世界貿易機関(WTO)改革に関する報告書
1月17日、世界貿易機関(WTO)がWTO改革に関する諮問委員会の報告を発表しました。
報告はWTOの協議が停滞するなかで各国がFTAを重視しつつあることに懸念を示し、WTO協議の進展を図るために5年に一度WTOサミットを開催し、また現在2年に一度開いている閣僚会議を毎年開催するよう求めています。
さらにWTOは貿易自由化の目標として2010年までの先進国の関税全廃、2020年までの途上国の関税全廃を示しました。
またWTO協議において議決の障害になっていると言われる全会一致の原則については、現状維持を支持するが一国で大多数の賛成意見に反対するような場合には文書で反対理由を明示することを提案しています。
この報告の詳細な内容については今月24日にジュネーヴで各国に説明される予定です。
報告は全体としてドーハ・ラウンドの停滞とFTA交渉の盛り上がりに対する警戒感が強く感じられる内容になっています。
多角的な世界規模での協議を経ない二国間のFTAの増加は場合によっては世界規模での自由貿易を阻害する要因にもなりかねません。
現状ではFTA交渉を進めることも大切ですが、より長期的な視野に立って多角的な貿易交渉を進めることも重要であると考えます。
WTO交渉の進展に寄与できるのならばWTOサミットも積極的に行なうべきです。
日本は長年WTO交渉に積極的に取り組んできましたが、最近になってFTA交渉への傾斜が明確になってきました。
FTA交渉を進めることも大切ですが、これからもWTO交渉に積極的に取り組んでいって欲しいと思います。
そしてFTA交渉を進める際には自由貿易に少しでも資するような完全自由化により近い形での妥結を目指していくべきであると考えます。
また今回の報告で示された貿易自由化の目標は日本にとっては実現が相当に厳しいものであるといえます。
この報告は強制力を持つものではありませんが、この改革案が発表されることによって貿易自由化の流れが加速することは十分に考えられます。
日本は数百パーセントの関税を課している分野などについて早めに対策を考えることが必要であると思われます。
最後にWTO交渉の障害になっているといわれる全会一致の原則についてです。
全会一致は交渉を進める際には妨げになりますが、反対に良い面もあります。
それは全会一致が各国の条約を遵守しようとするモチベーションを高める役目を果たしているという面です。
毎年様々な国がWTO違反の決定を受けますが、WTO違反の認定を受けた国はそのほとんどが最終的には条約に沿う形に国内法などを修正しています。
これはWTOに対抗措置が認められているということも影響していると考えられますが、全会一致によってWTOに加盟するすべての国が(WTO違反を認定された国も含めて)当該条約に賛成したという事実も関係していると思われます。
今まで国際条約の中で珍しく遵守されているWTOが、交渉の促進のために全会一致の原則を廃止し、遵守率が低下するようなことになれば本末転倒です。
このような理由で私は一国で大多数の国の賛成に反対するような特殊な場合を除いて、全会一致の原則を貫く今回の報告の内容は妥当であると考えます。
この報告が各国に正式に伝えられ、詳細な説明がなされた後、それぞれの国がどのような反応を見せるのか、もしくは何も反応を見せないのか興味深いところです。
また今開かれているドーハでのWTO交渉はもともと途上国の経済発展を促進することを主要な目的とするという意味ではじめドーハ開発アジェンダと呼ばれていました。
しかしながら結局は立場の異なるそれぞれの国が自らの国益のみを主張する場になってしまっているようにみえます。
私はもう一度この会議が開かれるときの目標を思い出し、世界の経済の底上げのために何が最も適切なのかをよく考える時が来ているのではないかと感じます。
報告はWTOの協議が停滞するなかで各国がFTAを重視しつつあることに懸念を示し、WTO協議の進展を図るために5年に一度WTOサミットを開催し、また現在2年に一度開いている閣僚会議を毎年開催するよう求めています。
さらにWTOは貿易自由化の目標として2010年までの先進国の関税全廃、2020年までの途上国の関税全廃を示しました。
またWTO協議において議決の障害になっていると言われる全会一致の原則については、現状維持を支持するが一国で大多数の賛成意見に反対するような場合には文書で反対理由を明示することを提案しています。
この報告の詳細な内容については今月24日にジュネーヴで各国に説明される予定です。
報告は全体としてドーハ・ラウンドの停滞とFTA交渉の盛り上がりに対する警戒感が強く感じられる内容になっています。
多角的な世界規模での協議を経ない二国間のFTAの増加は場合によっては世界規模での自由貿易を阻害する要因にもなりかねません。
現状ではFTA交渉を進めることも大切ですが、より長期的な視野に立って多角的な貿易交渉を進めることも重要であると考えます。
WTO交渉の進展に寄与できるのならばWTOサミットも積極的に行なうべきです。
日本は長年WTO交渉に積極的に取り組んできましたが、最近になってFTA交渉への傾斜が明確になってきました。
FTA交渉を進めることも大切ですが、これからもWTO交渉に積極的に取り組んでいって欲しいと思います。
そしてFTA交渉を進める際には自由貿易に少しでも資するような完全自由化により近い形での妥結を目指していくべきであると考えます。
また今回の報告で示された貿易自由化の目標は日本にとっては実現が相当に厳しいものであるといえます。
この報告は強制力を持つものではありませんが、この改革案が発表されることによって貿易自由化の流れが加速することは十分に考えられます。
日本は数百パーセントの関税を課している分野などについて早めに対策を考えることが必要であると思われます。
最後にWTO交渉の障害になっているといわれる全会一致の原則についてです。
全会一致は交渉を進める際には妨げになりますが、反対に良い面もあります。
それは全会一致が各国の条約を遵守しようとするモチベーションを高める役目を果たしているという面です。
毎年様々な国がWTO違反の決定を受けますが、WTO違反の認定を受けた国はそのほとんどが最終的には条約に沿う形に国内法などを修正しています。
これはWTOに対抗措置が認められているということも影響していると考えられますが、全会一致によってWTOに加盟するすべての国が(WTO違反を認定された国も含めて)当該条約に賛成したという事実も関係していると思われます。
今まで国際条約の中で珍しく遵守されているWTOが、交渉の促進のために全会一致の原則を廃止し、遵守率が低下するようなことになれば本末転倒です。
このような理由で私は一国で大多数の国の賛成に反対するような特殊な場合を除いて、全会一致の原則を貫く今回の報告の内容は妥当であると考えます。
この報告が各国に正式に伝えられ、詳細な説明がなされた後、それぞれの国がどのような反応を見せるのか、もしくは何も反応を見せないのか興味深いところです。
また今開かれているドーハでのWTO交渉はもともと途上国の経済発展を促進することを主要な目的とするという意味ではじめドーハ開発アジェンダと呼ばれていました。
しかしながら結局は立場の異なるそれぞれの国が自らの国益のみを主張する場になってしまっているようにみえます。
私はもう一度この会議が開かれるときの目標を思い出し、世界の経済の底上げのために何が最も適切なのかをよく考える時が来ているのではないかと感じます。