【技術士対策17】オゾン | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマ、継続研鑚の観点から勉強するべきテーマについて解説をしたいと思います。

今回は9月28日付けの『水道産業新聞』からです。テーマは「オゾン」です。

 

『会長に元東京都水道局長の増子氏/オゾン安全管理士講習会など実施/日本オゾン協会』

 日本オゾン協会は11日、東京都江戸川区のタワーホール船堀で第19回総会を開いた。今年度の事業計画を決めたほか、役員の変更を行い、元東京都水道局長の増子敦氏が会長に就いた。 増子会長は「オゾンは、非常に絶大な威力を持っていて水道界のみならず、さまざまなところで貢献しているが、そういった点をPRしていきたい。一般の方や会員がオゾンについてホームページを通じて詳しい情報を得られるようにしていきたい。また、高度浄水処理の普及は止まっている感じだが、再度普及するように力を入れていきたい。事業体出身の会長は初めてだと聞いているので、オゾンを使う立場からの視点も加味して協会を盛り上げていく」と抱負を述べた。

http://www.suidou.co.jp/200928.html

 

 

●オゾン

オゾンは、酸素原子が3つ結合したものです。

酸素の原始記号がO、酸素分子が02、オゾンはO3です。

オゾンは、強力な酸化力を有しています。

このため、オゾンを使って酸化処理を行うことができます。

異臭を発する物質を酸化処理すれば、消臭処理を行うことができます。

トイレには、オゾン脱臭機能が付いた便器がありますよね。

それから、生物を酸化すれば、滅菌することができます。

最近では、オゾンを使ってウィルス除去を行うことができる装置もあります。

 

一方、オゾンは、強力な酸化力で金属を用意に腐食させます。

このため、オゾンを照射する装置やその周辺は、防食性の高い材料を使う必要があります。

それから、人間がや高濃度のオゾンを吸い込むと、喉、気管、肺が酸化されて、刺激や痛みを感じます。

吸い込み過ぎると、肺水腫等、重大な健康被害を受ける可能性があります。

高濃度のオゾンを取り扱う場合は注意が必要です。

ちなみに、オゾンを浴びせることで消臭処理することができますが、オゾンそのものは生臭いのだそうです。

これは不思議な感じですね。

 

●水道におけるオゾン 

水道においては、オゾン処理は、高度浄水処理に位置付けていて、以下の目的で使用します。

・ジェオスミン、2MIB等の異臭味物質の処理

・フミン質等による色度の処理

・フェノール類の処理

・溶解性の鉄やマンガンの酸化

・難分解性有機物の生物分解性の増大により、後段の粒状活性炭処理(生物活性炭)の処理性向上

・前段でのオゾン注入の消毒効果により、塩素注入量の減少、トリハロメタン等の発生抑制

 

オソン処理の留意点としては、以下のようなことが考えられます。

・オゾン接触池、排オゾン処理設備が必要であり、施設整備費、維持管理費が増大する

・設備の使用材料は高い耐食性が要求される。

・水温が高くなると溶解性が減少する。

・アルデヒド類、カルボン酸等の副生成物が発生する。 

それから、オゾンは、空気から酸素を抽出して、酸素からオゾンを生成するわけですが、生成時に大量の電力を使用します。

オゾン自体に有害性があるため、これを吸着除去するため、後段で粒状活性炭処理を行うことが義務付けられています。

というわけで、オゾン処理は、かなり特殊な処理になります。

このため、異臭味やトリハロメタン前駆物質が、慢性的に生じる水源の浄水場で、導入されています。

 

 

●前回の【技術士対策】

※前回を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

●必須科目対策に必要な下水道の基礎

※マネジメントサイクルについては こちら をどうぞ。

※アセットマネジメントとストックマネジメントの違いについては こちら をどうぞ。

※「持続と進化」については こちら をどうぞ。

※「資源の循環」については こちら をどうぞ。

※「水の循環」については こちら をどうぞ。

※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。

※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。

 

●試験と解答例

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●試験対策

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