前回のケルン からは列車でさほどもなく、あっという間にボンに到着となります。
なにしろ最寄りの空港で言えばケルン・ボン空港というのがあるくらいですから。


ところで、この「洋行事始め」の頃はドイツが統一されておらず、
BRD(Bundesrepublik Deutschland ドイツ連邦共和国・西ドイツ)と
DDR(Deutsche Demokratische Republik ドイツ民主共和国・東ドイツ)とに分かれていたですが、
ボンは西ドイツの首都になっていた…のに、何とも小さな町だなと。


その辺り、いささか拍子抜けするほどで

ケルンの方が町としては格段に大きいと思ったわけですが、
連邦制度をとっていて、分権が進んでいるとすれば中央政府はコンパクトでいいのかなとも思ったり。


とはいえ、ボンを訪ねたのは元より西ドイツの首都だからということではなくして、
ベートーヴェン 生誕の地だからなのですけれど。


このボンでは、大学の春休みを利用して日本から一人旅で来ていたJ大学のA君と
たまたま言葉を交わしたことから二人して見て歩くことになりましたけれど、

A君はどうしておろうかなぁ。


少しばかり先にヨーロッパを回っており、A君よりはドイツ語の場数を踏んでいたことから、
駅に着いたらまずインフォメーションで宿を紹介してもらうのには、

こんなふうに言ったらいいですよてな先輩発言をしたような。

(確か卒業旅行ではなさそうでしたので、年齢的にも後輩だったとは思いますが)
お恥ずかしい限りなのですけれどね。


で、駅から市街地を歩きまわることしばし、ベートーヴェン・ハウスに到着。
ベートーヴェンの生家が今では博物館になっているというわけですね。


もっともベートーヴェンが後世に残る作品を次々生み出していったのは

ウィーンに出てからですので、偉大なる芸術家がここで生まれたのだぁね、

父親から音楽を仕込まれたけれど、モーツァルトの親父さんほど威厳も格式もなかったんだね…と、
苦労人ベートーヴェンに思いを馳せたりしたものでありますよ。


ところで、旅の記憶の中であまり食べ物関係が浮上してこないのは、
ジャンクフードみたいなものばかりを食べていたからでありましょうか。


貧乏旅行してましたので、とてもレストランに入るなどという選択肢は持ち合わせておらず。

さりながら、数少ないレストランでの食事をこのボンでとったような気がします。

(もしかしたらケルンでだったかも…)

レストランといっても、今でいうファミレスのようなところで

「Nord See(北海)」というお店でしたですね。


メニューを見ると…と言っても
ドイツで「メニュー」というと定食が出てきてしまうので「Speisekarte(シュパイゼカルテ)」ですけれど、
これを見ていると料理の写真が掲載されている部分があったので、
この中から選べば間違い無しと頼んでみたところ「Nein!」とひと言。


「品切れかぁ?なんでだよ」と思ったところが、

実はお子様向け料理のコーナーでありました。いやはや…。


店の名前からして魚料理メインであることは想像通りで、
たしか魚のフライの類いを食べたと思うんですが、食後のコーヒーを飲む段になって
テーブルの上に置かれ、二個ずつ紙に包まれた角砂糖、これの包み紙に注目したのですね。


レストランチェーン「Nord See」のキャッチフレーズなのでしょう、
包み紙に書かれていたのは、確かこんな言葉です。

Gut, Schnell, Preiswert

語順は違うものの、日本の某ファストフードチェーンの「早い、安い、旨い」とおんなじ。
こうした点で考えることは洋の東西を問わずなんだなぁと。


…てなことを考えつつ、またまたボンから乗り込んだ列車はライン川沿いに南下を続け、
思いがけずも「おお、こんなところに!」という駅名が目に止まって急遽下車することにした…
というお話に続いてまいります。