学生街の喫茶店・・・的なものはない、ひたすら緑と学ぶ環境。



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母校早稲田(の理工)でトンネル工学と環境への影響について聞いたあと、同じテーマを持って首都大学東京 都市環境学部 西村和夫教授を訪ねました。

首都大学東京(旧東京都立大)は南大沢に移転し、広大なキャンパスに変貌していました。手前のアウトレットモール以外には遊興の色なし・・・もっとも、大学生にはユニクロやジーンズメイト、古着屋のほうが魅力的なのか、平日のアウトレットには450代↑のおばさまがちらほらいるばかり。

内容は前回と重複しますが、西村先生は、直接外環トンネルに関わっていないお立場のトンネル専門家であり、別のお話が聞けるかも。正門から10分以上も歩く理工棟の研究室に、建築家らしい黒ポロシャツの軽快な服装でいらっしゃいました。


<質疑>

Q.直径30mもの巨大トンネルが出来ることで、①地表面の植生、②地下水脈および地表面への水の出入りに変化はあるか?トンネル周囲にも止水領域というのがあるが、どのようなものか?

―①40m近く深いところなので、地表面の植生への影響はほぼない。

  ②水を含む層を、トンネルが分断するような位置にあれば、下流のほう(地下水は高台から狛江方面に流れる)で井戸枯れが起こることも考えられるが、予め綿密にボーリング調査をしてその対策は立てた設計にするはず。「水文観測」で常に水量の変化はデータをとっている、

 ③止水領域については、工事中に水が出ないように凍結法か薬液注入で一時的に固めるもので、工事が終われば凍結は解凍するので永続的ではありません。薬液注入は工法によって異なり、いつまで効果が残るかわかりませんが、トンネル周辺に限られているので大きな影響はないと思います。

Q.地表面沈下については、どのようですか?

 ―植生、水に比べれば地上の生活にいちばん影響が懸念されるところ。どの工事も、始まる前の段階から定期的に測量し、傾きが基準値(1/1000)を超えたら工事を中断したりして対策する。

Q.排気塔近くの住人が、大気汚染を懸念しているが?

―トンネル内の排気は最新のフィルターを通して放出するので、地上の、そのままの自動車排気よりきれいになっていると思われます。自動車排気の健康影響については環境省が別途調査している。

Q.振動、騒音については?


ここの現場でどうかわからないが,浅いトンネル工事では静かに寝ている時、敏感な人ならば、地下工事の響きが聞き取れる程度。日常生活には問題ない。地域住民への情報公開として「今ここまで掘っている」とわかる目印を地表に立てた工事例もあります。



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西村先生のいう「もともと高架式だったものを地下にしたことで環境保全」とは確かにそうで、着工と決まったからには最新技術を使って“地下に出来たことがわからないほど、環境負荷が少ない高速道路”を目指していただきたい。経済効果云々より日々、住民の生活に直結するからです。

論より証拠。住民に納得してもらうには着工前の植生・生物・水の状態・音・建造物を含む地表面の状態など今から継続的にデータをとって、公開すべきでしょう。