激安クラシックCDを楽しむ その③ / Intercord盤のカール・ミュンヒンガー 他
レコード店以外の書店やホームセンターで見かける、激安クラシックのCD。今回紹介する激安CDは、最近ではほとんど見られなくなりましたが、ホームセンターで良く売られていた(株)アークが輸入販売していたEMIライセンスのIntercord盤のクラシックCDです。1980年代の録音を中心に1960年代から1990年代のクラシック録音の中から「VIENNA CLASSICS」(ウィーン・クラシクス・シリーズ)として30枚が売られていました。CDがまだ高価だったころ、CDには定価1,200円と印刷してあるのですが、490円で売られていました。(店によっては200円というところもあったように記憶しています)このシリーズは全30枚のうち、HIROちゃんは19枚を架蔵しています。(整理が悪いので、もしかしたらまだ他にもあるかも・・・) ほとんどがホームセンターで490円で購入したものです。ジャケット裏には日本語で曲目の印刷がありますが、ブックレットによる解説は一切ありません。 風景画を基調とした統一感のあるジャケットがきれいなシリーズです。そんなIntercord盤の激安クラシックCDの中から印象に残った録音をいくつか紹介します。ドイツのIntercordは元々、シュトゥットガルトに本社があったようですが、そのためかどうかはわかりませんが、「シュトゥットガルト放送交響楽団」や、「シュトゥットガルト・古典フィルハーモニー管弦楽団」を指揮したカール・ミュンヒンガーの録音がこのシリーズで結構多く聴けます。カール・ミュンヒンガーと言えば、シュトゥットガルト室内管弦楽団とのバッハを中心としたバロック演奏者として有名ですが、このシリーズではベートーヴェンの交響曲や、モーツアルトの交響曲、シューベルトなどの曲を聴くことが出来る貴重な録音といって良いでしょう。実はこれらの中でベートーヴェンや、モーツアルトの交響曲については、以前にこのブログで紹介しているのですが、あらためて簡単に紹介します。■ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団■ベートーヴェン交響曲第6番「田園」カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団■ベートーヴェン交響曲第2番ニ長調、第7番イ長調カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団いずれのベートーヴェンも一言でいえば、「落ち着いた堅実で気品のある演奏」で、興奮したようなスリリングな演奏ではありません。これらの中で最も印象に残った演奏は第6番「田園」、味わい深い落ち着いた演奏で、インテンポで進む美しい田園風景の第1楽章、木管と弦との演奏が絶妙で自然な力感のある第3、第4楽章。そして美しい旋律を歌い上げる終楽章。飽きのこない素晴らしい演奏です。「田園」以外の演奏では、第2番ですが特に木管と弦とが絶妙に絡み上品さを出している第2楽章が美しく素晴らしい。 第3番「英雄」では特に第2楽章と第4楽章が印象に残り、ややゆったりとしたテンポで朗々と歌い上げる第4楽章がすばらしい。第7番は終楽章に向けて盛り上がりもあり、熱気も感じられる演奏ですが、ここでも派手さはなく、落ち着きのある自然な力感です。第2楽章も味わい深く美しい演奏だと思いました。■モーツアルト交響曲第36番「リンツ」、第38番「プラハ」カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト古典フィルハーモニー管弦楽団■モーツアルト交響曲第35番「ハフナー」、第41番「ジュピター」カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト古典フィルハーモニー管弦楽団前記のベートーヴェンではオケがシュトゥットガルト放送交響楽団でしたが、モーツアルトはシュトゥットガルト室内管弦楽団を拡大発展させたと思われる、シュトゥットガルト・古典フィルハーモニー管弦楽団です。すっきりとした聴きやすい優秀な録音です。シュトゥットガルト放送交響楽団よりは小編成のためでしょうか、音が良くとらえられています。 しかし、ヴァイオリンの音が目立つのは録音のためなのか、ミュンヒンガーの考えなのか・・・低音部が少し不足気味に聴こえるので、4曲とも少し重厚な感じが不足し、やや軽めに聴こえます。とは言え、全体としては一言でいえば、「完成度の高い、上品で纏まりのある、堅実な演奏」だと思います。■シューベルト交響曲第8番ロ短調「未完成」カール・ミュンヒンガー指揮/シュトゥットガルト放送交響楽団■モーツアルト/クラリネット協奏曲イ長調ミヒャエル・ギーレン指揮/SWF交響楽団バーデン・バーデンクラリネット:ヴォルフハルト・ペンツミュンヒンガーの「未完成交響曲」は旋律の歌わせ方が美しい演奏で、特に第2楽章のヴァイオリンが美しい。現代音楽や、作曲者としても知られるミヒャエル・ギーレンですが、SWF交響楽団、クラリネットのペンツと共演したモーツアルト/クラリネット協奏曲・・・ペンツのクラリネットと共に、ギーレンの指揮もなかなか聴きごたえがあります。切れ味のある演奏で、クラリネットとの豊かなアンサンブルを聴かせています。■ドヴォルザーク/交響曲第9番 「新世界より」ヴァーツラフ・ノイマン指揮/ SWF交響楽団バーデン・バーデン■スメタナ/「わが祖国」よりモルダウリボル・ペシェク指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団ノイマンの「新世界」というとチェコ・フィルハーモニーや、NHK交響楽団との録音などがありますが、このCDでの演奏スタイルも基本的には同じです。情感豊かなスケールの大きな迫力ある演奏を聴かせてくれます。録音も良く名演。リボル・ペシェクの「モルダウ」ですが、ペシェクはチェコの指揮者で1982年から1990年までチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を務めていました。これはなかなかの熱演で最後の盛り上がりは素晴らしい。隠れた「モルダウ」の名盤か?■ラヴェル/「ボレロ」 「ラ・ヴァルス」& ムソルグスキー「展覧会の絵」エルネスト・ブール指揮/ SWF交響楽団バーデン・バーデンエルネスト・ブールは、SWF交響楽団バーデン・バーデン(南西ドイツ放送交響楽団)の常任指揮者を1964年から79年まで務めた、ラヴェルと同じフランスの指揮者です。「ボレロ」 「ラ・ヴァルス」とも好印象の演奏。ボレロでの各楽器の演奏技術も高く、曲の最終に向かっての盛り上がりはなかなかです。また、「展覧会の絵」では色彩豊かな音を十分に聴かせてくれます。廉価盤としては録音も良い。■モーツアルト/ピアノ協奏曲第16番ニ長調、第20番ニ短調エルネスト・ブール指揮/ SWF交響楽団バーデン・バーデンピアノ:ルドルフ・フィルクスニーエルネスト・ブールは現代音楽を得意とするようですが、実はモーツアルトの演奏にも定評があり、SWF交響楽団バーデン・バーデンとモーツアルトの交響曲を多く録音しています。HIROちゃんの手元にもブール指揮のモーツアルトの交響曲が多くあります。このCDではルドルフ・フィルクスニーとのモーツアルトです。穏やかで少し地味なピアノですが、息の合った演奏を聴かせてくれます。 今回紹介したIntercord盤の「VIENNA CLASSICS」(ウィーン・クラシクス・シリーズ)は全30枚は集めることは出来ませんでしたが、とても激安のCDとは思えない魅力あるシリーズです。タワーレコや、HMVの通販サイトでも、ほとんどカタログでは見かけない録音が多いので、貴重なCDともいえます。たまにはホームセンターなどを覗くのも良いかもしれません。隠れた名盤が見つかるかも・・・今回は少し長い投稿文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。では、・・・・今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪