技術士合格法(6.2 解答の作成方法)(R6.4.14更新) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

6.2 解答の作成方法

 

●解答は二段階で作成する

解答の作成は、「考える作業」と「書く作業」で構成されています。

まずは、「考える作業」で情報を集め、これを体系化することによって、何を書くか決めます。

「書く作業」では、考えたことを文章化します。

ここでは「書く作業」について説明します。

「書く作業」は、「書き出す作業」と「編集する作業」で構成されています。

「書き出す作業」は、考えたことをざっくりと文章化する作業です。文章のクオリティは70%です。

「編集する作業」は、読みやすくなるよう文章を磨き上げる作業です。文章のクオリティは100%です。

重要なのは、「書く作業」を①70%解答、②100%解答の2段階で行うことです。

 

 

 

●70%の解答を作成する重要性

なぜ、最初から100%の解答を作成せずに、70%と100%の二段階で解答を作成するべきなのか?

それは、アウトプットの回数を増やすことで勉強効率がアップするからです。

例えば、あるテーマに関する資料を読んで、その翌日、そのテーマについて説明するとします。

時間をかけて、何度も資料を読み込みました。説明の際は、資料を持ち込むことができるため、練習せずに説明しました。

残念ながら、うまく説明することができませんでした。ところが、その翌日、同じ内容を別の人に説明すると、うまく説明することができました。多くの方がこういう経験をしたことがあると思います。

なぜ、こんなことが起こるのか?

 

もちろんですが、1人目の説明が練習になったことが、一つの要因です。

経験値が上がるので、当然、2人目に対する説明は1人目よりもうまくいきます。

 

しかしながら、うまく説明できた主な要因は、練習をしたからではありません。

資料を説明するというアウトプットを行うことにより、内容の理解が進んだからです。

私たちは、テレビを視聴したり、人から説明を受けたりすることで、様々な情報をインプットします。

この場合、その情報を受け入れることが前提になっているため、その情報を批判的に見聞きすることができません。

また、情報を受け入れることが目的になっているため、その情報を真に理解する必要がありません。

このため、インプットだけでは、自分が分かっているつもりになっているだけで、実は分かっていないという事態が発生します。

一方、自らが言葉を発し、文字を書くことで、情報をアウトプットする場合、その情報が正しいかどうか精査する必要があります。

情報を批判的に見ることができます。

また、相手が理解できるよう説明するためには、頭の中で情報を整理する必要があります。

このため、情報を発信する側になると、急激に理解が進みます。

 

また、1回目の説明を終えた後、2回目の説明までの期間にあります。

私たちは無意識のうちに色々なことを考えます。仕事で難題に直面した際、職場ではいいアイデアが浮かばなかったのに、自宅に帰って風呂に入ったら、解決策が頭に浮かぶことがあります。

これは、直面している問題から時間的、空間的に離隔を取ることにより、その問題を俯瞰して眺めることができ、理解が深まるからです。

このようにアウトプットの回数を増やすことにより、経験値が上がるととともに、理解が深まるわけです。

技術士の勉強の場合、解答を作ることがアウトプットです。

このため、1つの問題の解答を作成することに固執するのではなく、70%の解答を作って、次から次へと問題をこなしていくことでアウトプットの機会を増やすべきです。

一通りの問題の解答を作成した後、2回目で100%の解答になるようブラッシュアップするのが効率的です。

 

 

●70%の解答とは

勉強段階で解答を作る際は、出題されたテーマに関係ありそうなことを全て書き出すべきです。

原稿用紙の枚数を気にせず、全て書き出します。

できるだけ多くの情報を集めて、ざっくりと文章化することが70%の解答のコンセプトです。

70%の解答を作成する際、題意に答えるべき「不可欠情報」と、題意と直接関係ない「補足情報」を分けて文章を作成する必要があります。

技術士の試験問題は、導入部分と質問部分で構成されていて、質問部分に答えるための情報が「不可欠情報」です。

導入部分に関する情報が「補足情報」です。

例えば、以下のような問題があったとします。

 

問 水道事業者は、管路の維持管理の観点から定期的に漏水調査を行う必要がある。

  漏水調査で使用する装置を複数挙げ、実施時の留意点を述べよ。

 

この問題の場合、1つ目の文が導入部分で2つ目の文が質問部分です。

「不可欠情報」は、質問部分であり、この問題の場合、漏水調査用の装置と実施時の留意点に関する情報になります。

「補足情報」は、導入部分であり、この問題の場合、管路の維持管理に関する情報です。

管路の維持管理は、漏水調査、漏水修理、巡視点検、バルブ類の点検、水管橋の点検、残留塩素の調査等で構成されるため、漏水調査以外の情報が「補足情報」になります。

このように、70%の解答を作る際、「不可欠情報」を文章化した上で、「補足情報」を文章化することが重要になります。

 

●70%の解答を書き出す際の留意点

①情報を正確に示す

70%解答の段階では、文章は適当でもいいです。

ただし、情報の正確さだけは確保するべきです。

間違った数値、間違った内容をそのまま放置するのは危険です。

また、解答を作る際に参照した資料については、コピーしたり、スキャンしたりしてストックしておくべきです。

自分が作った解答を後から読み直した時、「本当にこれで内容はあっているのか?」という不安がよぎることが多々あります。

この場合、もう一度資料を調べる必要がありますが、何の資料に基づいて解答を作ったのかわからないとまずいです。

資料をゼロから探すのは相当な時間がかかります。こうした事態は避けたいものです。

さらに、解答を作る際に参照した資料名、ページは記録しておくべきです。

WSワードであれば、描画やコメントを使って資料名、ページを入力しておけばいいです。

解答の編集に際して、もう一度資料を調べる必要が生じた時、その解答のファイルの中に、資料名とページが書いてあれば、素早く探すことができるからです。

こうした作業はめんどうかもしれませんが、結果的に、勉強の効率をアップできます。重要な作業なので是非やっておいてください。

 

②期間を決めてから作成する

解答を作成して、「これなら70%」という判断ができればいいのですが、正直なところ、これは難しいです。

そこで、予め解答を作成する期間を決めて、その期間が到来したら解答の作成を中断して、これを70%に位置付けた方が良いです。

例えば、1枚物を6問、2枚物を10問、3枚物を12問、計28問の解答を作成するとします。

70%の解答を作成する期間を、例えば、1枚当たり半日に設定します。

すると、1枚物が半日、2枚物が1日、3枚物が1日半になります。

この期間が到来したら解答作成を完了できるよう、ざっくりした内容の解答に仕上げます。

文法や表現方法はイマイチでも、後日、100%の解答に編集するわけですから割り切ってしまえばいいです。

これを実践するためには、解答作成の期限を必ず守ることが求められます。

1枚物を作成する期間を半日と決めていても、ついついクオリティを高めたくなります。

しかしながら、これをやってしまうと1日、2日と、どんどん時間が経過してしまいます。

気が付けば70%ではなく100%の解答を作っていて、結果的にアウトプットの回数を確保できなくなります。

これは避けなければならいないです。

こうした事態を避けるため、解答作成の期限を守ることを優先することが重要になります。

ざっくりとした内容の解答でストップする勇気も必要です。

また、全体の勉強計画を作成して、1問当たりの解答作成に必要な期間を明確にする必要があります。

 

③まとめて・憶えて・入力

解答を作る際、注意するべきことがあります。

パソコンで文章を作る際、何らかの資料を見ながら、それをブラインドタッチで入力すれば早いです。

PDFならコピペできますし、スマホの音声入力機能を使えば、読み上げるだけで文章を入力できます。

仕事はこれでいいでしょう。

しかしながら、試験勉強をする際は、こうした作業はしない方がいいです。

まずは、解答に必要な情報が掲載された資料をコピーします。

それにアンダーラインを引き、必要に応じて追加の内容を書き足し、入力する文章を決めます。

この内容を少しずつでもいいので、記憶します。

これをパソコンに入力します。

この作業を繰り返します。

なぜ、こんなことをする必要があるのか?

予想問題の解答をたくさん作ることは大切です。

しなしながら、試験に合格するために必要なのは、解答ではなく記憶です。

解答に書いているある情報の記憶が必要です。

どれだけたくさんの解答を作っても、その記憶がなければ試験本番で得点できません。

そう考えると、一回の情報収集、一回の解答作成の機会を大切にして、その都度、少しでもいいから情報を記憶するべきです。

解答作成時に蓄えた記憶のかけらが、後々、試験において得点につながる可能性があるからです。

解答作成にあたっては、というわけで、内容をまとめて、少し憶えて、それを入力するという方法を実践してください。

 

 

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