以前、ポリフェノールについての記事を書きました。
今回は、ポリフェノールの研究の発端となった、
フレンチパラドックスという現象からみていきます。
赤ワインで健康になる?
フランス人は、
動脈硬化や心疾患の原因とされている、
飽和脂肪酸のバターやチーズをたくさん食べます。
また喫煙率が高いことでも知られています。
にもかかわらずフランス人は、
他のヨーロッパ諸国の人たちとは違い、
心疾患や脳卒中に罹る人口の割合が少ないことが知られています。
そこで注目されたのは、
フランス人は赤ワインを大量に飲んでいること。
その赤ワインに含まれる成分が注目されました。
レスベラトロールというポリフェノールです。
フランス人に心疾患や脳卒中が少ないのは、
レスベラトロールの抗酸化作用が
心疾患などを防ぐといわれていること。
これがフレンチパラドックスといわれています。
(パラドックスは逆説という意味)
バターは動脈硬化の原因?
バターは飽和脂肪酸が主体です。
健康の一般常識としては、
バターのような飽和脂肪酸主体の油は、
動脈硬化を招き、それによって心疾患や
脳卒中になると言われています。
しかしながら、今はそれが否定され始めており、
飽和脂肪酸よりも酸化しやすい、
多価不飽和脂肪酸(プーファ)が
心臓疾患の主な原因であることが
主張され始めています。
一方の飽和脂肪酸は、
とても酸化しにくい構造をしています。
レスベラトロールに抗酸化作用があるというのなら、
酸化しにくい飽和脂肪酸に、抗酸化というつじつまが合わず、
矛盾していることに気がつかないでしょうか。
今や、細胞に構成された脂肪酸が、
酸化しやすいか酸化しにくいかで、
長寿かどうかが決定するということがいわれています。
健康に良いといわれる油が病気を増やす?
ヨーロッパ諸国の中でも、
イスラエルはオメガ6プーファを摂る割合が多い国です。
統計的に、他のヨーロッパ諸国よりも、
10%〜12%高くなっています。
一般的に、オメガ6脂肪酸は、
悪玉コレステロールのLDLコレステロールを下げ、
動脈硬化のリスクを減らすと言われています。
それが本当なら、
イスラエル人は、心疾患などに罹る割合が少なくなるはずです。
しかし、イスラエル人は心血管疾患、高血圧、
2型糖尿病、肥満の有病率が逆説的に高い。
ということが明らかになっています。
ここで見落とされてるのが、
オメガ6が酸化しやすい。
ということ。
また、コレステロールに悪玉などなく、
LDLコレステロールからは身体を守る
重要なホルモンが作られます。
オメガ6プーファはそれを下げてしまうのですから、
より悪影響を及ぼします。
肝心なレスベラトロールは?
実のところ、レスベラトロールをはじめとした、
ポリフェノールが身体にいいかどうかは、
まだ分かっていません。
その一方でレスベラトロールは、
炎症やがん増殖に関わるホルモンのセロトニンを
増やす作用があります。
(他にもセロトニンは高血圧、吐き気、
頭痛、不整脈、循環不全などを引き起こす)
【参考文献】Serotonin Pathway in Cancer
【参考文献】Selectivity of Dietary Phenolics for Inhibition of Human Monoamine Oxidases A and B
ポリフェノールは植物が
植物自身を守るための防御物質ですので、
捕食者である動物のための物質ではない
ということが考えられます。
多くの場合、ポリフェノールを摂っても、
吸収されずにそのまま排泄されます。
それは、身体に必要がないからと言っていいでしょう。
ただしサプリメントで高濃度にしたものや、
リーキーガット症候群が起こっている場合は、
吸収されることがあります。
ポリフェノールもまだ神話の域を出ていません。
赤ワインの場合ではそれ以外にも、
アルコールによりアセトアルデヒドという猛毒が発生します。
ワインを飲むのならほどほどに。
<参考記事>
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