#ちょっと小耳に(8)
原文帳(げんぶんちょう)
前回は、私事として、他の速記方式は読めないし書けないということについて触れました。そして速記を第4の文字と捉えた場合、他の速記方式の数だけ枝分かれした第5の文字,第6の文字・・・があると言えるかもしれないと、かなり強引にまとめました。言いたかったのは、速記って奥が深いなということです。
今回は、速記を練習する際の道具についてです。
道具? 取りあえずは筆記具にノートかな?でしょうか。
それで結構なのですが、それぞれに考えられたものがありますので、過去の経験を踏まえて少し書いてみたいと思います。
まずはノートです。
私もシャープペンでノートに書くのが普通です。簡単なメモであれば目に付いた紙にボールペンで書くこともあります。要は何を使ってもいいのですが、速記用のノートとして原文帳(げんぶんちょう)というものがあります。
原文帳?
早稲田速記学校では、入学して直ぐに書道半紙を1箱買い、それで原文帳を自作して使っていました。シャープペンシルでの書き具合は半紙が適度にいい感じなのです。
作り方はいたって簡単です。適当な枚数の半紙を中央で折り曲げ、二つ折りにした線に合わせて左右に穴をあけ、そこによくある黒い綴りヒモを通して結びます。
使うときは折り曲げた状態で上から書きながら反対の手でめくっていきます。1枚書いたらめくり、1枚書いたらめくる。こんな感じです。片側を使い切ったらひっくり返して同様に使います。
市販のものもありましたが、少し高額でしたので生徒の皆さんは自作していました。卒業後も速記の練習をするときには自作した原文帳を使っていました。
シャープペンも速記用のものがありました。
普通のシャープペンと比べると小振りで細身で極めてシンプルな作りです。
書いていくと芯が短くなってくるので、スキを見て芯を出さないといけません。そのためだと思いますが、ノック式ではなく、シャープペンの上部を横に回すと芯が出るようになっていました。見た目はちょっと頼りない感じがしましたが、使い慣れるとこの方がいいように思いました。
シャープペンの芯の太さは、折れにくい0.9ミリのものが書きやすいです。
などと言いつつ、楽らくメモ速記はメモ取りをするための速記ですので、筆記具は使い慣れたもので十分です。ボールペンでも結構です。自分が気に入ったものを使ってください。
今回は、速記学校当時を振り返ってみたときに、速記用に考えられたものとしてそういうものがありましたという思い出でした。
(つづく)
#これまでの「ちょっと小耳に」
(1)速記の始まりと今
(2)日本の速記はいつから?
(4)日本の速記方式(前編)
(5)日本の速記方式(後編)
(6)弟子たち