#ちょっと小耳に(16)

学問に王道なし?

前回は、速記学校の昭和な思い出も含め、独り語りしました。

速記の練習の際にカセットテープ式やオープンリール式のテープレコーダーを使っていたこと。そしてそのアナログ的なちょっと不便さがあるものが逆に懐かしく印象に残っていることなどを語りました。

 

今回は、速記の学び方についてです。

「学問に王道なし」

学問は毎日の努力の積み重ねが必要で、楽な方法や近道などはないということです。

よく言われる言葉です。語学を学ぶときなどに聞いたりするのではないでしょうか。

これは速記の学習にも言える・・・そうでしょうか?

私は「そうとも言える」し、「そうとも言えない」のではと思っています。

速記を習得する(話される言葉を速記できるようになる)には、速記学校に通い、毎日練習しても普通2年ほどかかります。時間がかかります。地道な努力が必要です。こういう意味では「王道はない」と思います。

一方、最初に学ぶ50音や2音文字、簡易文字、省略法などをより早く覚えて使えるようになると、それだけ習得までの時間は短くなります。こういう意味では速記文字を早く使えるようになることが「近道」と言えると思います。

ただし、そういった速記文字の使い方や書き方を早く覚えたとしても、例えば速記技能検定試験でプロ級とされる1級や2級が早く取れるかは別です。

単に速く書ければいいというものではありません。誤字、脱字はもちろん、送り仮名を間違うと減点です。読めないような字も減点対象になります。正確できちんと反訳することが必要です。つまり精度の高い国語力が要求されます。

こういうところが速記の難しいところでもあり、資格に高い評価を受けるところでもあり、やりがいがあるところでもあると思います。

 

習得をどの時点に置くか、何に置くかで「王道」や「近道」のとらえ方が変わってくると思いますが、いずれにしても、日々の努力が必要だということには変わりはありません。

(つづく)

 

 

これまでの「ちょっと小耳に」

(1)速記の始まりと今

(2)日本の速記はいつから?

(3)第1回議会からの会議録があるのは日本だけ! 

(4)日本の速記方式(前編)

(5)日本の速記方式(後編)

(6)弟子たち

(7)他の速記方式は読めない、書けない

(8)原文帳(げんぶんちょう)

(9)速記用語

(10)速記教練会

(11)速記競技会 

(12)なぜ速記に惹かれたのか

(13)なぜ速記が生まれたのか

(14)憲政記念館

(15)速記学校の思い出