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アメリカ中間選挙の行方

備忘録です。

アメリカ中間選挙で民主党が大敗し、経済政策、社会保障政策に変更を迫られれば、世界経済にとって大きな影響が及ぶことが考えられる。
ただし民主党批判の急先鋒であるティーパーティの主張は極端すぎるため、その意見がそのまま実現される可能性は極めて低い。

民主党の政策の変更具合、今後の新規政策の停滞やティーパーティと共和党との協調などが注目点である。

マラッカ海峡の海賊行為と治安維持

マラッカ海峡の安全対策費用は誰が負担すべきか?

以前ここでマラッカ海峡で船舶テロの危険が高まっており、治安維持のために海峡を利用する国の援助が必要とされているという記事を書いたことがありましたが、テロリストによるものかどうかはわかりませんが、海賊による拉致が発生してしまいました。

まだ海賊行為が政治的信念からのものか金銭目的か等がわからないのでなんともいえませんが、周辺国には彼らの救助のために最大限の努力を尽くしてもらいたいと思います。

また日本などの海峡利用国はこのマラッカ海峡の治安の悪化を深刻に受け止め、海峡の治安維持のために費用の拠出を中心とする援助を本格的に話し合うべきであると考えます。

前にも書いたとおりマラッカ海峡は周辺国の領海であり外国の軍隊などが治安維持活動を行うのにはなじみません。

利用国が海峡の治安維持に参加する最もよい方法は利用量に比例した費用を支払うことです。

これを機会にこれに続く海賊行為が起こらないようにするためにも利用国周辺国を含めた活発な議論を行なって欲しいと思います。

郵政民営化と国際経済秩序

WTO関係の記事を書くといってからはや3週間、全く更新してませんでした。

このとき想定していたのは閣僚会議のことだと思うのですが、もうあまり記憶にないので関係ない記事を書きます。

今回は時事問題ということで郵政民営化と国際経済秩序との関係について書きたいと思います。

郵政民営化については国民の関心があまり高いわけでもないのに、現政権がなぜこれほどまで郵政民営化を進めようとするのかについては多くの人が疑問に思うところです。

これについては現首相の個人的な「意地」のようなものもあるのだと思いますが、国際経済秩序との関係で考えてみると郵政民営化は国際経済秩序に身をおく日本にとって避けては通れないものであることがわかります。

現在のWTOはモノの貿易だけにとどまらず、サービスに関する貿易についても規律することを目指しています。

サービスについてはTRIPSの中で知的財産権について既に規定があり、その定義に関しては各国の自由に任されていますが、内外無差別などが定められています。

このサービス貿易については人の移動や通信、金融などさまざまな貿易を含んでいます。

サービス貿易に関してはWTOのGATSにその規定がありますが、多くはまだ自由化にいたっていません。

また全体としてサービス貿易については先進国が発展途上国に対して自由化を迫るという構図をとっていますが、先進国内においてすらサービス貿易の自由化は進んでいないのが現状です。

このような状況から日本にもさまざまな形で自由化を求める国際圧力が存在しています。

これはモノの貿易に関することですが、依然行なわれた発泡酒の増税にしても国際的圧力が一つの理由となっていますし、今回の郵政民営化についても国際的圧力が存在することが考えられます。

また日本は発展途上国に対して貿易の自由化を求める立場にあり、自由化を求めるものが国内では自由化していないという問題に起因する国際社会における発言力低下を払拭するという自発的な民営化の意思というものも考えられます。

ここで郵政事業の個々の事業と国際化との関係をごく簡単に考えてみたいと思います。

郵政事業は郵便、郵便貯金、簡易保険の3つの事業からなります。

この中で郵便事業については公共性が高い分野であることから、郵便事業を民営化している国もありますが、民営化の国際的圧力は現時点ではそれほど強力ではないと思われます。

この三事業の中で、私が問題性が高いと考えるのが郵便貯金と簡易保険です。

この二つの事業は明らかに民間銀行や民間保険と事業内容が重なっており、海外の金融機関も参入してくる可能性が高い分野です。

日本ではよく、中国のWTO加盟に伴う国有銀行の民営化の問題が報じられますが、世界最大の国有金融機関である郵便貯金が国際社会における批判の矛先として挙がらないはずはないと考えられます。

またこれは簡易保険についても同様のことが言えます。

日本が現在自由貿易の多大な恩恵を受けている以上、国際経済秩序がサービス貿易の規律まですることになった場合、日本が国際経済秩序に従うことは避けて通れないことです。

ましてや日本は知的財産権や投資というサービス貿易の分野において、自由化を推し進める立場にあり、もし自らサービス貿易の自由化を推し進めながら自分の国では実行しないという態度をとれば京都議定書の署名を拒否したアメリカ以上の批判を国際社会から受けることになることが考えられます。

国際貿易を生命線とする日本が国際社会から批判を受けることは死活問題に繋がりかねません。

郵政事業については郵便についての自由化は何とか避けることができるかもしれませんが、郵便貯金、簡易保険についてはもはや民営化は避けることのできない道であると考え、いかに民営化するべきかを考える時が来ていると思われます。

ただし私は郵便事業についての民営化についてはその公共性の高さから現状を維持することも視野に入れるべきであると考えます。

そもそも郵便事業は郵便貯金・簡易保険とはほとんど関連性のない事業であり、同じ企業内で行なう必要性がほとんどないといえます。

したがってなにも郵政三事業を同時に民営化する必要はなく、郵便事業のみを残して郵便貯金・簡易保険を民営化することも選択肢として考慮すべきであると考えます。

郵便貯金、簡易保険の民営化は既に避けて通れない道であると私は考えます。

あとは郵便事業まで民営化するべきかどうかについてあらゆる選択肢を考慮に入れて最良の道を選択することが大切であると思われます。

南セントレア市と一般公募

1月27日、愛知県美浜町と南知多町の合併に伴い誕生する地方自治体の名称が2月17日に開港する中部国際空港の愛称である「セントレア」にちなんで、南セントレア市にすることが法定合併協議会によって決定しました。

この地方自治体の名称を決定するに当たっては全国の小学生以上を対象に公募を実施し三百件強の案が寄せられましたが、その中に「セントレア」はありませんでした。

私は名称の良し悪しについては好みの問題なので問題にしようと思いませんが、公募を実施しておきながらその中から選ばないという行為は前に東京の施設名決定の際にもあったと思いますが、問題があると考えます。

公募をするということは広く一般の人々の意見を聞くことを目的として行なわれますが、公募を実施しておきながら、その中から名称を選ばないというのは逆に、市民の意見を考慮する気が行政側にないことを示すことに繋がる可能性があります。

公募の中から選ぶ気がないのならば初めから公募方式にする必要はありませんし、どうしても「セントレア」にしたいのであれば、公募資格を最大限に緩めて「セントレア」にしたいと考えた関係者も公募に参加した方が良いのではないでしょうか。

公募を実施しておいてその中から選ばないというのは市民の期待を裏切る行為です。

最近は住民参加の拡大で住民投票や公募が増加していますが、住民投票や公募を行なうのならば、その結果に従う覚悟を行政側は持つべきであると考えます。

結果に従う気がないのならば住民投票や公募は行なわず、次の選挙の結果を甘受するのが良いと思われます。

形だけ公募を実施して自分のアピールに使っておいて、それを実際には活用しないという行為は絶対に避けるべきであると思いますし、信頼を裏切られた市民は行政に対してしっかりと抗議すべきであると考えます。


一月は忙しいですね。

平日忙しいだけならまだ良いのですが、休日が寒くてなかなか起きられないので休日に時間が取れません。

更新もしていないのに来てくれている人には本当に申し訳ないです。

WTO関係の記事があったので時間があればそちらも書きます。

金融緩和政策としての日銀当座預金残高目標値引き上げ

日銀当座預金の目標値設定による金融緩和政策について前回の用語に続いて本論に入りたいと思います。

金融緩和政策としての日銀当座預金残高目標値の高め維持という謎

伝統的に日銀は公定歩合操作買いオペレーション(買いオペ)売りオペレーション(売りオペ)などの金融政策によって市場安定化を志向してきました。

しかしながら近年市場の資金供給量を増加させてインフレを引き起こすことによる景気回復を目指すマネタリストの意見が力をつけ、日銀もマネタリストの主張を受け入れる形で金融の量的緩和政策を始めました。

その際に金融緩和の目標値とされたのが日銀当座預金の残高です。

日銀はこのことについて以下のように説明しています。

金利がゼロである日銀当座預金に大量のお金を預けなければならなくなった金融機関は収益率が悪化し、当初設定した利益目標を達成するために、より積極的にハイリターンな投資を行なうようになる。

その結果として金融機関からは多量の投資資金が市場に流れることになり、金融緩和が実現する。

つまり金融機関がもっとハイリターンな投資案件に積極的に投資するようになれば景気が回復するという考え方です。

しかしハイリターンな投資は当然にハイリスクであり、金融機関が近年取り組んできた不良債権処理の流れに逆行するようにも見えます。

そもそも今や民間の金融機関も良い投資先がないからという理由で国債を購入しているというのに、どこにそんな優良な投資先があるというのか甚だ疑問です。

また根本的な問題として日銀当座預金の残高を増やすことが金融緩和に繋がるといいますが、伝統的に準備率引き上げが金融引き締め政策として行なわれてきたことを考えると、日銀当座預金残高を増やすことは金融緩和政策としては適切でないように思えます。

ただしマネタリーベースを増やすことによるマネーサプライの増加を目指すマネタリストの考え方においては、現金通貨と日銀当座預金がマネタリーベースとされていますので、日銀当座預金が増えることはマネタリーベースの増加に繋がり、マネーサプライを増やすということもできます。

しかしながら民間の金融機関が日銀の定めた目標値を達成するために自らが保有する資金の一部を日銀当座預金に預けると、実質上金融機関が貸し出せる資金が減少することにも繋がります。

マネタリストの考え方ではこれによってハイリターンな投資先を探してきて収益が改善するようになるというのですが、この考え方に対する疑問は上に述べたとおりです。

日銀も単に日銀当座預金残高の目標値を高めると金融引き締めに繋がると考えたのか、日銀当座預金の目標値達成は義務ではないものとし、さらに日銀当座預金残高の増やし方を工夫しました。

日銀は日銀当座預金残高を増やす方法として買いオペの対象となるものの条件を従来より緩和して買いオペを多用し、その代金を日銀当座預金に振り込むことで残高を増やすという手法を用いることにしました。

このとき日銀はいままで国債など信用性の高いものだけを金融機関から購入していたのを改め、株式なども買いオペの対象として購入できることにしたのです。

これによって日銀は民間金融機関が保有する国債や株式を大量に購入し、金融機関の資金を減らすことなく日銀当座預金残高を増加させることに成功しました。

しかしながら伝統的に買いオペは金融緩和政策として、日銀当座預金残高の増加は金融引き締め政策として行なわれてきたことです。

今回の政策は伝統的な金融政策の考え方に従うと相反する効果を持つとされる政策を同時に実行していることになります。

いってみれば「3歩進んで(買いオペを大量に実行して)、2歩さがる(日銀当座預金を増やす)」金融政策です。

日銀が主張する日銀当座預金の増加によって金融機関は積極的に投資を行なうようになるという考え方は到底納得できるものではありません。

この政策によって金融緩和が起こるとすればそれは単に買いオペの効果であり、日銀当座預金残高の増額はその効果を弱めているようにしか見えません。

この政策が決定される過程でどのような議論があったのかわかりませんが、なぜ日銀が金融緩和策の目標値として日銀当座預金残高を用いたのかは大きな謎です。

現在、日銀は日銀当座預金残高の目標値を引き下げると金融引き締めだと捉えられる虞があるため、目標値引き下げはできないという話を聞きます。

これなどは日銀が日銀当座預金残高に目標値を設定したことが市場の誤解を招くことに繋がっているということができます。

今の日銀の政策を見ると日銀の買いオペの金額を金融緩和の目標値として公表するのが適切であると考えます。

ただし日銀当座預金残高を増やすことが金融緩和に繋がらないからといってその残高を強制的に縮小する必要はありません。

なぜなら日銀当座預金は銀行間、銀行国家間などにおける決済性預金として働いており、コール市場が縮小傾向にある中で重要な役割を果たしているからです。

したがって日銀は日銀当座預金を縮小する必要はありませんが、目標値を設定するのをやめ、今後は買いオペの金額を金融緩和の目標として公表し、日銀当座預金残高を高めに維持することは金融緩和策であるという市場の認識を改めるべきであると考えます。


うまくまとめ切れませんでした。

説明が入り組んでいて申し訳ありません。

金融緩和政策としての日銀当座預金残高目標値の高め維持という謎

1月19日、日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合は日銀当座預金の残高目標を現行の「30兆~35兆円程度」に維持し、量的緩和政策を継続することを決定しました。

しかしこの引き上げられた日銀当座預金残高の維持が金融緩和政策であるという考え方は直感に反します。

そこで今回は日銀当座預金残高の目標値を高めに設定することが金融緩和政策である理由を考えてみます。

今回の記事は長くなりそうなので二回に分けて書きます。

まずは今回の記事に関係する用語を簡単に紹介します。

マネタリスト
通貨を大量に発行し、市場に流すことでインフレを引き起こし景気回復が実現できるとする経済学派
マネーサプライの増加による景気回復を目指す

マネーサプライ
市場に出回っている通貨のこと、M2+CDを指すのが一般的

M2
通貨発行主体(日銀、国内外金融機関)以外が保有する現金・預金・貯金のこと

CD
容易に他人に譲渡できる預金、譲渡性預金
日本ではほとんど使われていない

マネタリーベース
現金通貨発行高と日銀当座預金
日銀はこれを操作することで市場に出回る通貨であるマネーサプライに影響を及ぼすことができる
マネタリストはこれを増加させることで、間接的にマネーサプライを増加させようとする

量的金融緩和
市場に出回る通貨の量を増やすための金融政策
伝統的には買いオペと公定歩合操作が中心だった

買いオペ
民間金融機関が保有する国債などを日銀が購入して民間金融機関が保有する現金通貨を増加させ、民間金融機関の貸し出しを促進、間接的に市場に出回る通貨の量を増やすことを目的とする金融政策

日銀準備預金制度
民間金融機関が業務を行なうに当たり、民間から預かった預金の一定割合を日銀に預けておくことで、急に預金の払い戻しが増加したときなどの不測の事態に備えるための制度
法定預金準備額は2004年1月で4兆5000億円
伝統的に日銀は準備率を引き上げることで金融引き締めを、引き下げることで金融緩和を行なってきた

日銀当座預金
日銀準備預金制度の結果として日銀に預けられたお金のこと
日銀は近年日銀当座預金残高に目標値を設定している
日銀当座預金残高は2004年1月で27兆円


本論に続く

世界貿易機関(WTO)改革に関する報告書

1月17日、世界貿易機関WTO)がWTO改革に関する諮問委員会の報告を発表しました。

報告はWTOの協議が停滞するなかで各国がFTAを重視しつつあることに懸念を示し、WTO協議の進展を図るために5年に一度WTOサミットを開催し、また現在2年に一度開いている閣僚会議を毎年開催するよう求めています。

さらにWTOは貿易自由化の目標として2010年までの先進国の関税全廃、2020年までの途上国の関税全廃を示しました。

またWTO協議において議決の障害になっていると言われる全会一致の原則については、現状維持を支持するが一国で大多数の賛成意見に反対するような場合には文書で反対理由を明示することを提案しています。

この報告の詳細な内容については今月24日にジュネーヴで各国に説明される予定です。

報告は全体としてドーハ・ラウンドの停滞とFTA交渉の盛り上がりに対する警戒感が強く感じられる内容になっています。

多角的な世界規模での協議を経ない二国間のFTAの増加は場合によっては世界規模での自由貿易を阻害する要因にもなりかねません。

現状ではFTA交渉を進めることも大切ですが、より長期的な視野に立って多角的な貿易交渉を進めることも重要であると考えます。

WTO交渉の進展に寄与できるのならばWTOサミットも積極的に行なうべきです。

日本は長年WTO交渉に積極的に取り組んできましたが、最近になってFTA交渉への傾斜が明確になってきました。

FTA交渉を進めることも大切ですが、これからもWTO交渉に積極的に取り組んでいって欲しいと思います。

そしてFTA交渉を進める際には自由貿易に少しでも資するような完全自由化により近い形での妥結を目指していくべきであると考えます。

また今回の報告で示された貿易自由化の目標は日本にとっては実現が相当に厳しいものであるといえます。

この報告は強制力を持つものではありませんが、この改革案が発表されることによって貿易自由化の流れが加速することは十分に考えられます。

日本は数百パーセントの関税を課している分野などについて早めに対策を考えることが必要であると思われます。

最後にWTO交渉の障害になっているといわれる全会一致の原則についてです。

全会一致は交渉を進める際には妨げになりますが、反対に良い面もあります。

それは全会一致が各国の条約を遵守しようとするモチベーションを高める役目を果たしているという面です。

毎年様々な国がWTO違反の決定を受けますが、WTO違反の認定を受けた国はそのほとんどが最終的には条約に沿う形に国内法などを修正しています。

これはWTOに対抗措置が認められているということも影響していると考えられますが、全会一致によってWTOに加盟するすべての国が(WTO違反を認定された国も含めて)当該条約に賛成したという事実も関係していると思われます。

今まで国際条約の中で珍しく遵守されているWTOが、交渉の促進のために全会一致の原則を廃止し、遵守率が低下するようなことになれば本末転倒です。

このような理由で私は一国で大多数の国の賛成に反対するような特殊な場合を除いて、全会一致の原則を貫く今回の報告の内容は妥当であると考えます。

この報告が各国に正式に伝えられ、詳細な説明がなされた後、それぞれの国がどのような反応を見せるのか、もしくは何も反応を見せないのか興味深いところです。

また今開かれているドーハでのWTO交渉はもともと途上国の経済発展を促進することを主要な目的とするという意味ではじめドーハ開発アジェンダと呼ばれていました。

しかしながら結局は立場の異なるそれぞれの国が自らの国益のみを主張する場になってしまっているようにみえます。

私はもう一度この会議が開かれるときの目標を思い出し、世界の経済の底上げのために何が最も適切なのかをよく考える時が来ているのではないかと感じます。

日本の常任理事国入りとODAの対GNP比0.7%の要求

途上国支援などに関するアナン事務総長の諮問委員会が策定した最終報告書が「常任理事国を目指す先進国は、リーダー国としての責任の一環として2015年までにODAの対GNP比0.7%を達成する準備をするべきである」という内容を含んでいるということが伝えられました。

対象国を明確にしているわけではありませんが実質上この要求は、今回常任理事国入りを目指している日本とドイツに向けられていると考えられます。

日本のODA額は近年急速に減少しており、逆にODA額を拡大する先進国が増加する中で今年の日本のODA総額は先進国中5位にまで下がるといわれています。

その日本のODA総額のGNP比は2003年度で0.2%で金額は88億ドルにとどまり、2004年はさらに減少していると思われます。

またドイツのODA総額のGNP比は0.28%(2003年)で金額は66億ドルでした。

日本のODA総額の対GNP比は主要なODA供与国である経済協力開発機構OECD)の開発援助委員会DAC)に参加している国の中で22ヵ国中19位であり、今までODA関係で批判されることの多かったアメリカが近年急速にODA供与額を拡大してODA供与額で世界1位になって以来、ODA総額を年々急速に縮小していく日本への風当たりは強まってきています。

この報告書は17日にアナン事務総長に提出され、3月半ばに出されるといわれる国連改革の「勧告」の骨子となります。

もしこのGNP比0.7%というODA額の目標を実現するとなると今のODAを3~4倍に拡大しなければなりません。

今まで日本は非常任理事国として国連に大きな貢献をすることで世界から高い評価を得てきました。

しかしながら常任理事国になれば大きな貢献をすることが即高い評価に繋がることはなくなり、常任理事国なのだから大きな貢献をするのは当然であるという評価に世界の見方は変化すると考えられます。

日本の常任理事国入りでは常任理事国になることによって得られるものについての議論や常任理事国としての責任を果たすための軍事力などの議論が先行しがちです。

私は日本の常任理事国入りについては、今まで日本が経済的援助で高い評価を得てきた行為が日本が常任理事国になることによって、それくらいの貢献はして当然であるという評価しか得られない行為になってしまう、という国際社会における常任理事国の経済的責任についても考慮した上で、常任理事国入りを進めるべきかどうかの議論をするべきであると考えます。

ただし人口減少時代に突入しつつある日本の経済力は海外からの移民を受け入れなければ今後確実に縮小していくことが考えられます。

今回の国連改革は個人的には日本が常任理事国になる最後のチャンスだと思います。

今を逃せばもう常任理事国入りの夢は果たせないということと常任理事国入りすれば多大な国際貢献が求められ、国内経済の急速な縮小を促す虞もあるということをよく考えた上で、常任理事国入りを進めるべきかどうか後悔しない行動をするべきであると考えます。

復興支援閣僚級会議と救援金の流れの公開

先日スマトラ島沖地震とそれに続く津波で被害を受けた国々に対しての救援金について書きましたが、11日にジュネーブで開かれた復興支援閣僚級会議において、各国は7億1700万ドルの緊急支援資金拠出を表明しました。

この中で日本は2億5000万ドルの拠出を表明しています。

各国が表明した救援金の合計額は50億ドルを越えましたが中長期的な支援が多く、今すぐに拠出される資金は緊急に必要とされているとアナン事務総長が述べた9億7700万ドルには残念ながら届きませんでした。

ただし国際支援において7億ドルもの資金が即時に拠出されることは極めて異例であり、今回各国は今までにないほどに支援に積極的であるということができます。

今回の各国の救援金拠出について国連緊急援助調整官室(OCHA)はこの会議で9億7700万ドルの7割が集まり、半年以内に9億7700万ドルが集まることは確実であると発表しました。

またOCHAはスマトラ島沖地震とそれに続く津波への救援金のうち、国連に対して拠出されたものについては巨額の救援金の流れをリアルタイムに把握する新システムが導入され、救援金が適切に運営されているか監査すると発表しました。

資金の流れについてはOCHAのホームページに掲載されるとし、各国が表明した救援金を本当に拠出するかどうかも監査し、救援金拠出を表明した国の責任についても明らかにするとしています。

このような各国が本当に救援金を拠出したかどうかを広く公開する試みは国連史上初めてであると考えられ、各国の表明した救援金の実際の履行を促すのに資するのではないかと考えます。

日本は今回、救援金の拠出表明額、実際の緊急拠出額ともに相当な高額を提示しました。

そして政府はさらなる被災国への支援も考えていると言います。

地震の多い国として他人事ではない災害先進国の日本には、巨額の救援金拠出に加えて防災システムの構築に関する支援など、様々な分野における支援を継続して行なっていって欲しいと思います。


面白いニュースがあまりないのでBlogを初めて3ヶ月目にして記事作成継続の危機に瀕しています。

面白いニュースがないときには何か決まった話題で継続して記事を書いていかないとなかなか続きませんね。

40億ドルの救援金は実際に支払われるか?

昨年末インド洋周辺の国々を襲ったスマトラ島沖地震の被災国に対し、世界各国でオーストラリアの8億ドル超、ドイツの7億ドル弱、日本の5億ドルをはじめとして40億ドルに上る救援金の拠出が表明されました。

この40億ドルという救援金は史上稀に見る金額ですが、この救援金が本当に支払われるかどうかは甚だ疑問です。

各国が次々と救援金の拠出を表明し、救援金の総額が40億ドルを越える中で国際連合のアナン事務総長が「6ヶ月以内に9億7700万ドルが各国の復旧のために必要である」と殊更に述べることは一般市民の目には少し奇異に映ります。

しかしながら国際的な救援金の過去の実績を鑑みると各国の表明した救援金の総額が40億ドルに上っている現状においても、実際に支払われる金額が10億ドルに達することは困難であることがわかってきます。

最近の例では一年前に発生したイラン南東部のバムにおける地震について、各国は10億ドル(うち日本は緊急無償資金協力が15億5,000万円、緊急援助物資の供与が2500万円相当、緊急的な食糧の配布等を目的とした緊急無償資金協力が約8300万円)に及ぶ救援金の拠出を表明しましたが、これまでにイラン政府に払い込まれたのは各国合計で1750万ドルに過ぎません。

地震発生から一年が経過してもまだ表明額の五十分の一にも達していないのです。

各国の表明した救援金の総額には救援物資として金銭以外の形で供与されるものもあると考えられますが、それにしても各国が救援金として表明する額と実際に支払われる額とでは大きな差があるように思われます。

また1998年に中米を襲ったハリケーン「Mitch」に対するものでは85億ドルもの救援金が予定されながら、まだその三分の一しか支払われておらず、戦争で荒廃したリベリアへの援助では10億ドルのうち6500万ドルしか実際には支払われていないといいます。

このような過去を見ると40億ドルの救援金の拠出が表明されてもアナン事務総長が「被災国の復旧には6ヶ月以内に9億7700万ドル必要である」と殊更に述べなければならない理由もわかります。

アナン事務総長は救援金が全額支払われることはないだろうということも述べており、彼としては40億ドル支払われることはないことはわかっているが、少なくとも9億7700万ドルは集めたいというのが本音であると思います。

また私は救援金の拠出を表明しながら実際には全額支払わないという各国の被災地救援への姿勢には少々疑問を感じます。

救援金は各国の善意を基としているので、表明した救援金を絶対に払わなければならないという性質のものでは当然ありませんが、そもそも払いもしない救援金の拠出を表明して国際社会に貢献しているというアピールにすることには問題があるのではないでしょうか。

今回の地震において日本、ドイツ、オーストラリアをはじめとして各国は救援金の表明額で競っているように見えますが、競うのならば表明額でなく実際の支払額で競うべきであると考えます。

国連が今すぐに救援が必要であると述べている現状において直近の支払額で競うのならば、それは被災各国の復旧という意味でも非常に有益であると考えます。

しかし表明するだけして実際には支払わないとしたら、表明額がいくら高額でも被災国の復旧には役立ちません。

この救援金の中には現地に派遣した人員や輸送した物資のための資金も含まれているかもしれませんが、救援金の拠出を表明した各国には言葉だけに終わらず、派遣した人員や輸送した物資の資金を含めてでも良いので、できる限り実際の支払いまでして被災国の援助に尽力して欲しいと思います。

ドイツの国連大使は救援金について「災害の恐怖やイメージが薄れた後にも救援をし続けるかどうかが問題である」と述べています。

一年前に起きたイランの地震についての記憶も今となっては相当に薄れていると思います。

今回のスマトラ島沖地震についても一年後にはもう何も覚えていないし、救援金ももう払わなくてもいいと思ってしまわないように、被災国への援助を継続して行なっていくことが大切であると考えます。