元カレが行きたいと言った旅行先のパンフレットを見せてくれた。綺麗でお洒落で、私が一度も行ったことがない場所だ。
アスカ)
「高額そうに見えるけれど、私も一緒に行っていいの?」
元カレ)
「もちろん。アスカと行けることが嬉しいんだよ。俺が支払うからお金のことは気にしないで!」
「そこでカヌーに乗ったりもできるみたいだよ!色んな体験してこよう!今から楽しみだよ!」
こうして元カレのお誘いで二泊三日の旅に行くことになった。私はお支払いしなかったので、そのホテルの値段がいくらなのか知らなかったし、滞在中にいくらかかったのかも分からないままだった。元カレが心配するなと言ってくれたのでお金について全く気にしなかった。
食事代も交通費もホテル代も遊び代も、全部元カレが支払ってくれた。その頃にはそれに慣れてしまっていたので感謝はしていたが具体的にいくらなのか考えなかった。
元カレとは約半年の交際で最終的にあっさり振られた。突然の失恋となった。急に「好きな人ができた」と言われたのだ。
元カレにとって私と過ごす時間は、最初は楽しかったのかもしれないが、段々と、生活水準の違いに戸惑ったのかもしれない。
いつも地味で古びている洋服しか着ることができなかった私と、いつも洗練されている格好をしていた元カレは何もかも不釣り合いだったのかもしれない。後から聞かされたのだが、元カレは遊び人だったようだ。振られるまで知らなかったのだが、ガールフレンドが何人もいたらしい。若かった私は恋愛にも慣れていなかった。自分が未熟すぎて元カレがしてくれた優しさへの感謝も足りなかった。
私は元カレが好きだったので、別れを告げられた時には非常にショックだった。他の女性が好きだと言われるなんて、あまりにも突然のことであり胸がズキズキと痛かった。
辛い出来事であり、普段は思い出したくもない過去となっていた。心の奥に封印して振られたことを考えて辛くならない避けていた。だからこの苦しい経験を思い出すことが無くなっていた。
鉄の箱に封印して硬い紐でぐるぐる巻きにした過去だった。若い頃の苦い記憶でありJ君と出会ってからは一度も思い出していなかった。
そのことがふと浮かんできたのだ。
Facebookを見て元カレの記憶を辿っているうちに、ある考えが浮かんだ。
アスカの心の中)
(そういえば元カレが二人の記念日に素敵なレストランでお祝いしてくれたのよね)
(ということは、もしかしてJ君も女性に支払いたいと思うこともあるのかも)
(それに今は、これまでの私とは違う)
(今の私は、J君のために朝から晩までずっと仕事していて、J君の役に立てていると言われているし)
(こんなに頑張っているんだから、もしかしたら、元カレがしてくれたみたいに、J君が私のために何かをお支払いしてくれるかもしれない)
突然、元カレのことを思い出したことで、J君への期待が膨らんだ。
私は自分の仕事そっちのけにして、全身全霊でJ君の仕事に打ち込んでいた。だから、これほどの仕事量やJ君が私に感謝してくれていることを考えれば、何かの支払いを期待してもいいような気分になった。
前回の二泊三日の旅行から2ヶ月後。
J君の思い出の場所でのお誕生日会とお泊り。
初めてJ君が選んでくれる気持ちを思うと、何度でも感動してしまう。
当日は、J君からの指定で、17時に駅の改札待ち合わせとなった。
本当は私はもっと早い時間から会いたかった。だが今回は温泉旅行にいくのではない。J君の思い出の地は東京駅からもすぐの場所だ。
それにJ君は本業の後に来てくれるので夕方からでも仕方がない。
今回はJ君が選んでくれることもあるので、わがままは言えない。
本当は午後になってすぐにでも会いたい気持ちだが、17時という提案を笑顔で受け入れた。
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後日談です。
私は前回の旅行でラーメン屋さんでも私が支払いました。少しJ君に期待しましたが、私が払うべきだと受けとめました。
過去にも書きましたが、女風では、セラピストへのコース料金や交通費、指名料の他に、会っている時に掛かる費用はすべて女性が支払う決まりになっています。
飲食代、ホテル代、移動費、休憩のお茶代等、基本的にすべて女性が支払うルールです。コンビニや自動販売機の代金も、女性が支払います。
後から知ったのですが、セラピストによってはいくらかを、もしくはホテル代や移動費など高額でも、お支払いしてくれるケースがあります。女性に特別感を与えたり、日ごろの感謝を示したり、ということがあるのでしょう。
これまで書いてきましたように、私の場合は、風俗に無知すぎて「セラピストが支払ってはいけない」というJ君の言葉を信じていました。ですから、ほぼすべての支払いは私がすべきものだと思って疑いませんでした。他の客が、J君から支払ってもらっているということも全く知りませんでした(これは後から知りました)
セラピストであるJ君との関係に染まりすぎて、自分が男性にお支払いしてもらったり、ホテル代を支払ってもらえることもあるということをすっかり忘れていました。私にもそういう経験がありましたのに、頭から消えていました。
女風にハマりますと、セラピストの言うことがすべてになってしまう危険性があります。
つまり「普通の感覚」が失われてしまうのです。これは非常に怖いことです。女風に慣れ過ぎてしまうと、それが当たり前になるので、一般的な感覚とかけ離れてしまうからです。
この回のエピソードはJ君に出会ってから16回目の直前です。J君にハマりながらも、心のどこかでは違和感を覚えていたので、それが蓄積して、ここでは少しずつ普通の感覚を思い出していたのかもしれません。
ラーメンだけではなく、この時まで食事を一度も支払ってもらったことはなかったのですが、次は支払ってもらえるかもしれないと期待したのは、そう思えるぐらい沢山の仕事をしていたこともありました。
【ブログを漫画化していただきました】
漫画化は、このブログを読んでくださっている皆様のお陰です。
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【FRIDAYデジタルにインタビュー記事を掲載いただきました】
ー前編ー
〈タイトル・『実録“女性専用風俗”の沼にハマった30代シングルマザーの末路』〉
(注・シングルマザーはアスカのことではありません)
ー後編ー
〈タイトル・『いま既婚女性が”女性専用風俗”に次々とハマっている意外な理由』〉
アスカが読んだおススメの本です↓↓↓
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[アメトピに初めて掲載して頂きました]
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私とセラピストJ君のストーリーは
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特に、私アスカが感じている
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すべての女風店やセラピストが
私が書いてある通りということではなく
良いセラピストもいます。
一方で、
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2021年07月28日 09:12