新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマ、継続研鑚の観点から勉強するべきテーマについて解説をしたいと思います。
今回は『水道公論』の4月号からです。テーマは「マイクロプラスチック」です。
■技術評論 プラスチックリサイクル ~資源循環の新たな展開~ …一水四見
2021年4月号 – 日本水道新聞社 (suido-gesuido.co.jp)
●マイクロプラスチックとは
プラスチックは、塩化ビニルやポリエチレン等の合成樹脂です。
原料は石油です。
マイクロプラスチックは、プラスチックの小さな破片です。
サイズとしては5mm以下です。
●マイクロプラスチックの影響
このマイクロプラスチックが海に流出することが問題になっています。
それでは、なぜ、マイクロプラスチックがよくないのか?
例えば、木製の椅子や紙製のナフキンを土に埋めると、ボロボロになり土に帰ります。
ところが、プラスチックの椅子とナフキンは、土に帰りません。
プラスチックは、微生物によって処理されないです。
このため、マイクロプラスチックが海に流出すると、漂流し続け、いずれは魚や亀が摂食します。
体内にマイクロプラスチックをストックした魚を、マグロやイルカが食べれば、イルカもマイクロプラスチックを摂食したことになります。
それでは、なぜマイクロプラスチックを摂食したらまずいのでしょうか?
一般に普及している塩化ビニルやポリエチレンといったプラスチックは、水道管にも採用されていますし、ペットボトルによって飲料水が提供されいてます。
こうした塩化ビニルやポリエチレンは、パイプや容器として使われている限りは無害です。
仮に、人間が誤飲しても、体で吸収されずに排便されます。
ただしです。
プラスチックには、加工性や劣化防止のために添加剤が含まれているものがあります。
マイクロプラスチックになると、断面積が増え、微量の添加剤が浸出する可能性が高まります。
人間と違い、海洋生物がマイクロプラスチックを摂食すると、体内に残ってしまうそうです。
しかも、魚介類は、体が小さいです。
プラスチックに含まれる添加剤を体内に吸収することによる影響も大きくなります。
大量のマイクロプラスチックが海洋流出し続ければ、当然、海洋生物の生態系に影響が出ることになります。
さらに、体内にプラスチックの添加剤が浸透した魚介類を、人間が食し続けた、影響ができる可能性があるそうです。
自然環境の保全、人間の食品の安全確保の観点から、マイクロプラスチックが海洋流出するのを防止する必要があります。
では、どうすればいいのか?
まずは、公共用水域へのプラスチックの投棄をやめる必要があります。
それから、脱プラスチックです。
プラスチックを使う頻度を減らせば、公共用水域へのプラスチック流出も減少します。
プラスチックは石油製品です。
石油は限りある資源です。その枯渇を防止する必要があります。
リサイクルやリユースも有効ですが、カーボンニュートラル、省資源の観点から、脱プラスチックが求められています。
昨今、レジ袋が有料になりましたね。
無印良品では、ペットボトルよりも再利用率が高いアルミボトルに変更しているそうです。
このように脱プラスチックの取組が着目されています。
脱プラスチックは、カーボンニュートラル、省資源、そして海洋へのマイクロプラスチック流出防止の観点から、今後さらに重要視されることになりそうです。
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