宝塚ファン歴たった1年弱の、ほぼ初心者の私でもショックだった。2/18に発表された雪組トップ望海風斗さんの退団である。
私がハマってからの短い期間にも、星組の紅ゆずるさん、花組の明日海りおさん、と男役トップの方の退団があった。トップでない方の退団もどんどんある。時期はそれぞれだが、みなさんそのように普通に卒業していく。だから、5組のトップの中で今最も上級生である望海さんの退団も、おそらくそう遠くないとファンの方々は覚悟していたはず。
でも、ファンの入口に立ったばかりの私ですらこの衝撃……。
望海さんの存在感は格別だった。観ずにはいられない、好きにならずにはいられないオーラがあった。つい先だって、オリンピックの聖火ランナーに決まったと聞いて感極まり、そのたった200メートルを見に行こうかと本気で悩んでいた私である。
歌、踊り、お芝居、と三拍子そろった素晴らしい男役なのである。初めて望海さんの出演作をDVDで観たのは半年くらい前だけど、その印象たるや強烈だった。たちどころに引き込まれた。その後憑かれたようにいくつか続けざまに観たが、どのお役も計り知れない力強さがあった。
「エリザベート」の犯人兼狂言回し、「オーシャンズ11」の邪悪なボス、「るろうに剣心」の仇奴。いやあ、そういう「悪い」奴らを、おっそろしく魅力的に見せてくれて、悪役好きな私はすっぽりハマったのでありました。
かと思えば、「ファントム」の孤独な音楽家や「壬生義士伝」の貧しい武士はチャーミングだった。純粋さや家族を守ろうとする愛に溢れていて、それまでの悪役ぶりがウソのような善玉で。振り幅の広い、七色の演技力に再び惚れ直したのでした。
去年のFNS歌謡祭で、ほんの一部披露してくれただけなのに濃い深い闇を広げたトート閣下も素晴らしかった。いつか「エリザベート」の舞台で全部通して観てみたかった。
望海さんはトークも楽しい。昔から宝塚オタクで、宝塚が大好きで大好きで仕方なかったそう。少女時代の日記は天海祐希さんへのお手紙としてしたためていたほどという。お芝居でもショーでもその大好きさが伝わってくる。実際ご苦労も多いはずなのに、楽しくてたまらないという気持ちがガンガン響いてくる。そんな方なのだ。
「オレは夢を売る男」と彼女が歌い上げたナンバーがある。「オーシャンズ11」での野望に満ちたカジノオーナーの持ち歌である。客にひととき大金持ちになる夢を見させてやるという、汚い金儲けに理屈をつけたものであるから、意味は違う。でも、望海さんは間違いなく舞台上で「夢をくれる男」である。3時間、必ず心踊り震える夢の中へ引っ張って行ってくれる。
退団会見の、すがすがしい笑顔がまたとても魅力的だった。寂しいけれど、10月までの舞台と、そして今後のご活躍を楽しみにしたいと思います。
(了)