パタゴニアのチリ側でマーブルカテドラルを見てからアルゼンチンに渡り、
アルゼンチン初日はZeballoという山を見てきました。
近くても、チリ側とアルゼンチン側の気候が違い、見える景色もこんなに異なるものかと驚きました。
アルゼンチン2日目は、世界遺産『Cueva de las Manos(クエバデラスマノス)』へ行きます。
1999年に世界遺産に登録されました。
Cuevaはスペイン語で洞窟、Manoは手を表します。
手の洞窟です。
手の洞窟ってどういうこと?と思いますよね。
Los Antiguosの町を出発し、ブエノスアイレス湖沿いを走り、
Ruta40(ルート40)へと曲がり、洞窟を目指します。
約170キロ、約2時間半の道のりです。
大きな谷に手の洞窟はありました。
入場料は200チリペソ。(約32円)
安い!笑
11時のツアーに参加しました。
考古学者さんがガイドさんでした。
説明はかなり難しかったので私が理解したこと、
そして説明のボードに書かれていたのを後々訳してわかったものを書きたいと思います。
洞窟は巨大な岩にヒビが入ったところから水が入り、
それがどんどん削れ、形成されます。
洞窟と言うと大きなトンネルのようなものを想像していましたが、
トンネルのような奥行きが深いものは1箇所だけでした。
他の場所は岩のフォルムが雨をしのぐ軒下のような感じになっていました。
そこに無数の手形が描かれているんです
手の洞窟と聞いておばけの手が見える洞窟ではなく、
手が描かれている洞窟なんです。
谷に沿うように洞窟がいくつも並んでいます。
ここにはRío Pinturas (リオピントゥラス)という川が流れています。
水もあり、薪もあるこの場所に人々は暮らし始めたと言います。
1家族25人から30人くらいの大家族で生活していたんだって。
別の場所へ移動するときは男性、女性、子ども、老人、全員が長く険しい道のりを歩いていたそう。
(前日のブログでもちらっと書いたけれど、
だから歩くのが難しくなってきた老人は湖に近い水のあるところで余生を過ごすようになり、
Los Antiguosと呼ばれる町が生まれたんだね)
900年から1300年前に住んでいたと言われる部族(テウェルチェ族よりももっともっと昔)は
テウェルチェ族と同じように遊牧民でグアナコを主食としていました。
男性は狩りに出て、女性は子どもたちと一緒に、こうして洞窟に絵を描きました。
大人の手もあれば、子どもの手も見ることができます。
子どもの手形は大人よりも低い場所にあります。
上の写真では見にくいけれど、
写真中央部やや右下に黒い小さい手形が見えるかな?
これが子どもの手形です。
ここの地域でとれる鉱物を砕き、粉々にし、
水やグアナコの血や油で溶き、塗料にします。
それを口にふくみ、一気に手に吹き付けます。
こうして無数の手を描きました。
色によって年代を知ることができるそうです。
黄色が1番古く、黒、赤、白の順番に描かれたそうです。
同じ年代に色とりどりに描いたわけではなく、
異なる年代の人々が描いているんです。
しかも同じ年代の人でもこの部族は遊牧民なので、住む場所を変えていきます。
あるグループが去った後、違うグループの人々がやってきて、ここに手形を残していきます。
歴史そのものです。
絵は手だけではありません。
近づいみると、黄色いと黒で描かれた動物が見えます。
これがグアナコです。
(黒よりも黄色の絵の方が古い時代に描かれたもの)
グアナコとはこの地方に住む動物でフォルムは鹿のよう。
リャマの祖先とも言われるそうです。
この地域に住んでいたとされる先住民『テウェルチェ族』は遊牧民族。
彼らはグアナコと共に生きていました。
肉、血、毛皮、皮、腱まで余すことなくグアナコの命から恵みを受けていました。
グアナコがどれだけ大切な存在だったかがわかります。
グアナコの群れから小さいドットで『・・・・・・・・・・・』と描かれ、
別の群れへと点で結ばれています。
それはグアナコと人々の移動を表しているんだそうです。
遊牧民だということがわかりますね。
より古いグアナコの絵にはグアナコの狩のシーンが描かれています。
ムチのような革紐の先端に、毛皮を巻いた石をつけ、それで狩りをしていたそうです。
手形でないものは、植物の繊維やグアナコの毛でブラシを作り、描いたんですって。
他の場所をよく見てみると、
丸い型や、指が3本のものもあります。
上の写真では3本の足が見えるでしょ。
ダチョウの一種のチョイケという鳥の足型です。
チョイケも貴重な食糧源だったそうです。
グアナコの足型は丸型。丸型の模様もいくつかありました。
ここに子どもの絵がありますとガイドさんは指差しました。
ほんとだ。2人の子どもが見える。
もう少しアップで。
子どもの上に丸が9つ描かれているのがわかりますか?と言われました。
ちょっと、みなさんも9つあるか数えてみてください。
ある?
あるでしょ?
これはなんと月を表しているそう。
月が満ちたのが9回。
9ヶ月で子どもが生まれたことを表しているそうです。
なんか鳥肌たっちゃいました。
先人の知恵で命が受け継がれ、今こうして私たちがいる。
最大1300年前、文字を使わなかった人たちが伝えたいと残した絵がいまここにあり、
1300年後に生きている私たちが彼らの営みを知ることができたなんて
なんてすごいんだろう。
パラグアイを出発する前、
クエバデラスマノを見に行くよりも、氷河見に行った方がいいんじゃない?
なんて言われちゃったりもしたけれど、
私は行って満足でした。
そしてそして、夫がこの旅行で初めてスマホを取り出しました!
パシャパシャ撮ってるじゃないですか!
でも撮ったのは手形じゃない。笑
川が流れる渓谷に大興奮して『いいね~、いいね~』と言いながらパシャり、パシャり。
上の写真の左の方向に手の洞窟が見えます。
夫は反対方向を向いて写真撮ってる。笑
ハードルの高い、夫の残しておきたい風景『まさと遺産』に登録されたようです。
グアナコ見たら愛着わいてきました。
驚かせてごめんね。必死で走っています。何もしないよ。
クエバデラスマノスを後にし、帰り道にもう1ヶ所寄った場所がここ。
車から一瞬発色のいいものが窓に映りました。でもすぐ見えなくなっちゃった。
すると、ちょうどその付近でガイドさんが車を駐車し、
今からちょっと歩くよ~と言います。
地図ではここらへん。
一瞬見えたのは何だったんだろう。
興味津々で歩いて行くとちょこっと頭だけ顔を出しました。
だんだん全体像が見えてきます。
わお色がきれい!
ペルーにレインボーマウンテンという名所がありますが、
アルゼンチンにもあるじゃない。
とっても発色のいい色。
いかがでしょう?
空の青とのコントラストがまたいいね。
もっこりとした形も愛らしい。
自然の力は驚異的。魅せられました。
少し上へ上り、上からも見てみました。
帰り道、車の窓枠から見える景色が、まるでカメラのファインダーをのぞいているようで
頭の中に残しておこうと、まばたきでシャッターを何度もきっていました。
水色に輝くブエノスアイレス湖を通り、
ロスアンティグオスの町に戻ってきました。
最後にガイドのFedericoと
2年半の旅生活が終わろうとしているスウェーデン出身Joakimと記念写真。
またいつかどこかで。
今日の夕飯はガイドのFedericoオススメのEl Rastro de Choikeへ。
個人経営の小さなレストラン。
牛とうさぎをオーダー。
うさぎを食べたのは人生で2度目。
鶏肉のような味わいでお肉が柔らかく美味しいです。
アルゼンチンでいい思い出ができました。
翌日チリに戻ります。
おやすみ~。
【ツアーを頼んだのは昨日のMonte Zeballoに引き続きChalenco Tour】
何でも叶えてくれる、スタッフも優しい、昼食もおいしい、オススメの会社です。
【 2019.12.18-29 チリ&アルゼンチン旅行 】
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【Day4】サンティアゴから2時間、天国の谷『バルパライソ…
【Day7】サンティアゴ→バルマセダ空港へ パタゴニアをレ…
【Day9】アルゼンチンへの国境越えに成功、Zeballo…
【Day10】ハイライト後編、パタゴニア世界遺産、9300…
【Day11】アルゼンチン→チリ、バイカーが憧れるアウスト…
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かどまどか / Kado Madoka
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