ボン からライン川沿いに南下する列車に乗って…というところからの続きになります。
たぶん手持ちのガイドブックには何らの紹介もなかった町ではないですかね。
ライン川沿いの鉄道は、左岸(西側)にも右岸(東側)にも線路が通っているのですけれど、
ボンから南下するこの時は左岸の線に乗っていて、
ふいに目にとまって急遽降りてみることにしたのは「Remagen」という駅でありました。
第二次世界大戦に詳しいミリタリー・マニアか、はたまたよほどの映画好きな方でもないと
ピンとはこないかと思います(個人的には後者だと思っとります)が、
ライン川に掛かるこの町の鉄橋を巡る攻防、
それを題材にして映画「レマゲン鉄橋」が作られているのですね。
と、映画は確かに見たことがあってタイトルが記憶にあったわけですけれど、
「本当にここなのか?」という点では何の裏付けも、予備知識も無いままに
駅からライン川へと出てみたのでありますよ。
佇まいは全く観光とは関わりないごく普通のドイツの町並みといったふうな中を抜けて、
ライン川まではさほどの距離もなくすぐにたどり着けてしまいましたが、「さて、いずこに?」。
ライン河畔まで出てみればきっと何かしらそれの跡と分かるようなものがあるかもしらん…
と思ってましたので、川岸の左右をつぶさに眺めやってみますと、
いかにも橋頭堡と思しきものを発見、向かって行ったのでありました。
第二次世界大戦末期、連合軍の進撃にナチス・ドイツは撤退を余儀なくされ、
連合軍にライン川を渡らせてはならじと橋を落としてしまうのですね。
そんな中で残された数少ない橋の一つがレマゲンと対岸を結ぶルーデンドルフ橋であったという。
独軍はいち早く爆破してしまいたい、連合軍は確保して渡河せねばならぬと
橋を挟んでの攻防戦となるわけですが、映画に描かれたところでは独軍が爆破を失敗して、
連合軍がライン川を越えてベルリンを目指すことになっていくのですが、
映画は終わっても本当の話はそれで終わらない。
何としてもこの橋を落としてしまおうと、独軍はその後に空爆を行ったり
フロッグメンに水中から爆薬をしかけさせたりとあらゆる手立てを講じてくるものの、
なまじドイツの技術が立派なものだったからなのか、ルーデンドルフ橋はなかなか落ちない。
とはいえ、徐々に徐々にガタが来ていたのでしょう、連合軍側が確保して10日後に
補修を行っている最中に崩落して果てたそうでありますよ。
橋頭堡らしきところまで近付いてみると、
橋の土台を成していたと思われる巨石がばらばらに転がっていて、
日本でいえばぺんぺん草がたくさん生えて風に靡いているような川原の風景でありました。
埋め込まれたプレートには(覚えている限りなので、思い違いがあるかもですが)
ここにたくさんの兵士が来て、攻防があり、たくさんの兵士が亡くなった…
といった文字が刻まれていたような。
それを見たときにはとてもとても感慨深いというか、当たり前のことながら
「やっぱり戦争はやっちゃいけんね…」と思いましたですね。
全く思いがけない立ち寄りをした後は、再びライン川を遡る方向の列車に乗り込み、
ローレライの岩なんかも車窓から眺めたのではなかったかと。
これまた記憶違いでなければ、「ローレライ」とカタカタ表記も見受けられたことが
妙に興趣を削ぐものに思えたと覚えているのですが…。