アニメ映画なのに、観に行った回に子どもは一人もいなかった。
観終わった後、なぜなのかがよくわかった。
多分、他の回にもあまりいなかったんじゃないかと想像。
ドラえもんとのび太くん、みたいな、ロボットとの友だち関係が、唯一無二、親友は君だけ、というある種のメルヘンではないところが、子どもにはちょっと酷で理解不能な結末なのかもしれないな、と。
ストーリーは、孤独な犬とロボットとの友情物語(以下、ちょっとネタバレありです)。
二人は、いつも一緒に楽しく過ごすようになる。
が、海水浴でロボットは錆びついてしまい動けなくなる。
運べる重量ではなかったため、砂浜に放置するしかなくなる。
犬はロボットを助け出そうとあれこれ動くのだが、ビーチはシーズンオフで閉鎖、入り込もうとする犬は不審者扱いされ、結局来年の夏までロボットはそこにそのまま……。
観ている側は当然、1年後に再会、無事助け出して二人の友情は復活、という結末を期待する。
が、その間の、つまりタイトルはこういうことか、というあれやこれやが、もう悲しくて切なくて。
楽しい映像と音楽とが、だってどうせ……なんでしょ、と、胸が痛くなった。
過ぎていく日々の中で、変わっていく優先順位。
友情もその一つで、お互いがだんだん前より大切な今を持つようになる。
それでも最後は元の二人に戻れるんだろう、と思った結末は意外な方向へ。
二人共が、以前に大切だった何かより、今の何かを大事にする方を選ぶ。
あれほど会いたくて会いたくてしかたなかったのに。
でも、それがお互いの為だと思いやった結果だった。
そうして人(この場合は犬とロボット)は大人になっていく。
生きていくとはそういうことの繰り返し。
切なくて悲しいけれど現実的。
とても、わかる。
子どものうちはちょっと受け入れがたいバッドエンドかもしれない。
でも、いろんなことに折り合いをつけ、思いやりなども身に着けた大人になってから観てみると、ハッピーエンドでもあるとわかるんじゃないだろうか。
可愛らしい絵柄の割に重厚、102分と短いのにズッシリときた映画だった。
個人的には、犬、夏の終わりの時点でもうちょっと頑張れたんじゃないかな、と、背中を押したい気もしたけれど。
(了)
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