おそらく(というより、絶対的に…)書いている当人しか気に掛けてはいないと思いますが、
左側のテーマ欄には「洋行事始め回顧録 」というのがご覧いただけようかと。


卒業旅行で初めてヨーロッパに行った(というより、初めて飛行機に乗った)ときのことを
思い出し思い出ししながら書いているものでしたけれど、昨年の3月にぱたっと止まって以来、
書き継いでいなかった…ということが気になっていたわけです。


まあ、何十年も前の出来事や情報は今では何の役にも立ちませんけれど、
それはそれ、個人的備忘と思し召して暖かい目で見てやってくださいまし。
では、ブレーメン にいた前回の続きでございます。




ブレーメンを出た列車がライン川に出くわすのはデュイスブルクあたりでしょうか。
ですが、デュイスブルクと聞いてもあんまり思い浮かぶものの無い町に思われ、
次に登場するライン川沿いの大きな町はデュッセルドルフ(よくジュッセルドルフと書かれた)ながら、
ここも当時の印象は日本人駐在員がたくさんいるビジネスの町ということでしかなく。


先にはやはりビジネス中心の町であろうことから

乱暴にもフランクフルトに立ち寄ることのなかった経緯からして、
当然にデュッセルドルフはパス!となりまして、

続いて登場するケルンにこそ期待感ありと列車を降り立ったのでした。

(この辺り、ホテルの予約もしていない自由旅行の面目躍如でありますよ)


ケルンの町に着いて、まず何よりもいちばんびっくらこいたのが大聖堂でありますね。
駅前にやおら天空を突く尖塔が二本、思わず見上げてしまうところではなかろうかと。
しかも黒々とした見た目が工業国ドイツを思わせるというか何というか
(その時はそういう印象でした)。


工業国と言えば、ケルンの中央駅に入る列車はホーエルツォレルン橋という長い鉄橋で
ライン川をごとごとと渡ってくるのですが、ここら辺もまた印象に拍車をかけるのかもです。


ところで、ケルンでもまた買物を2件。
ひとつは母親への土産にするかと香水店に入り込みました。


なにしろ「オーデコロン(Eau de cologne)」は「ケルンの水」の意で、
「4711」という元祖だか本家だかみたいなブランドがある…

と(ガイドブックの受け売りですが)いうことで買うならこれだろうと

直営店(だったと思う)に行ってみたのですね。


おしゃれでハイソな香水店に、
これまでの2週間ほどちゃんと風呂にも入っていない東洋人の若いのが

スタジャン姿で闖入したと思し召せ。
店員さんも「え?」てなものではなかったかと。


「4711」の正式な読み方も知りませんでしたけれど、

数字くらいならばさすがに第二外国語知識でも問題なしで、
たぶん「フィーア・ジーベン・エルフ(4と7と11)」と言ったのではないかと思われますが、
考えてみると直営店ですから黙っていても「4711」が出てくるのは当然でしたですね。


ちなみに(後から調べたところによりますと)、後の「4711」と呼ばれるようになるこの香水は、
ナポレオン軍の占領下にあったケルンからフランス兵が持ちかえることで
「オー・デ・コロン」(ケルンの水)として知られるようになったそうな。


占領時、全ての建物に番号を振ることが義務付けられた際に、
この香水製造の作業場の建物に振られた番号が「4711」、以来これを商品名とした…
そういう謂われだったのですなあ。当時はちいとも知りませんでした。


さてもう一つの買物は自分用。
これまたガイドブック仕込みですけれど、ケルンにある「Saturn」という店では
レコード(当時はCD発売開始前)が安く買えるという情報が載っていたものですから。


すでにその頃でも日本では

正規盤のレコードを買うよりも輸入盤のが安いという状況があったように思いますので、
単純にそれが日本に輸入されてくる前ならさぞ安いのではないかと考えて行ってみたですが、

どうもそれほどのものではなかったようで。


期待値が高かった分、「それほどでもないなあ…」という印象が強くなったのでしょう。

それでも手ぶらで帰るのも詰らぬ話と、ああでもない、こうでもないした結果として、
コリン・デイヴィス指揮のボストン響によるシベリウスの交響曲全集5枚組ボックスセットを購入。


「うむ、いい買物をした」とその時は思ったですが、何せLPレコードの大きさですから、
その後の旅のお荷物になったことも否めない事実。


と、ケルンでもあちこち見て回ったはずですのに、どうも買物の記憶しかなく…。
次の訪問地ではまた違った展開があったと思いますが、それは続きでということで。