2009年とあってはもう16年も経ってしまっておりましたか…。古楽アンサンブル「コントラポント」の名を目にして、「一度聴いたことがあったなあ」と思い出したわけですが、そんなに経っていようとは。
ともあれ、そのアンサンブルによる演奏会が比較的近所のJR中央線・武蔵小金井駅前のホールで開催されることを知り、出かけていったのでありました。
16年前の演奏会@トッパンホールは12月24日の開催で、「17世紀パリのクリスマス」を再現するような内容だったものですから、心持ちがほっこりあたたかになったことを記憶しておりますが、今回のプログラムはマルカントワーヌ・シャルパンティエの作品を集めて「聖母被昇天のミサ」を再現するような構成でありましたよ。聖母被昇天の祝日とは8月15日、奇しくもお盆と同時期であったとは。
会場の小金井宮地楽器ホールがきっちり冷房が効いているから…ということばかりではなしに、暑い最中に行われた演奏会、前回は冬場でほっこりだったですが、今度は心持ちが清々しくなるような演奏でありましたよ。
日本にも古楽アンサンブルは多々あって、取り分け「バッハ・コレギウム・ジャパン」といった有名どころが知られるわけですが、そうした大どころとは一線を画す地味さ?を感じるコントラポントながら、さほどに大きなホールでない空間(今回は578席、トッパンホールよりちと大きい規模)で奏でられる響きは都心のトッパンホールで、地味ならぬ滋味豊かなものだったのですよね。
近代の大オーケストラによる爆演もそれはそれで心躍るものではありますけれど、異常な気象状況に苛まれる毎日に心身をじわじわと蝕まれているような気のする頃合い、古雅な音色が癒しに通する、いい体験であったと思っておりますよ。
それにしても、プログラム・ノートには曲目にしても歌詞にしても詳しく記載があって、どこをどうとってもキリスト教の祝祭ミサであるわけでして、本来はキリスト者にこそ受け止められる内容なのでしょうが、そうした信仰心やら宗教感から離れた者であっても「癒し」を享受できるというのは、偏に音楽の力なのであろうと改めて。
近代になってきますと、楽器の用法なども変化していった結果、宗教的な意図でもって作られる音楽作品も非常に大がかりなものになってきますけれど、そうなる以前のバロック期、このあたりにこそ渇いた体にすっと、あるいはじわっと染み入るような音楽世界があるような気がします。酷暑となった夏には打ってつけなのかもしれませんですよ。
演奏を堪能した帰りがけ、外にでれば夕方となっても相変わらずの暑さについ、「ふう…」とひと息、吐息をついてしまいますが、この吐息がわずかながらも涼やかになっていた。そんな演奏会なのでありました。
という具合に酷暑が続いており、東京でも最高気温予想に38℃てな数字が見受けれる日々がありますので、ちと老親の慰問(?)に出かけてまいります。ま、世の中的にお盆休みも近いですのでね。てなことで明日(8/5)から数日(2~3日ですかね)、お休みを頂戴いたしたく存じます。どうぞ、皆さまも熱中症にお気をつけてお過ごしくださいまし。ではまた。