2.2 業務経歴について
●何年で受験できるのか
業務経歴は、基本的に7年以上の実績が必要です。
この実績は、どの技術部門のものでも良いです。
例えば、3年間は建設部門に従事し、4年間は上下水道部門に従事していた場合、合計で7年間以上の実績になるため、建設部門と上下水道部門、どちらの二次試験も受験することができます。
7年という期間は、一定の条件を満たせば、短縮することができます。
具体的には、以下の3つの条件です。
① 技術士補に登録した以降、技術士を補助した業務経歴=4年以上
② 1次試験に合格した以降、監督者の指導の下での業務経歴=4年以上
③ 修士の場合=2年間分を免除
①については、技術士補に登録する必要があります。
その上で、技術士を補助した実績が必要です。
このため、申込書に、技術士補として従事した4年間分の業務経歴を記入することになります。
これにより7年の実績を4年に短縮することができます。
②については、技術士補に登録する必要はありません。
監督者の下で、4年間適切に指導を受けたことを記した書類を提出すれば良いです。
これにより、7年の実績を4年に短縮することができます。
監督者は、基本的には技術士を想定していますが、技術力を有する課長や係長等の指導であれば、監督者が技術士でなくても受験することができます。
ただし、注意が必要です。
②を利用して受験した人は数多くいますが、筆記試験に合格し、口頭試験まで到達した人の中には、面接官から監督者からの指導内容について質問されたケースがあります。
この方は無事合格されましたのが、②を利用する場合、監督者からの指導内容、指導期間をについて説明できるよう準備しておく必要があります。
③については、修士、つまり大学院を卒業する必要があります。
申込書に必要事項を記入し、卒業証書を提出することで2年間の実績が免除されます。
この2年間の短縮は、①、②の条件と併用が可能です。
例えば、大学院に在学している間に1次試験を合格した人が、就職直後から監督者の指導の下で業務に携われば、就職して最短2年の実績で受験することができます。
他にも特例事項もあるので、詳細については、日本技術士会が公表している「技術士制度について」を読んでください。
(http://www.engineer.or.jp/examination_center/pejseido.pdf)
●業務経歴を書く上で注意するべきこと
業務経歴は、技術士としてふさわしい経歴を記述する必要があります。
ところで、技術士としてふさわしいと経歴とはどのようなものでしょうか?
これを理解するためには、技術士とはどんな資格と定義されているのか知っておく必要があります。
技術士法第二条
この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。
法律上、技術士とは以下の6業務の実施・指導する有資格者になるわけです。
①計画 ②研究 ③設計 ④分析 ⑤試験 ⑥評価
つまり、技術士になるにふさわしい経歴とは、上述の6業務に関する実績を意味するわけです。
これは極めて重要なことです。
なぜなら、「業務経歴」に6業務以外の経歴を記入しても、技術士としてふさわしい経歴として認められないかもしれないからです。
例えば、企画、検討、判定という業務は、高い技術力が必要ですが、上記6業務にこれらは含まれていません。
これは、技術士としての経歴にカウントされない可能性があることを意味します。
また、維持管理、監督という業務も、6業務に含まれていません。
申込書に維持管理と監督に関する経歴のみを書いていたら、技術士としてふさわしい業務経歴を示すことはできていないことになります。
つまり、「業務経歴」は、計画、研究、設計、分析、試験、評価という用語を使って作るべきなのです。
では、維持管理と監督のみの経験では、技術士に合格することができないのか?
ご安心ください。大丈夫です。
どんな職場でも、維持管理と監督だけをやっているわけではないではずです。
何らかの形で設計等の業務を含んでいるはずです。また、維持管理や監督も、業務の中で計画、分析、評価といった業務を実施している場合が多いです。
これを経歴としてアピールすればいいわけです。
もちろん、維持管理や監督を隠して、設計、計画、分析、評価のみを記すのは、虚偽になります。
このため、維持管理と監督だけではなく、6業務と組み合わせたものにすれば良いです。
例えば、維持管理及び計画策定、監督及び評価と記入するわけです。
業務経歴を記入するにあたっては、自らの業務経験の棚卸しを行って、6業務に係る部分を発掘することが重要になります。
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