ぐるめ探訪「銀座ライオン 銀座七丁目店」国内最古のビアホールで暑気払い(東京・銀座) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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サルヒツのグルメ探訪♪【第194回】

銀座ライオン 銀座七丁目店

℡)03-3571-2590

 

カテゴリ:ビアホール(洋食)

往訪日:2023年5月20日

所在地:東京都中央区銀座7‐9‐20 ライオンビル1F

営業時間:(年中無休)

11時30分~22時(金土のみ11時30分まで)

アクセス:地下鉄・銀座駅(A3出口)から徒歩約3分

■200席

■予算:約5,000円(税抜)

■予約可(下記注意

■支払い:カード可

■登録有形文化財(2022年)

※予約制は中止みたいです(23年6月現在)

 

《思いのほか大盛況…外は大行列》

 

ひつぞうです。帰省した週末に銀座ライオン銀座七丁目店に行きました。関東を中心に全国展開する老舗ビアガーデンです。その七丁目店が現存する国内最古のビアホールとして2022年2月に登録有形文化材に認定されました。以下、往訪記です。

 

★ ★ ★

 

銀座ライオンには苦い思い出がある。出逢ったばかりの頃、人気のイタリアンでおサルの誕生日を祝うことにした。しかし、予約のラストチャンスの夜、会社の懇親会でつがれる酒を断りきれなかった。抜け出して、酔眼でなんとか予約したものの、当日向かった店には「改装につき休業中」の貼り紙…。携帯の履歴をみると、あろうことか、全然違う店。それも喫茶店にディナーの予約をしていた。あせ

 

「面白そうだからそのままついていっただよ」サル

 

予算5000円。喫茶店で5000円である。当然貸し切り。安いアイスコーヒーとナポリタンが似合いそうなオレンジ色のローテーブル。向かいあった時のバツの悪さ。でも、おサルはニコニコ笑っていた。真面目な店主は出せる限りの料理を出してくる。いや、おカネは払うのでもういいです。そう言いたかった。でも謂えなかった。この出逢いは終わった。マジでそう思った。しかし、今こうして一緒に暮らしている。人生とは不思議なものだ。

 

「すぐ性格判った」サル 超粗忽!

 

その痛飲した店が銀座ライオン大手町店だった。

 

★ ★ ★

 

銀座ライオン大日本麦酒(現在のサッポロビール)傘下の㈱共栄としてスタート。銀座七丁目に出店したのは1934(昭和9)年4月。竣工したばかりの大日本麦酒本社ビル一階に開業した。さて、往訪当日。この日も生憎の雨。なぜか銀座でランチの日はいつも雨だ。30分前の到着を目指して、新橋駅から歩いて行った。間もなく建物が見えるはずだ。だが、何やら異変が。

 

 

一階の入り口前に人だかり。

 

「え!もう行列きゃ!」サル

 

ビアガーデン、しかも昼の営業開始ということで甘く見ていた。

 

「有形文化財になったし」サル

 

あとは、毎度のことながら、ドラマ「名建築で昼食を」の影響かと。オワコンとか巷でディスられているけれど、やはりテレビの影響力はすごい。

 

 

取りつけられたばかりの銘板が眼にも鮮やか。来年でちょうど90周年だ。

 

 

既に30人ほどの列ができていた。二階はビアレストラン。食事そのものは二階の方が質が高い。だが、狙いは飽くまで一階ビアガーデン。竣工時の内装がそのまま残っているのはこちらなのだ。

 

ところが、肝心のスタッフがいない。入店のシステムが判らず、このまま列に並んでいいのか不安だ。実は一番乗りを果たすべく11時30分の枠を予約していた。そのうち列はどんどん長くなり、最終的には100人以上になった。待つこと30分。時間どおりにスタッフは現れた。すると、列を無視して数名の客を入れているではないか。

 

予約しているんですけど!(と慌ててスマホの予約履歴を見せる)

 

「●●様ですね。どうぞ」(スタッフ)

 

なんということだ。行列はすべて当日組だった。

 

「やっぱ粗忽」サル 全然変わっとらん

 

 

残念ながら一組着座して注文を始めていた…。写りこんでるじゃん。

 

無人の正面大壁画を撮る企てはこうして幻に終わった。

 

「そこまでこだわる?」サル サル興味にゃい

 

 

くやしいのでトリミングしてみた。余計にババッちくなった。ま。いーや。

 

 

設計は菅原栄蔵(1892‐1967)。仙台工業学校卒業後、現業を経験したのち、黎明期の建築エンジニアのひとり三橋四郎の建築事務所で腕を磨いた。どちらかと言えば(これまで取り上げてきたアカデミズム出身者とは異なる)叩き上げの職人肌だ。

 

 

支柱はビールの原料である大麦を模している。モスグリーンの釉薬タイルが美しい。

 

 

装飾的ながら直線を多用しているあたりに、フランク・ロイド・ライトの影響を見るのが一般的だ。

 

 

電灯は葡萄の房をモチーフにしたアールデコ風。

 

「割ったらえらいことね」サル

 

 

なんといっても出色はこのガラスモザイク。

 

 

東京大空襲からも逃れて、往時の姿のまま愛飲家に親しまれている。

 

 

床のタイルも当時のままらしい。

 

 

縦長のモザイク画が5枚。大小合わせて12面嵌め込まれている。

 

 

天井にはF・L・ライトを思わせるスクラッチタイル。要塞のようだ。

 

 

「一枚一枚の大きさが違うにゃ」サル

 

 

素晴らしい意匠だ。

 

 

この柱のデザインがたまらん。

 

 

垂直なデザインを多用している。まるでドイツのゴシック建築。

 

 

白眉は正面の巨大モザイク画。色数なんと250色!そのうえサイズは縦2.75㍍×横5.75㍍。人の背丈よりも高い。収穫する農民たちの遠景に小さく描かれているのは、煙突を突き出した恵比寿のビール工場だ。色調に苦心し、3年がかりの大工事となったそうだ。

 

「早く飲もうぜ」サル いつまでやっとんじゃ!

 

 

ということで、バーッと撮影してからビールを頂戴した。まずはハーフ&ハーフ

 

「料理も頼んでおくり」サル

 

 

名物 牛肉のビール煮

 

 

「エビ大好き!」サル

 

おサルは甲殻類が大好物なのである。

 

 

「ヒツはほら、生臭さ系をお食べよ」サル

 

自分が頼んだんでしょ!

 

 

二杯目はエビス・プレミアム・ブラック。蒸し暑いからビールが旨いのなんのって♪

 

「泡とビールを3:7にするのが旨い秘訣だって」サル

 

クルクル廻しながら一気にそそぐのもテクニック。

 

「余分な炭酸が抜けるんだにゃ」サル

 

真似できない巧みの技だね。

 

 

色々ありすぎて迷うね。

 

 

ロングガーリックトースト

 

 

ごぼうのフライ

 

 

つぶ貝のガーリックバター焼き

 

「これは白ワインでしょ」サル

 

 

エル・ブラン(フランス)

 

ソーヴィニヨンブランの辛口。輸入はもちろんサッポロビール。ノンビンテージだけど爽やかで旨い。

 

 

トイレの床にはサッポロのマーク。

 

 

トイレの扉にも、柱のデザインを模したようなステンドグラス。

 

 

戦後6年間はGHQに接収されたそうだ。

 

 

1978(昭和53)年にサッポロビール本社が移転したのち、一階部分の装飾を残して大改装した。現在は2階から6階までコンセプトを変えた食事処となっている。

 

 

名建築と食事と酒。最高のランチだった。

 

=最後に=

 

開店と同時にあっという間に席が埋まる。写真を撮りたい場合は、開店一番乗りがお薦めだ。ひと言スタッフに断ろう。

 

「他のお客さんへの配慮も忘れずににゃ」サル

 

(おわり)

 

ご訪問ありがとうございます。