しているのだろう。「再発防止に真摯に取り組んで参ります」という市教委のコメントがここほど軽く響いてくる所は他に無い。

 

 学校も加害児童側もイジメを認めたのに、神戸市教育委員会のみがイジメを認定しなかった、というにわかには信じられないような驚愕のケース。神戸市における隠蔽体質の歴史はかなり古くまで遡れそうだ。学校よりも教育委員会の方が一層悪質であったという、あきれ果てた事件である。自己保身に長けた教師ばかりが管理職に登用されるような体質が神戸市教育委員会にはあったと推察することもできるだろう。しかも自己保身のためには平気で嘘をつき、知らない振りをし続ける、教育者としてはあるまじき言動を教育長自らが率先してとっている。

 こんなことがまかり通る神戸市教育委員会の閉鎖的体質が2016年の女子中学生自殺事件における隠蔽やあの神戸市東須磨小学校教師イジメ事件発生の背景にもきっと潜んでいるに違いない。

 ただし、これだけ酷い隠蔽事件の連鎖は神戸市だけのことであり、他に類例を見ないのでは・・・神戸市だけの例外的特殊ケースに過ぎまい・・・という反論や疑問があるかもしれない。しかしそれは本当だろうか?

 北海道旭川の事件を思い浮かべるまでもなく、生徒や保護者のプライバシー保護を楯に被害者の人権を踏みにじり、ひたすら自己保身を図り続ける教育行政側の根深い隠蔽体質はもちろん神戸市だけのものではないように思われるが・・・

 

神戸の小中学校に「チーム担任制」導入へ いじめや不登校に対応「利点大きい」

  23年度から一部で試行 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2022.12.17

 様々な問題を噴出させてきた神戸市教育委員会がついに改革へ向けて動いたようである。とは言え、今回の取り組み、どこからどう見ても明らかなピント外れではないだろうか。まず、改革されるべきは悪質な隠蔽を繰り返し、危険な組み体操を長らく放置してきた教育委員会の組織的腐敗や怠慢そのものであろう。

 にもかかわらず学校に改革の矛先を向けて現場に責任転嫁し、試行段階とは言え、一方的に学校へ改革を求めるとは一体何様なのだろう。

 しかも「チーム学校」というスローガンの持つ危険性を一顧だにせず、文科省が並べたきれい事を鵜呑みにしてただ反復しているに過ぎない。もしかしたら神戸市教育委員会の本当の狙いは一層教職員間での同調圧力を強化する為にこのスローガンを利用して学校の不祥事に関する内部告発を完封し、鉄壁の隠蔽体質を完成させることではあるまいか。

 そもそも不祥事の隠蔽のみならず、教師間の陰湿なイジメや管理職の悪質なパワハラが横行してしまうような暗黒の教育体質であるにもかかわらず、偉そうに「チーム学校」をスローガンとして掲げる事自体、端から見れば「狂気の沙汰」と思えるのだが…

 

 複数担任制の欠点としては梶田先生が指摘されているように、生徒と担任との信頼関係が形成されにくい点や各教師に責任が分散しがちになり、取り組みに甘さが生じてしまいがちである点が挙げられよう。もちろん、生徒を見る視点が複眼的、多角的になるメリットはあるものの、デメリットも少なくあるまい。

 この取り組み、どう見ても深く検討したとは思えず、ただの付け焼き刃に過ぎないようだ。神戸市教育委員会は連発してきたこれまでの不祥事を覆い隠すべく、遅ればせながら「改善」に向けての取り組みをとってつけたようにちらつかせ、いかにも率先垂範、「やってる」感だけでも派手に演出したかったのではないか。

 

 本来、神戸市の教育委員会に求められているのは教育行政に対する市民の信頼回復であったはず。そちらに対する取り組みが何一つ示されていないとは呆れるばかり。ここにも神戸市教育委員会の「自浄能力」の欠如が恥ずかしげも無く露呈しているようだ。

 おそらく「チーム組み体操」が孕む全体主義的精神が一切反省されることなく、神戸では未だに健在なのだろう。いっそのこと神戸市教育委員会のスローガンを「チーム隠蔽・鉄壁の守り」としてみたらいかがだろう。

 

神戸の中3男子が自殺か 家族がいじめ被害訴え「学校に相談」 兵庫

   神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.10.27

中3男子が自殺…両親『いじめ』訴え 学校は年30日以上不登校でも『重大事態』認

   めず MBSニュース 毎日放送 によるストーリー 2023.11.7

神戸の中3死亡 欠席30日超、学校「重大事態」として報告せず

   毎日新聞 によるストーリー  2023.11.23

 旭川の件と同様に、ここは市が行政介入すべき段階をとっくの昔に超えていたのにいまだ市長が傍観し続けている。なぜ神戸市民が全く動こうとしないのかも依然として理解できない。不思議としか言いようがない。

   …だからこういうことが繰り返されるのではあるまいか?

小5女児がいじめ被害 神戸市教委「重大事態」と認定 長期欠席理由、学校は当初

  「コロナ不安」と説明神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.11.13

 もう呆れるほかない。ここには自浄能力の欠片もなさそうだ。そもそも市長がこの事態を放置してきたツケであろう。なぜ神戸市民が動かないのか、不思議過ぎる。

「学校が謝罪できるシステム必要」 いじめ・事故などの遺族会20年

   毎日新聞 によるストーリー  2023.12.15

 …内海さんは、第三者委に全てを任せる風潮を危惧しているという。児童生徒に接し、実際に再発防止するのは現場の教員となるが「第三者委が調査している間、(学校は)加害者への教育などの対処ができない」と指摘。最終的には第三者委ではなく、教員が主体的に調査し解決するべきだと訴える…

 これは極めて重大な指摘だろう。イジメ事件の隠蔽が横行する背景に潜む第三者委員会の負の側面は教育関係者として絶対に知っておくべき。ただしイジメ事件に対して学校や教育委員会が誠実に迅速に対応しておけば保護者らとこじれずに済んだケースは多かっただろう。そもそも第三者委員会を設置することになった時点で円満な解決からは程遠い事態に発展してしまっている。

 …文部科学省が全国の国公私立学校を対象に実施した22年度の調査によると、重大事態の発生件数は前年度比30・7%増の923件で過去最多。県内(公立のみ)も増加傾向にあり、22年度は74件、うち神戸市が50件を占めた。第三者による調査委員会が設置されるケースもあり、推進法施行後、神戸、尼崎、宝塚、加古川の各市と多可町で起きた児童生徒の自殺事案では、いじめが原因との調査結果を導き出した…とあるように兵庫県の学校教育の歪んだ体質は既に異常なレベルにあり、特に神戸市は突出している。

 なぜ、ここまで酷い状況が神戸を中心に兵庫県で続いてしまっているのか、まずは個々の詳細な事例研究を通じて神戸などに見られるイジメ事案の発生原因と事後にこじれてしまう対応のマズサをしっかりと解明すべきだろう。

 ある意味で幸いなことに兵庫県、なかんずく神戸市では悲惨な事例を豊富に抱えているのだから、イジメの原因やこじれてしまうメカニズムの究明は他の都道府県、市町村よりも統計的に有意な結果が導き出しやすいのではないか。こうした対策は相も変わらず事件を頻発させてしまっている無策なままの神戸市教育委員会や兵庫県教育委員会が、いい加減自らの責任としてしっかりと反省した上で、全国に先駆けて取り組むべき最重要課題としていくべきだと思うが、いかがか。

兵庫・公立校で269人教員不足、「ブラック職場」で休職多く志望者少なく…教

   頭が担任兼務も 読売新聞 によるストーリー 2024.1.22

   いよいよ兵庫県全体で本格的な公教育の崩壊が始まったようだ。この動きはいずれ大阪府、北海道、静岡県、千葉県などにも波及していくだろう。これはしかし序章に過ぎないのかもしれない。

 ここに至っても兵庫県教委は相変わらず「教職の魅力」を大学生たちに啓蒙していく、という詐欺的勧誘を続けるつもりだ。教職の魅力は残念ながらとっくの昔に失われてきているにもかかわらず…今、県が真っ先に取り組むべきは教職の魅力回復のための身を切るような教育委員会自身の自己改革であり、学校現場で追い詰められている教師を救い出すための施策ではないのか。教師の仕事量と重点ポイントの根本的な見直しのはずである。反省の欠片すら見せられない県教委の言う事を今更、誰が信じるのだろう。恥知らずもいい加減にしてもらいたいものだ。

生徒の成績表80人分、コンビニのコピー機に置き忘れ 県立校の70歳非常勤講師ら

   処分 兵庫県教委 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2024.3.28

   この記事で注目するのはまず「70歳の非常勤講師」の存在とコンビニのコピー機で240人分の成績一覧表をコピーしていたことの二点。

   いくら教師不足とはいえ、「70歳」を登用する兵庫県の教育委員会の非常識さに驚く。個人差はあるものの、一般的には高齢になればなるほど仕事上のウッカリミスは増えてくる。したがって退職後の再任用を65歳までとするのが通常の人事だろう。敢えて70歳まで再任用するならば、事件、事故防止のためにそれ相応の配慮が学校現場では必要とされるはず。この問題は高齢者の運転免許自主返納と相似形であり、高齢者の交通事故防止にはそれ相応の工夫が必要となるのと同様である。はたして県教委に高齢者が犯しがちなミスの防止に対してどれほどの配慮と工夫があったのかが、強く疑われるのだ。

 次になぜこの講師がコンビニのコピー機で240人分の成績一覧表をコピーしていたのか、という点。通常、学校の記録、資料は学校のコピー機を利用すれば良いはず。学校には事務、教務(ないしは印刷室)、進路指導室などにそれぞれコピー機が据え付けられているだろう。事務は経費節約上、教師のコピー機使用に制約を課すことがあるが、印刷室や進路指導室ならばさほどの制約はあるまい。わざわざ持ち出し制限のある成績一覧表を学校の外へ持ち出すまでもなく、コピーは簡単に出来たはず。にもかかわらず、なぜ…

 第一、学年末の成績会議の資料作成に携わる学年主任や教務部以外では一学年分と思われるほぼ6クラス分の成績一覧表を必要とする職員はそれほど多いとは思えない。一番ありうるケースはその講師が部活動の熱心な指導者で、自分の指導する部員の成績状況を全員分把握したい、と考えた場合。70歳という年齢からするとこの人物が部活動指導のベテランである可能性はかなり高いだろう。ただそうした場合であってもコピーは校内で出来たはず。なぜわざわざコンビニで、しかも有料のコピーをしたのか…は大きな謎。

 守秘義務やプライバシーの保護を盾にして資料の改ざんや事件事故の隠蔽が頻発する…そうした問題の学校が各地に存在する一方で、児童生徒のプライバシーがあまり尊重されているとは思えない、極秘資料の管理にルーズな学校がいまだに存在するのかもしれない。

 何はともあれ、教育問題満載の兵庫県である。これからも目は離せまい。

不祥事根絶プログラム、堺市教委が公表 「自分事」として考えさせる

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.14

 あきれた物言いである。これは堺市の件であるが、神戸市とも重なってくる案件。不祥事を隠蔽したり、他人事として不誠実な姿勢を示してきたのはどこのどなたであったろう。むしろ教育委員会の方こそ他人事ではなく自分事として不祥事を捉える訓練が必要なのではあるまいか?教育行政のあり方こそ、見直されるべき最大の問題であり、各種の教育問題を発生させてきた張本人ではなかったか…

神戸市の教委職員死亡訴訟、和解 いじめ問題で長時間労働

    共同通信 2025.6.13

激辛カレー強要問題、対応の職員が自死 神戸市に1・2億円賠償命令

 朝日新聞社 によるストーリー  2024.5.16

 直接、神戸市教育委員会とのつながりは問えない案件ではあるが、この問題を生み出し、こじらせてしまった責任はやはり神戸市教育委員会にあるだろう。

その3.沖縄戦 続ウチナーとナイチャー 

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

導入:沖縄をめぐる唄の世界~ウチナンチュとヤマトンチュの想い~

以下、授業での展開例を参考までに考えてみた。

沖縄と言えばカチャーシー

唐船ドーイ 2009/06/13 teamrimi 7:12 ・・・出だしの2分程視聴

 「唐船(とうしん)ドーイ」とは「中国からの(貿易)船だぞー」という意味である。唐船ドーイは踊りを伴う琉球民謡の代表的なカチャーシー(三線の速弾きを伴奏にして踊る)の曲。エイサーのトリの定番で祝い歌の一つ。 沖縄では「唐船ドーイ」が流れると人々が無条件に踊り出すと言われるほど琉球民謡の中で最もポピュラーな曲の一つであり、THE BOOMなどいろいろな音楽家にも歌い継がれている。

 中世から中継貿易で潤ってきた琉球王国時代、久しぶりに沖に浮かぶ中国の貿易船を目にして沸き立つ港の人々の喜ぶ顔とはやる心・・・元来は今ほどの速弾きではなかったが、カチャーシーの定番曲と言われるようになってからは競うように速弾きのスタイルが広まっている。 また、沖縄都市モノレール線(ゆいレール)において壺川駅到着を予告するチャイムにも用いられている。  

※以上、ウィキペディアより抜粋・引用、一部改変

 唐船ドーイと並んで「カチャーシー」によく使用されるのが次の「ハイサイおじさん」でやはり乗りの良いスピード感のある陽気な曲。故志村けんさんが「変なおじさん」のギャグで利用したことでも知られる、誰でも一度は耳にした名曲。

喜納昌吉の「ハイサイ、おじさん」~「なんくるないさー」の裏側~

 沖縄尚学4回ウラの応援歌♪ 魔曲「ハイサイおじさん」で逆転!【2019高校

 野球・夏の甲子園】 2019/08/10 高校野球応援歌ちゃんねる 1:50から視聴

Q1この曲、聞いたことある?

Q2「ハイサイ」とはどういう意味?ハイタイとの違いは?

Q3どんな感じの曲? Q4誰の曲? Q5この試合の結果は

 ※【第101回大会】一回戦 習志野 VS 沖縄尚学(2019.8.9甲子園) 5:4で習志野勝利

Q6沖縄の甲子園出場常連校トップ3は?

 A. 興南高校、沖縄尚学、浦添商業 ・・・甲子園初出場校は沖縄水産

喜納昌吉&チャンプルーズ - ハイサイおじさん

 2011/06/24 ShokichiKinaVEVO 4:07 ・・・出だしの1分程度視聴

※喜納 昌吉(きな しょうきち、1948年6月10日 ~ )は、日本の音楽家、平和活動家、政治家。米軍

 占領下のコザ市(現・沖縄県沖縄市)出身。琉球民謡を現代風にアレンジしたウチナー・ポップを確

 立した一人。バンド、喜納昌吉&チャンプルーズを率い、ボーカル、ギター、三線、作詞作曲をおも

 に担当する。

 喜納昌吉のデビュー曲であり、喜納が中学生の時に創作された。歌詞は実体験を元にしているという。「ハイサイ」とは沖縄の言葉で「こんにちは」の意。1969年に沖縄の地元レコード会社マルフクレコードから発売の民謡集のアルバムに初収録。沖縄返還の年、1972年にシングルカットされ、30万枚の大ヒットを記録

 沖縄民謡のリズムや音階をベースにした非常に明るく踊りやすい楽曲であり、いわゆるウチナーポップの先駆者的な楽曲である。当初は「民謡ではない」との批判も多かったが、現在では創作民謡として定着し、カチャーシーの定番曲に数えられる。また甲子園大会でも沖縄から出場した高校への応援曲として繰り返し利用されてきた。 

 以下、1番の歌詞と現代日本語訳を紹介する。

 

 歌詞では、近所に住む「おじさん」(女性ボーカルが担当)と、そのおじさんに「ハイサイ、おじさん」から始まる挨拶で話しかける、かなりませた少年(喜納昌吉が担当)とのやりとりが明るくコミカルに描かれる。「おじさん」は、酒飲みで少年に屁理屈をこねる存在として描かれており、少年もまたおじさんの屁理屈に屁理屈で対抗するようなやりとりを見せる。このおじさんのモデルは実在の人物であり、彼に語りかける少年は昌吉自身であるとされる。

Q1.この曲が一時期、甲子園での使用が出来なくなった理由とは?

Q2.この曲が甲子園で復活した理由とは?

 2010年、「遊郭を遊び歩く酒飲みおじさんをからかう原曲の歌詞が、高校野球にそぐわない」という内容の投書が地元の沖縄タイムス紙に掲載されたことにより、第92回沖縄県代表校興南高校野球部OB会は使用自粛を決めた。後日掲載された沖縄タイムスの記事によれば、その是非を議論しないまま使用を先送りしていたという。

 沖縄県代表校OB会が決めた甲子園での使用自粛はごく短期間のみ実行された。数日後の8月20日、2010年夏の甲子園準決勝(興南-報徳学園)において市立尼崎高校吹奏楽部が五回表と七回表の興南の攻撃場面で演奏した。甲子園球場応援席は演奏に湧き、その様子はテレビ放送各局で広く報道された。報道は「ハイサイおじさん」演奏を肯定的に報じる傾向が趨勢を占めた。併せて、実際に吹奏楽部の演奏を指導した市立尼崎高校教諭は取材に対し経緯を語り、沖縄県代表である興南サイドに事前に演奏の予定を知らせて了解を得た上で演奏したものであったことが報じられた。なおこの大会では興南が自粛している間にも長崎日大(沖縄尚学初優勝時の監督である金城孝夫が監督を務めていた)が沖縄県出身選手の打席で「ハイサイおじさん」を演奏していた。

 2014年秋には当時の優勝メンバーである我如古(がねこ)盛次・大城滉二が進学した立教大学硬式野球部でも応援曲として使用されていた。興南の次回出場は2015年の夏であったが、この際は「野球部員からのリクエストがない」という理由により甲子園でハイサイおじさんが演奏されることはなかった。これ以降の興南出場時には再び演奏されているため、沖縄代表の試合で演奏されなかったのはこの年が唯一となっている。2010年代以降はいわゆる「野球留学」により沖縄県出身の選手が他県の学校に進学するケースが増え、それらの学校でも演奏されるようになっている。

 ※以上、ウィキペディアより抜粋、引用

Q.それにしてもこの歌詞は少年のせりふとして確かに過激な部分があるが、喜納はな

 ぜこんな歌詞を書き、しかも陽気な曲として仕立て上げたのだろう?

Q.この「おじさん」、ただの飲んべぇだったのか?一体どんな人物だと思う?

 喜納はこの曲の由来についてインタビューや自著で度々触れており、あっけらかんとした楽曲の背景にある沖縄戦の傷跡を生々しく語っている。この「おじさん」はかつて喜納家の隣人であったが、奥さんが精神に異常をきたして実の娘の首を切り落とし鍋で煮るという事件を起こしたために村八分同然の身となり、以前から交友のあった喜納家に酒を無心に来るようになったのだという。この孤独な「おじさん」との触れ合いの中で「おじさんに歌を作ってあげよう」と思い立った中学生の昌吉が生まれて初めて作詞作曲したのがこの「ハイサイおじさん」なのだという。

 ※以上、ウィキペディアより抜粋・引用

陽気な曲「ハイサイおじさん」の背景にある沖縄戦の悲劇

 毎日新聞  2023/08/11 

クロ現+] 戦場のトラウマで精神疾患に 戦後も続く元兵士や家族の苦しみ |  2021/09/24 NHK 4:59

Q.喜納昌吉の代表曲をもう一つ挙げてみて

・喜納昌吉の「花~すべての人の心に花を~」~沖縄から世界へ~

「花」すべての人の心に花を   夏川りみ

 2016/01/13 東京 「 夏川りみ 」 倶楽部  5:40

Q.「すべての人の心に花を」というフレーズはかつて日本で開催されたある国際大会

 がきっかけに生まれたという。その大会とは何?

 「すべての人の心に花を」というフレーズは1964年東京五輪のアナウンサーの実況がもとになっている。1964年東京オリンピックの閉会式では、選手たちは各国入り乱れ、肩を組み、肩車をし、踊りを踊り、笑うものあり、泣くものあり、互いに祝福しあいながら入場行進を行った。そこには国境や人種といった人類の垣根を越えた「平和の祭典」の姿がたち現れていたが、テレビの中継でこの模様を見た喜納は涙がこみ上げる感動を覚えたという。

 実況のアナウンサーの、「泣いています・・・笑っています」という言葉とともに、この日の感銘が歳月の中で喜納の中で発酵して生まれたという。オリジナル・バージョンは、1980年に喜納昌吉&チャンプルーズの2枚目のアルバム『BLOOD LINE』に収録。1999年の読売新聞調べによると、全世界で3000万枚を売り上げたという。2006年、文化庁により日本の歌百選に選定されている。曲はイルカ、小林幸子、サザンオールスターズ、氷川きよし、木村弓らに加えて沖縄出身の石嶺聡子、夏川りみ、BEGIN、普天間かおり、やなわらばーらもカバーしている。

※日本の歌百選は、2006年(平成18年)に日本の文化庁と日本PTA全国協議会が、親子で長く歌い継 

 いでほしい童謡・唱歌や歌謡曲といった抒情歌や愛唱歌の歌101曲を選定したもの。一般から募った

 895曲から選考委員会が選出し、2006年12月15日に最終的に決定した。多くは童謡、唱歌が占めて

 おり、戦後の歌謡曲は15曲に過ぎない。沖縄関係では他にBIGINの「涙そうそう」が選ばれ

 た。ただしBEGINといえば本来、「三線の花」や「島人ぬ宝」も外せないだろう。

・さとうきび畑(歌)~ヤマトンチューからウチナーへ

沖縄 歴史Okinawa History part-1 2012/10/04 Okinawa 沖縄『三

 線』『唄者』『歌手』 14:11

 沖縄 歴史Okinawa History   part-2 14:44

未開発の緑地帯の地中には今も多くの遺骨が (23/06/22 19:25)

 OTV沖縄テレビ  2023/06/22 1:22

森山良子「さとうきび畑」(from 『Concert Tour2007-2008』)

 2011/07/21 8:52 ・・・出だしの3分程度視聴

 「さとうきび畑」は、作曲家の寺島尚彦が自ら作詞も手がけた歌。1964年、寺島が、歌手・石井好子の伴奏者として本土復帰前の沖縄を訪問した際、摩文仁の丘を観光して着想した作品。 第二次世界大戦末期の沖縄戦で戦死した人々が眠る、夏のさとうきび畑に流れる風の音が繰り返される。全部で11連からなり、通して歌うと11分近くを要するため、大抵は要所要所カットして歌われる。2001年には後述の森山良子が「特別完全盤」として11連全ての詞を歌ってシングル発売しており、収録時間は10分19秒だと紹介されている。 

 第二次世界大戦を通して、沖縄の人々は日本で最も激しい地上戦を戦い抜いた。その沖縄戦を通して、日米両国、無数の人々が敵味方殺し合い、そして集団自決した事例もみられる。とりわけ日本軍最後の戦場となった島尻地区(糸満市、南風原、八重瀬町)では数え切れないほど多くの戦死者・自決者たちが今なお「さとうきび畑」の下に眠っている。作者の寺島は、1972年に日本に復帰する前の沖縄を訪れて、作品中「66回」繰り返される風の音を考えたという。歌の主人公はひとりの少女である。少女は沖縄での戦闘で死んだ父親の顔を知らない。やがて大きくなると、ひとりで父親を探しにさとうきび畑に行く。父はなぜ戦い、なぜ殺されたのか、なにを恐れ自決したのか。通り抜ける風の音を聞きながら静かに悲しみを訴える。

 また、この曲は、学校音楽教育の教材としても、様々な形で取り上げられている。1981年以後、音楽の教科書に何度か掲載されている。2003年9月28日にはこの曲をモチーフとしたスペシャルドラマ『さとうきび畑の唄』(TBS)が放映された。

※『さとうきび畑の唄』はTBS系にて、2003年9月28日に放送されたスペシャルドラマ。平成15年度文 

 化庁芸術祭テレビ部門大賞受賞作品。脚本は遊川和彦、主演は明石家さんま。太平洋戦争の頃の沖縄

 と沖縄戦を舞台にした物語で、内容は家族の尊さを扱った反戦ドラマである。寺島尚彦の作品「さと

 うきび畑」をモチーフに作られ、タイトルも同作から付けられていた。また、本作と同じ第二次世界

 大戦を題材にしたイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の日本版を意識して制作されたと

 いう。

 2012年、「さとうきび畑」の歌碑が読谷村高志保のさとうきび畑の一角に建立され、4月1日に除幕式が行なわれた。歌碑のある一帯は、1945年4月1日に米軍が沖縄本島への最初の上陸作戦を行なった地域である。なお森山良子と沖縄との関係は深く、沖縄の曲として有名な「涙そうそう」(1998)は森山が作詞しBEGINが作曲したもので、夏川りみのカバーが大ヒットした。「花~すべての人の心に花を」とともに日本の歌百選に選ばれている。

【沖縄戦】読谷村チビチリガマとサトウキビの歌碑~海から戦がやってきた~絶望

 の海 2022/06/15 街歩きokinawa 16:30

・「島唄」の反響~交錯するヤマトンチュとウチナンチュの想い~

THE BOOM 島唄PV20周年記念 ver 2013/3/4 よしもとミュージック 

 3:14  

Q.この動画になぜ沖縄の芸人や一般の人達が多数出演しているのか?

 ウチナーではない宮沢さん(山梨出身)が辿ってきたこの20年の歩みを想像してみよう。この動画に登場しているのはアルベルト城間(ペルー出身)新垣勉、我如古より子、ガレッジセール、具志堅用高、ジェイク・シマブクロ(ハワイ出身)、島袋寛子、スリムクラブ、平良とみ、藤木勇人、やなわらばー、山咲トオル(以上五十音順)。

※平良とみ(たいら とみ、1928~2015)は、沖縄県出身の女優。本名、平良とみ子。旧姓は比嘉。愛

 称「おばぁ」。 NHKの朝ドラ「ちゅらさん」で一躍有名に。

デイゴ沖縄の県花で開花期は台風が到来し始める4~6月、沖縄戦が最も苛烈を極めた時期と重な

 る。沖縄を代表する花は他にはブーゲンビレア、ハイビスカス、サンダンカオオゴチョウ、月桃な

 どがある。

Q.1「でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た」とはどういうことだろう?

Q.2「ウージの森であなたと出会い ウージの下で千代にさよなら」とはどういうこ

 とだろう?

Q.3この歌は一部の沖縄の方から激しい反発を買ってしまった。その理由は?

宮沢和史「島唄」30周年記念インタビュー 2022/01/22 よしもとミュージッ

 ク 31:18 

 16分辺りで沖縄の人々から反発された状況を宮沢さん自身が回想している。

沖縄への思い、当初は反発や批判も 「島唄」きっかけに現地と交流続ける宮沢和史

 さん 今伝えたいこと 神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.5.1

 BEGINの比嘉栄昇はTHE BOOMの「島唄」について、「BOOMさんの『島唄』は画期的だった。それまでは沖縄のミュージシャンは本土でどう歌えばよいか分からず、本土のミュージシャンも沖縄で歌うのは遠慮があった。その橋渡しをポンとしてくれたのがBOOMさんの『島唄』です。ありがたかった」と述べている。

 当初沖縄では(主に沖縄民謡に関わっていた人たちに)「沖縄の人間でない人間が沖縄民謡の真似事をするなんてとんでもない」「本当に(沖縄音楽を)やりたいのなら沖縄に住め。そうすればあなたの子供ができるだろう」と痛烈に批判され、THE BOOMはショックを受けていたが、比嘉栄昇のエールを受けて非常に感謝した事を語っている。また、沖縄民謡協会でも20周年を受けて「最初はムカついたが、今は感謝している」とコメントしている。

 他所の文化を知る、学ぶためにはまず真似することが学習の入り口となるだろう。「学ぶ」は「まねぶ」に由来するとも言われるように、真似ることは学習に不可欠。沖縄を学ぶには沖縄戦に関するウチナンチュの言葉や語りを真似ることから入ることも一つの方法だろう。宮沢氏はウチナンチュの心に近づくために沖縄の音階を用い、三線を弾いて沖縄方言で歌っている。だとすればこれに反発する沖縄の人の理不尽さ、偏狭さに嫌な感じを受けてしまうかもしれない。しかしかつての宮沢氏がそうだったように沖縄への知識が浅く、理解も不十分であり続けたヤマトンチュへの不信感から心を閉ざしがちになるウチナーの心を一方的に責めるわけにはいくまい。

 何はともあれ、ウチナンチュから猛反発を受けても学ぶ姿勢を崩さなかった宮沢氏の沖縄を思う一途な30年があったのである。

 

 「島唄」について以下、ウィキペディアより引用(一部抜粋)

 THE BOOMは1992年1月22日発売のアルバム「思春期」で三線や琉球音階など沖縄音楽の要素を取り入れた「島唄」を発表。 またその年の12月12日には沖縄の方言(ウチナーグチ)で歌われた「島唄(ウチナーグチ・バージョン)」を沖縄県限定でリリース。

 一方、東京弁で歌われた「オリジナル・バージョン」のシングル全国発売の要望も高かったが、もともとその予定はなかったようである。THE BOOMのボーカルで「島唄」の作詞・作曲を担当した宮沢和史も当時の沖縄ブームに便乗したシングルリリースには否定的であったが、いろいろな人に意見を聞いた結果、「オリジナル・バージョン」をシングル発売することにした。特に喜納昌吉から贈られた「(『島唄』を単なる沖縄音楽の真似事、と批判する者もあるが)音楽において、『魂』までコピーすれば、それはもうコピーなんかじゃないんだ」という言葉に背中を押された、と宮沢はTV番組でコメントしている。

 こうして1993年6月21日、「島唄(オリジナル・バージョン)」が全国発売となり、150万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。その年にTHE BOOMは大晦日の紅白歌合戦に出場、「レコード大賞」でも「ベストソング賞」を受賞した。

 島唄の歌詞は表面上、男女の別れを歌ったラブソングであるが、実際は沖縄戦での悲劇と平和への希望が唄われている。これは、当時宮沢には「戦争のことをそのまま歌っても聴いてくれないだろう」との考えがあったためである。歌詞は読谷村に米軍の艦船という「嵐」が押し寄せる光景から始まり、「ウージの森(サトウキビ畑)」で出会った幼馴染の男女が、「ウージの下(サトウキビ畑の下の地下壕)」で永遠の別れ(自決)をする。そして「二度と戦争が起きることなく、この島に永遠の平和が来るように」との願いで歌は締めくくられる。

 宮沢は1991年に沖縄県の「ひめゆり平和祈念資料館」を初めて訪れ、ひめゆり学徒隊に入っていたという老婆に出会い、想像を絶する沖縄の戦争時の悲劇を聞いたのが制作のきっかけだったという。資料館はガマ(自然洞窟)の中にあるような造りであり、老婆は洞窟での集団自決の事や捕虜になることを恐れた肉親同士が互いに殺し合う事などを語ったという。そのインタビューの内容は「宮沢和史の旅する音楽」というシリーズが連載され、2回に渡り「島唄」の創作秘話が2005年8月22日と2005年9月1日の朝日新聞(朝刊)に掲載された。また、宮沢はニュース番組「NEWS ZERO」において、「沖縄戦があったことは知っていたが、集団自決やひめゆり学徒隊などのことを知らなかった。その無知だったことに対する怒りや、当時の軍事下の教育に対する疑問みたいなもので怒りがこみ上げて、地下のガマに残っている皆さんの魂を空に解放したいなみたいな思いがあって、東京で『島唄』を作った」と述べている。

 島唄には琉球音階が用いられているが、サビ前の「地下壕で自決した」との意味が込められた部分は西洋音階である。これは、「彼らを自決させたのは日本(本土)であり、そう考えたら琉球音階はとても使えないと思った」と宮沢は述べている。

 

 

㊲「空気を読む」の裏側

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

世界中が驚いた「合意形成の練習」 都内小学校に1年間密着した大反響ドキュメン

   タリー AERA dot. 中村千晶 2024.12.22

   … 欧米ではまず隣の子と違うことを発言し、個性を出すことを学びます。日本では集団の中で自分の役割を見つけ、みんなと協力し合うことを学ぶ。教育の入り方が真逆なんです。「個」と「集団」のバランスは難しく日本ではそれが同調圧力に変わったりもしますが、いまの欧米社会の分断の状況をみると、日本の「まずはみんなで話し合い」という合意形成の練習は悪くないのでは?と思います。そして日本人は自分たちのよさに気づいていない。自信を持ってほしいな、という思いも込めました…との山崎エマ氏の発言を小学校教師たちはどう受け取るべきなのだろう。

   最も深刻な教員不足に直面している小学校の課題は決して小さくあるまい。休職に追い込まれる教師が年々増えている中で「自信を持ってほしいな」とは実に暢気なものである。教室掃除が破綻している高校は決して少なくない。その破綻を補うべく疲弊している教師もまた少なくないだろう。

 とりわけ日本の学校が「合意形成の練習」をしているかのような発言には呆れてしまう。一体、日本の学校のどこに「合意形成」のための努力や工夫が見られるのだろう。その根拠を問い質したい。

 日本の小学校の児童会、中高の生徒会…どれをとっても自治的な合意形成への努力、工夫が不完全だったからこそ、「ブラック校則」がこうまでもはびこってきたのではなかったのか。肝心の授業ですら、中高ともなれば一方的な一斉講義形式ばかりで、自分の意見を発表する機会にすら恵まれていない日本の学校で、合意形成の練習など行われようはずもない。 

 元来が人種的、民族的、宗教的な多様性が欧米に比べると乏しい日本において、「合意形成」の練度が欧米を上回ることなどありうるのだろうか。多様性が大きいからこそ、合意形成の難しさを前にして数々の素晴らしい工夫を生み出してきたのが欧米の歴史だったのではあるまいか。もちろん現在も多様性の中での合意形成は容易ではなく、欧米に様々な軋轢が今も発生し続けているのは確かだが、だからといって多様性が相対的に乏しい日本の社会においての合意形成のあり方が優れている、というわけではあるまい。

 日本の合意形成はどちらかと言えば上から押し付けられた一定の徳目、目標へ向かって大勢に同調を強いた挙句の産物であり、非民主主義的な性格を孕んでいる点で決して褒められらものではあるまい。それは本質的に良い意味での合意形成ではなく、同調圧力に大勢が屈した挙句の「言いなり」こそがその実態ではあるまいか。

 なぜ、こんなトンチンカンな言辞がまかり通るのか、まったくもって意味不明。一体、山崎氏は日本の学校の何を見てきたのだろう。マスコミ等の取材に対して頑強な隠蔽体質を誇る日本の学校が本当の素顔を見せてくれるわけがあるまい。とりわけこの方の取材には教師たちの犠牲的な努力と辛さが視野の外に置かれているように思えるのだが、いかがか。まさか、山崎氏はすっかりブラック化した小学校教師の働き方を賛美するおつもりなのだろうか。

 児童生徒が清掃に励むことは、間違いなく教育上、良い事である。給食当番の仕事を児童生徒に任せることも大きな意義がある。それが日本人のきれい好きで、規律正しい国民性を生み出す源流の一つであることも十分、頷ける。しかし、だからといって日本人に決定的に足りていないはずの「合意形成の練習」を、まさか日本の学校が重視しているなどとは到底、思えない。仮に合意形成の練習を重ねてきたのならば、中高における自治的活動の不活発さを山崎氏はどのように説明してくださるのだろうか。むしろ日本の学校は集団的規律を偏重するあまり、硬直した管理主義に走り、民主的で丁寧な「合意形成」のあり方をしっかりと育んでこなかった方に属するはず。

 こうした「日本万歳」の映画を通じて、日本の学校教育が抱えてきた深刻な課題解決を先送りしようとする山崎氏の悪意すら感じられる。それを無批判に紹介するマスゴミもまた非常に罪深い、というほかあるまい。

イタリア人精神科医が見た、日本人の心身をむしばむ「悪しき文化」とは?

 ダイヤモンド・オンライン パントー・フランチェスコ 2024.6.19

   日本のこれまでの学校教育がひそかに日本人の自尊感情を損ない、自己肯定感を低下させてきた可能性について考える際に、大いに役立つ内容。画一的で集団主義的な教育を通じてひたすら周りの空気を読み、忖度することを児童生徒に強要してきた日本の学校の負の側面が見事に指摘されているのではあるまいか。

 他方で感情を揺さぶるような教材を提示した後は、自由記述を通じ、生徒たちに感情表現を試みる機会をきちんと設けるべきことも理にかなっているはずである。

日本の「スクールカースト上位層」が、欧米ではむしろ評価されないワケ

   ダイヤモンド・オンライン パントー・フランチェスコ の意見 2024.6.17

   …なぜ日本のスクールカーストが独特かといえば、欧米では「みんなと仲良くできる」ことが望ましい特性だと思われていないからだ。むしろ、相容れない人が存在することは当たり前。反感を抱かず誰とも仲良くできるなんてほぼありえないと思われている。「真正性」(自分が自分であること)が最も崇高な価値として位置づけられている欧米の文化において、「みんなと仲良し」というのはむしろタブーである

   多様性の尊重とはどういうことなのか、なぜ日本社会では多様性がさほど尊重されないのか、なぜ日本人の自己肯定感はひどく低いのか、なぜ日本社会にはイジメが随所にはびこっているのか、などを考える上で一つのヒントと言えるだろう。そして日本の教師たちの多くがかつてはスクールカーストの上位層だった可能性について日本の教師たちはとりわけ自覚的であらねばなるまい。

子どもの自殺が2022、2023年ともに500人を超えるも学校は硬直的。生徒の自己

 肯定感は低く、学力、運動能力、年齢でラベリングされ、序列化される現実 

 集英社オンライン 2024.5.27

  1.多様性を尊重する

  2.人物本位主義

  3.自己効力感が強く、主体的に社会活動に関わる

  4.すぐに助けを求める

  5.ゆるやかにつながる

 以上の5点が自殺率の低い地域社会の特徴だという。学校社会とは真逆の特徴が並んでいるように思えるが、いかがか。特に多様性の尊重とゆるやかなつながりの2点は今後、日本の学校に強く求められる大きなポイントではないだろうか。

日本は「世界優しさランキング」堂々の最下位...日本人に起業家が少ない衝撃的理

 由を米国大学講師が考察 現代ビジネス 山川 恭弘 の意見 2024.5.27

 解説はバランスがとれており、ぜひ授業に利用したい記事。海外と比較して日本人の寄付やボランティアの少なさは以前から指摘されてきたが、さすがに114か国中最下位であることに納得できない向きも多いだろう。ただ、その背景に日本人の他者に対する恐れ、敏感さがある、との指摘は説得力がある。何せ、日本は集団主義的な忖度社会であり、集団の空気を読むことを優先しがちである。慎重に集団の意向を忖度する一方であっけなく個人の意思は軽視され、イジメが頑固にはびこる日本社会は確かに自立志向の個人には優しくない。そしてこうした風潮を育成し、社会全体に定着させてきたのは集団への忖度を強制する日本の学校教育なのかもしれない。

 国が今後、国民の寄付やボランティア、さらに起業家を増やしたいのならば、学校教育をも根本から見直す必要があると考えるが、いかがか。

なぜ日本の学校で「いじめ」が起きるのか、「学校」という病

   現代ビジネス 内藤 朝雄 によるストーリー 2024.5.3

   「群生社会」の秩序と「市民社会」の秩序のあり方との差異をここで考えておくと

この後の議論が深まっていきそうである。特定の集団におけるメジャーとなった「ノリ」にタイミングよく乗ることで集団内での居場所を確保しようとする、「空気を読む」行為が群生社会の秩序を形作っているとすれば、空気を読めずに場の雰囲気を乱してしまう人物は群生社会の中でイジメの対象となりがち。したがってイジメを少なくしていくには学校での集団を場当たり的な群生社会から普遍的な正義を追求する市民社会に変えていくことを目指すことになる。

 しかしこのことは現在の学校社会でどこまで可能だろうか。大人の社会ですらイジメがはびこり、多くが群生社会に過ぎない日本では極めて難しいように思える。学級という生徒集団を市民社会的な集団にしていくには、生徒たちに市民としての主権と市民としての自覚をそれなりに持ってもらう必要があるだろう。そのためには制服や校則、学校行事、授業のあり方などには生徒たちにある程度の決定権を委ねる必要がある。しかし「知らしめず、よらしむべし」の方針が隅々まで貫徹している日本である。とりわけ画一的で管理主義的な教育行政下に置かれた、自主性が大きく制限されている日本の学校では、以上のような必要性をある程度理解している管理職であってすら、生徒たちに一定の決定権を委ねることを躊躇する人は少なくあるまい。

 まず変わるべきは率先垂範、教育行政のあり方であって、大人たちのあり方自体が市民社会的なそれへと変革されなけれなならないのではあるまいか。自分たちが変革をサボっているクセに、教員や児童生徒たち下々に変革を押し付けようとするのが日本の上意下達的教育行政であり、結局はすべて他人事の改革に過ぎない…とすれば文科省がどんなに素晴らしい改革案を示そうとも、教員や児童生徒の村社会化、群生社会化に歯止めをかけることはできないだろう。

だから「いじめ」はなくならない…この国で「人の命よりその場のノリが重視」さ

 れる実態 現代ビジネス 

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) によるストーリー 2024.5.21

 …「悪い」とは、規範の準拠点としてのみんなのノリの側から「浮いている」とかムカツクといったふうに位置づけられること…「みんなから浮いて」いる者は「悪い」。「みんな」と同じ感情連鎖にまじわって表情や身振りを生きない者は、「悪い」。「みんなから浮いて」いるにもかかわらず自信を持っている者は、とても「悪い」。弱者(身分が下の者)が身の程知らずにも人並みの自尊感情を持つのは、ものすごく「悪い」。…もっとも「悪い」のは、「いま・ここ」を超えた普遍的な次元への「チクリ」と、個人的な高貴さである。そういう者は徹底的に苦しめなければならない。彼らはそのような「悪い」者を、「いじめ=遊び」の玩具として思う存分痛めつけ、辱め、あらたな全能感ノリを享受しようとする。…もちろん、このような「ノリの国」では、個の尊厳や人権といった普遍的ヒューマニズムは「悪い」ことであり、反感と憎しみの対象になる。彼らにとっては、その場その場で共振する「みんな」の全能感ノリを超えた普遍的な理念に従うことや、生の準拠点を持つことは「悪い」。自分たちの「ノリの国」を汚す普遍的な理念に対して、中学生たちは胃がねじれるような嫌悪と憎悪を感じる…

 周囲の空気を読み、他人の意向を忖度する能力こそが学校社会を無難に生き抜く上で最も重要な力であるとするならば、そのような力を学校社会においてじっくりと養成されてから実社会に出た日本人の間でさらにイジメがはびこるのはどうみても不可避であろう。学校の不祥事において教員からの内部告発が乏しいように思えるのも、教員社会がすっかりイジメ社会化してしまっているからではないのか。今後、日本の学校が「個の尊厳」や多様性の尊重を前面に出して根底から学校教育を見直していかない限り、イジメを減らすことは絶対的に不可能であると考えるがいかがか。

不謹慎にもほどがある!「京都大学ボヘミアン」の泣ける笑える青春…話題ドラマ

   「ふてほど」と同時代 日刊ゲンダイDIGITAL の意見 2024.3.15

   …京都大学ボヘミアンは「まじめなだけでは人間がこぢんまりしてまう」という、りょうさん(1982年入学)の発案で1984年に創設。現在もその精神は後輩に受け継がれ、今年で40周年を迎える。「京大唯一のアウトドアサークル」と名乗ってはいるが、実態は“京都一の変態サークル”と言っていい…という書き出しからして尋常ではない発想にひきつけられる。そして何よりも「お金では買えない仲間との共通の恥が宝」とする考え方が傑作。

   大学生ならではの特権としての持て余すほどの自由時間、このかけがえのない時間をあなたならどう使うのか、改めて現代の大学生は問われているのだろう。イジメや孤立を恐れるあまり周囲の空気を読み過ぎた結果、個性や多様性を軽んじてすべてのメンバーに集団への同調を強いる歪んだコンプラ意識が今の社会を窮屈にし、若者を妙に「こじんまり」とさせてしまっている…そうした危険性は、日本の場合、確かにあるのかもしれない。

   …繁華街では、『ウッホ』という言葉しか発してはいけないというルールがありました。マクドナルドに入店すると、女性店員はギョッと目をむいた。半裸のシオモトが手元のメニューを指し『ウッホ』とハンバーガーを注文し、『ごいっしょにポテトはいかがですか?』と聞く店員に『ウッホ』と返す。今なら確実に通報されるレベルですが、京都の街の人は『学生さんのしはることだから』とおおらかでした。最初は気味悪がられましたが、おなじのが3人、4人とつづくと女性店員も笑いはじめ、店の前の人だかりに失笑(こらえ切れず大笑いすること)が広がっていきました…という珍妙なエピソードには思わず笑いがこみあげてくる。

 こんなおふざけを人前でさらけ出せるのは既にそれなりの高い自己肯定感を保てているエリート学生だからであり、いわゆる「高等遊民」の特権に過ぎない、と批判する向きもあるだろう。しかし社会の常識の枠外にほんの少しだけはみ出てみて「生き恥をさらす」、痛い体験は若いうちにしておいた方が良いような気もする。とりわけ失敗することに臆病になりがちな、傷つきやすい今の青年たちだからこそ、それは大切な経験となるのではあるまいか。周囲からの減点評価ばかりを恐れ、あくまで常識の枠内にしがみつくようにして無難に小さくおさまっているだけの日々では日本の若者に起業家としてのチャレンジ精神を育むことは難しいに違いない。

 そろそろ学校も企業も、日本社会に隅々まで蔓延する減点主義の評価から一旦は離

れてみる覚悟が求められているように思えるのだが、いかがだろう。SNS上で有名人への誹謗中傷がやまないこの悲惨な現状だって、加点主義が社会に広がってくれれば多少は改善される見込みも出てくるのではあるまいか。

 あくまで進学校向けの記事ではあるが、討論のネタに使うと面白いだろう。

 

日本人は「世界一礼儀正しい」が「世界一イジワル」だった…「自分の利益より他

   人の不幸を優先する度合い」を測る実験で「日本人ダントツ」の衝撃結果

   現代ビジネス 週刊現代 の意見 2024.1.2

 日本社会に蔓延する「生きにくさ」の正体は日本人特有の集団心理にあるのかもしれない。規律正しさ、礼儀正しさ、おもてなし文化…これらは同調圧力の強い日本会が生み出した強みでもあり、これまでの日本の工業化を支え、観光業の発展をもたらした長所ではあっただろうが、同時に「出る杭は打たれる」、場の空気を読めないKYを排除する集団的イジメを学校などにはびこらせてきた側面があることも否めないだろう。

 単純に集団主義的な心性を批判し、個性や多様性の尊重を謳うだけでは日本人のせっかくの長所を損なう恐れもあると考えるが、いかがか。要は行き過ぎた忖度を見直し、個性や多様性の価値を認めつつも、規律正しさ、礼儀正しさを出来るだけ失わないような工夫と絶妙なバランス感覚が今の日本社会には求められているのだろう。

北海道警の安倍ヤジ排除問題を追う『ヤジと民主主義』が見せたメディアの矜持  

   ニューズウィーク日本版 によるストーリー 2023.11.29

 戦前の日本における激しい言論統制を彷彿とさせる事件であり、北海道警の違法な動きには恐ろしさを禁じ得ない。日本の言論がどれほど政権に対して「忖度」し、委縮していたのかが浮かび上がる事件。なぜこのような息苦しい日本になってしまったのか、このテーマの導入として問いたい。

【news23】監視社会への懸念も スーパーシティ法成立

 2020/05/28 TBS NEWS DIG Powered by JNN 5:28

知らなきゃヤバい!スーパーシティ法について5分で解説!【せやろがいおじさん】

 2020/05/29に公開済み ワラしがみ 4:33

OPEN THE FUTURE ~スーパーシティ(大阪府・大阪市)における取組~

 地方創生【内閣官房・内閣府】  2023/08/07 3:54

 私たちの個人情報が徐々に可視化され、透明化されていく…すなわち政府や大企業による個人のプライバシーへの侵害可能性が高まっていく傍らで、日本の場合、政治面での隠蔽体質は相変わらず根強く、政府による情報公開は恐ろしいほどに遅れたままである。すなわち国民の知る権利はひたすら蹂躙される一方である…としたら、事は重大であろう。

 「空気を読む」ことを美化しがちな日本社会が陥りやすい、「滅私奉公」的価値観が招き寄せる個人の人権、自由を軽んずるような風潮はこれまで一体どのようにして醸成されてきたのだろうか…日本における学校教育が果たしてきた負の役割について教師としては一層真剣に見直すべき部分は大きいだろう。

 この「スーパーシティ」構想が果たして大阪万博の宣伝に見られるようなバラ色の未来を招き寄せるものなのかどうか…は大阪万博の裏でうごめく利権構造の透明化抜きでは決して明らかにできないはずである。恐ろしい監視社会のディストピアの実現を阻止する上でも国民が政治を監視できるシステムの再構築が急がれるはずである。

 上の北海道警によるヤジ排除の件と併せて「スーパーシティ法」が成立した政治的背景をぜひ考えてみたい。また日本社会、とりわけ学校でなぜこれほどまでイジメが横行するのか、できればその原因を政治の動きと関連させて推論させてみたい。


 

2.日本人の自己評価の低さの背景:「自分だましの心理学」(菊池聡 2008)より

 一見すると日本人はポジティブ・イリュージョンが苦手のように思われがちです。確かに傾向としては平均以上効果が目立たず、自分の能力は劣ったものとするネガティブ・イリュージョンすら認められます。

 しかし相互協調性を大切にする伝統的心性から自己の能力を誇るよりも謙遜し、自己批判する人間の方が社会的にも好ましいという価値観から自己卑下するのではないでしょうか?むしろ自己卑下したほうが相手に好印象を与えるという計算が働いており、これも一種の情報戦略といえます。

 個人主義的な欧米や中国、韓国では成功やポジティブな出来事を自分自身に帰属させる傾向が強いですが、日本では極端に弱く、ときにはマイナスでさえあります。日米中三カ国の高校生約3400人を対象にした調査でも・・・

 「私は他人に劣らず価値のある人間である」という質問に肯定的に答えた高校生はアメリカで89%、中国では96%に対して日本は38%。同じく「私は人並みの能力がある」アメリカで91%、中国94%、日本で58%。「計画を立てるときはそれをやり遂げる自信がある」アメリカ87%、中国73%、日本38%。逆に「自分にはあまり誇りに思えることはない」アメリカ24%、中国23%、日本53%。

 

 ただしこれも「出る杭は打たれる」といった自己保全からくる自己卑下だけではなく、自己の弱点や問題点を能動的に受け入れて自己の向上を目指す傾向の賜物とみる見方があります。

 よくいわれる日本人の自虐史観もネガティブなことの責任を自分に帰するのが美徳とされてきた伝統的心性の産物なのかもしれません。

 しかし・・・他者と比べての自己評価を見る大学生対象の調査では「社交性」「容貌」「経済力」「スポーツ」などの側面ではやはり過小評価する傾向が見られましたが、「優しさ」(7割以上)「まじめさ」「明るさ」「誠実さ」(6割以上)といった項目では自分が他の大学生よりも優れていると考える傾向が見られました。

 さらに夫婦間の調査でも夫は妻を、妻は夫を自分よりも高く評価する傾向が見られました(特に夫側)。この相対的自己卑下は友人関係でも見られましたが、これは自分たちの夫婦関係や友人関係は他の平均的なそれよりも素晴らしいものだという「関係性高揚」のイリュージョンが見られるということでもあります。 

 

 つまり日本人のポジティブ・イリュージョンは自分自身を直接持ち上げるようなものではなく、人間関係を仲介として自分自身を高く評価する傾向があるということ。 

 ここにも日本人の強力な集団主義的心性が潜んでいそうです。

 

 楽観的であればそれで良いというわけではありません。小学生対象のある調査ではストレスの高い子どもにはポジティブ・イリュージョンが基本的に好ましい影響を及ぼすが、子どもの攻撃性が高い場合にはかえってその攻撃行動をエスカレートさせる傾向が指摘されています。

 

 ムードメーカーや営業などには楽観的な人が向いていますが、リスク管理のような公正で、冷静な判断力が問われるポジションには「防衛的悲観主義」のタイプがふさわしいのだそうです。

 「防衛的悲観主義」は悪い状況を想定することで不安を制御し逆境に備えるタイプ。病的なうつとは違い、適応的な悲観主義のことです。一人の人間の中でこの二つを使い分けられるようになることが理想でしょうか。

 

 人には一歩引いて冷静に観察できる「メタ認知」が必要なのです。やたらにポジティブ・シンキングに走るのはむしろ間違いでしょう。不安や恐怖といったネガティブな感情にも適応的な意味があります。これらの感情は周囲の環境が望ましくない状態になっていることの反映であり、認知システムとして脅威や危険を見逃さないように分析的でシステマティックな思考方略を採るのが必然であり、「ウツの現実主義」もこうした原理によっているのです。

 

 客観的に物事を眺めるべき時点で単純にポジティブ・シンキングに走ればむしろ不適応状態を招く(・・・太平洋戦争末期の日本?)ことすら起こりえます。新興宗教や自己啓発セミナーの危険性はまさにそこにあるといいます。

 

 日本人は伝統的に均質で固定的な共同社会を営んできたために「だまし」の文化が欧米に比べて未成熟だそうです。ある犯罪学者は日本人が情報を鵜呑みにしやすく、それらへの警戒感も、確認作業の習慣も不足していると指摘しています。

 →歴史の隠蔽や改ざんに無頓着でデマやフェイクニュースに踊らされやすい。

 

 日本人には関係性高揚のイリュージョンが見られるという認知心理学の知見は極めて重要だと考えます。控え目で自己主張に乏しく、「空気を読む」ことが大切とされる日本社会独特の息苦しさも日本人の伝統的心性にこびりついている集団主義に基づくものと考えられます。

 質問紙調査の結果でも分かるとおりに欧米や中国のような、個人主義が伝統的に強く根付いている社会と個が埋没しがちな集団主義的社会の日本とでは決定的に違うものを感じます。

 

 よく海外向けに「おもてなし」が日本の美徳として宣伝されますが、それは日本のブラックな体質のサービス産業が演出している側面もあって、「お客様は神様」だとする裏側に「過労死」や「社畜」と呼ばれるような労働世界の過酷さが横たわっているのではないでしょうか。

 

 変に「空気を読む」延長線上に成立する、働く人の「滅私奉公」に支えられた「おもてなし」であるのならばそれは厳しく見直すべき「美徳」でしょう。

 

 また日本人は情報を鵜呑みにしやすく、だまされやすいのでは・・・という犯罪学者の指摘も頷けます。他者への肯定的で積極的な関心に裏付けられた「空気を読む」社会であるならばもう少し他者への思いやりがある社会になっていたはず。きちんと空気が読める社会ならば自殺や孤独死が横行するはずはありません。

 

 同質性を重視する傍ら異質なものを排除し、個性を軽んじてきた日本の集団主義的心性は相変わらずファシズムに転化しやすい危険性を抱えていると思います。

 日本の学校教育がそうした心性を育む張本人である、との自覚は教師に必要不可欠のものでしょう。

 

 今、日本はオリンピックを機に「素晴らしいおもてなしの国である」と自負する余り、近隣諸国を見下す傾向がネット上の言論の一部に感じます。またコロナ禍を巡る騒動を通じて、上から強制されなくともマスクを着用している日本人と強制されなければマスクを着用しない欧米の人々とを比べ、日本人の優位性を説くような言論もチラホラ出てきたようです。

※参考記事

ハーバードで教えた心理学者が伝授、「同調圧力で外せない」日本人のマスクを外す方法 

 ダイヤモンド・オンライン トッド・ローズ の意見 2023.8.15

 ソーシャルメディアによって強化された同調圧力に対抗するには「なぜ?」と理由を問い続ける努力が有効だという。また「少数意見でも何回も投稿される意見が、多数派とみなされ、今目の当たりにしているのは、少数派が多数派を黙らせている状態です。政治家はこのことを熟知しており、うそであっても何回も繰り返して“真実”にしているのです。」という指摘はSNS上でのフェイクニュースと誹謗中傷、偏った意見の横行を説明してくれる。

 

 欧米の個人主義をただの「ワガママ」という言葉で一方的に見下すような一部の日本の風潮は明らかに変です。

 どうやら日本人の中で他者への積極的な関心に基づいた、共感性豊かな「メタ認知」とはほど遠い言論が現在、目立ってきたように思いますが、皆さんはどのように考えますか?