〇形容詞を重ねない
形容詞とは、「物事の性質や状態を表す言葉」で「名詞を修飾する言葉」だが、「黒い」「白い」「大きい」「小さい」「可愛い」「綺麗」等色々思いつく。
もしこれを思いつく限り並べて文章を書くと、例えば次のようになる。
「その子は、黒い大きな可愛い目の女の子だ」
こう言う文章も非常に曖昧で、相手に真意が伝わらない。小学生が良くこう言う文章を書く(笑)
この場合
1)「顔の色が黒くて、背が高い、可愛い目をした女の子」なのか?
2)「顔の色が黒くて、大きな可愛い目をした女の子」なのか?
3)「背が高く、黒い目の可愛い女の子」なのか?
4)「背が高く、黒くて可愛い目の女の子」なのか?
と言う様に、形容詞が何に掛かっているのか分からないので、読み手によって勝手に解釈されてしまう。
相手に正確に伝え様と思えば、単に形容詞を並べただけの表現は避けた方が良い。
どうしても一度に書きたければ、小説家風に
「その子は背が高く、やや顔色が黒いが、その中の黒い目は魅力的で可愛い」等と表現すると書き手の主観も含まれて、文学的かもしれない(笑)
〇「形容詞句」を先に、「形容詞」を後に並べる
「白いカゴの中の小鳥」
この場合、「白い」が「形容詞」、「カゴの中の」が「形容詞句」となり、形容詞が先に来ている。
これでは、カゴが白いのか、鳥が白いのか分かり難い。
こう言う場合は、「形容詞句」を先に書くと分かりやすい。
もし、鳥が白いなら、「カゴの中の白い小鳥」とすべきだろう。
もしカゴが白い場合はどうするか?
僕なら「白いカゴの中に居る小鳥」とする。
〇「形容詞(句)」+「名詞」+「名詞」
「美しいユミとミカは、すれ違う人の目を奪った」と言う文章の場合、
「美しい」(形容詞)+「ユミ」(名詞)+「ミカ」(名詞)と言う組合せになる。
「と」による誤解でも紹介したが、この形式も曖昧だ。
美しいのがユミさんなのか、両方なのか分からない。
まあ、この程度なら良いが
「プレゼンは、〇〇ビルの18階にある当社の展示ブースで行います。」と言う場合、
これでは、〇〇ビルの18階にあるのが、当社なのか、展示ブースなのかハッキリしない。
知っている人なら良いかもしれないが、知らない人は本社が18階のワンフロアーだけの小さな会社と思うかもしれない。
もしかすると、「当社」は他にあって展示ブースだけがそこにあるのかもしれない。
相手の解釈の仕方によって、全く異なる印象を受けるだろう。
もし、当社が18階にあるのなら、例えば「、」を利用するのも良いだろう。
「プレゼンは、〇〇ビルの18階にある当社の、展示ブースで行います。」
もっと詳しく書けば
「プレゼンは当社の展示ブースで行います。当社は〇〇ビルの18階にございます。」
となるだろう。
逆に、18階に展示ブースだけがあるなら
「プレゼンは当社の展示ブースで行います。当社の展示ブースは〇〇ビルの18階にございます。」
とすると分かりやすい。
もし、一番最初に書いた文章と後の二つの文章を比べた場合に、読み手が受ける印象はかなり違う。
後の方が分かりやすく格段に丁寧な印象を受ける。
〇「名詞」+「形容詞句」+「名詞」
例えば
「武蔵は刀を振りかざして向かってくる敵の前に立ちはだかりました」
と言う文章は「武蔵」(名詞)+「刀を振りかざして向かってくる」(形容詞句)+「敵」の形だ。
この場合、武蔵が「刀を振りかざして」いるのか、「向かってくる」敵が「刀を振りかざして」いるのか分からない。
こう言う場合は先にあげた「、」を打つ事で文章を分かりやすく出来る。
武蔵が「刀を振りかざしている」なら
「武蔵は刀を振りかざして、向かってくる敵の前に立ちはだかりました」
敵が「刀を振りかざしている」なら
「武蔵は、刀を振りかざして向かってくる敵の前に立ちはだかりました」
とすると読み手に分かりやすい。
曖昧さを解消するのは国語力の問題だけでなく、創造力の問題でもある。
読み手の立場で考えるのが重要で、それにより、相手に、こちらの姿勢まで伝わる事になる。
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