日本の常任理事国入りとODAの対GNP比0.7%の要求 | ideamngのブログ

日本の常任理事国入りとODAの対GNP比0.7%の要求

途上国支援などに関するアナン事務総長の諮問委員会が策定した最終報告書が「常任理事国を目指す先進国は、リーダー国としての責任の一環として2015年までにODAの対GNP比0.7%を達成する準備をするべきである」という内容を含んでいるということが伝えられました。

対象国を明確にしているわけではありませんが実質上この要求は、今回常任理事国入りを目指している日本とドイツに向けられていると考えられます。

日本のODA額は近年急速に減少しており、逆にODA額を拡大する先進国が増加する中で今年の日本のODA総額は先進国中5位にまで下がるといわれています。

その日本のODA総額のGNP比は2003年度で0.2%で金額は88億ドルにとどまり、2004年はさらに減少していると思われます。

またドイツのODA総額のGNP比は0.28%(2003年)で金額は66億ドルでした。

日本のODA総額の対GNP比は主要なODA供与国である経済協力開発機構OECD)の開発援助委員会DAC)に参加している国の中で22ヵ国中19位であり、今までODA関係で批判されることの多かったアメリカが近年急速にODA供与額を拡大してODA供与額で世界1位になって以来、ODA総額を年々急速に縮小していく日本への風当たりは強まってきています。

この報告書は17日にアナン事務総長に提出され、3月半ばに出されるといわれる国連改革の「勧告」の骨子となります。

もしこのGNP比0.7%というODA額の目標を実現するとなると今のODAを3~4倍に拡大しなければなりません。

今まで日本は非常任理事国として国連に大きな貢献をすることで世界から高い評価を得てきました。

しかしながら常任理事国になれば大きな貢献をすることが即高い評価に繋がることはなくなり、常任理事国なのだから大きな貢献をするのは当然であるという評価に世界の見方は変化すると考えられます。

日本の常任理事国入りでは常任理事国になることによって得られるものについての議論や常任理事国としての責任を果たすための軍事力などの議論が先行しがちです。

私は日本の常任理事国入りについては、今まで日本が経済的援助で高い評価を得てきた行為が日本が常任理事国になることによって、それくらいの貢献はして当然であるという評価しか得られない行為になってしまう、という国際社会における常任理事国の経済的責任についても考慮した上で、常任理事国入りを進めるべきかどうかの議論をするべきであると考えます。

ただし人口減少時代に突入しつつある日本の経済力は海外からの移民を受け入れなければ今後確実に縮小していくことが考えられます。

今回の国連改革は個人的には日本が常任理事国になる最後のチャンスだと思います。

今を逃せばもう常任理事国入りの夢は果たせないということと常任理事国入りすれば多大な国際貢献が求められ、国内経済の急速な縮小を促す虞もあるということをよく考えた上で、常任理事国入りを進めるべきかどうか後悔しない行動をするべきであると考えます。